後編


待ちに待った夜が訪れた。…何で待ちに待ってんだ、俺?
きっと、すっげぇ溜まってんだな、うん!銀さん若いからさ!…そういうことにしといて。

「おい万事屋、さっきから何ぶつぶつ言ってやがるんだ?」
「あー、こっちの話。気にしないで」
「気にするなっつったって…気になるだろーが」
「えっ?銀さんのコト気になっちゃう?」
「そういう意味じゃねェよっ!一緒にいるヤツが一人でぶつぶつ言ってりゃ、誰だって気になるだろーが」
「あー、まあ、うん…でも気にしないで。…ヤろう?」
「ああ…」

ヤろうと言っておいて服も脱がず突っ立ったままの俺を訝しんだ土方が、俺の肩に手を置きポンポンと叩く。

「…おい、どうした?」
「へっ?ああ、ちょっと…。なあ…今日は俺が先に触らせてくんない?」
「はぁ?何で急に…。いつもは同時に…」
「そうなんだけどね?何か今日は触りたい気分なんだよ」
「何だよそれ」
「ちゃんと気持ちよくさせてやっから…はい、横になってー」
「チッ…分かったよ」

全裸の土方が俺の前で寝そべる…ホント、何でこれだけで興奮してんだ俺?
つーか、触りたいってナニ?溜まってんだから自分も発散させねェと!

頭とは裏腹に俺の身体は勝手に動いていく。
土方の上に乗っかって唇を合わせる。あー、なんか幸せなんですけど…。


「んー…んんっ」


唇を合わせたまま手を滑らせて土方の身体を撫でる。
土方って結構敏感だよな…俺の手が動くたびにピクピクと反応するのが楽しい。
いっぱい触られていっぱい感じてほしい…俺は身体中撫で回されて勃ち上がった土方のモノに手を伸ばした。


「んぁっ!…ふっ、ぁ…はっ…」


やっぱココは一番気持ちイイよな?声、全く抑えられてねェもん。まあ、声聞きたくて口離したんだけどね?
…あっ、違った。土方にはもっと乱れるポイントがあったんだった。

溢れてきた先走りを指に絡め、後孔をくるりとなぞると「ひっ」と短い悲鳴が聞こえた。
それを無視してずぶずぶと指を納め、この間探し当てたポイントを押す。


「はあっ!んんっ…あぁっ!!」


あー、すげェ…。軽く押しただけでこの反応…マジで良さそうだな。でも、もっともっとヨくなってほしい…。
俺はナカの指に力を込めた。


「ああっ!やっ…ああっ!…ひあぁっ!待っ…あぁっ!」


制止の声など聞かずに指を二本に増やし、更に刺激を強める。
土方のモノは今にも弾けそうだ。


「ひあっ…ああっ!やめっ…やあっ!!もぅ……っあああ!!……えっ?待っ…やめっ、ああっ!!」


ナカの刺激だけで土方が達しても、俺は指の動きを止めなかった。
限界を超えた快感に襲われているのか、土方は俺の腕を掴んで動きを止めようとするが全く力が入っていない。
ハァ…マジで我慢できねェ。もう、ダメだ…。

俺は自分の前を開けてビンビンになったモノを取り出し
土方の腰を抱え上げて
後ろに当てて
一気に奥まで挿入した。


「ひあああっ!!」


悲鳴を上げて全身を強張らせる土方。
いきなり全部入れるなんて、いくらなんでも無茶しすぎだと頭では思う一方、身体は歓喜にうち奮えていた。
何だコレ…すげェ狭くてキツいんだけど心地いいような…とにかく、感動!感激!
俺…土方と繋がっちゃったよ。

