中編



「あっ、あぁっ…あんっ!」
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…

俺の脳内で、土方が俺に突っ込まれて喘ぐ。
男でもナカで感じることができると分かった俺は、その時からアイツに突っ込む妄想ばかりしていた。
流石に実際のアイツに突っ込むことはしねェが、指一本くらいなら…とか、ちょっと考えてる。

ヤバイことに俺は、土方以外をオカズにすることなんか考えられなくなってた。
自己処理の延長みたいな感じで始まったヌき合いだったのに、いつの間にか土方そのものが目的になってる。
土方がいるから興奮するし、土方が触るから気持ちイイし、土方だから触りたい感じさせたい乱れさせたい…。



*  *  *  *  *



「…オメーは精力剤か催淫剤でも飲んだのか?」
「いやぁ、銀さんもビックリなんだけどね?」
「何がビックリだ、何が。三日連続で誘っといて…」
「ははははっ…」

一昨日も昨日もヤったのに俺は今日も土方を宿に誘った。土方は相変わらずの呆れ顔だが、嫌とは言わずに来てくれる。
何だかそれが嬉しくて、今日は俺よりもコイツを気持ちよくさせてやろう!とか思ってる。

「おっ、おい…」
「いいから、いいから…」
「いいからって…」
「今日は俺が脱がせてやるって。…三日連続のお詫び」

お詫びと称して土方の服を脱がせる…。偶然を装って、首筋とか脇腹とか背中とか太腿とか…色々触った。
その度にアイツは反応して…。特に、乳首にちょっと触れただけでビクッてなったのは感動だった。
すげェ敏感なんだな…今までチ○コしか触ってなかったの勿体なかったぜ。

土方を全裸にしてから俺も全部脱ぎ、いつものように向かい合って座ってチ○コ同士を重ねる。
…もう、これだけで気持ちイイ。でも二人でもっと気持よくなりたくて唇も重ねた。


「んっ…」


ピチャピチャとわざと音を立てて口内を刺激してやると、すぐに互いのモノから先走りが漏れてくる。
…三日連続だってのに、まだまだ若いね俺たち。


「ふっ…んあっ!…んっ、んっ…」


土方の喘ぎ声が聞きたくて、敏感な所を刺激すると同時に唇を離した。
すると声を聞かれて恥ずかしかったのか、アイツは真っ赤になって自分から唇を合わせてきた。
あ…すげェ気持ちイイ…。

土方に竿を擦らせて、俺は両方の先端に指先を捻じ込んだ。


「…んあぁっ!!」
「くっ…!!」


頭の中が真っ白になるくらいの強い快感が一瞬で通り抜けて、俺と土方はほとんど同時に達した。

あー、スゴかったな…まだ土方も呆然としてる。鈴口ヤべェな…。
…そういやぁ、敏感な所同士をくっ付けるとイイんだから、先端同士もイイんじゃね?
そう思った俺は、土方から少し離れて先っぽと先っぽをくっ付けてみた。


「な、にを…」
「いやね…コッチも気持ちイイんじゃないかと…」
「コッチって…んんっ!!」
「あっ…やばっ…これも、イイな…」


相手のモノを握って扱いて、それと同時に先端同士を擦り合わせると今までにない快感が生まれた。

夢中で扱いて擦り合わせて…また頭の中が真っ白になるのを感じて達した。

強烈な快感が駆け巡って果てた俺たちはそのままゴロリと横になった。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」


…土方の乱れた呼吸を近くで聞いてると、一人の時に散々しているイケナイ妄想が脳裏に浮かんでくる。
どうしよう……めっちゃ突っ込みてェ!
…手は出したモノでぬるぬるだし、土方は達した余韻で力が入らないだろうし……ヤるなら今しかないって思えてきた。

「おい、待っ……っ!」

仰向けに寝ている土方の腰を抱え上げ、俺は中指を第二関節くらいまで挿入した。
…結構すんなり入るもんなんだな。まあ、座薬とかもあるくらいだから指一本くらいなら平気か…。

