後編


「はふ……」

先生の胸の上に体を倒せば、ナニが抜けてケツの中から精液がとろり。
高速で鳴る先生の心臓。それを聞いてまた――もう今日は海で遊ぶの諦めよう。

「せんせー」
「ん?」

呼びながら先生の上を這いずってキスをする。暫く合わせていると先生の舌が中に入って来た。

「んう……」

白いレースカーテンがはためいて、海で遊んでいるらしい人達のはしゃぐ声も聞こえる。
夏真っ盛りの南国の陽射しも受けず、波と戯れもせず、地元の名産に舌鼓も打たず、俺達が
するのは家でもできること。この日のために新調した水着はベッドの間で丸まっている。

「ふ、う……」

何やってんだと自嘲するほど高ぶる体。だって、相手がいなきゃできないんだぞ。折角立てた
旅行プランを台無しにする、こんな馬鹿馬鹿しいことに付き合ってくれる相手が。

ああ、もう、だめ……

「次は……」
「ああ」

先生の舌を元ある場所へ追いやってキスを止めた。言わずとも察してくれた先生に代わり、
今度は俺が仰向ける。

「はやく〜」

腰が浮くまで足を開いて引き寄せ両手でケツを広げた。形振り構う余裕なんてものはない。
先生のナニのためならどんな羞恥も堪えられる……というか、痴態を曝け出して誘う自分にも
興奮してる状態。
それに、

「分かったから……」
「あんっ」

先生だってこういうの嫌いじゃないんだ。勃つまで待てと呆れ顔でいいながら、ごくりと喉仏を
上下させ、俺の中に指を三本まとめて突っ込む。反対の手は自分のモノを扱いてて、そうやって
オナニーするのかなとか考えてたら俺はもう完勃ち。


「あっ、ああ……」


先生の指先が前立腺をぐいぐいと押し上げる。一度イッて敏感になった俺の体は、いとも容易く
絶頂へと昇りつめた。


「ああっ!!」


中の指を締め付けながらイッて、チンコからはカウパーがだらだら……


「あぁうっ!」


家でするより感度いいな、なんて呟きながら先生は俺の中をぐにぐにぐにぐに……


「ハッ、ああっ!!」


またイッた。なのにまだまだ足りない。もっと奥まで貫いてほしいっ。

「坂田……」
「んっ!」

名前を呼んで確認。そんなことしなくても俺はいつでもOKだよ。両手を伸ばせば指が抜けて
軽いキスをくれた。空になった穴はその先の期待に満ちていて、幸せいっぱい胸いっぱいっつー
感じだ。カーテンのはためきの合間に波の音。何だか無性に泣きたくなって俺は早くと強請った。
ハジメテでもあるまいし、このくらいで感激してるなどと思われたくはない。

「あ……」

先っぽが入口に押し当てられた。俺の髪を撫でながらゆっくりゆっくり入ってくる。
ヤバイ……優しくされたらもう……

「奥に早くっ!」
「あ、ああ、じゃあ……」
「ああぁっ……!!」


ずんっと奥まで貫かれ、俺のチンコはその衝撃で弾けた。
同時に涙が零れたが、激しい快感でということにしておいて。


「あ、あん!あんんっ!!」


カリが前立腺を通過するたび精液が飛び散る。きっと、先生がイクまでイキっぱなしパターンだ。
流れた涙が耳を掠めてくすぐったい。


「ひあぁっ!!」


気持ち良過ぎて全身が震え始めた。俺を気遣い動きを緩めた先生に大丈夫と告げ、更なる快楽を
貪る。上手く息も出来ねェし、体の自由もきかねェ。だけどこの感覚――先生に支配されてるって
感覚――に背筋がぞくぞくする。
さっき俺が上に乗っかった時は先生を支配してる感じがして興奮したんだけどね。


「ああっ!!う……あっ!!」


どっちも燃えるけど気持ちいいのは圧倒的にこっち。自分で動くと意識トぶまでなんて無理。
なのに、

「坂田」
「あ、んぅ……」

最奥まで突っ込んで、先生は俺にキスをする。そう簡単にトばしてはくれない。これがまた焦らし
プレイのようで何とも……まあ先生は俺を労わってるだけなんだろうけど。

「う、んっ、んっ……」
「っ――!」

今日は遠慮無用。そんなつもりで先生に抱き付き、舌を絡めつつ中を蠢かす。先生のチンコが
脈打って膨れた気がした。こうなりゃ二人でとことん感じようよ。
――心の声が届いたらしく、キスが終わってピストン再開。


