※トッシー成仏前だと思ってお読み下さい。
「坂田氏、おじゃまするナリ」
「………はぁ?」
土方がウチに来ると言うので神楽を志村家に預けたその日、ウチに来たのはトッシーだった。
土方十四郎ファンサイト
「お前、何しに来たの?」
「相変わらずつれないでござるな〜。今日はここへ来ると約束したナリよ」
「いや、約束したのはオメーじゃねェから」
「坂田氏は本当に十四郎のことが好きでござるな」
「ばっ、違ェよ!ただ、アイツが来る時はいつも土産があるから、それを楽しみにしてただけだ!」
「お土産ならあるナリよ」
「えっ、マジで?」
「はい」
そういってトッシーはケーキ屋の箱を銀時に手渡した。
「…オメーが買ったのか?」
「違うでござる。十四郎が坂田氏のために用意したでござる」
「あっそ…。まあ、土産があんならいてもいいけどよ…」
放っておけばそのうち戻るだろうと思い、銀時はケーキを食べて恋人の出現を待つことにした。
銀時に構わず、トッシーは持ってきた袋の中からノートパソコンを取り出し、テーブルに広げた。
「何だ?まさかオメー仕事でもすんのか?」
「趣味のサイト巡りナリ。屯所だとゆっくり見たいものも見られないでござるよ」
「ふーん…」
トッシーの趣味なんてどうせ美少女アニメのサイトか何かだと思い、銀時はテレビをつけた。
* * * * *
「ふむふむ、なるほど〜。ほ〜、こんなことって本当にできるでござるか?」
ブツブツと独り言をつぶやくトッシーが気になり、銀時はちらっと画面を見てみた。
すると意外なことに女の子のイラストやフィギュアの写真などはなく、文字ばかりの画面であった。
「オメー、なに見てんだ?」
「あっ、坂田氏も読んでみるナリか?それなら是非とも感想を聞かせてほしいナリ〜」
「感想?もしかしてトモエ何とかの小説か?」
「そうじゃないナリ。こっち方面は坂田氏の方が詳しいかと思って…」
「あ?何なんだよ一体…」
銀時はトッシーの隣に移動し、画面の文字を追った。
「あっ…そんな、触んな!」
「…触んなきゃ元通りかどうか分かんねェだろ?つーか、気持ちいいのか?勃ってきてんぞ?」
「っるせェ!もっ、やめっ…」
「勃ってた方が見やすいからちょうどいいぜ?…触った感じ、異常はなさそうだな。よしっ、次は舐めてみるか
…」
「えっ?ちょっ…あぁっ!」
土方は袋の後ろに手を添えて、左右を交互に舐めていく。
銀時の一物は真上を向いていた。
「あっ、もうっ…やめっ、あぁっ!」
「前より感度上がってんじゃねェか?…一度取れたせいか?」
「んなワケ、あるかっ…あぁっ!」
「なんじゃあ、こりゃああああ!!テメーか!テメーが書いたのか!?」
銀時はトッシーの襟元を掴んでギリギリと締め上げる。
「ちちち違うナリ!拙者じゃないナリ!!」
「あぁ!?テメーじゃないなら一体誰がこんなモンを…」
「ここここれは十四郎のファンサイトでござるよ!」
「はぁ!?ファンサイト!?」
「そうでござる。…坂田氏、手を離してほしいナリ」
「お、おう…」
銀時はトッシーから手を離し、今度は別の画面を開いて文字を追う。
土方は銀時を連れて和式トイレの個室に入った。
「テメーだってもう勃ち始めてんだろ?だったら大人しくしやがれ」
「それはっ、テメーがあんなキスするから…」
「早く終わらせっから、声出すんじゃねーぞ」
「そういうこと言うんだったら…」
「安心しろ。ゆっくりはできねーが、ちゃんとヨくしてやっからよ…」
「いや、そういうことを言ってんじゃなくてよ…あっ!」
「だから…声出すんじゃねーって」
話しながら土方が服の上から銀時の膨らみかけたモノを撫でると、思わず高い声が上がる。
だが、それを咎める間も土方の手は止まらない。
「そ、いうなら…触る、なっ!」
「触んなきゃヨくなれねーだろ?ほら、下脱がすぞ」
「やっぱりテメーが書いたんだろーが!テメー、俺と土方のこと見てやがったな?」
「だから誤解ナリ!これを書いたのは女子でござるよ!」
「女ァ!?…まさか、あのストーカー忍者か?」
「違うでござる。恐らく坂田氏とは面識がない女子でござる」
「あぁ?じゃあ何だってこんな…」
「だからこれは十四郎のファンサイトだと言ったでござる」
「そういえばさっきそんなことを…」
「このサイトは真選組の、特に十四郎のファンの女子が作ったサイトナリよ」
「…じゃあその女が俺達のこと覗いてたって言うのかよ」
「これはただの想像で書かれた小説でござるよ」
「想像!?」
「もしかして坂田氏…ここに書かれているようなことをした覚えがあるナリか?キン○マとかトイレとか…」
「そそそそんなコトするわけねーだろ…」
急に慌て出した銀時をトッシーは疑いの眼差しで見つめる。
「そそそそれよりどういうことだよ!何で土方のファンなのに俺と土方の小説なんか書いてんだよ!」
「世の中にはそういう世界もあるナリよ」
「ワケ分かんねェよ!お前の言う通りだとすると、この小説を書いたのは女で、土方のファンなんだろ?
