「んっ…」

敷きっ放しになっていた布団の上に向かい合って座ると、どちらからともなく口付けを交わす。
口付けたまま銀時が土方の肩に手を掛けて押し倒そうとすると、土方も銀時の肩に手を掛けた。
そして両者共、徐々に腕に力を入れて相手を押し倒そうと必死になる。
力の限り相手の肩を押し、遂に唇が離れた。

「ぷはぁっ!何だよ土方…やっぱりヤるの嫌なのかよ」
「それはこっちのセリフだ。テメーから誘っといて何で押し倒されねェんだよ」
「はぁ!?押し倒されんのはテメーだろ?」
「何言ってやがる。俺から告白して、最初のキスも俺からだったんだから俺が上だろ」
「そんなの関係ねェよ。俺は下になるなんて嫌だからな!」
「俺だって嫌だ!大丈夫。オメーは万事屋なんだから何でもできる!」
「オメーは人の嫌がる仕事も進んで引き受けるって評判だよ」
「仕事とコレは別だ!」
「じゃあ俺だって万事屋とコレは別だ!」
「「むむむ……」」

互いの肩に手を当てたまま、二人は膠着状態に入ってしまった。
だが、幾度も繰り返された口付けで火照った身体は容易に鎮まってはくれない。

「…そろそろ限界なんですけど」
「俺だってそうだ。だからヤらせろ」
「土方に突っ込まねェと俺の情熱は治まらねェ」
「大丈夫だ。俺が上になってオメーの熱も治めてやる」
「よし分かった。騎乗位にしよう。そうすれば土方が上だ」
「騎乗位ならオメーが上だろ」
「もう本当にさァ、限界なんだよね。別に突っ込まれたって負けじゃねェから大丈夫だって」
「それなら突っ込ませろや」
「嫌だ」
「俺も嫌だ」
「「むむむ……」」

体内に燻る熱を発散できないまま不毛なやり取りだけが続いていく。
そこで土方から一つの提案がなされる。

「なあ、とりあえずどっちが上かは置いといて、コレをどうにかしないか?」
「その滾ったチ○コをどうにかするために、オメーに突っ込ませろって言ってんだろ」
「だからどっちが突っ込むかは後で決めるとして、とりあえず発散させねェか?」
「…突っ込まないでどうやって発散するんだよ」
「手でヌけばいいだろ」
「えー、お前がいんのに右手のお世話になんのかよ…」
「違ェよ。俺がお前のをヌいてやるから、お前は俺のを…」
「そういうことか…じゃあ脱げ」
「…オメーも脱げよ」
「分かってるって」

二人は着物を脱ぎ捨てた。


「すっげ…土方の、ビンビンじゃん」
「オメーだってそうじゃねェか」

再び向かい合って座った二人は、互いのモノに視線を落とす。
真上を向いたソレは、刺激を求めてビクビクと奮えていた。
土方が銀時のモノに手を伸ばす。

「…脚が邪魔だな」
「じゃあ横にならねェ?…寒ィし」
「そうだな」

二人で布団を被り、向かい合って横になり、上になった手で互いのモノを握った。


「くっ…」
「くっ…」


触れた瞬間、二つのモノはドクリと脈打ち更に成長する。
二人はゆっくりと手を動かし始めた。

(あー…すっげぇ気持ちイイ。土方のもドクドクいってる…俺の手で感じてくれてんだな)

次第に手の動きは早く、複雑になっていく。
銀時が括れを弄れば土方も弄り、土方が先端の窪みを刺激すれば銀時も刺激する。
自分のイイ所を教え合うようにして、互いのモノを扱いていた。


「ハァ、ハァ、ハァ…」
「ハァ、ハァ、ハァ…」


擦る音に水音が混じりだした頃、二人は唇を寄せ合った。


「んっ、んっ、んっ…」
「んっ、んっ、んっ…」


上と下で水音をさせながら、夢中で相手を追い立て、また自身も追い立てられていく。

(ハァ…もう気持ちヨすぎて頭がボーッとしてきた。土方のもヌルヌル…もうすぐか?
つーか、俺がもうイキそう…)

銀時が扱くスピードを上げると、土方もスピードを上げた。
土方が空いている手を銀時の首と肩の隙間に入れて銀時の頭を引き寄せると、銀時は土方の腰に脚を絡めた。


「んっ、ふっ…くっ…」
「ふっ、くっ…んっ…」

「「んんんんっ!!」」


二人はほぼ同時に、互いの手の中に吐精した。


*  *  *  *  *


簡単に手と一物を拭き、二人は裸のまま一つの布団に並んで入る。

「あー…アレだけでも結構イイもんだな。…土方は?」
「そうだな…でも疲れた」
「ははっ…最後の方、あんまり呼吸できなかったもんな」
「最後くらいは口、離せば良かったな」
「でもあれはあれで気持ちヨかったよ。上も下もグチュグチュいってっと興奮しねェ?」
「それは、まあ…」
「だろ?…つーワケで、もう一回」
「はぁっ?まだヤんのかよ…」
「まだ一回しかヤってねェんだからいいだろ?…あっ、もしかして仕事で疲れてる?」
「いや…もう一回くらいどうってことねェよ」


二人は再び抱き合って、互いのモノに手を伸ばした。


(10.02.02)


実はこの「上」争いが書きたくて始めた連載なんです^^ 以前に「下」争い書いたくらい、私の書くリバって百合っぽいのが多いのでたまには違う感じのをと思ったんです。続きはこちら