カナヅチ海へ行く


夏休みには海に行こう――俺、坂田銀時の言葉に土方先生は、眉間を寄せて「は?」と言った。
俺を馬鹿にしてますってのを隠しもしないその顔はもう、教育者にあるまじきもの。

高校を卒業して一年と数ヶ月。

つまり、俺達が教師と生徒ではなく恋人同士という関係になって一年と数ヶ月。他にしっくりくる
呼び方がなくて相変わらず俺は先生を「先生」と呼んでいるけれど、正しくは元先生だ。
いや、今でも教師を続けてるから先生は先生なんだけど俺の先生では……
ともかくだ、在学中の猛攻が実を結び、卒業と同時にお付き合い&同棲を始めた俺達。俺は現在、
親戚のバァさんがやってるスナックでバイトしながら調理系の専門学校に通っていて、先生は
引き続き俺の母校の数学教師をしてる。

1DKの賃貸マンション。五畳ほどのダイニングはフローリングなのに卓袱台と座布団がある。
この方が落ち着くって先生、オッサンじゃねーんだから。まだ二十代だろ?
だけど俺も、すぐにイチャイチャできるこのスタイルは気に入っている。今も俺達は互いの腰に
腕を回して寄り添いつつテレビを見て、夕メシ後のまったりタイムを満喫してたとこ。イスだと
そうはいかねぇもんな。

そんな感じで俺達ラブラブなんだけど、一緒に住んでいるからか旅行なんてしたことなかった。
だからたまにはいいんじゃないかと誘ってみた結果が冒頭のあれだ。

「可愛い恋人のお誘いに『は』とは何だ」
「自分で言わなきゃ本当に可愛いんだがな……」

言うから頭に「バ」を付けたくなるなんて、更に余計な一言。

「馬鹿って言う方が馬鹿なんだよ」
「言ってねーだろ」

やっぱり馬鹿だと……言ってないけど顔に書いてある。ンだよチキショー!どうせ俺は数学の
成績最悪でしたよー。
ムカつく銀縁眼鏡の脇腹を、回した手でチョップしてやったら、即座に同じことを仕返しされた。

「痛っ……先生、酷い!DVだ!」
「テメーが先にやったんじゃねーか」
「俺のは馬鹿にされた腹いせですー」
「そういうことをするから馬鹿なんだよ」
「……だから旅行したくねーの?」

先生の愛を疑いたくなってきたところ、これには速攻で「違う」と返される。

「旅行はいいが海は……お前、泳げないだろ?」
「何だそんなこと。俺は夏らしい思い出が作りてーの。夏といえば海!」
「分かった分かった。お前が行きたいなら海でいい」
「ちゃんと聞いてよー。俺はね、先生と波打際で戯れたりー、砂浜に相合い傘書いたりー、
ボート乗ったりー……」
「ああ分かった。全部やろうな」
「じゃあ泊まるホテルとか俺が決めていい?」
「ああ」
「よっし!」


*  *  *  *  *


そんなわけで夏休み。やってきました沖縄県!

「おおおおお……暑い!さすが南国!」
「今日の最高気温、東京の方が高いらしいぞ」

空港に降り立ち、海辺のホテルに向かうためタクシー乗り場にならんでいるところ。沖縄の空気に
興奮気味の俺へ先生の冷静なツッコミが入った。でも気にしない。そうやってクールぶれるのも
今のうち。俺の水着姿で先生を悩殺してやるぜ!

タクシーに乗り込みホテル名を告げて、パンフレットを広げながら先生にホテルの説明。
飛行機の中でもしたけど忘れてるかもしれないからもう一度。

「宿泊客専用のビーチがあるんだって!で、海で遊べるもん色々借りられるんだ。
俺、このでっかいバイクみたいなの乗りたい!」

タイヤが浮輪になっていて海に浮かぶ「ペダルボート」の写真を指差して見せた。

「分かった分かった……その次はシーカヤックだろ?」
「そう!」

分かってると言う先生に念のためと俺は今日からのプランを話し、そうこうしているうちに
ホテルへ到着。白い外観はいかにも海辺のホテルらしい。

俺達の泊まる部屋はオーシャンビューのツインルーム。窓を開けると心地好い海風が吹き込んで
きてクーラー要らず。セミダブルベッドが二つだから一つでヤって一つで寝る予定――まあそれは
夕メシの後だけど。
まずは着替えて海にゴーだ。俺はバッグから買ったばかりの水着を取り出した。

