互いに突っ込みたい俺達の折衷案を求めて、俺は男同士のあれこれについて少し調べてみた。
そっち系の雑誌を読んでみたり、ねっと茶屋で検索してみたり…。
色んなヤツの体験談を読んでると、結構簡単にできるんじゃないかって思えてくる。
だって、こんだけ沢山のヤツらにできて俺達にできないワケがないって!

とりあえずローションとゴムは準備した。これでいつでも土方に突っ込める!
…じゃなくて折衷案だ!いかんいかん…ついつい土方に突っ込むことだけ考えちまう。

ていうか、突っ込まれんのってそんなに嫌なことか?女は全員突っ込まれる側で
男も男同士でヤるヤツは半分が突っ込まれてるってことは、世の中突っ込まれる方が多数派だろ?
…いや違ェよ。そういうことじゃねェんだよ。多いとか少ないとかの問題じゃなくて気持ちの問題だ、多分。

土方は突っ込まれんのを怖がってんだと思う。初めてなんだから仕方ねェよ。
…初めてだよな?誰かに突っ込まれたことあって、その経験から嫌がってるとかじゃねェよな?
土方が他の男と……深く考えない方がいいな、うん。過去は関係ねェ。大事なのは今だ。

だから折衷案だって!どうしてこう、土方に突っ込むことばかり考えちまうかな…。
突っ込みてェのはやまやまだけど、それじゃあ何時まで経っても堂々巡りだ。
折衷案、折衷案……指を入れるだけってのはどうだ?銀さんのバズーカよりはマシじゃね?

でもよ…指だけでも本当に入んのか?
実際、チ○コを入れてるヤツだっているんだから大丈夫だとは思うけど…アソコって普段閉じてるよな。
俺はズボンの後ろから手を入れて、自分の穴に触れてみた。
―ちなみにここは万事屋で、今は俺以外誰もいねェ。

…うん、やっぱり閉じてる。入りそうもねェな…やっぱ、アレができるヤツって特殊な体してんのか?
それとも特別な触り方をすれば開く、とか?
とりあえず俺は穴の周囲を撫でてみた。…さっきよりは柔らかくなったよーな?でもこれで入るのか?
…実際にやってみるしかねーか。俺ができたら土方にもできるってことだもんな。
俺は着流しを着たまま、下に着ている物だけ脱いだ。


*  *  *  *  *


「ふぅーっ」

買ったばかりの潤滑剤を指に塗すと、銀時は大きく息を吐いて出来る限り体の力を抜く。
左手を背中側に回し、ヌルついた中指をゆっくり後孔に挿入していく。

「ハァー…」

(意外とすんなり入るもんだな。考えてみれば座薬とかもあんだから、指一本くらい平気か。
ただ…入ったはいいけど、別に気持ちイイもんじゃねェな。よしっ、二本に挑戦してみるか)

一旦中指を抜き、今度は人差し指と二本まとめて挿入を試みる。

「くっ…」

入り口で僅かに抵抗はあったものの、指にやや力を込めると何とか入っていった。
二本の指を根元まで埋められたところで、すぐにナカから引き抜いた。

(…入らないことはねェけど、やっぱり二本はキツいな。でもこれで入ることは分かった。
次はこの指を土方のナカに!)



*  *  *  *  *



数日後、土方とデートの約束を取り付けた銀時は、会って早々ホテルに誘った。

「銀時…何企んでんだ?」
「企むなんてそんな…」
「まさか、力ずくで突っ込むつもりか?」
「んなコトしねェよ、ちょっと話し合おうと思ってさ」
「話し合い?」
「そっ。このままじゃ何時までも結論は出ないし、俺も譲れるところは譲ろうと思って」
「譲るって何を…」
「立ち話もなんだから座ろうぜ」

二人はベッドの向かいにあるソファに腰掛けた。

「…で、譲るって何だよ。俺が突っ込んでいいのか?」
「そういうコトじゃねェよ。俺だって本音を言やァ土方に突っ込みてェよ。でも、お前だってそうだろ?」
「ああ」
「だから考えたんだ。…指だけでいいから入れさせて下さい!」
「却下」

銀時の渾身の「お願い」を土方は一蹴した。

「ちょっ、おまっ!せめて考えるフリくらいしろよ!」
「分かった分かった…。じゃあ念のため聞くが、何処に誰の指を入れるってんだ?」
「土方のア○ルに俺の指を…」
「…で、俺はオメーに指突っ込んでいいのか?」
「えー…それはちょっと…」
「却下」
「あっ、待って!今、何か閃きそうな気がした…」
「どうせロクでもねェことなんだろ…」

