中編
ずっと友達だとばかり思っていた相手とうっかり恋人同士になってしまい、流石に「話が済んだ
ので宿題の続きを」などとなるはずもなく、無言で抱き合ったまま時間が経過していった。
相変わらず外では蝉が煩いけれど、それが全く気にならない。二人の耳には自分の心音と相手の
心音が、トクトクドキドキトクトクドキドキ……
「あのっ!」
銀時がバッと顔を上げた。
「きっ……キスしていい!?」
「え!?」
十四郎がぴしりと固まったのを拒否と受け取った銀時はがっくりと項垂れる。
「ごめん……今の、忘れて……」
きっと、十四郎の好きと自分の好きは違うのだ。十四郎は自分のように、キスしたいとか
セックスしたいとかは思ったことなどないのかもしれない。昔から、一緒に風呂に入るのも
恥ずかしがってるようなヤツだから。
「ちっ違うんだ!びっくりしただけ。……キス、しよう」
「無理すんなって。十四郎は俺でヌいたことなんかねェだろ」
「なっ……」
またここで何も言えなければ、銀時を好きだということまで疑われかねない。
クーラーのきいた室内でも顔を真っ赤に火照らせながら、十四郎はあるぞと絞り出した。
けれど銀時はにわかに信じられない。
「本当にィ?」
「あ、ああ」
下の毛が生えたとか皮が剥けたとか、そんなことですら十四郎は、銀時が何度も聞いて、
今みたいに赤くなって漸く答えたものだ。だから自然とその手の話はしなくなっていたが、今でも
そう変わっていないように見える。そんな十四郎が、好きな人を思って股間を膨らませるなんて
あるのだろうか……
「何回くらい?」
「はあ!?そそっそんなの、数えてねーよ!」
ということは数えられないくらいシたということか……それこそ信じられない。
銀時は膝で立ち、十四郎の肩をガッと掴んだ。
「そんなにいっぱい?じゃあ、男同士もケツ使えばセックスできるって知ってる?」
「あ、ああ」
何故コイツは恥ずかしげもなくこんなことを……十四郎には不思議でならない。
けれどこちらが答えるばかりでは不公平だと思うから、
「おっお前はどーなんだよ」
逆に聞いてみたけれど、
「俺?もちろんシてるよー。十四郎のことを考えて毎日毎日……ヤベっ、思い出したらチ〇コ
勃ってきた!」
「…………」
むしろ興奮気味に話されて、より辱められた気分になっただけ。
「じゃあさ、前立腺は知ってる?」
「あっああ」
更にはこの話題から逃れようもない状況に陥ってしまう。
「触ったことある?」
「あ、あ」
「今から十四郎の触ってもいい?」
「今から!?」
了承などしていないにもかかわらず、さあやろうと手を引かれ二人でベッドへ上がる羽目に。
「脱がせてあげるね」
「いいいいいいっ!自分で、脱ぐから。ていうかカーテン……」
「あっ、そうか」
ぴょんとベッドから下りてカーテンを閉め、机の引き出しからピンク色のローションボトルを
持って銀時は戻ってきた。その間に十四郎はやっとベルトを外しただけ。
「そうだ。折角だからシックスナインにしねェ?」
「は?」
何がどう「折角」なのか十四郎には分からないまま、やることだけが次々に決まっていく。
いそいそと服を脱ぎ銀時が全裸になる頃、十四郎はジーパンをどうにか脱いでいた。
恥ずかしがらなくていいよ優しくするからね――銀時は十四郎のTシャツを剥ぎ、あっという間に
下着も取り去ってしまう。
「十四郎は上がいい?下がいい?」
「な、にが?」
「シックスナインの時」
「えっ、ああ……」
「……どっちでもいいなら十四郎寝てよ」
「お、う……」
ぽんぽんと枕を叩き、そこへ横になるよう促せば、十四郎はそろそろとそこまで這い、こてんと
仰向けになる。脚をぴたりと閉じ、両手で大事な所を隠して。
「恥ずかしがり屋さんめっ」
邪魔な手をどけて銀時は十四郎の脇に膝を付き、中腰のまま手の平にローションを垂らす。
そこからいちご香料の匂いが漂って、こんなところまで甘党なのかと可笑しくなった。
いつも仄かに甘い香りのするヤツだと思っていた。
「これ食べると治るよ」
そう言って、インフルエンザにかかった自分へ「魔法の飴」を見舞ってくれたのはいくつの
