一応「たまには友情がテーマでもいいんじゃないかと思いまして・・・」の続きなのですが、
若干設定を変えました。「たまには〜」通りの部分も含めて設定を載せておきます。
<坂田家>
父=弁護士として海外赴任中。
母=前話には登場せず。おそらく夫と一緒に海外在住。
長男=銀八(28才)言わずと知れた銀魂高校教師。
二男=金時(25才)言わずと知れたナンバーワンホスト。
三男=銀時(高二)集英高校に通う白夜叉の異名を持つ不良。妹と年が近く仲が良いため、
末っ子で紅一点の妹を溺愛する兄二人に昔から辛い仕打ちを受けている。
長女=パー子(高一)本名はおそらく銀子。女子高に通う。BL好き。
<土方家>
父=警察官。
母=医師。
長男?=十四郎(高二)銀時の同級生。現在は風紀委員の優等生だが中学時代はやんちゃだった。
前話では一人っ子。今回は兄が登場するらしい。
こんな設定です。銀時と十四郎はお友達です。
今回は銀八先生の恋人(♂)が登場します。年齢制限はありませんがリバの予定です。
追記:本編は年齢制限なし、おまけは18禁リバエロになります。
ここまでお読みになって無理だと思われた方はブラウザを閉じてお戻りください。
兄と兄と弟と弟
とある日、とある場所で、とある高校の二年生・坂田銀時はとある男を見かけた。
「とあるばっかで分かんねーよ……。つーか、上に集英高校って書いてなかったか?」
とある男は黒い縁のメガネをかけていて、とある壁に凭れとある煙草を燻らせていた。
「またとあるかよ……。まあいいや。おーい!」
「おう…………ん?」
とある銀髪の高校生はとある男に向かって呼び掛け……
「おいこらナレーター、俺の名前は本文一行目に書いてあるじゃねーか」
……呼び掛けたところ、とある男は返事をしてから眉を顰めた。
「俺のツッコミは無視かよ……」
銀時がとある男に向かって呼び掛けたところ、とある男は返事をしてから眉を顰めた。
「はいはい、話を進めりゃいーんだろ……。こんなとこで何してんだ?風紀委員が煙草は
マズイんじゃね……あれ?」
銀時の同級生だと思われたその男、近付いてみれば幾分年上に見えた。
「えっと……すいません。人違いでした」
「……十四郎の友達か?」
「あ、はい」
「俺は多串歳三。十四郎の兄だ」
「おーぐし……?」
「訳あって母方の姓を名乗ってる」
「へー……あ、俺は坂田銀時です。土方くんとは同じクラスで……」
「そうだったのか……」
「あの……本当にすいませんでした」
「気にしてねーよ。それより……」
「ぎっ銀時!?」
「あ、銀八兄ィ」
「やっぱりか……」
多串の疑問は銀時の兄・銀八の登場で提示前に解消された。
「おおおお前、ここで何してんだよ!」
「向こうのファミレスでパフェ食おうと……つーか銀八兄ィ、なに焦ってんだ?」
「あああ焦ってねーよ!」
普段厳しい兄が何故か慌てている――弱みを握るチャンスかもしれないと銀時は考えた。
「そういや銀八兄ィ、今日は遅くなるとか言ってなかった?いいのかな〜、先生が学校サボって……」
「サボってねーよ!」
「ほ〜ぅ……じゃあここで何してんの〜?」
「そっそれはだな……」
「ん〜?」
「俺と約束してたからだよ」
「え?」
「ちょっ……」
第三者の介入で銀時の攻勢が止まった。
「これから、お前の兄貴とメシ食いに行くんだよ」
「おいっ!」
「これくらい、隠すことじゃねーだろ」
「二人って、知り合い?」
「まあな。お前の弟、俺の弟の同級生なんだと」
前半は銀時に、後半は銀八に向かって言った。
「はあ!?」
「知らなかったのか?」
「お前のクラスメイトなんて把握してねーよ!」
「いや……ウチに連れて来たこともあるし、そっくりじゃねーか」
「誰だよ!」
「土方だよ、土方。マジで気付いてなかったわけ?銀八兄ィ、眼鏡の度が合ってねぇんじゃねーの?」
「ひ、土方ってあの……」
「そう。あの土方くん」
「あのって……十四郎は何かしでかしたのか?」
「いいいや別に!」
愛する妹を喜ばせるために利用した弟の友人がまさか……銀八は更に狼狽える。
「ていうかお前、多串だろ!何で土方と兄弟なんだよ!」
「跡取りがいないから母方祖父の養子になったって……前に話したことあっただろ?」
「じゃあ旧姓土方!?マジでか……」
「なあ土方の兄さん、仕事は何してんの?」
多串と仲良くなることが銀八を陥れることに繋がると踏んだ銀時は、わざとらしい程に笑顔を作る。
「刑事だ」
「お巡りさんなんだ。なるほどねー……」
チラリと銀八へ視線を送り、またすぐに多串へ戻る。
「実は俺、兄さんにイジメられてるんです」
「おい銀時……」
銀八の睨みなど気にする様子もなく銀時は身の上話を続ける。
「もう一人の兄貴と一緒に俺のことを殴る蹴る……」
「いい加減にしろよ銀時……」
「助けて下さい、お巡りさん!」
「ハハハ……分かった分かった。弟を大事にするよう言っとくからな」
「ありがとうございます!それじゃあ俺はこれで……」
「おう。……十四郎によろしくな」
「はーい!」
