後編
約束通り万事屋に電話した土方は、銀時と映画館で待ち合わせをし、ペドロの最新作を見て
映画の感想を(主に土方が)熱く語りながら夕食を済ませ、二人で万事屋に帰ってきた。
「それにしてもよー…お前、よくあの女と会話できたな」
台所から二人分のお茶を持ってきた銀時は、ソファに座った土方の前に湯呑を一つ置くと自分もその隣に座った。
「女って始末屋か?まあ…あまり、まともな会話はできなかった気がするが…」
「だから言っただろ?アイツは俺らの常識が通用しないんだって」
「でも…少しは分かってくれたみたいだから、話したのは無駄じゃなかったと思う」
「マジで?つーか、どんな話したの?」
「そ、それはっ…秘密だ」
「えー、知りたいなぁ〜。『銀時は俺のものだ!』とか言ったの?ねぇねぇ!」
「そんなこと言ってねェ!」
「じゃあ何て言ったのさ?教えてよ〜」
「だっダメだ!」
「…じゃあ今度あの女に会ったら聞こうっと」
「えっ!」
「アイツと話すの疲れるから嫌なんだけどよ…土方が教えてくれないんじゃ仕方ねェじゃん。
まあアイツの脳内では全ての会話がSMプレイに変換されてる気がするけど、嘘は言わねェと思うし…」
「うぅ…」
今日のことを彼女に聞いたら、土方が自分をMだと認めたとか、ギャップルール適用に協力してくれたとか
都合のいいことだけ話すに決まってる。それどころか余計な脚色が付くかもしれない。
土方は観念して自分から話すことにした。
「分かった。俺が話す…」
「あっ、ホント?で、何て言ったの?」
「あの女が何をしようとあの女の自由だけど…俺は、銀時と別れるつもりはねェって…」
「土方…。ありがとう。すっげぇ嬉しいよ」
「………」
耳まで赤くなって俯く土方を銀時が優しく抱きよせる。
顔が見たくて顎を軽く引き上げると、恥ずかしさの余り土方はギュッと目を閉じてしまう。
銀時はそのまま土方の唇に自分の唇を重ねた。
「…んぅっ!」
唇が触れた瞬間、土方の身体が驚いたようにピクリと跳ねたが、すぐに口付けを受け入れる。
土方は自ら口を薄く開けて銀時の舌を誘い入れた。
「んっ…んっ…」
自分の口内で舌が絡み合うのを感じながら、土方は銀時の背に腕を回した。
「…んっ…ふぅっ…」
「はっ…ぁ…」
「土方が俺のこと大好きだって分かってすげェ嬉しい…今日は、いっぱい気持よくしてあげるからね」
「別に…いつも通りでいい…」
「遠慮しなくていいって」
「遠慮なんか…あっ!」
土方はソファに押し倒された。
「あっ…待っ、て…」
「今日は横になってるだけでいいからね」
「横にって…んっ、んっ」
唇から額、瞼、頬、そしてまた唇に―銀時は軽く啄ばむような口付けをしながら土方の帯を解いていく。
帯を解くと今度は首筋、鎖骨、胸、腹と徐々に口付ける場所を下ろしていった。
「んっ…は、ぁ…」
腹部まで到達すると一旦身体を離し、つま先から上に向かって口付けをする。
「はっ…んぅ…」
愛しむような優しいキスが何度も何度も繰り返され、土方は身体の奥から温かいものが湧いてくるのを感じていた。
「はぁ……んあっ!」
今まで触れてこなかった胸の突起に銀時の唇が触れた瞬間、全身に電気が流れたような衝撃を受けて土方は身体を仰け反らせた
。
「ひぁっ!はっ、はっ…あぁっ!」
チュッチュッと銀時の唇が突起に触れる度、土方の身体はピクピクと跳ねた。
銀時は土方の下着に手を伸ばす。
「はあっ!!」
「銀さんのキス…そんなに気持ち良かった?嬉しいな…もう下着パンパンだよ。汚れないうちに脱ごうねー」
「あっ、あっ、あっ…」
下着越しに軽く撫でられただけで土方のモノは張り詰めていく。
