※単独でも読めますが、「銀さんへの想いを自覚した土方さんがお付き合いを始めるまで」「お付き合いを始めた2人が初デートに至るまで

の続きとなります。よろしければ、そちらを読んでからどうぞ。

 

初デートの2人が初エッチに至るまで・前編(土方視点)

 

 

俺は今、とんでもなく緊張している。普段はそれほど強くねェのに、酒を飲んでも全く酔えなかった。

マヨネーズたっぷりの肴も全く味を感じなかった。

俺が何を言ったのかもアイツが何をしゃべったのかも覚えてない。ん?アイツって誰だって?万事屋だ、万事屋!

で、ここはアイツん家で俺たち二人は、その…そういう関係だ!

 

俺たち二人がそういう関係になって約一ヶ月。この間、俺の仕事とか色々あってロクに会えなかったが

漸く今日は初デートだ。デートっつっても万事屋に二人でいるだけだけどな…明日の朝まで。

そう、俺は今日ここに泊まるんだ。泊まるっつーことはアレだ…そういうことだろ?

まあ、二人ともいい大人だし初めてってワケでもねェからな。

 

…いや、俺は初めてみたいなモンだ。万事屋はどうか知らねーが、俺は男とそういう風になったことはねェ。

男同士、ドコを使って繋がるかは知っているが…

ホントにそんなコトできんのか?やっぱり、最初は痛ェんだろうな。女だって痛ェんだ。

本来受け入れる側じゃねー男はもっと痛ェのかな。

 

まあ、別に俺が下って決まったワケじゃねェが…男相手の経験も大した知識もない俺が

万事屋に突っ込めるかっつーと…無理だな。だったら多少の痛みは我慢して、アイツに任せた方が楽だろう。

アイツがどうしてもっつーなら上でも構わねェが、そこまで拘りが強いとは思えねーしな。

 

で、俺が何でこんなに緊張してるかっつーと…正直、ビビッてる。ある意味初めてなんだ仕方ねーだろ?

…アイツにゃそんなこと言えねェけどな。

今は一人で風呂に入ってるところだ。一人になれてちょっとホッとしてる。

もしかしたら、今のうちに心の準備をしておけっていう万事屋の気遣いなのかもな。

アイツは俺と違って気の利く優しいヤツだ。 

 

俺はただ話をしに万事屋へ来たから、着替えなんて持ってなかった。

だから万事屋から寝巻きを借りて、下着は買ったばかりのがあるっつーから、それをもらった。

風呂から出て、万事屋から借りた寝巻き(淡い色の甚平だ)を着るとなんだか変な気分だ。

俺は普段、着流ししか着ねーし、洗濯してあるとはいえ万事屋が着ていた物だと思うと…脈拍が速くなってきた。

やべーな。顔も赤いんじゃねーか?…風呂上りっつって誤魔化せるか?

そんなことを考えながら事務所になっている居間に戻った。

 

 

「おっ、出たな?麦茶用意しといたぜ」

「あ、ああ」

「じゃ、俺も入ってくるからテキトーに寛いでてよ。テレビ見ててもいいし、その辺のジャンプ読んでてもいーぜ」

「あ、ああ」

 

俺はマガジン派だ…そんなセリフも出てこなかった。

ちょっと気になって和室につながる襖を開けてみると、そこには既に布団が敷かれていた。

布団は二組あるものの…二つの布団の隙間はゼロだった。

…見るんじゃなかった!余計に脈拍が速くなった俺は、とりあえず万事屋が用意してくれた麦茶を飲む。

それからずっとテレビをつけていたが、内容は全く頭に入ってこなかった。

 

 

 

 

ガチャっと戸の開く音がして、万事屋が風呂から出てきた。俺が着てるのと同じ甚平を着ている。

俺は貧血と酸欠がいっぺんに来たみたいに体が強張り、緊張しすぎで死ねるんじゃないかとアホなことを考えてた。

 

「あっ、テレビ見てたんだー。…そうか、おめーマガジン派だったな?悪ィ、悪ィ」

「あ、ああ」

 

万事屋が麦茶を持って俺の隣に座る。また脈拍が速くなる…心臓がドンドン鳴ってる。

 

 

「土方…」

 

万事屋が俺の腰に腕を回す。

 

 

「これから…お前を抱きたい。いいか?」

「あ、ああ」

 

 

万事屋に抱きしめられると、少し落ち着いた気がした。そのまま俺は、万事屋に支えられるようにして和室へ入っていった。

 

 

 

 

 

(09.08.21)

photo by スマイルライン


土方さんが初々しすぎますね。この後、もう一つの前編(銀時視点)を挟み、後編の初エッチへと続きます。