感動してる俺をよそに、土方は辛そうに顔を歪めている。


「よ、ろず……おま、え…」
「…ゴメン。あんま余裕ねェから動くなっ」
「ま、待て…ひああっ!やああっ!!」


俺が律動を始めると、土方は悲鳴と喘ぎが入り混じったような声を上げる。
土方が俺のチ○コ突っ込まれて乱れてる…幾度となくしてきた妄想が現実になった。
…想像以上だ。俺が動く度に喘ぐ土方…エロい。エロすぎる…。
土方の痴態に煽られてすぐに限界が近付いた俺は、土方と一緒にイクため土方の前に触れる。


「ふああっ!やっ…ああっ!!ああっ!!ああっ!!」


うわわわわ…何コレ何コレ何コレェェェ!!前触った途端ナカが締まった!
締まるっつーより、絡みつくっつーか、纏わりつくっつーか…何にしても気持ちヨすぎっ!!
こんなん、無理だって!もうっ、出る…!!


「…くぅっ!!」
「ああっ!ああっ!ああっ!……ひあああっ!!」


俺がイッた直後に土方もイッた。

もう、自分の気持ちには気付いていた。俺は、土方のことが…

「ずっと前から、好きだったんだと思う」
「……あ?」

まだ呼吸が整っていない土方がぼんやりと俺を見つめる。
うっ…ヤバい。俺のムスコが回復しそう…。とりあえず一旦抜いて、再度告白する。


「だから、気付いたのはついさっきだけど…多分、随分前から好きになってたんだと…」
「お前…それ、本気で言ってんのか?」
「あっ当たり前だろ!冗談で男に好きとか言うかよ!」
「………」

土方は何やら考え込むような表情を見せる。ていうか俺、土方に覆い被さったままなんだけど…。
いい加減この体勢疲れるな…。俺は身体を起こして、仰向けに寝ている土方の隣に座った。
土方は相変わらず難しい貌をしてる…。そうだよなぁー、セフレっぽい関係のヤツに好きだとか言われたら引くよなぁ。

あっ…顔、背けられた。俺のことなんか見たくねェってか?あれっ?何か震えてねぇ?
まさか泣い…てるワケねェよな。告白されて泣くっておかしいだろ。フラれて泣くなら分かるけどよ…。
あっ、あれっ?もしや、これは…

「ぷっ…だっ、だめだ…。ぷぷっ…もう、我慢できねェ!ははははっ!!」

土方は腹を抱えて笑いだした。えっ、なに?俺、真面目に告白したんですけど…。
俺がお前を好きになるって、そんなにおかしいか?ちょっ、傷付いたぞコノヤロー!

「おっおい、俺は真剣に…」
「わ、悪ィ…でも、ぷぷっ…有り得ねェだろ…くくっ」
「あっ有り得なくても何でも、俺はお前のことが!」
「ぷっ…違ェよ。有り得ないっつーのは『ついさっき気付いた』って…」
「それが、なんだよ…」
「お前、あんだけ態度に出てて…マジで自覚なかったのか?」
「えっ…もしかして土方…」
「お前が俺を好きなことくらい、とっくに気付いてたんだよ」
「う、そ…」
「嘘じゃねェよ。ったく…全然告白してこねェから変だとは思ってたが、まさか無自覚だったとはな」
「なっ何だよ!知ってたんなら教えてくれても良かっただろ!?」
「無自覚だなんて知らねェよ。知ってたとしても何て教えんだよ?『お前は俺のこと好きだぞ』とか言うのか?」
「うぅ…それはそう、だけど…。でっでも、俺の気持ち分かってたんなら何で最後まで?途中で止めてくれたって…」
「何でも何も…俺もテメーに惚れてるからに決まってんだろ?」
「…………はい?」
「いいこと教えてやろうか?」
「…………えっ?」
「最初にお前とココに来た日な、あの時俺は酔ってなかったんだぜ?」

妖艶な笑みを浮かべる土方を前にして、俺の思考回路はショートしていた。土方の言葉の意味が分からねェ…。
アイツ何て言った?アノトキオレハヨッテナカッタンダゼ…あの時オレハヨッテナカッタンダゼ…あの時俺は……

