相互リンク(だいたい)一周年記念作品:「屋根裏」後編


「おー…いい眺め」

銀時は土方のワイシャツのボタンを全て外して左右に開いた。土方の上半身が銀時の目の前に晒される。

「テメーいい加減に…」
「はーい、起きあがっちゃダーメ」
「っ…」

怒りにまかせて飛びかかろうとしたが、銀時の催眠術によって土方は再び畳に頭を付けることになった。

(くそっ…また体が言うことを聞かねェ!こうなりゃ万事屋は後回しだ。とにかく山崎を帰らせよう!)

『山崎!もういいから帰れ!』←口パク
『分かりました。最後まで見届けます』←紙に書く
『(全っ然、通じてねェェェ!帰れっつってんだよ!)か・え・れ!』←口パク
「ねえ、さっきから何やってんの?」
「!なっなんでもねェ…」
「いや、何かあるでしょ?青筋立てて口パクパクさせてさァ…」
「…テメーへの抗議だ。やめろっつってんだ!」
「抗議?何で口パク?」
「何故だか、声が出なかった。きっと催眠術のせいだ…」
「ここ来た時はめっちゃしゃべってたのに?」
「いいからやめろ!」
「ここまで来てやめらんないでしょ〜」
「っ!」

山崎を帰らせようと躍起になっていた土方は、改めて自分の状況を把握して驚愕する。
土方はほぼ下着一枚になっていた。上着やシャツは袖を通したままだが、左右に開かれて肩まで露出している。
スラックスはベルトと一緒に抜き取られ、ご丁寧に靴下まで脱がされていた。

銀時は土方の太股を下から上にすっと撫でる。

「っ…」
「随分と敏感だね。もしかして…溜まってる?」
「ンなわけ…くっ!」

銀時の言葉を否定しようとしたものの、内腿を撫でられて言葉が紡げなくなってしまった。

「副長さんは仕事忙しそうだもんね〜。銀さんがヌいてあげよっか?」
『(仕事!?そうだった…)山崎!もう帰れ!』
『大丈夫です。ちゃんと見てますって』
(違ェェェ!!)

仕事という単語で山崎の存在を思い出した土方は再び帰宅指示を出すが、またしても空振りに終わった。

「また口パク?ていうか、否定しないってことはOKってことだよね?」
「な、なにが…ぎゃあっ!」

遂に下着も剥ぎ取られ、土方はほぼ全裸に近い格好になってしまう。
土方は肩に掛かっている上着に手を伸ばそうとするが、銀時に阻まれてしまった。

「動いちゃダメだって。往生際が悪ィぞ」
「良くてたまるかっ!一体なにが目的なんだ!」
「なにって…家に連れて来られて裸に剥かれてんのに分かんない?」
「…俺の弱みを握って金でも脅し取ろうってのか?」
「はぁ?」

その時、屋根裏の山崎が土方宛のメッセージを紙に書いて見せた。

『副長、違いますよ。旦那は副長の貞操を狙ってるんです』
「貞操を狙う〜!?」
「なぁんだ…分かってんじゃん。じゃあ、そういうことで…」
「ちょっ…」

銀時は土方に覆い被さると軽く唇を合わせた。そして、頬に瞼に額にと顔中にチュッチュと口付けをしていく。

「てっめ…ンで、こんなことっ…」
「なんでって…したいから?」
「わけ分かんね…っ!」
「あ、ここ気持ちいの?」
「っざけ…ぅ、ぁ…」

銀時の唇が耳に触れた時、土方の呼吸が一瞬だけ止まった。そこで銀時は、土方の耳に舌を這わせていく。
耳の形をなぞるように、外側から内側に向かってゆっくりと。


土方は歯を食いしばってそれに耐えていた。するとまた、山崎が紙にメッセージを書いて見せた。

『副長、俺に遠慮せず声を出していいですよ』
(あいつ殺す!ていうか、今すぐ死ね!)

土方の視線の先では山崎が鼻を押さえながら『副長、最高です!』と書いて見せ、自由にならない身体には
銀時の舌が這っている。想像を遥かに超える異常事態に、土方の思考回路はパンク寸前だった。

「…あっ!」

舌が胸の飾りを通過した時、土方から僅かに声が上がった。銀時はそこを執拗に責めていく。

「ねぇ…声、我慢してるのは部下に聞かれたくないから?」
「なっ!」

銀時の言葉に土方は瞠目し、屋根裏の山崎は素早く音を立てずに後退した。

「屋根裏にいんの、お宅の部下なんでしょ?」
「(落ち着け…こいつは何も知らねぇはずだ)何のことだ?」
「上に誰かいるってことは気配で分かる。俺の位置からじゃ見えないけど…お前の位置からは見えてんだろ?
忍者のストーカーかとも思ったけど、それならお前が何か言いそうだもんな。何も言わねェってことは…」
「しっ知らねぇ…」
「…まあいいや。俺は見られて困ることなんかねぇし、むしろ見られてると興奮するっつーか…」
「こっの…変態野郎!」
「それじゃあ再開しまーす」
「くっ!」

