後編
「アイツ、何しに来たんだ?」
一人になった銀時は食べかけだったケーキの皿を片手にパソコンを操作する。
「マジでこれ、想像で書いてんの?何か身に覚えが……ねェな。うん。俺はこんなにアンアン言わねェし、
土方カッコイイとか思ってねェし、突っ込まれねェと物足りないとか思ったことねェし…」
「いや、オメーは突っ込まれねェとダメな身体だろ」
「うおっ!」
銀時の後ろには先程出て行ったはずのトッシーの姿。
「何だよ。お前、ライブに行ったんじゃなかったのかよ…忘れ物か?」
「違ェ!漸く元に戻れたんだ!」
「あれっ?もしかして…土方?」
「おう」
姿かたちは先刻までと少しも変わらないが、話し方や瞳の強さから普段の土方に戻ったのだと分かる。
土方はハチマキを投げ捨て銀時の隣に腰を下ろした。
「…で、オメーは人のパソコンで何してやがる?ん?日記か?」
「違ェよ!誰がこんな恥ずかしい日記書くかよっ!」
「冗談だって…ファンの女が書いてる小説ってやつだろ?」
「えっ?知ってんの?」
「ああ。前に総悟が見せてきたんだ。…そん時のは俺がお前に突っ込まれてるやつだったけどな」
「銀土の方か…」
「で、オメーは随分と楽しそうに読んでたようだが…こんな風にヤられてェのか?」
「ばっかじゃねーの。違うから!俺はオメーに突っ込まれたいワケじゃねェから!
オメーがどうしてもっつーから仕方なくヤらせてやってるだけだから」
「ほー…じゃあ今日は突っ込ませてもらわなくていいぜ」
「えっ?なに…ウチに来てヤんねェの?今日、泊まりだろ?」
「ヤるにはヤるが最後まではしねェよ。たまにゃオメーの身体を労わってやらねェとな」
「あっそ…」
「まあ、オメーが突っ込んでほしいっつーなら突っ込んでやるけどよ」
「別にー。突っ込まなくてもヌければそれでいいしー」
「そうか…じゃあヤろうぜ」
「お、おう…」
二人は和室に移動した。
* * * * *
「んんっ…くぅっ!」
「どうした?イッていいんだぜ?」
「っるせ…はっ、わかって、る…くっ」
布団の上に仰向けになった銀時は、土方に一物を擦られて精を吐き出した。
一度達しただけでは、下半身の昂ぶりは治まらず現在二度目の吐精を促されているところである。
だが、どんなに擦られても達することができない。
二人ともその理由は分かっていた。刺激が足りないのだ。
「おら、どうしてほしいか言ってみろ」
「は、やく…イカせ、ろっ」
「…違ェだろ?どこにほしいんだ?」
「くっそ…」
身体の奥から沸き起こる欲を開放しない限り達せないことに銀時自身気付いていた。
けれどそれを土方に伝えるのは負けを認めるようでできない。
そんな銀時の性格を分かっていて敢えて土方は求めさせようとしているのだ。
「言ったら楽になれるぞ。…ほら」
「……くっ…」
「銀時…」
「っ!」
熱のこもった声で名前を呼ばれ、遂に銀時は陥落した。
「ほっしい…い、れてっ!…ああっ!!」
土方が指を銀時の内部に侵入させると、それを逃すまいとするかのように内部が締まった。
「ンなに締めんじゃねェよ。動かせねェだろーが」
「もっ、早く!これ、いれてっ」
銀時は腕を伸ばして土方のモノを握り、擦り始める。
「おい、落ち着けって!」
「もっムリ!早く!」
「ちゃんと入れてやるから待てって!」
我慢に我慢を重ねた銀時は、その反動で一気に理性を手放していた。
土方はナカの指を二本に増やす。
「まだっ…もっと!これで、おくまで…」
「分かったって!慣らさねェと辛いのはテメーだろ?」
「もっ、いいから…はやく!」
「…知らねェぞ」
埋めたばかりの指を引き抜き、銀時の脚を抱えると土方は自身をゆっくり挿入していく。
