俺の名前は坂田銀時。高校三年生……受験生だ。
といっても試験は全て終わり結果待ちのみで、受験のプレッシャーからは一先ず解放された。
これで漸くデートができると思っていたのに、クソ真面目な俺の恋人は「結果が出るまで」と
会ってはくれなかった。今からデートしたって結果が変わるわけじゃねェし、半年近くメールも
碌にせずに勉強したんだからもういいだろうよ……

「本当に土方くんって真面目だよね〜……」
「貴様が不真面目すぎるのだ、銀時」
「るせェよ、ヅラ」
「ヅラじゃない、桂だ」

ダチ三人とファミレスで昼メシを食いながら―三年は自由登校だから昼前で帰ってもいいんだ―
真面目な恋人の話をすれば、受験生の恋人として当然の対応だと言われた。
このヅラってのは、同じクラスで生徒会まで一緒にやってたヤツだ。

「単に避けられてるだけかもな」
「ハッハッハ……可哀想じゃのう、金時」
「銀時だバカ。それと高杉、俺と土方くんはラブラブだから」

常に眼帯をしている高杉に、室内でもグラサンを外さない辰馬……俺のダチはアホばっかだ。
でも、俺と土方くんの関係を知る数少ない存在でもある。男同士で付き合ってるなんてことは
誰にでも話せるもんじゃない。コイツらはアホだけど、俺達を気持ち悪がったりはしないと
思ったから教えた。案の定、こうしてからかうことはあるが、それだけだ。

「土方とはラブラブなのか!ではもう、にゃんにゃんなどとっくに済ませたのだな?」
「にゃんにゃんって……お前、いつの人間だよ」
「俺は今を生きる男だ。……して、どちらがどちらににゃんにゃんしたのだ?」
「意味分かんねーし。どっちがどっちもねーよ……二人でヤるもんだろーが」
「生意気に両方ヤってんのかよ……」
「意外とやるのう」
「は?両方?お前ら、何の話してんだ?」
「だからにゃんにゃん……」
「お前は黙ってろヅラ」
「ヅラじゃな「なあ、どういうことだ?」

お約束の返しは無視してヅラよりは話の通じる残り二人に向かう。

「どっちが抱かれたんじゃ?」
「は?なに言ってんだ辰馬……男同士で抱かれるも何もねェだろ」
「おんし、もしや男同士でセックスできるっちゅーこと、知らないんか?」
「ど、どうやんの……?」
「ククッ……マジで知らねェのかよ」
「世話が焼けるのう」

辰馬が俺に耳打ちをする。
……なになに?男同士でヤるには…………え?マジで!?

「ててっテキトーなこと言ってんじゃねーよ!そんな所に入るワケねーだろ!」
「ウソだと思うなら自分で調べてみることじゃ」
「…………」

それから家に帰り、試しにネット検索をかけてみた俺は、辰馬の言うことが真実であるどころか
見たくもない更にディープな男同士のそういう画像まで見てしまい、その日はショックで
なかなか寝付けなかった。


*  *  *  *  *


翌日、ネットの情報だけでは信憑性が低いと思い、とりあえず古本屋に行ってみた。
言っとくけど、アダルトコーナーじゃねェよ。18歳未満じゃなくても高校生はダメなんだろ?
俺、一応元生徒会長だからね。その辺はきっちり守るよ。そういうもんが見てェ時はダチから
……って、俺は土方くん一筋だから!

話が逸れたな。とにかく俺は「参考になるもんが見付かればラッキー」くらいの軽い気持ちで
古本屋の棚を眺めている。背表紙のタイトルを見ているだけでもかなり面白い。「失敗しない
ケーキ作り」って……土方くんだったら、最後にマヨネーズかければ何でも成功だよな。
「アナタにも一ヶ月で恋人が!?」……一ヶ月でできた恋人なんて一ヶ月で別れるんだよ。
やっぱ、俺と土方くんみたいに一年くらいは愛を育まないとね。……あ?ヘタレでなかなか
告白できなかっただけだろうって?うるせェ!愛の熟成期間だったんだよ!!

おっ、これなんかいいんじゃね?

俺は一冊の本を棚から抜き取り、パラパラとページを捲り、慌てて閉じた。

とんでもない図解が目に飛び込んで来て思わず本を閉じてしまったが、おそらくそっち系の
本だと思う。値札を見ると一○五円……この値段なら、もし違っていても諦められる。
よしっ、買おう!