銀時は何事もなかったかのように行為を再開させた。そこへ山崎が紙に何かを書いて戻ってきた。

『さすが旦那ですね。でもまだ、完全にバレたわけじゃありません』
(そうだ!バレないうちに帰れ!)
『もっと見付かりにくいところから見てますね』

それだけ伝えると、山崎は覗いていた天井板を元に戻して土方の視界から消えた。

(山崎ィィィ!!あいつ、普段はミントンとかでサボるくせに、何で今日に限って真面目に見張ってんだよ!
いや、見張れっつったの俺だけど…でも俺は桂の動向を知るためにやれっつったんだよ!この状況は明らかに
桂と関係ねェだろーが!とっとと帰りやがれェェェ!!)

土方は天井を睨んでみたが、山崎に届いているかは分からなかった。


*  *  *  *  *


「あっ…くっ!…あぁっ!」


トロトロと雫を垂らす土方のモノを銀時は激しく扱く。


「ねえ、イク時にさァ…『銀時好き』って言ってみて」
「い…やだっ!」
「…俺の言葉に逆らえると思ってんの?」
「あっ…くぅっ!」


銀時は片手で先端の窪みを刺激し、もう片方の手で竿全体を刺激して土方に射精を促す。


「ほらほら…『銀時好き』って言いたくなってきただろ?『銀さん愛してる』でもいいぞ」
「あ…くっ……ょ、ろずや……っきだっ…ああぁっ!!」
「土方っ!!」
「んうっ!?」

土方が達するとほぼ同時に銀時が抱き付いてきて唇を合わせた。
抵抗する間も与えず、銀時は土方の唇の隙間から舌を捻じ込んで深く深く口付けていく。
口付けをしたまま銀時は右手を下ろして土方の脚の間を探り、土方のモノで濡れた後孔に指を一本挿入した。

土方は手足をばたつかせて抵抗するが、銀時は構わず指を奥へと進めた。
一旦根元まで入れた指を半ばまで抜いて鉤状に曲げ、ある箇所を探してくにくにと内壁を押していく。


「んんっ!!んむっ…んんっ!?」
「ハッ…見付けた!」
「うあっ!!なっ…ああっ!」


快楽点を探し当て、銀時は漸く口付けを解く。土方は呼吸を整える間もなく未知の快楽に包まれた。
銀時は中の指を二本に増やした。二本の指で刺激されると、先程よりも強い快楽が土方を襲う。


「やっ…あうぅっ!!」


二本の指が楽に動くようになったところで銀時は後孔から指を抜き、前を寛げてガチガチになった自身を取り出した。


「よろ、ずや…」
「いくよ…」


土方の脚を抱え、先程指で解した入口へ先端を宛がいグッと腰を入れた。



*  *  *  *  *



「おーい、屋根裏のヤツー、出て来いよー」

銀時は天井に向かって呼びかける。激しい情交の末、土方は気絶するように眠ってしまった。
そんな土方の身体を簡単に拭いてから、銀時は自分の寝間着を着せて布団に寝かせた。

「土方くんなら暫く起きねェから大丈夫だよー」

何度か呼びかけてみたが反応は返って来ない。

「いるのは分かってんだぞー。三秒以内に出て来ないなら木刀ぶっ刺すぞー…いーち、にー…」
「わわっ…旦那ァ、勘弁して下さいよー」

天井板の一枚が外れ、山崎が慌てて顔を出した。…鼻を手拭いで押さえて。

「ジミーだったんだ…ふぅ〜ん…」
「あっ、あの…このこと、副長には…」
「言わねェよ。呼んだのは、副長さんをこの後休みにしてって頼むつもりで…ジミーなら大丈夫だよな?」
「は、はい。…代理で半休届出しておきます」
「よろしく〜」
「それから旦那…」
「んー?」
「責任、取ってもらえるんでしょうね?」
「当たり前だろ。冗談でこんなことやるかよ…」
「ならいいですけど。それじゃあ…」

山崎は天井板を元に戻し、万事屋を後にした。


*  *  *  *  *


「んっ…」
「おはよー」

土方が目を覚ますと、銀時に後ろから抱えられるようにして布団に入っていた。見覚えのない甚平も着ている。

「これ…お前の服か?」
「あ、うん。制服はシワ伸ばして吊るしてあるから…」
「そうか…」
「あの…カラダ、大丈夫?」
「大丈夫なワケねーだろ」
「…ごめん」

銀時は土方を抱き締める腕に力を込めた。

「あのさ…ちゃんと責任取るつもりだから」
「責任だァ?ンなもんいらねェよ。俺がドジ踏んでこうなったんだ…」
「じゃあさ…責任とか関係なくお付き合いしてくれるの?」
「付き合う?ふざけんな」
「なんでよー…両想いになれたんだからいいでしょ?」
「はぁ!?」

