中編


軽くシャワーを浴びて二人はホテル内のレストランへ向かった。
朝食はブッフェ形式で、早速デザートコーナーへ走る銀時に呆れつつ、自分は何を食べようかと
サラダコーナーから眺めていた土方は気になるものを見付ける。数種類のドレッシングの一つ。
薄黄色でクリーム状のこれはまさか……サラダの上にそれをスプーン一杯振り掛けて、そそくさと
席へ戻った。

「サラダだけ?」
「違ェよ。先ずは味をみてからだな……」

皿いっぱいのデザートを確保してきた銀時を尻目に、恐る恐るサラダを口にする。

「こっこれは!」
「口に合わねぇか?ケーキもゼリーも美味いぞ。きっと他のもんなら……」
「逆だ。こんなにも遠く離れた地でこの味に出会えるとは……!」

目頭を押さえて感激している土方。サラダがそんなに美味いのかと銀時は向かいから土方の皿に
フォークを伸ばす。一口食べて納得。やや酸味は強いが紛れもなくこれは――

「マヨネーズ、だな……」
「ああ!食材の持ち込みに規制があるとかで正直、食事は諦めていたんだがな……」
「そ、そうなんだ……良かったね……」

そういえば宇宙船内の食事はマヨネーズをかけずに食べていた。旅行中くらいは料理そのものの
味を楽しむつもりなのかと思ったものだが、単に持ち込みを止められただけだったのか……。
土方の一週間分のマヨネーズというと恐らく「箱」単位。懐に忍ばせるわけにもいくまい。
喜々としてメイン料理を取りに行く土方。最後にサラダコーナーへ寄り、あのマヨネーズ風
ドレッシングを大量にかけるのだろう。周りからは奇怪な目で見られるけれど気にしない。
こんなこと、江戸でも日常茶飯事だから。



「美味かったな〜」
「ああ」

部屋に戻ると銀時は少し前まで自分が寝ていたベッドにダイブした。土方はその横に腰かけ
煙草を咥えて火をつける。

「やはりマヨネーズは至高の……」
「はいはいそーですね。ところで土方くん……」
「ん?」

充分な睡眠と美味しい食事。その後は当然……

「これから初夜しない?」
「本当にテメーは……」

欲望に素直過ぎていっそ清々しい。

「まだ朝じゃねーか」
「江戸では夜だから大丈夫大丈夫……」

何が大丈夫なんだか、座っている土方の裾を割って銀時の手が侵入してくる。
窓は全開のまま。波の音に人の声も混じり始めていて、けれど銀時を止めようという気が全く
起こらない。睡眠欲と食欲が満たされて性欲が優位になっているのは銀時だけではなかった。

銀時の手が下着の上から股間を包む。

「ちょっと大きくなってない?」
「朝だからだろ」
「ふぅん……」

触れやすいようにと開いた膝が、それだけではないことを物語っていた。夜でもないし新婚でも
ないけれど、新婚初夜のように熱く抱き合いますか――土方の身体がベッドに沈んだ。

土方の帯を解いて下着を剥ぎ取り、銀時はベッド脇に置いた風呂敷包みから潤滑油を取り出す。

「持って来てたのか……」
「そりゃあね」

潤滑油の絡む指で入口の窄まりを撫でれば、土方はんんっと身を震わせた。
その先には芯の通い始めた一物。

「感度良好?」
「るせっ」

銀時に言われるまでもなく、土方自身がそのことを一番理解していた。この感覚はマズイ――
間もなく我慢できなくなる。あと僅かの刺激で理性を手放し溺れてしまいそうだ。
けれど当然、ここで終わりになどしてはくれない。銀時のヌルつく指が侵入してくる。

「あ、くっ……んんっ……ハッ、あ!」

殆ど何もされていない。二本の指が真っ直ぐに入って来ただけ。内部の快楽点に触れずとも、
入口の神経が指の感触を快感に変え、尾てい骨から脊椎を通じ全身を巡る。そうなるともはや、
恥ずかしいとかみっともないとか……躊躇う暇もなく、もっと欲しくて堪らない。もっと奥まで、
もっと太いもので、もっと激しく――土方のモノは腹に付くほど反り返り、今にも雫が溢れそう。
それを目にした銀時も堪らなくなる。早く自身のモノで土方を啼かせたい――銀時は勢いよく指を
引き抜いた。

「あうっ……」
「悪ぃ……もう入れていい?」

返事を待たず猛る自身へ潤滑油を塗り、入口に押し当てる。
土方からは拒否も制止の声も上がらず、熱に浮された瞳がじっと銀時を見詰めていた。
海からの風が白いカーテンをふわりと揺らす。空には、猫の声で鳴く不思議な鳥が海中の魚を
狙って飛んでいて、波打際では砂まみれの子どもが自分の「城」を建設中――この部屋は、外の
暑さと異質な熱に包まれていた。

銀時のモノが一気に奥まで挿入される。

「ああっ!!」
「んんっ!!」

挿入の衝撃で二人は達した。だが、熱は引くどころか益々高ぶっていき、銀時は間髪入れずに
律動を始めた。

「は……あぁっ!あっ!あっ!」
「ハァッ……すっげー、いいっ……」

潤滑油と精液が土方のナカで混じり合い、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音をたてる。
その音に、二人は耳から犯されていく。

