中編


「ハァ、ハァ、ハァ……」

入試が全て終わり、後は結果を待つだけとなった俺―坂田銀時高校三年生―はオ〇ニーに
明け暮れていた。
この時期、三年生は学校に行っても行かなくてもいいことになっていて、一応目的があるから
毎日登校してはいるが、まだ受験が終わっていないヤツらの邪魔はできないのですぐ帰ってる。
そんで、こういうコトをしてるわけだ。

「……っ!!ハァ〜……」

発射されたザーメンをティッシュで受け止め、丸めてごみ箱へ投げ入れる。

あー、虚しい……

それならもっと有意義に時間を使えと思うかもしれないけど、ムラムラしちゃうんだから仕方ない。
だって土方くんがエロいんだもん。

俺が毎日学校へ行く目的……それは、可愛い恋人の土方くんに会うため。
会うって言っても、俺達の関係は一部を除いて極秘だから、学校では挨拶程度なんだけどね。
それでも現在そこが唯一の会える機会だから挨拶のために登校している。
その土方くんが、最近エロいんだ。

ピンクのオーラを纏い、何かを期待するような目で俺を見ながら「先輩……」なんて
熱っぽく呼ばれたら、誰だってムラムラするに決まってる!
ああ、やっぱり土方くんも溜まってるんだなとデートに誘えば「まだ受験が終わってない」と
断られる……その繰り返しだ。もう結果待ちだけなんだからデートしたっていいのにさ。
ていうか、そんなエロい顔してなに断ってんの?溜まってるんだろ?自分で慰めるのも
限界なんだろ?俺に触って欲しいんだろ?
ていうか、俺は土方くんと一緒に気持ちいいコトしたいんだァァァァ!!


結局俺は、真面目な恋人のおかげで全ての合格発表が終わるまで孤独な日々を送った。


*  *  *  *  *


合格発表の日。自動音声ダイヤルで合格を確認した俺は、すぐに土方くんへメールを送った。

 件名:土方くんへ
 本文:合格したよV(^0^)
    今日、デートできる?

暫くして土方くんから返信が来た。

 件名:おめでとうございます!
 本文:おめでとうございます!先輩さすがですね!
    今日は生徒会ないので3時には出られます。

それから俺は、早く放課後にならないかとワクワクしながら過ごした。


*  *  *  *  *


「せっ先輩……」
「来ちゃった」

逸る気持ちを抑え切れなかった俺は、帰る時間を見計らって土方くんの家の前で待っていた。
土方くんはとても驚いていたけど「早く会いたかった」と言えば照れ笑いをしつつ、玄関の鍵を
開けてくれた。

土方くん家もウチと同じく共働きだから昼間は誰もいない。
……だから互いの家でイケナイコトできるんだけどね。

玄関を入ると土方くんが内側から鍵を閉めてチェーンをかける。
これで万が一親が早く帰ってきても安心だ。
ああ……やっと土方くんに触れる。触ってもらえる。


*  *  *  *  *


「せっ先輩……」
「来ちゃった」

学校から急いで帰ると、家の前に坂田先輩がいた。早く会いたかったなんて言われたらとても
嬉しいのだけれど、今日は色々と準備があったのに……
「合格祝い」の事前準備を済ませてから先輩に会おうと思っていた俺は完全に予定が狂って
しまった。こうなったらヤる前にシャワーを浴びよう!いつもは後だけど、走って帰って汗を
かいたからとか理由を付ければ……よしっ!

俺は先輩を部屋に通した。



「麦茶でいいですか?」
「あ、うん。ありがとう」

先輩は俺の部屋で待ってもらい、キッチンへ麦茶を取りに行く。
そういえば、まだ直接おめでとうって言ってないぞ。「合格祝い」のことで頭がいっぱいで……
これじゃ本末転倒じゃねーか!これ(麦茶)を渡す時にちゃんと言おう!


*  *  *  *  *


「先輩、合格おめでとうございます」

ベッドを背に座る俺へ麦茶のコップを差し出しながら、土方くんはおめでとうと言ってくれた。
そこまで難しい学校を受けたわけじゃなかったんだけど、それでも恋人に祝ってもらえると
嬉しいもんだな。
俺がお礼を言ってコップを受け取ると、土方くんも自分のコップを持って隣に座った。

「本当にすごいですね、先輩」
「そんなに大変な所は受けてないからね……模試の判定もそこそこ良かったし。
ていうか、A判定だった滑り止めには落ちたし……」
「そういうところ、先輩らしいですね。まあ、本命に受かったんだからいいじゃないですか」
「まあねー。……ところで土方くん」
「はい」

麦茶を一気に飲み干してコップを床に置き、土方くんの両肩を掴む。

「エッチしよう!」
「え……」
「もう限界!土方くんってばエロオーラ全開なんだもん!」
「な、何ですかそれ!そんなの出してません!」
「もう駄々漏れだから!ここんとこずーっとエロい顔してたからね!
ていうか、今も絶賛発情中でしょ?」
「はつ……そんなことありません!」

このままいつものように軽くケンカするのも嫌いじゃないけど、怒って赤くなった土方くんは
益々エロく見えて我慢できそうになかった。
ここは俺が下手に出てでも機嫌を直してもらって、とにかくエッチをしよう!
……言っとくけど、土方くんのカラダ目当てで付き合ってるわけじゃないからね?
好きだからエッチしたいんだから!