銀時が下着を脱がせると、ぷるんっと勢いよく土方のモノが飛び出した。
「こっちにもいーっぱいキスしてあげるからね」
「あっ、んんっ…くぅっ…」
一物の裏側を下から上に、竿を支えて先端に、再び下に戻って双珠にと、次々に銀時のキスが降ってくる。
土方はそれを心地よいと感じると同時に、焦れったさも感じていた。
先端からトロトロと露が零れるようになっても、銀時の「キス」は止まらない。
「ぎ、ん…もう、触っ、て…」
「もっといっぱいキスしたいんだけど…」
「お願っ…もうっ、だめ…」
「…もっと強い刺激がほしいの?」
「んっ」
瞳を潤ませて銀時に縋る土方に「分かったよ」と告げて土方のモノを咥え込んだ。
「はぁっ!!…んうっ…あぁっ!」
先端から溢れた露をじゅるじゅると啜りながら、銀時は頭を上下に動かして竿の部分も刺激する。
待ち焦がれた刺激に土方の身体は震え、あっという間に絶頂が近付いた。
「ああっ!はっ、はっ…んんっ、あぁっ!もっ、だめっ…イク!あっ、あっ……ああっ!!」
一気に昇りつめた土方はビクビクと腰を震わせながら銀時の口内に吐精した。
銀時はそれを飲み込みながら、尚も口淫を止めない。
「やっ…ぎん…もっ、あぁっ!だめっ…はあっ!」
「銀さんまだ余裕あるから、もう一回お口でしてあげる」
「ひぁっ!…あっ、あっ…くぅっ!」
いっぱい気持よくしてあげる―その言葉通り、土方は何度イッたか分からないくらいイカされた。
感じすぎて辛いはずなのに、身体は嬉々として銀時を受け入れている―そんな状況に土方は
「始末屋の言うように、俺はちょっと…ほんのちょっとだけどMなのかもしれない」と思っていた。
* * * * *
後日。
「あっ、始末屋…」
「あらエム方、また会ったわね」
「だから俺は土方だって…」
「そんなことよりアナタやるわね」
「…何のことだ?」
「この前の夜のことよ。銀さんにイカされまくってヘロヘロになってるのに『もっと…』って強請るなんて…
さすがはエム方。私が認めたMなだけあるわね。悔しいけれどアナタにはドMの称号を与えてあげる!」
「いらねェェェ!!つーか、お前、あの日は帰るって言ってなかったか!?」
「帰ったわよ…銀さんのウチにね」
「はぁ!?じゃあ、ずっと見て…?」
「当然じゃない!ああ…優しく攻めてるように見えてドSな銀さん、最高だったわ…。
そしてアナタのドMっぷりも、なかなかのものだったと認めざるを得ないわ!」
「いや…認めてくれなくていいです」
「でも私、負けないんだから!必ず銀さんと結ばれてみせる!覚悟しなさい、ドエム方!」
ほほほ…と高らかに笑って去っていく彼女の後姿を呆然と見送りながら
「アイツがMなんだったら、俺は絶対Mじゃないな…」と土方は強く思った。
(09.12.10)
土方さんとさっちゃんのやりとりは思いがけず楽しく書けました。この二人は結構気が合いそうだと思いました(好みが似てるので)。でも恋愛関係には発展しなさそうです(お互いMなので)。
エム方さんとさっちゃんの組み合わせがあまりに楽しくて、気付けば銀土の絡みが少ししかない…すみません。さっちゃんの呼び方ですが…銀さんを万事屋と呼ぶ土方さんなら「始末屋」に違いないと勝手に妄想。
さっちゃんが出てくる話はまた機会があれば書きたいと思います。 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
追記:続き書きました→★
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