「ひぁっ!はっ……ああっ!」

土方の内部が収縮を繰り返し、もっと寄越せと強請るよう。銀時もそれに煽られて腰を振った。

「ああっ、あ……んんっ!あ、んんんっ!!」
「くっ……!!」
「ハァッ、ハァッ……」
「ハァー……なぁ、次、バックで……」
「んっ……」

一息吐いたらすぐに次へ。汗で貼り付く前髪を掻き上げて土方は四つん這いになる。
白濁液の垂れる後孔に喉を鳴らしつつ、銀時は己の熱塊をそこへ突き入れた。

「ふあっ!」
「いくよ」
「ん、あっ!あっ!」

肉のぶつかる音と銀時の荒い呼吸を背中で聞いて土方は喘ぎ続ける。

「っ……あ!あぁっ!」

腰を動かしながら銀時は手を土方の前に回し、その胸の頂きを摘んだ。

「んんんんっ!!」

ガクガクと身体を痙攣させて、出さずに達する土方。尚も銀時は止まらない。

「ひぅっっっ!よ、ろ……」
「ぎ・ん・と・き」
「あっ、ん……」
「新婚なんだから、名前で呼んでよ。なあ……十四郎」
「くっ……ああぁっ!!」

土方が精を放ち、銀時は一旦動きを止めた。繋がったまま抱き起こし、自身の膝に座らせる。

「ふっ、は、ぁ……」
「とーしろぉ」

左右に揺れて名前を呼んで、お前も呼べと訴える銀時。ふうと息を吐いて土方は「銀時」と
呼び掛けた。途端に鼻の下を伸ばした締まりの無い笑顔が頬を寄せる。

「何でしょうか?」
「キス、させろ」
「はいはいお安いご用で……え?」

休憩させろとか手加減しろとか、そんなことを言われるのだとばかり。かなり飛ばしてきた
ことだし、ここらでまったりイチャイチャタイムも悪くない――などと思っていた銀時が戸惑う
のに笑みを零し、土方は結合部を軸に身体を回転させた。

向き合う形で、奔放に跳ねる銀髪を両手に絡ませその前髪に唇を当てる。

「そんなキスでいいの?」
「どんなキスがいいんだ?」

迫ってきた割にあどけない口付け。こんなもので満足かとからかうように言ってやれば、ならば
どうしたいと逆に問われた。土方の瞳の奥に宿る挑戦的で煽情的な色は、思わず発射してしまい
そうになるほど。
それを気合いで押し止め、銀時は答える。

「キスだけでイッちまうような、濃厚なのを一丁頼むわ」
「ヘッ……今にもイキそうなくせして洒落臭ェ」

どうやら全てお見通しらしい――すぐにイカせてやると土方は赤い舌を覗かせながら銀時に
近付いていった。

「んっ……」
「んーっ……」

唇が重なる前に舌先だけで隙間を辿り、銀時の舌を誘い出す。早く来いと焦れて伸びる舌。
ここで土方は漸く唇を合わせた。
銀時の舌を更に吸い出し、自身の口内でその舌を舌で愛撫する。腰に添えられていた銀時の手。
その指先へ僅かに力が掛けられ肉に食い込む。その瞬間、土方は銀時の舌を解放し、戻るよりも
早く自身の舌を銀時の内へ。

「んんっ……!」

敏感な上顎を舐めてやれば、土方の腰にある手は「添えるだけ」から確実に「掴む」へ変化する。
痛みを感じないわけではないが、今は銀時へ与えることが最優先であった。

「う……んんっ!!」

奥から入口に向かって内部を蠢かせつつ口内を丁寧に舐めとると、銀時の身体が震えて土方の
腰に爪の感触。
その後に感じた、内部を満たすモノの縮小で土方は唇を離した。

「……こんなもんでいいか?」

疑問符を用いながらも肯定の返事しか許さぬ雰囲気。未だ両手は銀髪に埋もれ、口端から伝う
唾液を拭おうともしない。楽しそうにしちゃってまぁ……己の刻んだ爪痕を撫でつつ銀時は言う。

「とても気持ち良かったでーす」
「そりゃ良かった」
「次はキスだけでおっ勃つようなのをお願いしまーす」
「フッ……」

欲張るんじゃねーよ、なんて口先だけ。待ってましたとばかりに土方は入口を締めて口付けた。

「ん、んぅ……」
「ハァ、うん……」

ぴちゃぴちゃと唾液を鳴らし、銀時へ尻を押し付けるようにゆらゆらと腰を振る土方。
これもう、全然「キスだけ」じゃないよね。こんなエロいことされたら誰だって勃つよね――
銀さん意外にやらせないけどさ。
ギブアップとでも言いたげに土方の肩をトントンと叩けば、再び離れていく唇。今度は漏れた
唾液を指で拭い、それから両手を銀時の肩へ。

時折吹き込む穏やかな風が、瞬間的に理性を取り戻させる。真昼間から、窓も閉めず、異星に来て
まで、何やってんだ俺達――けれど次の瞬間、触れ合う箇所から生まれる熱に支配されどうでも
よくなるのだった。

「あっ、あっ、あっ……」
「十四郎のナカ、とろっとろ……」

銀時の長さの範囲で上下に跳ねる土方。先に出した精液が重力に従い滴り落ちる。
新たな精液が注ぎ込まれるまで、土方が止まることはなかった。

(13.07.14)


リクエストは「イチャイチャ旅行」……管理人はイチャイチャとエロエロの違いがよく分かっていません^^;
書いてる途中の7月10日が潤滑油の日だと聞き、銀さんにはローションではなく潤滑油を使ってもらいました(笑) 続きはもう少しお待ち下さい。

追記:続きはこちら(18禁ですが直接飛びます)