土方は銀時の腕を振り解いて向きを変え、銀時を睨みつけた。

「俺とテメーがいつそうなったってんだよ!」
「好きだって言ってくれたじゃん。あっ、俺が言ってなかったな…。好きだよ、土方」
「なっ…」
「ずっと好きだったんだ。強引にコトを進めて悪かった。これからはもっと大事にするからね」

展開についていけず口を開けたり閉じたりしている土方を、銀時は正面から抱き締める。

「ンなこと、信じられっかよ…」
「本当にゴメン。ちょっとイタズラするだけのつもりだったんだけど、お前の反応が楽しくてつい…
その上、好きだって言われて止まんなくなっちまった」
「あれは催眠術で言わせたんだろーが。悪いが俺ァてめーと付き合う気なんかねェよ」
「ウソだ。俺の催眠術は言葉まで影響してなかった。ここに来てからだってずーっと口だけは抵抗してたじゃん」
「…だっだが、あん時は催眠術が効いてたんだ!」
「ふぅ〜ん。俺は『銀時好き』って言ってって頼んだはずだけど?お前『万事屋好き』って言ったじゃん」
「そ、それでも催眠術だったんだ!」
「でもお前、好きでもない男に抱かれる趣味はないだろ?」
「あれこそ催眠術のせいだろーが!体の自由が利かなかったんだ!」
「俺…何の命令もしなかったけど?」
「えっ…」

土方は驚いて顔を上げた。銀時は土方の目を見て続ける。

「脱がす時に動くなとは言ったけどさァ…実際ヤる時には、何も言ってねェよ。
だいたい、テレビで見ただけの催眠術でそんな大それたことができると思うか?」
「………」
「それにさァ…なんで今、大人しく抱き締められてんの?カラダは辛いかもしれないけど、逃げるとか
俺を布団から追い出すとかならできるでしょ?」
「………」

銀時の言葉に、土方の顔がみるみる赤くなっていく。

「もしかして…自覚なかった?」
「なにが?」
「俺のこと好きっていう自覚」
「あるわけねーだろ…」
「そっか…。それならさ…催眠術のせいにしていいから付き合って?」
「お前、何言って…」
「催眠術のせいでこうなったんでしょ?だから、催眠術が解けるまでお付き合いしてくれない?」
「…解き方、知らねぇんだろ…」
「そうだけど…」
「………解けるまで、だからな…」
「ひじか…っ!」

土方は思案するように目を伏せてから、銀時の唇に自分の唇を軽く合わせた。
銀時は満面の笑みで土方をぎゅうぎゅうと抱き締める。

「離せっ…」
「ねぇねぇ、もう一回チューして」
「誰がするかっ」
「じゃあ俺がする!」
「待っ…んぅっ!」
「その顔反則…ついでにセックスしていい?」
「なにがついでだ!絶対ェやらねー!」
「じゃあ、お口でして〜」
「やらねー!」
「じゃあ手で!」
「テメーの手でやれ!」
「じゃあ…」
「ダメだ」
「まだ何も言ってないだろー」
「ハハッ…」


土方は銀時の言葉に一つも従っていない。とっくに催眠術の効力はなくなっているのだ。
そのことに土方が気付くのは、きっとずっと先の……もしかしたら、一生かかっても気付かないかもしれない。


催眠術が解けるまで、二人の交際は続く。


(10.08.09)


ITUKIのいっちさんとの合作第二弾でした(第一弾は企画部屋一番上の「チャイナ服」)。例によって「テーマは?」と聞かれてエロ系を挙げたのですが^^;快く承諾して下さいました。

決めたのは「屋根裏から山崎が見てる」ということだけだったのですが、いっちさんの漫画を見たら催眠術なんて素敵設定が加わっていて、滾りました!紙と口パクで会話する

山&土が楽しくて、何とかそれを小説でも表現できないかと模索しました。そんなところに拘っていたら長くなってメインの銀土エロが…そのため、エロをサラッとまとめた短い版と

エロを長くしたせいで中後編になってしまった長い版の両方をいっちさんに読んでいただき、良い方を採用しようと思っていたところ「両方OK」というお言葉が!!おかげで、こうして

両方が日の目を見ることになりました。…まあ、例えどちらかボツになったとしても、「ボツになった方です」と書いて載せるつもりでしたけど(笑)

というわけで、いっちさんのキレイに上げたトスをそのまま真下に打ち落とすような駄文ですが、OK下さったいっちさん、そしてここまで読んで下さった皆様、ありがとうございました。

ちなみに長い版はこちら。エロシーン以外の話の本筋はだいたい一緒です。→