時であったか……いつもポケットに入れているせいで包みがボロボロのいちご飴。
甘い物を食べ過ぎる銀時に、銀時の親が魔法の飴だと持たせていたもの。困った時にだけ
食べられる飴。元気が出る飴だと――自分の知る限り、銀時がその「魔法」を使うのはいつも
他の人のためだった。
そんな魔法の力を信じていた銀時が随分とエロくなったものだ……などとしみじみしていると、
「十四郎くんってば、立派になっちゃって……」
なんて言葉が下半身を見詰める銀時から聞かれてお互い様だと悟る。
銀時は後ろを振り返り、ローションのボトルを十四郎へ手渡した。
「はいっ、優しくしてね」
受け取ったローションを手に出しながら十四郎は答える。
「テメーもな」
「俺はいつだって優しいだろー」
「はいはい……じゃあヤるか?」
「おう」
銀時は身体を前に倒しつつ、膝を立てて脚を開いた十四郎の後孔にぬめった指で触れた。
十四郎も、眼前に晒された銀時の入口にいちごの香りを塗り付ける。
「あっ……それ、気持ちいい……」
自分でする時は丁寧に慣らすなんてしないから、入口をぬるりと撫でられるのがこんなに
気持ちいいなんて知らなかった。
銀時も十四郎へ同じようにすると、んっと僅かに喘ぐのが聞こえる。
暫くはそうしてローションを馴染ませて、入れるよと言う銀時の言葉に合わせて十四郎も覚悟を
決めた。相手を傷付けぬよう、殊更ゆっくり指を進めていく。挿入部分の見えにくい銀時は身を
乗り出すようにして。
「ハァ〜……十四郎の指、マジで俺ん中に入ってる……」
「銀時の指だって……」
「うん。……この辺?」
「あっ!」
銀時の指が十四郎の快楽点に当たる。十四郎も銀時を感じさせようと内部で指を動かした。
「あ、いいっ……」
「くっ、んんっ……」
相手の喘ぎを聞きながら、どちらからともなく二本目の指を挿入した。
元より勃ち上がりかけていた銀時のモノはもちろんのこと、十四郎のモノも今や硬くそそり勃ち、
ローションとは異なる液体に塗れていた。
その先端がちょうど口元を掠めて、銀時は躊躇うことなく銜えてみる。
「ぎっ銀時!?」
驚いたのは十四郎。確かにシックスナインといえば口で愛撫し合うことではあるが、
これは「前立腺を触りたい」と始めた行為。イキたくなったら手で扱くのだとばかり思っていた。
「はぅっ……」
銀時の舌が口内に含んだモノの鈴口をちろちろと舐めて、十四郎は息を飲む。
これをするならするで自分も銀時のモノを銜えたいのだが目の前は指を挿入された尻。目当ての
モノはその向こう側に位置するから、このままでは口が届かない。しかし銀時が後ろに下がれば
きっと銀時が自分のモノに届かなくなる。折角してくれたのにそれでは……
十四郎が迷っているうちにも銀時は内と外から次々に快感を与えていて、
「くっ……あっ!もう、だめだっ!」
遂に十四郎は込み上げるものを抑え切れなくなった。口内に出すことだけは避けなければ……
限界を訴えてみたが銀時は離れない。
「ぎ、とき……もう、出るからっ……!」
途切れ途切れにしか言葉を紡げないせいで聞き取れないのかと、尻をぺちぺち叩きつつ伝える
けれど、やはり銀時は口を離す様子がない。まさかこのままイカせる気では……
「やめっ!ぎん……離せっ……」
「んーん」
一物を銜えた状態で否定の返事ともとれる音を発する銀時。
やはりこのままイカせる気なのだ……十四郎は銀時から指を抜き、身体を離そうと試みた。
「ああっ!」
しかし埋められた指で前立腺をこねられると、出さないよう堪えるので精一杯になってしまう。
「ぎ……んっ……」
出ないようにと力を入れていた腹筋がヒクヒクと痙攣を始める。
そのタイミングで、根元を握るだけだった銀時の手が口に含まれない部分を高速で扱きあげた。
「やっ……くっ……っ!……ああぁっ!!」
ガクガクと全身を震わせて十四郎から吐き出されたモノを、銀時は余すことなく飲み込んだ。
(13.02.24)
折角の幼馴染設定なのでただヤるだけじゃ勿体ないなと色々詰め込んだら前後編で終わらなかった^^; 本番は後編で!
アップまで少々お待ち下さいませ。……というかキスはどうした^^;
追記:後編はこちら→★