「あっ……はぁっ!」


一旦引いた快楽にまた飲み込まれる。先生の腕に縋ってラストスパート。


「ああああ……」


ガクガクと揺すぶられ俺はもうなすがまま。


「あああああっ!!」
「くっ!!」


三度大きく突かれて止まる。先生もイッたのだとぼんやり思いながら俺は意識を失った。


*  *  *  *  *


目覚めた時にはもう暗くなっていた。先生はやり過ぎたと謝ってくれたものの、その必要はねェ。

「すっげェ気持ち良かった。もうサイコー……」
「そ、そうか」

この時のはにかんだ顔が可愛いって言ったら先生怒るかな?三十路近い野郎がそんな風に見える
なんて変だと思うんだけど、そう見えちゃうんだから仕方ないだろ。

「あ〜、腹減った」
「歩けるか?」
「おう」

一人でも起きられるが差し出された手を取ってベッドから下りる。軽い立ち眩みにも大袈裟に
心配するもんだから、ふざけて体を預けてみせた。

「……ルームサービスにするか?」
「やだ〜。バーベキューする〜」

夕飯は海側テラスでバーベキュー食べ放題。考えただけで腹が鳴る。

「行こう!」
「あ、ああ」

本当に平気か、なんて疑り深い先生の背中を押して部屋を出た。


海風を浴びながら肉も魚介もたらふく食って大満足。来て良かったと言えば「そうだな」と先生は
同意して笑い、

「海、行かねェか?」
「今から?真っ暗だけど……」

こんなに暗い海に入るのかと問えば、海岸を歩くだけだと返ってきてホッとする。
腹ごなしに散歩もいいか――部屋には戻らず、俺達は海へ向かった。



夜の浜辺はとても静かだった。
波の音はするけれど、人の声が無いだけでこれほど静かに感じるとはね。

「闇に紛れてカップルがいちゃいちゃしてると思ったんだけどなァ」
「お前は……」

何考えてんだと溜息を吐きつつ先生の手が俺の手をとる。
驚いて思わず顔を見れば、「俺達がそれだろ」って先生……そういう台詞はこっち向いて言って
くれなきゃ。暗くて見えないのに照れてるのバレバレ。

「もう少し海の方、行ってみようよ」
「ああ」

気付かないふりをしてあげて波打際へ向かっていく。そういや普段から、手を繋いでお散歩、
なんてしたことなかったな。これも、旅の恥はなんとやらなのかね。

湿った砂地でしゃがめば当然、先生もついてくる。足元に落ちてた花火を拾い、それで絵を描く。
ハートマーク付きの相合い傘――やっと、計画の一つが実行できる。

「相合い傘、ガキの頃はラブラブって意味で『愛々』って言うのかと思ってた」
「まあ、そう思うよな」

他愛もない話をしているように見せて実はめちゃくちゃドキドキしてる。暗いから手が震えてるの
バレないよな?
完成したこれを見た時の先生の反応は気になるけれど、それを隠すため敢えて下しか見ない。
深く考えてませんよ、さらっと流してね、と背中で語って傘の右側に「ぎんとき」、左に
「十四郎」と書いた。

「…………」

先生が黙ってる……旅先で気分が盛り上がってるにしても下の名前はダメだった?「元」とはいえ
生徒だし、生意気だとか思っちゃった?

「あ、あのさっ」

この妙な空気を変えなくてはと話題を探すも、見付かる前に先生が立ち上がってしまう。
手は繋いだままだから俺も一緒に。

「濡れるぞ」
「あ、うん……」

名前を書くのに集中しすぎて、足元まで波が来ていたことに言われて初めて気付いた。
そんな場所に書いた相合い傘は次の波でほとんど消滅。

「あ……」
「もう一回書くか?」
「いいよ」

もう一度「十四郎」なんて書く気力はないし、かといって苗字にしたらさっきのは?となるし……

「そろそろ戻るか銀時?」
「え……」

今、先生、俺のこと……聞き間違いじゃないよな?もしかして俺も、呼んでみていいのかな?
ホテルに向かう先生の、その背中に返事をした。

「もっ戻ろう十四郎、さんっ」
「プッ……」

あ……笑われた。

「悪ィ悪ィ。戻ろう、銀時さん」

くっそ〜、年下だからって舐めやがってェェェェェ!ちょっぴり妄想と現実の違いに声が上擦った
だけじゃねーか!「先生」を名前で呼び捨てすんのは思いのほか勇気がいったんだよ!!
ムカつくその手を力の限り後ろに引けば、先せ…………十四郎は尻餅をついて倒れた。そこへ
タイミング良く波がサァーっと。パンツのケツ部分だけが濡れた十四郎。

「プッ……いい年しておもらしですか〜?」
「てんめっ……」
「げっ!」

腕を引かれ足を払われ俺も海水の上に倒れ込んだ。なので負けじと俺ももう一度……

「やったなー!」
「うおっ!」

暗い夜の海。波打際で俺達は全身ずぶ濡れになるまで揉み合った。

泳げなくても夏といえばやっぱり海だよな!

(13.10.15)


漸く海らしくなったところで終わります^^; 「土方先生の肉体美にドキドキの銀ちゃんなんか良いですね」というリクエストでしたが、ドキドキというかムラムラ……
リクエスト下さった胡桃様はじめまして!この度はステキなリクエストありがとうございました。こんなものでもよろしければ、胡桃様のみお持ち帰り可ですのでどうぞ。
もしもサイトをお持ちで載せてやってもいいよ、という時には拍手からでもお知らせくださいませ。飛んで行きます!
それでは、ここまでお読み下さった全ての皆様ありがとうございました。 




ブラウザを閉じてお戻りください