「じゃーん!どうこれ?」
「はあ!?」

両手の人差し指を立てて腰ゴムに通し、俺が披露したのはピンクのイチゴ柄ビキニ。

「てめっ……本気か!?」
「へっへ〜、セクシーだろ?」
「海は俺達だけじゃないんだぞ!」
「もしかして心配?」
「ああ。それは部屋の中だけにしろ」

別の水着を買ってやると言う先生に胸がきゅんとなる。愛されてるなぁ〜。

「実はこれサポーターなんだ〜」

俺は同じ柄のトランクス型水着を見せてやった。

「お前、質悪いぞ」
「ごめんなさーい」

ぺろっと舌を出して可愛く謝れば許してもらえる――年下の特権だ。
では今度こそ着替えてっと……窓は開けっ放しだけどレースカーテンあるからいいだろ。
閉めると暑いし。
先生の水着は面白味も何もない黒の海パンだった。さっさと着替えて日焼け止めを塗っている。
受験生の担任だから、遊んでたってのがバレないようにするんだと。

「背中、塗ってくれるか?」
「あ、うん」

俺もイチゴの水着に着替えて、ベッドに腰かけた先生の背中に日焼け止めをぬりぬり……
そういえば先生の体に触れたの久しぶりだな。旅費とか新しい水着代とか稼ぐためにバイト
増やしたからなァ。
先生は旅費二人分出してくれるって言ったんだけど、ガキ扱いされてるみたいで嫌だったから。
そもそも行きたいって言ったのは俺だし。だから……うん、久しぶりなんだよ。数学教師のくせに
剣道で鍛え上げた体に久々に……

「サンキュー。お前はどうする?」
「塗る」

日焼け止めを先生に渡して今度は俺が背を向けて座る。半裸の先生の手が俺の背中に――

「っ!」
「悪ィ、冷たかったか?」
「いや……」

そうか?なんて言いつつ、さっきよりそっと触れてくれる先生。その優しさが今の俺には凶器だ。
いっそのこと叩きつけるように塗ってくれた方がよかった。



「終わったぞ」
「ん」

肩越しに日焼け止めを受け取って、それを向こうのベッドに放り投げ、俺は先生を押し倒した。

「坂田……?」
「もう無理」

硬くなった股間を太股に押し付ければ、事態を把握した先生は下から手を伸ばし、俺の髪を
くしゃりと撫でた。それを合図に俺は先生の水着を脱がせて、まだ軟らかいナニを咥える。

「んっ……」

その瞬間、体の奥がきゅんとなる。さっきの「きゅん」は胸きゅんで、今のは尻きゅん?
とにかく先生と合体したくてケツが疼いてるってこと。
咥えたまま自分の水着をずり下げ、その疼くケツに指を二本入れた。

「俺がやろうか?」
「いい」

自分で解すより絶対に気持ちいいけれど断る。日焼け止め塗っただけで勃っちまったんだ。
そんな先生にもっと触られたらしゃぶるどころじゃなくなる。なのに更に突っ込まれたくなるに
決まってて、それにはやはりしゃぶる必要があって……
だから我慢して先生を勃たせるのが気持ち良くなれる一番の近道。早く早くと念じながら先生の
モノに舌を這わせていった。



「ハァー……」

俺の唾液に塗れ、硬くデカくなった先生のチンコに喉が鳴る。
唇を手で拭い、中途半端に下がっていたイチゴ水着を脱ぎ捨ててその上に跨がった。


「あ……ああっ!!」


ナニが奥まで届いた瞬間、俺は出さずにイッた。
このくらいは想定内。あのうずうず感からしてすぐイクだろうと思ってた。でもこのくらいじゃ
終わらない。


「あ、あ、あ……」


俺はすぐに腰を上下に揺らし始める。これが中でイク利点だよな。ザーメン出してイクと休憩が
必要だけど、中だけなら、まだ出してないから寧ろもっと欲しくなる。


「あっ、あんっ……」


ハァー……気持ちいい。時々、窓から風が入って来て、声を上げるのはマズイんじゃないかと
頭の端で思う。でもここは家じゃないし、聞かれてもいいかと諦める。旅の恥はなんとやらだ。


「はぁん!」


だんだんと頭がぼーっとしてくる。感じるように、本能のままに、腰を振りまくった。


「あん!あ、あ、あんっ!」


体がガクガク震えて、中でイキ続けてるのが分かる。そろそろ出したい……


「ひっ……ああっ!!」


下から先生が腰を掴み、ずんと突き上げてきて、俺のナニは弾けた。

(13.10.09)


リクエストは「逆3Z(土銀)で夏休み遠出の旅行先でプールか海に行く甘くてイチャイチャなお話」です。卒業後設定でも了承いただけたので、卒業後で。
話を書くのが遅くなり夏を過ぎてしまいましたが……^^; 後編はもっと海らしくできたらと思っていますので少々お待ち下さい。

追記:続きはこちら(18禁ですが直接飛びます)