後編
「あっ…くっ!…あぁっ!」
銀時に見つめられながら土方は自分のモノを扱き続ける。
「そろそろだね。もう片方の手でさァ…先っちょ弄ってみたら?」
「んあっ!」
土方は言われるままに両手で一物を刺激していく。今の土方にはむしろ銀時の「命令」がありがたかった。
例え銀時の命令がなくなったとしても止まれる状況ではないが、他人に見られながら自分の意思で達するよりは
命令されていた方が「仕方なくやった」という大義名分が成立するのでマシに思える。
「ねえ、イク時にさァ…『銀時好き』って言ってみて」
「い…やだっ!」
「…俺の言葉に逆らえると思ってんの?」
「くっ…」
銀時に脚を抱えられたまま土方の身体がビクビクと跳ねる。土方は両手を激しく動かしていた。
「ほらほら…『銀時好き』って言いたくなってきただろ?『銀さん愛してる』でもいいぞ」
「あ…くっ……ょ、ろずや……っきだっ…ああぁっ!!」
「土方っ!!」
「んうっ!?」
土方が達するとほぼ同時に銀時が抱き付いてきて唇を合わせた。
抵抗する間も与えず、銀時は土方の唇の隙間から舌を捻じ込んで深く深く口付けていく。
「んっ、ふっ…んんっ!?んっ!んんっ!!」
口付けをしたまま、銀時は右手を下ろして土方の脚の間を探る。そして土方のモノで濡れた後孔に指を一本挿入した。
「んふ…んんっ!!んーっ!!」
土方は手足をばたつかせて抵抗するが、銀時は構わず指を奥へと進めた。
一旦根元まで入れた指を半ばまで抜いて鉤状に曲げ、ある箇所を探してくにくにと内壁を押していく。
「んんっ!!んむっ…んんっ!?」
「ハッ…見付けた!」
「うあっ!!なっ…ああっ!」
快楽点を探し当て、銀時は漸く口付けを解く。土方は呼吸を整える間もなく未知の快楽に包まれた。
「やっ…やめっ!うあっ!!」
「ここ、そんなに気持ちいんだ…。指、増やすよー」
「はあぁっ!!」
二本の指で刺激されると、先程よりも強い快楽が土方を襲う。
「やっ…あうぅっ!!」
二本の指が楽に動くようになったところで銀時は後孔から指を抜いた。直接触れられていないにもかかわらず
土方のモノは完全に復活している。
銀時も前を寛げてガチガチになった自身を取り出した。
「よろ、ずや…」
「いくよ…」
土方の脚を抱え、先程指で解した入口へ先端を宛がいグッと腰を入れた。
「うぅっ!」
「大丈夫…ゆっくりやるから…」
土方の顔が苦痛に歪むと、銀時は挿入を止めて土方のモノに手を伸ばす。そしてそれをゆっくり擦りながら
前の刺激で土方の力が抜けた瞬間に腰を進めていった。
「全部、入った…」
「あ、はぁ…」
「土方ン中、超気持ちいい…」
「う…あっ…」
「もう我慢できないから、動くね」
「っああ!!」
銀時が動くたび、土方から嬌声が上がった。
「くっ…はぁ!…あぁっ!」
「この辺、だっけ…」
「ひあぁっ!」
指で見付けた快楽点を擦るように突くと、土方から悲鳴めいた声が上がる。
それと同時にナカが複雑に収縮し、銀時にも強い快感を与えた。
「はっ…すげェ…」
「ああっ…あっ!ああっ!」
「ひじかた…」
「あ…んむっ!」
銀時は土方と唇を合わせた。すると土方の腕が銀時の首に回る。
それが合図にでもなったように、銀時は土方の口内へ舌を滑り込ませた。
「んぐ…んんっ!んんっ!」
舌を絡ませ合いながら銀時が激しく腰を動かすと、二人の身体に挟まれた土方のモノが脈打つ。
土方が銀時にしがみつくと、銀時はラストスパートをかけた。
「んんんーっ!!」
「んくっ!!」
二人の間にある土方のモノが弾け、その直後に銀時のモノも土方のナカで弾けた。
* * * * *
「おーい、屋根裏のヤツー、出て来いよー」
銀時は天井に向かって呼びかける。激しい情交の末、土方は気絶するように眠ってしまった。
そんな土方の身体を簡単に拭いてから、銀時は自分の寝間着を着せて布団に寝かせた。
「土方くんなら暫く起きねェから大丈夫だよー」
何度か呼びかけてみたが反応は返って来ない。
「いるのは分かってんだぞー。三秒以内に出て来ないなら木刀ぶっ刺すぞー…いーち、にー…」
「わわっ…旦那ァ、勘弁して下さいよー」
天井板の一枚が外れ、山崎が慌てて顔を出した。…鼻を手拭いで押さえて。
「ジミーだったんだ…ふぅ〜ん…」
「あっ、あの…このこと、副長には…」
「言わねェよ。呼んだのは、副長さんをこの後休みにしてって頼むつもりで…ジミーなら大丈夫だよな?」
「は、はい。…代理で半休届出しておきます」
「よろしく〜」
「それから旦那…」
「んー?」
「責任、取ってもらえるんでしょうね?」
「当たり前だろ。冗談でこんなことやるかよ…」
「ならいいですけど。それから旦那…」
「まだ何かあんの?」
「厠…貸して下さい」
「ああ…どうぞ」
山崎は天井板を元に戻し、屋根裏伝いに厠へ行き、暫くしてから万事屋を後にした。
* * * * *
「んっ…」
「おはよー」
