※「大事な大事な使い道」の続編です。そちらをお読みになってからお進みください。
※土方さんが過去の女性経験を話す場面があります。苦手な方はご注意ください。
ぎんとトシと爛れた大人の関係
恋人の土方と初めて一夜を共にした翌朝、銀時が万事屋へ帰ると仁王立ちの新八と神楽に出迎えられた。
「た、ただいまー…」
「ただいまじゃないですよ!」
「朝帰りなんて許されると思ってるアルか!?」
「何だよ…朝帰りなんてしょっちゅうあるじゃねーか」
「今までとはワケが違うんですよ!まさか土方さんと一緒だったんじゃないでしょうね!?」
「一緒だったけど?」
「「!!」」
銀時の言葉に新八と神楽は驚きを隠せなかった。
「いいい一緒ってどういうことですか!」
「まさかホテルに泊まったんじゃないだろーな!」
「ホテルに泊まったんだけど?」
「ホホホホテルってどこのホテルですか!?」
「いつものトコだよ。ほら、あの親父の宿」
銀時は未だに昨夜のホテルがただの宿泊施設だと思っているが、新八と神楽はそこがラブホテルであることを知っている。
「そんなトコにマヨラーと泊まったアルか!?」
「ぎ、銀さん大丈夫ですか?何もされませんでしたか!?」
「何もってなんだよ…」
慌てる二人を適当にあしらい、銀時は和室のコタツへ潜り込んだ。
「酔って寝ちゃっただけですよね?」
「セックスしたけど?」
「「………えっ?」」
二人は耳を疑った。
つい先日まで「恋人と手を繋いでみたい」などと可愛らしいことを言っていた銀時の発言とは思えなかったのだ。
「だからセックスしたんだって。…あれっ?オメーらセックス知らねェの?」
「銀さん!そんなコトどこで覚えたんですかっ!」
「トシに教わったんだ〜」
「「あんの淫乱副長めェェェ!!」」
新八と神楽は怒りにうち震えた。だが、愛しの恋人に怒りを向けられて銀時も黙っていなかった。
「おい、トシのことを悪く言うんじゃねェよ!トシはお前達が教えてくれなかったコレの使い道を…」
「銀ちゃんにはまだ早いって言ったはずアル!」
「どうやったら子どもができんのかだって、トシはちゃーんと教えてくれたぞ。
それが分かったらコレの使い道、知ってもいいんだろ?」
「それはそうですけど、何も実践しなくても…」
「俺はトシのこと大好きだし、トシもそうなんだからセックスしたっていーじゃねェか」
「「………」」
確かに銀時の言う通りなのだ。
愛し合っている大人二人が肌を重ねることに問題はない。問題はないのだが……
「ところでよー…コンドームってどこで手に入るか知ってるか?」
「「………はぁ?」」
二人は銀時の変わりように付いていけなかった。
「そんなもの手に入れてどうするつもりネ!」
「どーするって…コンドームはセックスに必要だろ?
昨日は宿にあったから良かったけど、毎日宿に泊まる金なんかねェし…」
「毎日!?毎日するつもりなんですか!?」
「うん」
きっぱりと言い切られ、新八は純真な銀時に戻すことを諦めるしかないと悟る。
「…だったら、土方さんに聞けばいいじゃないですか」
「トシに聞いても教えてくれねェんだよ」
「淫乱副長はナマがお好きアルか…」
「神楽ちゃん、いくらなんでもそれは言い過ぎだよ」
「だって、可愛かった銀ちゃんがマヨラーのせいで汚れた大人になってしまったアル。許せないネ」
「気持ちは分かるけど…銀さんの話を聞いてる限り、土方さんは正しい知識を身に付けさせてくれたみたいだし」
新八の言うことは尤もだが、神楽は尚も食い下がる。
「でもゴムの在り処を教えてないネ」
「そうなんだよね。…銀さん、土方さんは何で教えてくれなかったんですか?」
「俺がいっぱい手に入れたら、いっぱいセックスしようとするからダメだって。
酷くね?さすが鬼の副長だよなー…」
ここで二人は瞬時に土方の思惑に気付いた。
一晩で銀時は土方の手に余るほど成長してしまったのだろう。
「鬼じゃないです。当然のことですね」
「何でだよ!」
「マヨラーはそんなにいっぱいヤりたくないアルヨ」
「だって気持ちいいんだから沢山やりたいじゃん」
「そんなにヤってばかりじゃ嫌われちゃうネ」
ここまで土方に不満を漏らしていた神楽も、漸く協力してやろうという気になった。
「そ、そうなのか!?嫌だ!俺、トシに嫌われたくない!」
「だったら少し我慢して下さい。…その間、しっかり働いてデートのお金でも稼いだらどうですか?」
「…しゃーねェ、そうするか」
「じゃあ早速依頼です。…銀さんが帰ってくる前に電話があったんですよ」
「三人で依頼主の所に行くアル」
「おう」
* * * * *
それから二日間、銀時は真面目に働いた。
そして三日目の朝―といっても昼近い時刻―銀時はニコニコしながら神楽の作った卵かけご飯を食べていた。
「銀ちゃん、嬉しそうアルな」
「ああ。今日はトシと会えるからなっ」
「デートアルか?」
「まあな。トシは午後から空いてるって言ってたから、今日まで頑張って稼いだ金で…」
「おしゃれなレストランにでも行くといいネ」
「いや、ホテルに行ってセックスするんだ!」
「ぶふぅーっ!!」
神楽が思いきり吹き出した卵かけご飯は銀時を直撃した。
「…にすんだよ神楽」
「銀ちゃんがおかしなこと言うからヨ」
「何がおかしいんだよ…ったく、風呂入って着替えなきゃいけなくなったじゃねーか。
食い終わったらすぐトシの所に行こうと思ってたのによ…」
ぶつぶつと文句を言いながら銀時は浴室へ向かった。
* * * * *
「じゃあ行ってくる」
「あっ待って下さい」
「あん?何だよ…」
着替えてすぐに出ようとした銀時を、買い出しから戻っていた新八が引き止める。
神楽から先のホテル宣言を聞いて、このまま土方に会わせてはマズイと思ったのだ。
「僕らも一緒に行っていいですか?」
「ダメに決まってんだろ。俺はトシとホテルに行くんだからよ。…あの宿は十八歳未満お断りなの」
「そこまでは付いて行きませんよ!ちょっと挨拶するだけですから」
「挨拶ぅ〜?」
「銀さんの恋人なんですから、僕らにとっても家族みたいなもんじゃないですか。ねっ、神楽ちゃん」
「そうネ。私達だって銀ちゃんの恋人とは仲良くしたいアル」
「なら挨拶だけだぞ。それが済んだらトシとホテル行くからな」
「分かりました」
「分かったアル」
三人は連れ立って真選組屯所へ向かった。
(10.02.21)
妄想メロ小説・ぎんとトシの続編です。「トシ」と呼んでいることを新八と神楽はスルーしてますね^^;他の衝撃が大きすぎて呼び方なんて気にならなかったんだと思います。続きはこちら→★