「そんなことなくてもいいからエッチしよーよ。……土方くんの温もりが恋しいなぁ〜」
「べっ、別にいいですけど……」

さっきとは違う意味で赤くなった土方くんにチュッと……しようとしたのに「待って下さい」と
拒否られた。え、何で?いいって言ったじゃん!

「あのっ……シャワー、浴びてきます」
「そんなの後でいいよ」
「汗臭いし……」
「それはむしろ興奮するというか……」
「とっとにかく、待ってて下さい!」
「え〜……」
「すぐっ!五分で終わりますから!」

土方くんは逃げるように部屋を出ていってしまった。

何だよ。いつもは後なのに……今日は合格祝いデートじゃねェの?
……あ、そうか!シャワーってのは口実で、お祝いの準備をしてるのかな?
セクシー下着とか……コスプレかも?何かな〜……土方くん、どうやって祝ってくれるんだろ。


「お待たせしました……」
「あ、うん……」

風呂場から戻ってきた土方くんは、パーカーにデニムといういつも通りの格好だった。
ふっ……期待した俺がバカだったぜ。真面目な土方くんがそんなことするわけないよな……
でもまあ、これでエッチができるんだ。土方くんのエロオーラもさっきより増えてるし、
早くヤりたいのは一緒のはず。
俺はさっさとベッドへ上がった。

「早くおいでよ」
「あの、先輩……」
「ん?」

土方くんもベッドに上がって来たけど何だか様子がおかしい。全く脱ぐ気配がなく、正座して
じっと俺を見詰めて、目を伏せる。

「どうしたの?」
「あのっ……せ、先輩は……その……」

土方くんは顔を上げて話し始めるんだけど、すぐに俯いてしまう。何か、とても言いにくいことを
言うつもりみたいだ。でも、何でこのタイミング?エッチしてからじゃダメ?

「えっと、その……お、男同士でも……あの…………つっ繋がれるって、知ってますか?」

漸く言いたいことが言えたとばかりに土方くんは息を吐いた。けれど俺は言わんとしていることが
よく理解できなかった。

「あのさ、繋がるって何のこと?」
「え……あ……だ、だから、その……入れる、とか……」

さっきは繋がるで今度は入れる?サッパリ分からん……

「ごめん、土方くん。もうちょい詳しく話してくれる?」
「あ、その……男同士、で……」
「うんうん、俺も土方くんも男だね」
「それで、だけど…………セッ、クス、できるんです

語尾はかなりか細くて聞こえなかったけど、土方くんが「セックス」って言えなくて繋がるだの
入れるだのまどろっこしい表現をしていたのだということは分かった。
恥ずかしいのに、自分からセックスの話題なんか出しちゃって……可愛いなァ、土方くん。
……って、セックス?

「俺達でもセックスできんの?」
「は、い……」
「……どうやって?土方くん、実はふたなりとか?」
「違います。その……後ろを、使えば……」

後ろ?後ろ……また土方くんのことだからそのものズバリが言えなくて「後ろ」なんだろ?
セックスするのに使う「後ろ」……セックスするには棒と穴が必要だ。俺達は棒があるけど
穴はないから、「後ろ」が穴の代わりになるってことか?後ろ……穴…………アナ?

「アナルセックスか!!」
「っ!!……は、はい……」

自分で言い出しておいて、俺が言うと驚いたように身体を震わせた土方くん。本当に可愛い。
しかも、こんなに恥ずかしがってまで俺に聞いたってことは、セックスするつもりなんだよな?

「土方くん、俺とセックスしたい?」
「せっ先輩が、いいなら……」
「うーん……でもさァ、痛そうじゃない?」
「あのっ、先輩さえよければ俺に、その、入れて……」
「いいの!?マジで!?ケツに突っ込まれるんだよ!?大丈夫!?」
「だっ大丈夫です!あの、合格祝いで、だから……」
「土方くん……ありがとう!」
「わっ!」

俺は土方くんに飛び付いた。

「最高のお祝いだよ!……でも、無理だと思ったらちゃんと言うんだよ?」
「ありがとうございます。それで、あの……どういう体勢がいいですか?」
「体位のこと?……やっぱ、最初は正常位じゃない?」
「分かりました」

土方くんが自分の服に手を掛けたので、俺も離れて服を脱いだ。



「あの……これ、使って下さい」

パンツ一枚になった土方くんが俺にくれたのは、コンドームの箱とクリームのボトル。

「ゴムは分かるんだけど……クリーム?」
「えっと……後ろは、その……濡れない、から……」
「ああ、ローションの代わりね。なるほど〜」

俺はチンコにゴムを被せて(もうとっくにフル勃起だ)その上からクリームを塗った。
……クリームって、いっぱい塗るとヌルヌルで気持ちいいんだな。
じゃなくて!今日は触って出すよりもっと凄いコトするんだから我慢だ、我慢!

