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ぎんとトシとマダオと晴太」の続きです。

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ぎんとトシと未知の体験


「あっ、トシー!こっちこっちー」
「………」

居酒屋のカウンター席に銀時の姿を見付け、土方は苦虫を噛み潰したような表情になる。
明日は仕事が休みなので、今夜から恋人である銀時と一緒に過ごす約束をした。
仕事が終わる時刻に合わせて居酒屋で待ち合わせをしたのだが、思った以上に仕事が長引き
銀時を待たせる結果になってしまった。

それなのになぜ待たされた銀時ではなく、待たせた土方が渋い顔をしているかというと
理由は銀時の脇に置かれた見覚えある紙袋にあった。
その紙袋は以前、銀時が万事屋の押入れから出してきたものに酷似している。
そしてその紙袋には所謂大人の玩具が大量に入っていたのだ。

「トシ、どうしたの?早く座んなよ」
「あ、ああ…」

入口付近で立ち尽くしている土方に銀時が声をかけ、土方は漸く隣の席に腰掛けた。
紙袋の中身が気になるものの確かめる勇気もなく、結局「違いますように」と祈ることしかできなかった。


*  *  *  *  *


「今日はこの部屋にしようか?」
「あ、ああ…」

居酒屋を出た二人は行きつけの(銀時の知り合いが経営する)ホテルに入る。
土方は銀時が持っている紙袋が気になって、酒を飲んだのに全く酔えなかった。



「で、今日はどれにする?…あっ、これ以外ね」
「………」

部屋に入ってすぐ銀時は土方をベッドに座らせ、紙袋を渡した。
残念ながら土方の予想通り、紙袋の中身は大人の玩具。しかも、前回使ったローションとコンドームは
除外されてしまった。後に残るは土方の許容範囲を超えたものばかりである。
黙って紙袋を睨み付ける土方とは逆に、銀時は隣に座って脚をパタパタさせて楽しそうだ。

「ねぇねぇ…どれがいい?いっぱいあって決められないなら俺が決めていい?」
「だっダメだ!」
「じゃあトシ決めてー」
「…どれも使わな「それはナシ!」

土方の一番の希望は即座に却下されてしまった。それでも土方は譲るわけにはいかない。

「この前と同じモンでいいだろ?…まだ残ってるんだし」
「でもさァ…せっかくだから新しいことに挑戦したいじゃん」
「俺はいつも通りがいい」
「俺はいつもと違ったトシも見てみたい」
「俺は…お前以外のモンが入るのは、何か嫌だ」

そこまで言うと土方は俯いてしまった。

「トシ…」
「どうしても…使わなきゃダメか?」
「うっ…」

俯き加減で上目遣いに見つめられて、銀時は心臓を鷲掴みされたような気分になる。

「分かったよー。もう…そんな可愛い顔されちゃダメって言えないだろ。ズルイなートシは」
「ぎん…」

何処が可愛いのかサッパリ分からないが、とにかく自分の主張を受け入れてくれたようなので安心した。
けれど、土方の安心は瞬く間に終わりを告げることとなる。

「トシがいいって言うまで玩具は入れないからさァ…」
「ぎ、ぎん?」

銀時は土方から紙袋を返してもらって、中を漁りだした。
用無しになったはずの紙袋から銀時が何かを探しているようで、土方は焦る。

「あっ、あった!」
「っ!?」

銀時が紙袋から取り出したのは真っ赤なロープ。土方の顔がヒクヒクと引き攣る。

「ぎ、ぎん…これは、一体…」
「入れちゃダメなら縛らせて」
「はぁ!?」

満面の笑みでロープを差し出す銀時を土方は信じられないといった表情で見つめる。
きっと、よく分かっていなくて言っているのだろうと一縷の望みを託して土方は問う。

「なんで、縛るんだ?」
「縛られたトシとセックスしたいから」
「…なんで?」
「俺がSだから」
「………はっ?」

土方は自分の耳を疑った。大人の玩具の存在でさえつい最近知った銀時の言葉とは到底思えなかった。

「ぎん…お前、Sって何なのか分かってんのか?」
「分かってるよー。好きなコを苛めたいって思うことだろ?」
「お前、それをどこで…」

どこで知った―そう聞こうとして土方は思い留まる。
SMの話しかしない銀時のストーカーの顔が思い浮かんだからだ。
きっと彼女に余計なことを吹き込まれてSだと思い込んでいるだけだと土方は思いたかった。

「…お前は、俺を苛めてェのか?」
「苛めたいっていうか…イヤイヤって泣きながら気持よくなっちゃうトシを見るのが楽しい」
「………」

土方は頭を鈍器で殴られたような衝撃を覚えた。
そして、その鈍器は二度三度と振り下ろされることになる。

「だから縛らせてね。…安心して。痛くしないから」
「あ…いや…」
「トシはMだけど、痛くされたいワケじゃないもんねっ」
「はあっ!?」
「大丈夫だよ。ちょっと動きにくくするだけだから。…はい、手ェ出してー」
「いや、ちょっ…」
「ほら早くー」

笑顔でロープを手にする銀時を前に、土方はじりじりと後退していく。
ベッドの縁に腰かけていたので、後ずさるとベッドの中央に進んでしまう。
自ら墓穴を掘っているようなものだが、土方にそれを気にしている余裕はなかった。
そして、銀時から逃げながらも絶対に否定しておかなくてはならないことがあるのだけは分った。

「俺はMじゃねェ!」
「そんなことないって。いつも辛そうなのに気持ちよさそうじゃん」
「それはっ…お前が、触るから…」
「じゃあ縛ってもいいよね。ちゃんと触ってあげるから」
「そういう意味じゃ…あっ、おい!」

いつの間にか土方に乗り上げていた銀時は、そのまま土方を押し倒し、
抵抗する土方を抑え込むようにぎゅっと抱きしめた。

「トシ…大好きだよ。だから…縛らせて」
「うぅっ…」

「好き」と「縛る」がどう繋がるのか土方には全く理解できない。
理解はできないが、好きな人に好きだと言われて突き放せるほど土方とて鬼ではない。

「……ちょっとだけ、だぞ」
「ありがとう!」


とても嬉しそうな銀時の顔を見られるなら、少し縛られるくらいいいかと思えてくる。
こうしていつも絆されては想像以上のハードプレイに発展していることに、土方はまだ気付いていなかった。


(10.04.10)


 学習能力がない土方さんと、学習能力がありすぎる銀さん…そして玩具プレイはまたもおあずけ^^;この後、無駄に長くエロが続きます