「あっ、あっ、あっ、あっ…」
「…嬉しそうな顔しやがって。そんなにコレが欲しかったのかよ」
「あっ…はやく、おく…」
「分かってる…ほらよっ」
「っあああ!!」
最後にズンと奥を突かれ、銀時のモノはあっけなく弾けた。
それでも焦らされた銀時は物足りないのか、自分で腰を揺らしている。
「はっ…エロいな…」
「あんっ、あっ、あっ…」
「ここだろ?オメーのいいところ…」
「ああっ!ああっ!ああっ!」
土方が律動を始めると銀時は悲鳴のような喘ぎ声を上げた。
* * * * *
「ひどいよ十四郎…」
「んー?」
銀時が目を覚ますと、隣には布団に突っ伏して泣く土方の姿。
「お前…トッシーか?」
「坂田氏ぃ〜、十四郎はひどいナリ!拙者が今日のライブをどれだけ楽しみにしていたか…」
「あー…土方がヤり疲れて寝たからオメーが出てきたのか。
…あれっ?今日、土方ってヤる時しか出てきてなくね?おいおい、ヤりに来たのかよ…」
「こうなったら友達に話して悲しみを癒してもらうしかないナリ!」
トッシーは起き上がって和室を出る。
銀時も慌てて後を追った。
「待てよ!友達に話すってこんな夜中に迷惑だろ…って、なんだそういうことか」
トッシーは泣きながらパソコンに向かっていた。
どうやら「友達に話す」とは「メールを送る」という意味だったようだ。
銀時は台所に向かい、二人分のお茶を淹れて持ってくる。
グスグスと鼻をすすりつつキーボードを打つトッシーの横に座って何となく画面を眺めた。その時…
「ぶふぅーっ!!」
銀時は口の中のお茶を全て吹き出した。
「何するんだい、坂田氏!パソコンにかかったら大変なことに…」
「それどころじゃねェよ!お前、なんつーモン書いてやがる!」
トッシーが友達に送ったメールは次の通りである。
* * * * *
空乱氏へ
いつも拙者の話を聞いてもらってありがとうでござる。
今日も十四郎はひどかったナリ。拙者が楽しみにしていた声優ライブに行かせてくれなかったばかりか
その間、自分は坂田氏とお楽しみだったでござる。
十四郎は坂田氏に対してもひどい男だったナリ。
坂田氏を自分なしでは満足できない身体にしておいて後ろを触ってあげず
坂田氏の口から「ほしい」と言わせたナリ。
それなのに十四郎は指を入れるだけで、坂田氏が十四郎のモノを擦りながら何度も「入れて」とお願いして
やっと入れてあげたでござるよ。
機会があったら空乱氏から十四郎へ、恋人と拙者に優しくするよう言ってほしいナリ。
十四郎もファンの意見だったら素直に聞くかもしれないナリ。
それでは今日も拙者の愚痴を聞いてくれてありがとうでござる。おやすみなさい。
追伸 坂田氏は空乱氏の小説、楽しそうに読んでいたでござるよ。
坂田氏が十四郎をいじめてる小説を書いたら、きっと喜んでくれると思うナリ。
* * * * *
その後、トッシーが銀時に殴られたのはいうまでもない。
(10.03.10)
真選組ファンの中にはBL好きな人もいるんじゃないかという妄想からできた話でした。トッシーは自分がネタ提供していることに気付いていません。
実際のところトッシーってどこまで土方さんの行動が見えているんでしょうね。いい感じのカラーボックス〜の時に、知らない間にアニメDVDが入っていたと言っていたので
基本的に相手が何をしているのか記憶にないみたいですが。…まあ、ここでは話の都合でトッシーは全部見えてることになってます(笑) ここまでお読み下さり、ありがとうございました
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