おまけ後編(土銀版)
「あっ……あんっ、あぁっ!」
胸の粒を吸われながら、後孔に指を二本差し込まれて喘ぐ銀時。
「あ、んっ!はぁ……」
感じる度に足の裏が畳を滑り、シーツ代わりの浴衣はとっくに身体の下から抜けている。
気付けば頭の上にふかふか座布団。銀時はふと我に返った。
「な……メシ、ここだよな?」
「あ、ああ」
普段はそういうことにあまり頓着しない男だが、旅先となると違うのだろうか。
このまま本番へ進む気であったけれど、今日は銀時の誕生日。無体は強いるまいと土方は一物を
咥え、埋めた指で快楽点を抉った。
「あっ、あっ、ああぁっ!!」
出てきたモノを全て嚥下して、土方は自己処理のために浴衣を羽織り立ち上がる。
「何処行くの?」
「や、ちょっと……」
「誕生日の俺を置いて、一人で気持ちイイことすんの?」
「…………」
銀時は全てお見通し。だが食事をする部屋でこれ以上は……そもそも言い出したのは銀時である。
「部屋はまだあるじゃない」
「お、おい」
裸のままもう一杯水を飲み、銀時はぺたぺたと洋室へ足を進める。その途中で深紅の縄を拾い
上げたのを目にし、土方は慌てて追いかけた。
キングサイズのベッドの中央、掛け布団の上で胡坐をかいた銀時が土方を手招きする。苦々しい
表情で土方はそこへ上がるのだった。
「それでどうする気だ?」
碌なことにはならない予感はあるが尋ねずにはいられない。三十センチ程を先に出しくるくると
回しているそれは、出立時、沖田が用意した「リボン」である。
「折角だから縛ろうと思って」
何が折角なのだか少しも理解できないけれど、今日は銀時の誕生日。やりたいようにすればいいと
許可を与えるしかない。
「どうも」
「っ――」
ぎゅっと陰茎を握られて、何処を縛るつもりなのか思い知る。だからといって止めるつもりも
ないのだけれど。
「よし、完成!」
根元をぐるりと二周。残りは大きな蝶結びに。深紅の縄が勃ち上がったモノに巻き付けられた。
「きつくない?」
いけしゃあしゃあと聞いてくる男へ、きついに決まってんじゃねーかと言い放てば、至極楽しそうに
先端を指先で抉られる。
「くっ!」
「本当にきつい?気持ち良さそうだよ?」
「る、せっ……あっ!」
今度はちろちろと舌で刺激され、土方の抵抗は喘ぎに変えられた。
「もっと気持ち良くしてあげる」
豪華旅行のお礼だと土方を仰向けに寝かせ、銀時はその上に跨る。先程と同様に右手を前から
回して一物を握り、自分のナカへ迎え入れていった。
「はっ……あんっ!」
自ら一物を受け入れ、恍惚の表情をする銀時。この光景が堪らない。
「あ、あんっ!あぁんっ!」
己の上で跳ねながら先走りを飛ばす様も絶景……いやいやこれは銀時の誕生日祝い。自分だけが
楽しんでいてはいけない。
土方は下から腰を突き入れた。
「あああぁぁっっ!!」
その瞬間、銀時から精が放出し、土方の顔まで飛んだ。
「ハァ、ハァ……んっ!」
「くっ!」
これだけでは終われない。苦しげに歪む精液に塗れた土方の顔に笑みを浮かべ、銀時は入口を
収縮させた。
「んっ、んっ、んっ!」
「う、あっ……」
「気持ちイイ?」
瞳を潤ませ、自分の方が気持ちの良さそうな顔をして、そんな風に聞かれたら頷く以外にない。
それを確認すると銀時は口角を上げ、腰を浮かせる。
「あっ、あんっ!あんっ!」
「くぅっ!!」
過ぎた快楽に襲われつつも、銀時の艶姿を目に焼き付けようと土方は堪えていた。
「あ……ぎ、ん……」
ふいに、土方の両手がふらふらと上がる。何?――腰を止め、土方の手に指を絡めてそれぞれ
握れば、息も絶え絶えに笑顔を向けられた。
「たん、じょーび……おめで、とう……」
「うっ!!」
ふにゃふにゃと倒れ込んだ銀時。腹の間を流れる生温かいモノの感覚に、土方も何が起きたのかを
悟る。だが何故こんなタイミングで……?