同じ棚から安い本をテキトーに二冊選んでその本を間に挟み、レジへ持って行った。



試験に出ないお勉強〜reversible side〜



(やっぱりあってた……)

本には男同士のヤり方がとても丁寧に―かなり生々しく―書かれていた。
本当に男同士でもできるんだ……。いや、実際ヤってみたわけじゃないから本当にできるか
どうかはまだ分からないけれど、とりあえずヤり方があるってことは分かった。
土方くんは知っているんだろうか?知らないとして、教えてあげたらヤりたいと思うだろうか?
土方くんは、抱く方と抱かれる方だったらどっちがいいのかな?
ていうか、どっちもできるんだから交代でいいかな?少し、練習しといた方がいいよな……


俺はベッドに入り、ズボンと下着を膝くらいまで下ろしてチンコを握った。

「んっ……」

アソコに入れるためにはローションが必要らしいのだが、当然そんなものは持っていない。
軟膏やクリームでも代用できると書いてあったが、家族共用のものしかない。
唾液は乾きが早くて初心者には向かないらしい……と来たら残るはコレだけ。

精液。

家族が帰ってくる前に済ませなくてはと性急にチンコを扱いていった。


「くっ……!!」

ローションの代わりが出て、これからが本番だ。チンコを離してその奥へと手を伸ばす。

「…………」

ヌル付く人差し指の腹をケツの穴に宛ててはみたが、それ以上進む勇気がねェ。
ダメだ……こんなんじゃセックスなんて夢のまた夢だ。頑張れ銀時!行くんだ銀時!

「――っ!」

大きく深呼吸をして人差し指の先を中に入れた。……入った!
意外と平気だ。多少ムズムズする程度で、痛みはない。これなら、もっと奥まで……

人差し指をゆっくりと奥へ進めていく。


(う……)

痛くはねェけど、なんか辛い。突っ込まれてる所も、突っ込んでいる指も、どう言やいいか
分かんねェけど辛い。気分のいいものではない。

(うー……)

それでも何度か出したり入れたりしているうちに、大分マシな感じになってきた。
これくらい馴れれば次に進んでも大丈夫だろう。
俺は中に入れたままの人差し指を曲げ、中にあるという性感帯―前立腺―を探す。

指の腹で色々な所を押してみたがそれらしい所に当たらない。人によってはチンコを擦るよりも
気持ちいいらしい前立腺……俺はそこまで感じないかもしれないけれど、開発できるとも書い て
あったし、場所を特定しておくにこしたことはない。何処だ……?

指を曲げたまま手首を回したり、出し入れしたりして、俺は自分の中を隈なく調べていった。


「あっ!」


思わず声が出て身体がビクンとなった。見付けた!ここか……
俺はもう一度そこにそっと触れてみた。


「ハァッ……」


確かに気持ちいい……強く触れるのが怖いくらいに気持ちいい……
土方くんのチンコがここを通ったら、どんな感じになるんだろう……

俺は一旦指を抜いて、次に二本纏めて入れてみた。


「ハァ、ハァ、ハァッ……」


マジで気持ちいい。一本の時より確り触れて気持ちいい。
気が付くとチンコがまた勃っていた。


「んっ、んんっ……」


三本に増やすと流石にキツイ……。でも、これくらい入らなきゃ土方くんのチンコも入らない。


「ハァ……」


指の曲げ伸ばしで前立腺を押すのが一番気持ちいいけど、指を曲げたまま出し入れして前立腺を
通過するように内側を擦れば土方くんとシているような感覚になり、また違った気持ち良さが
生まれる。


(土方くんっ……)


気分はすっかり土方くんとシているつもり。
俺の脚の間に土方くんがいて、ハァハァと息を荒げながら腰を振る。

「痛っ……」

手を激しく動かし過ぎたせいで入口に引き攣るような痛みを感じる。
けれど今の俺は、それくらいのことで現実に戻ることはできなかった。


(土方くんっ、もっと優しく……)


都合よく、乱暴に抱かれている妄想へと切り替わる。


(あっ、ダメ……そんなに激しくしたら……)


土方くんが俺を気遣うように、痛む入口を労わりながらゆっくり指を動かしていく。


(あっ、あっ!土方くんっ……イカせてっ!)


空いていた左手が土方くんの手となり俺のチンコを扱く。


「(あ……もうムリっ!イク!イッちゃう!)……んんっ!!」


今までの人生で感じたことのないような快感に包まれて俺はイッた。
そしてその直後、これまた今までの人生で最大の後悔に見舞われる。


何してんだ俺はァァァァァ!!


キモっ!俺キモっ!!何だよ「もっと優しく」って……女じゃあるまいし!
だいたい、土方くんはンなこと言われなくても優しくしてくれるはずだ。
そりゃ、たまに生意気な時もあるけど、俺が本当に嫌がることはしたことないし……
ていうか、何で痛いのに止めなかったんだ俺。おかげで入口がまだヒリヒリしてる。
何が「激しくしたらダメ」だ。テメーでやっておいて……バカみてぇ。

だが前立腺のあの感覚が忘れられなくて、結局それから毎日のようにソコを使って一人でヤった。


色々とアレな点はあるが、とにかく土方くんとできそうだというのは分かった。
受験が完全に終わったら提案してみよう。

(12.03.05)


カップリングに迷ってミニアンケートを実施したところ、一位が銀土で二位が土銀始まりのリバでした。固定派には銀土が人気なのに

リバ派には土銀始まりが人気とはおもしろい結果です。というわけで、初エッチリババージョンは土銀からです。タイトル後は銀土版とほとんど同じですが

お暇な方はどこが違うか探してみるのもいいかも?

続きはこちら(18禁ですが直接飛びます)