全裸になった土方くんは、横になってゆっくりと―羞恥に耐えながら―足を開いていく。

「先輩……ここに……」
「うん」

土方くんは足を開ききると、両手で尻を左右に引っ張ってアナルを広げてくれた。
全てを俺に捧げてくれる土方くん。俺、土方くんのことを一生大事にすると誓いますっ!

俺は土方くんの入口にムスコの先っちょ(ゴムとクリーム付き)を宛てて、前へ進んだ。

「あ……」

入った!マジで俺、土方くんのナカに入ってる!!

「痛くない?」
「はい。……先輩の、全部、ください」
「土方くんっ!!」

可愛い顔でそんなこと言われたら、微かに残っていた理性なんて遥か彼方だ。
俺は一気に根元までチンコを挿入した。

「ああっ!!」
「ごめ……痛かった!?」

土方くんが声を上げたことで我に返り、慌てて抜こうとしたんだけど止められた。

「大丈夫です。大丈夫だから、動いてください……」
「本当、無理しなくていいよ。全部入ったんだから、これでセックスは一応できたんだし……」
「無理してません。動いてください……」
「あっ、ちょっ……」

動いてと言いながら土方くんは自分で腰を揺らし始めた。え……何コレ?
土方くんって、こんなに積極的だったっけ?そもそも、こんなにアッサリ入っていいの?
だって本当は入れる所じゃないんだよ?むしろ出す所だよ?それなのに、溜まってたせいで
いつもの謙虚さがない俺のムスコがずっぽりハマって、痛くないの?本当に?

「せんっ、ぱい……早、く……」

俺が混乱している間にも土方くんは下から腰を振ってハァハァ興奮しているご様子。
……これが「セックス」も言えなかった土方くん?

「はやくっ……お願い……」
「ああ、はいはい……」

未だに訳が分からなかったが、土方くんから急かされて俺はチンコを一旦抜いていった。

「あ……はぁ、あぁ……」
「い、痛い?」
「違……そこ、気持ちいい……」
「え?こ、ここ?」
「あぁ……あ!あ!」

イイと言われたところをチンコで行き来してみると土方くんが喘ぐ。マジでか……

「あっ、ああ!先輩っ、気持ちいいっ!!」
「…………」

土方くんはとても気持ちいいようなのでその辺りを高速で動く。
けれど、土方くんが乱れれば乱れる程に俺は腹の底が冷たくなっていくのを感じていた。

「あぁっ!も、ダメ……イキたいっ!!」
「…………」

一度も触れていないにもかかわらず、カウパーで濡れ濡れの土方くんジュニア。
どう見ても慣れてるとしか思えない。まさか土方くんが、俺以外と……

思い浮かんだ可能性を消したくてわざと乱暴に腰を振れば、更に激しく喘がれて、
信じたくもないことが真実であると証明されたような気がした。

「あっ……もう、ムリっ!!……ああぁっ!!」
「…………」

土方くんは自分でチンコを擦ってイッて、そのまま眠ってしまった。
あれだけ興奮していたのが嘘のように俺の方は全然イク感じがしなくて、土方くんから抜けて
ゴムを外して服を着た。

土方くんは、俺以外とセックスしたことがある。

あの反応を見たら、経験のない俺だって分かる。
キスするのも俺が初めてって言ってたのに……あれは、俺に合わせてただけだったのか?
それとも、受験勉強で会えないからって浮気したのか?最近の土方くんがエロく見えたのは、
他に男ができたからだったのか?

酷いよ土方くん……

滑り止めに落ちた時よりずっとずっとショックで、俺は十年以上ぶりに泣いた。

(12.02.24)


坂田先輩ごめんなさい。折角の初エッチなのにラブラブさせられなくてすみません。でももちろん最終的にはハッピーエンドですのでご安心を。

後編はラブラブエロエロな感じにできるといいな……。そういえば、十代同士の本番を書いたのは初めてです。3Zですら在学中にくっ付けませんからね。

特に強い拘りがあって書かなかったわけではないので別にいいのですが、記念すべき初書きがこんなにアッサリ終わっていいのかな……^^;

後編でリベンジできたらしたいと思います。後編アップまで、暫くお待ち下さいませ。

追記:続きを書きました。土方くん視点です。