「あ、の……」
「反則だコノヤロー!!」
「は?」
「解けばいいんだろ!」
「あ……」
半ばヤケクソに縄を解かれて、
「うあっ!!」
土方の意識はそこで途切れた。
* * * * *
「――じかた。おーい、十四郎ー」
「あ?」
目を覚ました時、土方は裸でベッドに寝ていた。あちこちに飛び散ったはずの精液は拭われ、
きちんと布団に包まって。
「夕メシ来たけど食える?」
「ああ」
新しい浴衣と下着を受け取り、ベッドの上でそれを身に付けていく。
「メシもすっげぇ豪華だぞ!」
「ああ」
「マヨネーズも一本付いてたけど、お前の特注?」
「ああ」
「もしかして明日の朝メシにも?」
「当然だ」
ベッドから下りて帯を締め、銀時を抱き寄せて唇を重ねた。
「とりあえずビールにしたけど、受付に電話すれば他の酒も持って来てくれるって」
「そうか。あ……」
大事なことを忘れていたと座椅子から立ち上がろうとすれば、
「煙草だろ?はい」
「いや……」
宿の灰皿に愛用のライターと煙草が出てきた。これはこれで必要なのだが今の用事はこれじゃない。
「ったく……マヨネーズが足りないのか?」
「そうじゃなくて、冷蔵庫開けてみろ」
「冷蔵庫?」
マヨネーズはないと思うぞと言いながら、銀時は冷蔵庫を開けた。
そこには花柄の包装紙に包まれた十五センチ四方の箱が一つ。
「……たっ誕生日プレゼント?」
「ああ」
細心の注意を払って食卓へ運び、包みを剥がす銀時の手は震えていた。
まさかそんなはずはない。この宿のデザートをラッピングしただけ。そうに違いない。
だが現れたのは銀時が密かにリクエストしてしまった、某コンビニチェーン限定のイチゴケーキ。
真ん中にはホワイトチョコレートでできたプレートに「HAPPY BIRTHDAY GINTOKI!」の文字が並ぶ。
夕飯の準備をしていた仲居は何も言ってなかった。到着前に入れておいてほしいと土方が頼んで
おいたのだろう。
銀時は俯いて両手で顔を覆った。
「何なのコレ?俺、死ぬの?今年が土方くんと過ごす最後の誕生日?」
「アホか。来年も再来年も祝ってやるからありがたく思え」
それはどうもと顔を上げ、気恥ずかしさを紛らわすためビールを呷る。
「けど今回サービスし過ぎじゃね?」
「次は質素にするさ」
「ハハッ……でもさっきのはあんまりだったぞ」
「さっき?」
訳も分からず土方は首を傾げた。
「あんなエロカッコよく『おめでとう』なんて言われたら、嬉しくて出ちゃうだろ」
そんなに早く終わらせたかったのかと口を尖らせ、ホールケーキのイチゴをつつく。
「そういうことか……」
勿論そんなつもりは土方に毛頭ない。だが本心から言っただけだと真実を述べてやる必要もない。
「フッ……」
「笑うことないだろォォォ!」
「すまんすまん」
これも勿論、銀時の勘違い。土方はただ嬉しくて笑っただけ。
恋人に喜んでもらえたのが嬉しくて笑っただけ。
「銀時」
「何でしょう?」
「誕生日おめでとう」
「あ、ありがとう」
次はどうして祝おうか……豪勢な夕食に下鼓を打ちつつも、土方の思いは来年を見据えていた。
(14.10.10)
土誕を書いた時に「続きを銀誕で」と予告したわけですが、例の如く何も考えていま せんでした^^;
二人にとっての最初の銀誕とは?と考えを巡らせた挙句、当サイトの最初の銀誕話と繋げることに決めました。
というわけで土方さんは局部を縛られる羽目になったというわけですw でも熟練さんですから縛られるのにも慣れてる感じですね。
ここまでお読み下さりありがとうございました!