土方は呆れ顔で懐から煙草を取り出し、一本咥えて火を付ける。

「そんなことねェよ。さっきの会話の中に新たな折衷案のヒントが…」
「お前の考えのどこが折衷案なんだよ。この場合の折衷案といったら交代でヤるとか…」
「それだ!交代でヤろう!」
「はぁ!?」
「いや〜すげェよ土方。さすが真選組の頭脳だな!こういう折衷案は思い浮かばなかったぜ」
「お前のは全然折衷案じゃねェだろ」
「えっ、なんで?本当はチ○コ入れたいのに、指で我慢しようって言ってんだぜ?」
「だから、お前が突っ込んで俺が突っ込まれるってのに変わりはねェじゃねーか」
「あっ、そういえばそうだな…」
「ったく、これだからアホの坂田なんだよ…」
「おい、今のは全国の坂田さんに失礼だぞ!謝れ!」
「全国の坂田さんをバカにしたんじゃねェ。テメーをバカにしたんだ」
「くっそ〜」

悔しいが銀時には返す言葉もなかった。

「ところで銀時…お前、本当に交代でいいのか?」
「ああ、いいよ」
「そんなあっさりと…」
「できれば毎回突っ込みてェけど、それじゃあ不公平になっちまうし、土方の希望を叶えたいとも思うし…」
「そうか」
「それにさ…どうせ抱かれるなら土方がいいっつーか、土方以外に抱かれるのは考えられないっつーか…」
「…そうか」
「土方は?交代でも抱かれるのは嫌?」
「……俺を抱くヤツがいるんだとしたら、それはお前以外いないとは思う」
「じゃあ…」
「ただ…今の今まで抱くことしか頭になかったから、心の準備みたいなもんがまだ…」
「それもそうだよな…。じゃあ、今日は俺が下でいい」
「はっ?」
「だから、今日は俺が下でいいって」
「い、いいのか?」
「うん。…だから土方は次会うまでに心の準備しといてね」
「わ、分かった…」
「決まりィ。…じゃあ俺、風呂入ってくるな」
「お、おう」

浴室に向かう銀時の背中を、土方はじっと見つめていた。



「…本当にいいのか?」

ホテル備付けの浴衣を着て風呂から出てきた銀時に土方が再び問う。
銀時はハァと溜息を吐いた。

「あのな〜、もうここまで来たらガバッとやっちゃうトコだろ?」
「だが…あんなに上がいいっつってたお前が…」
「…俺が下決定みたいな言い方しないでくれる?交代だから。次は俺が上だから」
「それはそうなんだが…」
「オメーは難しく考えすぎなんだよ。…俺達はいい年した大人で恋人同士でココはラブホだ。
この状況でやることっつったら一つしかねェだろ?」
「そ、そうだな」
「分かったらオメーも風呂入ってこい」
「お、おう」

土方は決心したように浴室へ向かった。
それを見届けてから、銀時はゴロリとベッドに寝転ぶ。

(土方のヤツ…クソ真面目にもほどがあるだろ。風呂上がってもまだグダグダ言うようだったら俺が先に
突っ込んでやろうかな…。よし、その手で行こう。こないだ買ったローション使って……あぁっ!
ローションもゴムも家だよ!万事屋だよ!…走れば五分くらいの距離だし、取ってくるか?)

銀時が服を着替えて部屋を出ようとしたところに、土方がシャワーを終えて出てきた。

「ちょっと家に忘れ物したから取ってくるな」
「なんだ?今更怖くなったのか?大丈夫だ。もう心は決まった。ちゃんとヨくしてやるからな、銀時」
「いや、そういうことじゃなくて本当に大事な忘れ物を…」
「…何を忘れたんだ?」
「ゴムとローション」
「銀時…お前それ、本気で言ってんのか?」
「当たり前だろ?男同士でそのまま突っ込むとか無理なんだからな?」
「それくらいは知ってる」
「だったら…」
「ここを何処だと思ってるんだ?」
「ラブホだろ?それがどうした?」
「…そこにあるのは何だ?」
「そこって……あっ!」

土方の指す先には、五センチ四方くらいの平たいビニールの袋。

「あれは、お前が言うところの『ゴム』じゃねェのか?」
「そ、そーですね」
「ったく、ラブホなんだからそんくらい置いてあんだろ。…お前も意外と焦ってんだな」
「あっ焦ってねーよ。それに、ゴムだけあってもローションがねェと…」
「…あれは何だ?」
「あれって……あっ」

視線の先、入浴前まで二人が座っていたソファの隣には小型の自動販売機。

「あそこにローションも売ってんだろ?」
「そ、そのよーで…」
「さっきまでそこに座ってたのに気付かなかったのか?」
「それは、その…」
「まあ、誰だって最初は余裕がねェもんだ。気にすんな」
「くっそー、さっきまでヘタレだったくせに…」
「ヘタレじゃねェよ。でも、まあ、テンパってるお前を見てたら不思議と落ち着いたな」
「うぅ…」
「必要な物も揃ったし、ベッドに行こうぜ」
「………」

銀時は悔しそうな顔をしてコクリと頷いた。


(10.02.04)


銀さんがアホの子になってしまった^^;  なにはともあれ、漸くリバップル(そんな言葉あるのか?)の誕生です!次回最終章突入(笑)!
当然18禁ですが、ここを読んでる方は18歳以上の方でしょうから直接飛びます。土銀本番です。