「酔ってなかったァァァ!?あの時って、アレだろ?最初にヌき合いした…酔ってなかったって、はぁ?
だってお前、あん時はお前から先に俺のチ○コ触って……えぇっ!?じゃあ、何であんなこと…」
「何でって…確認?」
「確認んんん!?何の!?」
「…男もイケるかどうかの確認?みたいな」
「な、何でそんなこと…」
「だからテメーに惚れてるって言っただろ?そんで、まあ…ふざけ半分でも触られて嫌じゃないなら見込みはあるなと…」
「じゃあ、お前から好きだっつってくれれば良かったんじゃ…」
「あん?こういうことは言わせることに意義があんだろ?」
「言わせるって…はぁっ!?じゃあ俺はお前の策略に乗せられて、まんまと落とされた挙句、告白したってのか!?」
「策略って…こういうことヤろうって言い出したのはお前じゃねェか」
「まままさかそれも計算か!?恐ろしいヤツだぜ…」
「だからテメーが勝手に…」

くっそー!何だよこれ!告白したらとっくに知ってたと笑われて、その上言わされたって…。

「じゃあもし、俺が今日告白しなかったらどうしたんだ?」
「ああ…付き合ってるフリをしてくれって言うつもりだったな」
「フリ?何で?」
「山崎が見てたんだよ」
「見てたって、何を?」
「何ってナニだよ。昼間の路地裏で…」
「マジでか?アレ見られてたの?」
「ああ。で、屯所戻った時にお前と付き合ってんのかって聞かれたから『そうだ』って答えといた」
「…で、嘘がバレねェように付き合ってるフリをしてくれって言うつもりだったと…」
「ああ」
「そんで、フリからだんだん本気にさせようとしたと…」
「まあ、そんな感じだな…」
「おのれ真選組の頭脳…」
「何だよそれ…」

悔しい…何とかして土方に一矢報いたい!でも、どうすれば…とりあえず情報収集だな。

「…ていうか、お前いつから俺のこと好きだったんだ?」
「あー…屋根で刀折られた時?」
「…屋根?…刀?………はぁぁぁっ!?そんな前からァァァ!?」
「ああ。だからテメーが多少足掻いたところで、長年にわたって綿密に立てた俺の計画に狂いは…」
「いーや、俺の方が前から土方のこと好きだった!!」
「テメー…ついさっき気付いたって言ってたじゃねェか」
「気付いたのはさっきでも、ずーっと前から好きだったの!」
「…前っていつからだ?」
「えーっと、あれだよあれ…オメーが俺の肩斬った時?」
「…じゃあ俺はその前にオメーが蹴り入れた時!」
「間違えた…オメーが俺に刀渡してきた時だ」
「そうか…俺は多串君なんつーふざけた呼び方をされた時だったな」
「実はあん時資材を落としたのは、オメーの気を引こうとして…」
「惚れた相手を危険な目に遭わせるヤツがいるかよ…」
「いや、俺ドSだからさ…」
「つーか、何れにせよ気付いたのはついさっきなんだろ?」
「ちっ違ェよ!ついさっきっつっても、俺のさっきは何年も前…」
「んな『さっき』があるかよ!テメーは何十年も生きてるジジィか?」
「あっホラ、俺白髪だし…」
「銀髪じゃなかったのか?」
「いや、だからさ…」



俺たちの言い合いは数時間に及んだ。


何はともあれ、互いに好き合ってるって分かったんだし…ハッピーエンドだよな?

(09.12.26)


誰が何と言おうとハッピーエンドです(笑)!この後ちゃんとお付き合いを始めます。えーとこの話はですね…無自覚なまま銀さんがガンガン攻めてるように見せかけて、実は土方さん誘い受けというのが書きたかったんです。

でもあまり、誘い受けっぽくならなかった^^; 土方さんはずっと前から銀さんのこと好きで、色々と策を練ってたら萌えるなって思っただけです。 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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