土方が目を覚ますと、銀時に後ろから抱えられるようにして布団に入っていた。見覚えのない甚平も着ている。
「これ…お前の服か?」
「あ、うん。制服はシワ伸ばして吊るしてあるから…」
「そうか…」
「あの…カラダ、大丈夫?」
「大丈夫なワケねーだろ」
「…ごめん」
銀時は土方を抱き締める腕に力を込めた。
「あのさ…ちゃんと責任取るつもりだから」
「責任だァ?ンなもんいらねェよ。俺がドジ踏んでこうなったんだ…」
「じゃあさ…責任とか関係なくお付き合いしてくれるの?」
「付き合う?ふざけんな」
「なんでよー…両想いになれたんだからいいでしょ?」
「はぁ!?」
土方は銀時の腕を振り解いて向きを変え、銀時を睨みつけた。
「俺とテメーがいつそうなったってんだよ!」
「好きだって言ってくれたじゃん。あっ、俺が言ってなかったな…。好きだよ、土方」
「なっ…」
「ずっと好きだったんだ。強引にコトを進めて悪かった。これからはもっと大事にするからね」
展開についていけず口を開けたり閉じたりしている土方を、銀時は正面から抱き締める。
「ンなこと、信じられっかよ…」
「本当にゴメン。ちょっとイタズラするだけのつもりだったんだけど、お前の反応が楽しくてつい…
その上、好きだって言われて止まんなくなっちまった」
「あれは催眠術で言わせたんだろーが。悪いが俺ァてめーと付き合う気なんかねェよ」
「ウソだ。俺の催眠術は言葉まで影響してなかった。ここに来てからだってずーっと口だけは抵抗してたじゃん」
「…だっだが、あん時は催眠術が効いてたんだ!」
「ふぅ〜ん。俺は『銀時好き』って言ってって頼んだはずだけど?お前『万事屋好き』って言ったじゃん」
「そ、それでも催眠術だったんだ!」
「でもお前、好きでもない男に抱かれる趣味はないだろ?」
「あれこそ催眠術のせいだろーが!体の自由が利かなかったんだ!」
「俺…何の命令もしなかったけど?」
「えっ…」
土方は驚いて顔を上げた。銀時は土方の目を見て続ける。
「ヤる前までは色々言ったけどさァ…実際ヤる時には、お前に何かしろなんて言ってねェよ。
だいたい、テレビで見ただけの催眠術でそんな大それたことができると思うか?」
「………」
「それにさァ…なんで今、大人しく抱き締められてんの?カラダは辛いかもしれないけど、逃げるとか
俺を布団から追い出すとかならできるでしょ?」
「………」
銀時の言葉に、土方の顔がみるみる赤くなっていく。
「もしかして…自覚なかった?」
「なにが?」
「俺のこと好きっていう自覚」
「あるわけねーだろ…」
「そっか…。それならさ…催眠術のせいにしていいから付き合って?」
「お前、何言って…」
「催眠術のせいでこうなったんでしょ?だから、催眠術が解けるまでお付き合いしてくれない?」
「…解き方、知らねぇんだろ…」
「そうだけど…」
「………解けるまで、だからな…」
「ひじか…っ!」
土方は思案するように目を伏せてから、銀時の唇に自分の唇を軽く合わせた。
銀時は満面の笑みで土方をぎゅうぎゅうと抱き締める。
「離せっ…」
「ねぇねぇ、もう一回チューして」
「誰がするかっ」
「じゃあ俺がする!」
「待っ…んぅっ!」
「その顔反則…ついでにセックスしていい?」
「なにがついでだ!絶対ェやらねー!」
「じゃあ、お口でして〜」
「やらねー!」
「じゃあ手で!」
「テメーの手でやれ!」
「じゃあ…」
「ダメだ」
「まだ何も言ってないだろー」
「ハハッ…」
土方は銀時の言葉に一つも従っていない。とっくに催眠術の効力はなくなっているのだ。
そのことに土方が気付くのは、きっとずっと先の……もしかしたら、一生かかっても気付かないかもしれない。
催眠術が解けるまで、二人の交際は続く。
(10.08.09)
ITUKIのいっちさんとの合作第二弾でした(第一弾は企画部屋一番上の「チャイナ服」)。例によって「テーマは?」と聞かれてエロ系を挙げたのですが^^;快く承諾して下さいました。
決めたのは「屋根裏から山崎が見てる」ということだけだったのですが、いっちさんの漫画を見たら催眠術なんて素敵設定が加わっていて、滾りました!紙と口パクで会話する
山&土が楽しくて、何とかそれを小説でも表現できないかと模索しました。そんなところに拘っていたら長くなってメインの銀土エロが…そのため、エロをサラッとまとめた短い版と
エロを長くしたせいで中後編になってしまった長い版の両方をいっちさんに読んでいただき、良い方を採用しようと思っていたところ「両方OK」というお言葉が!!おかげで、こうして
両方が日の目を見ることになりました。…まあ、例えどちらかボツになったとしても、「ボツになった方です」と書いて載せるつもりでしたけど(笑)
というわけで、いっちさんのキレイに上げたトスをそのまま真下に打ち落とすような駄文ですが、OK下さったいっちさん、そしてここまで読んで下さった皆様、ありがとうございました。
ちなみに短い版はこちら。エロシーン以外の話の本筋はだいたい一緒です。→★