なんで自分の好きなヤツが他のヤツとヤってる話なんか書いてんだよ!」
「だからそういう世界もあるんでござるよ」
「わっかんねェ〜!…で、何でお前はそんなモンを真剣に読んでんだ?」
「真剣ってわけじゃ…ただ、拙者の友人のサイトだから見てみたんでござるよ」
「友人?じゃあ、この小説に出てくる『土方』ってお前なの?」
「これは十四郎のことナリよ〜。でもこの作者の日記ってところに…」
「あっ…」
○月×日
今日ブクロで偶然にも土方様に遭遇。
制服でも着物でもなく、袖のないGジャンに赤いハチマキという信じられない格好をしていた。
でもこれはこれで似合っているような気も…しないな^^;
せっかくなのでじっくり観察してみたかったけれど、私には先日行きそびれた土銀オンリーイベントの
新刊を買うという使命があったので、泣く泣くその場を後にした(笑)
それにしても何で土方様はあのような格好を…潜入捜査か何かかしら?
はっ…もしや、ドSという噂の恋人・銀時様の命令?羞恥プレイ中だったのかしら?ドキドキ…
「……なにこれ?○月×日って先月だよな?」
「拙者、ブクロには初めて行ったでござるが、周囲がやたらと騒がしいとは思ってたナリよ〜。
まさか十四郎がこんな風に人気があったとは知らなかったナリ〜」
「知らなかったナリ〜じゃねェよ!つーか何だこの日記!?
俺の命令で変な格好してるみたいに思われてんじゃねーか!羞恥プレイじゃねーよ!」
「空乱氏はそんなことを考えて拙者を見てたでござるか〜」
「…そらって誰だ?」
「このサイトの管理人でござる。この日記がきっかけでメル友になったでござる」
「何だそれ…つーか俺と土方がデキてるって知ってんだから、やっぱりコイツもストーカーだろ?」
「違うナリよ〜。その証拠に小説一覧のページを見てみるナリ」
トッシーは日記ページを閉じ、小説のタイトル一覧が載っているページを開いた。
「んー?つちぎん?ぎんど?何だこりゃ?そういやぁ、さっきの日記にもつちぎんオンリーとか何とか…」
「ひじぎんと読むでござるよ。で、こっちはぎんひじ」
「土って書いて『ひじ』ってことは土方の『ひじ』か?」
「そうでござる。で、銀は坂田氏のことでござるよ。つまりこれは坂田氏と十四郎の小説ってことナリ」
「それはさっき読んだから分かってる。で、これのどこがストーカーじゃない証拠なんだよ」
「銀土があるからでござる」
「…そういえば、銀土と土銀って何か違うのか?どっちも俺と土方ってことだろ?」
「先に名前がある方が攻めでござるよ」
「…えっ?それってつまり、銀土ってのは土方が受けってことかァ!?はぁ!?何でそんな…」
「だから想像で書いてるって言ってるナリ。この女子は坂田氏と十四郎の仲がいいということは知ってても
それ以上のことは知らないでござるよ」
「あの野郎がどうやったら受けに見えんだよ…。まあ、銀さんカッコイイから攻めに見えても仕方ねェけど。
それにしても女って怖ェな…。キャーキャー騒いで頭ん中じゃこんなこと考えてんのか…」
「一部の女子だけナリよ。世の中にはトモエちゃんみたいに純真無垢な女の子もきっと…」
「いや、それもねェ」
トッシーの発言をきっぱりと否定してから銀時は画面に向き直る。
「それにしてもすげェな…うわっ、こんなコトまで書いてやがる」
「…気に入ったでござるか?」
「誰が気に入るか!」
「気に入ったなら見てていいナリよ。拙者今から声優のライブに行って来るでござる」
「…勝手に行けよ」
「じゃあ行ってくるナリ〜」
トッシーは手を振って出て行った。
(10.03.10)
作中の「空乱氏」と管理人は無関係です(笑) 後編で漸く土方さんが戻ってきます。後編はちゃんとした(?)18禁です→★