「っろずや…な、にして…」
「男でもナカに感じる所があんだって。…探させて?」
「えっ…ちょっ……ぅ、ぁ…」

土方の返事を待たずに、中指を前後に揺すったり軽く曲げてみたり回転させてみたりする。
今のところ、感じてるって貌じゃねェよな…。むしろ…戸惑ってる?
いきなりケツに指突っ込まれりゃそうなるか…。二回イッた後でボーッとしてる時じゃなかったら斬られてたかもな。

「まだ…やんの、か?」
「うん。もう少し…」
「……っ!?」
「えっ、もしかしてココ!?」
「ひあぁっ!!」

ある一点を指の腹で撫でた時、明らかに土方の反応が違った。
もう一度、今度は先程より強めに押してみたら、土方は悲鳴のような声を上げて身体を跳ねさせた。
…見付けた!すげェ!ナカの指をちょっと動かすだけで、土方が見たことないくらい喘いでる。


「やめっ…ああっ!…やあっ…あぁっ!!」


もっともっと乱れさせたくて、見付けたばかりの快楽点を何度も何度も刺激する。
気付いたら、土方の前が完全復活して先走りまで漏らしてた。
…マジで!?もしかして…このまま後ろの刺激だけでイケんの?


「ふぁっ!…ちょっ、もうっ…やあぁっ!!」


指を二本に増やすと更に土方が乱れる。
ゴクリ…俺はいつの間にか溜まっていた唾液を飲み込んだ。


「や、め…ひあぁっ!あ…ぁ…ああっ!もっ…やめっ、あぁっ!やめっ、やめっ……あああっ!!」



マジで後ろの刺激だけでイッた土方は、そのまま気絶するように眠っちまった。
俺は土方の寝顔をオカズに自己処理させてもらった後、土方の身体を拭いて着物を着せた。


*  *  *  *  *


翌朝目覚めると土方の姿はなく、枕元に宿代だけ置いてあった。
もう仕事か?つーか、俺だって宿代くらい持ってるってーの。…今度会ったら半分返そう。
何となく土方の金を使うのが勿体無い気がして、この日の宿代は俺の財布から全額払った。

土方が置いていった金は何故だか使う気になれなくて、帰ってから封筒に入れて大事にしまった。
そんで、土方に会ったらすぐ返せるように、別の封筒に宿代の半額を入れて持ち歩くようにした。


それから一週間、土方の仕事が忙しくなって会えなかった。
連日ニュースで真選組の活躍が報じられ、たまに映る土方を見逃さないよう俺はテレビに釘付けだった。

「銀ちゃん…そんなにニュース番組が好きだったアルか?」
「そっそりゃあ、社会人としてニュースをチェックするのは当然だろーが…」
「社会人って言えるほど真面目に働いてないじゃないですか。ほら、今映った真選組の人たちみたいに
たまには一所懸命働いてくださいよ」
「あのなー、銀さんだって真面目に働いてるだろ?今日だって…」
「半日で終わる仕事を一日かけてやるののどこが真面目なんですか…」

仕方ねェだろ?仕事場近くの電気屋のテレビで真選組のニュースがやってたんだからよ…。
…って俺、何でこんなに土方のこと気にしてんだ?
溜まっててそろそろヤりたいから?…うん、きっとそうだ。そういうことにしておこう!


*  *  *  *  *


更に数日経った日の昼、俺は一人で入った定食屋でカウンターに座る土方の姿を見つけた。
制服姿のところを見ると仕事中なんだろうな。俺は「よぉ、久しぶり」と言って土方の隣に座る。

「仕事、忙しそうだな。毎日のようにニュースで真選組のこと言ってんじゃん」
「まあな…。お前は、どうなんだ?」
「俺?俺はまあ、ぼちぼちってとこ。…あっ、そうだ。お前に会ったら返そうと思ってたんだコレ。
屯所に行っても良かったんだけどよー、他のヤツらに見られない方がいいと思って…。
いや〜、ちょうど一人でいる時に会えてよかった」

そう言って俺は懐から封筒を取り出して土方に渡した。封筒の中身は宿代の半額。
あれっ?なんか土方の様子がおかしくないか?封筒の中は見てたから金だっつーのは分かってるはず。
もしかして…何の金か分からねェのか?