笑顔で走り去る銀時の後ろ姿を、銀八は拳を震わせて睨み付けていた。
* * * * *
「銀時のヤツ、帰ったら殴る!」
銀八は乱暴な仕種で自身のネクタイを抜き取り、ソファへ投げ付けた。
背後のベッドに腰を下ろした多串は笑いながらその様子を見ている。
「笑い事じゃねーんだよ!」
「ハハッ……まあ、弟イジメも程々にしといてやれよ」
「……ところでお前、銀時にどこまで話した?」
「何も言ってねーよ。俺にとっても弟の同級生だぞ」
「ならいいけど……」
漸く怒りが治まったのか、銀八も多串の隣に腰を下ろした。
「弟と無関係でも、今日会ったばかりの人間に話すわけねーだろ」
「まあ、そうだけどさ……」
多串は銀八の腰を抱き寄せ、銀八は多串の首に抱き着いて二人は唇を重ねた。
* * * * *
「ただいま〜……」
「お帰りなさい、銀八兄ィ」
その日、夜遅くに帰宅した銀八をパジャマ姿のパー子が出迎えた。
「ただいまパー子。先に寝てていいって言っただろ」
愛しの妹に相好を崩しつつ気遣いも忘れない。
けれど妹の後ろに控える弟を見とめて、銀八の顔は引き攣った。
「お帰りなさい、銀八兄ィ」
「…………」
わざとらしい笑顔を浮かべる銀時を無視して銀八は靴を脱ぐ。そもそも銀時が出迎えることなど
滅多にない。こんな時は関わらないに限る……。けれど銀時の方は関わる気満々であった。
「遅くまでお疲れ様。肩揉もうか?」
「いい」
「鞄持ってやるよ」
「いいって」
「今日の銀時兄ィ、随分と優しいのね」
「俺はいつでも優しいだろ〜」
「どうせほしいゲームでもあるんだろ……。パー子、もう寝なさい」
「はーい」
パー子が見えなくなったところで銀時をキッと睨み付け、銀八はリビングへ向かった。
「水飲む?」
「いらねぇ。ついでにその胡散臭い笑顔もいらねぇ」
「冷たいなぁ……可愛い弟に向かって。多串さんにチクっちゃうよ?」
「ハッ……お前アイツの連絡先知らねーだろ」
内心の動揺を悟られぬよう、銀八はいつも通りの態度を心掛ける。
銀八と多串は少し前に付き合い始めた。けれど弟妹に同性の恋人がいるなどと言えるわけもない。
教育上よくないというのも理由の一つではあるが……
「土方に聞けば分かるしー」
「…………」
「つーか、あの後土方にメールで聞いてみたんだよ。一人暮らししてて年に数回しか会わない
みたいだけど、そこそこメールのやりとりはしてるんだと」
「そ、そうか……」
「弟にあんなことがあったと知ったら、多串さん驚くだろーなー」
あんなこと……以前、土方は銀時の恋人としてこの家へやって来た。本当に付き合っている
訳ではなく、二人の関係を誤解したパー子に、銀八ともう一人の兄である金時が乗っかり
銀時で遊ぶのも兼ねて恋人になれと言った。
それを逆手に取り、銀時と土方は共謀して本当の恋人となったと信じ込ませ、
暫くして種明かしをし、見事一泡吹かせることに成功したのだったが……あの時はまさか
自分に男の恋人ができるとは思ってもみなかった。
今はまだ、警官である友人の兄に銀八の悪事を伝えようと脅しているだけだが、銀時と多串の
接触が増えれば自分達の関係がバレかねない。そんなことになったら銀時に何をされるか……
弟をからかって男との恋愛を勧めたことがある
これが、家族に同性の恋人を紹介できない一番の理由だった。
「多串さんと兄さんが知り合いだって話したら、土方すげービックリしてた」
「俺のことも話したのか!?」
「そりゃ話すだろ〜。兄貴同士も弟同士も知り合いなんて面白くね?」
「そ、そうだな……」
「今度また土方連れて来ようかなぁ……パー子も喜ぶし」
彼女だけは銀時と土方を本物の恋人同士だと未だに信じている。
銀時曰く、彼女は「男同士が皆恋人に見える病気」なのだ。
「いっいや、無理に連れて来なくてもいいんじゃないかな。土方くんにも悪いし」
「兄さんがパー子以外に気を遣うなんて珍しいな。多串さんってそんなに特別な存在?」
「ととっ特別ってなんだ!友達の家族に気を遣うのは当然だろ」
「ふ〜ん……」
二人の間には何かある――銀時は確信した。そして、その「何か」が分からなくとも話題に
出すだけで充分に銀八を大人しくさせられることも。
真面目に生きていればいいことがあるものだと、銀時は普段祈らない神様に感謝していた。
(12.06.04)
続きなのに設定を変えてすみません。唐突に「坂田兄弟ブーム」がやってきまして、しかも今回はカップリングにしたかったんです。
銀さんの相手は土方さん-―これ以外の組み合わせを書く気にはなれません(読むのは平気です)。だけど銀時くんと十四郎くんはお友達。
というわけで十四郎くんにも兄弟を作ってしまいました。もしかしたら更に上に為兄ィがいるかも^^ 銀八先生とトシ刑事という、ちょっと異質なCPですが
パラレルどんとこい!な方はお付き合いくださいませ。一応リバ表記ですが、キス以上の描写はない予定。
続きは暫くお待ち下さいませ。
追記:予定を変更しておまけで18禁を書くことにしました。中編はこちら→★