「あっ、その金はこないだの…」
「一人じゃねェよ」
「…へっ?」

今、土方なんつった?一人じゃない…?えっ…どういうこと?
ワケが分からず固まっていると、土方の向こう側から「旦那ァ〜」という声が聞こえた。

「酷いですよ旦那ァ。俺、最初から副長の隣にいたのに…」
「じ、ジミー!?本当に最初っからいたの!?全っ然気付かなかった…。
あれだよ…漫画で言うとアシスタントが描いたみたいな?客その一みたいな?背景と同化してる感じ?」
「酷っ!!いくら地味だからってそれはないでしょう!?俺だってメインキャラの一人ですよ!
ちゃんと作者に描いてもらってますって!!」
「…本当はいなかったんだろ?地味さを利用して、後からこっそり土方の隣に座ったんだろ?」
「違いますよ!俺は報告と昼食を一緒にするために、副長とここへ来たんですから」
「えっ…マジ?」
「マジです。それより…そのお金、何なんですか?」

ジミーの視線が土方の手元の封筒に注がれる。…ヤバイ。何とかごまかさねェと俺たちの関係が…。
俺がどう言おうか迷ってる間に、土方が口を開く。

「何でもねェよ」
「何でもないって副長…」
「…どうしても金がねェっつーからメシ奢ってやったんだ」
「そっ、そーなんだよ。で、依頼が入ったんでそれを返そうとだな…」
「中身、ちょっと見えましたけど…食事代にしては多くないですか?」
「オメー神楽の食欲知らねェのか?アイツめっちゃ食うんだぜ?」
「ああ…万事屋の皆さんに奢ってあげたんですか」
「当たり前だ…コイツ一人がどうなろうと知らねェが、ガキが一緒だとな…」
「そういうことですか」
「じゃあ、そういうことで。お仕事頑張ってね〜」
「テメーも真面目に働けよ…」

長居してジミーに勘繰られるといけないと思い、俺はさっさと席を立つ。
…でもせっかく会えたんだからと、ジミーに見えないようスッと土方の尻を撫でてやった。
土方がジロリと俺を睨んだが気付かないフリして店を出た。



五分後。
俺たちは先程までいた定食屋近くの路地裏に来ていた。
…正確に言うと、俺が店を出て近くの路地に潜んでいたところ、土方も五分後にやって来た。

「来てくれると思ってたよ〜」

ひらひらと手を振る俺と苦虫を噛み潰したような貌の土方。

「テメー…仕事中だってのが分かんねェのか?」
「分かってるよー。制服着てんじゃん」
「だったら…」
「俺なんか無視して仕事に戻ればよかったのに…何で来てくれたの?」
「…っ!そ、それは…」
「へへ〜、銀さんにお尻触られて欲情しちゃった?」
「…欲情してんのはテメーだろ」
「まあね。暫くシてなかったから溜まってんのは確かだよ。…土方も溜まってる?」
「…それなりに」
「じゃあ発散させようぜ」
「チッ、しょうがねェな…。って…ここでヤんのか!?」

お許しが出たところで、抱き寄せてキスしようとしたら土方が暴れ出す。
それでも無理矢理に唇塞いで反応してる股間を押し付けたら、すぐに大人しくなった。

「んっ…。お、まえ…なんで…」
「何で勃ってるのかって?だから溜まってるって言っただろ?」
「ちょっ…んんっ!」
「土方のもすぐ勃った…」
「しっ仕方ねェ、だろ」
「仕事忙しいんだもんね〜。ヌく暇もないよね〜」
「ああ、そう…だっ」


そのまま俺たちは路地裏で互いのモノを取り出して一緒に扱いて達した。
あー…一回くらいじゃ全然足りねェよ。
もう一回しようとしたら土方に止められた。

「えー、もう一回…」
「これ以上はやべェ…仕事に戻んねェと」
「そっかぁ…」
「今日の、夜なら…」
「会えんの!?」
「ああ…。日付変わってからになるかもしれねェが…」
「別に構わねェよ。…じゃあ夜になっ!」
「ああ…」


何となく浮かれ気味に路地裏を出た俺は、夜に備えて昼寝をしておこうと万事屋へ帰った。
俺は気付かなかった。アシスタントが描いたような、通行人Aのような、背景と同化しているような
それくらい地味な男が、一部始終を見てたなんて…。

(09.12.26)


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