何度も角度を変えて唇を合わせて湿らせて、吐息を漏らして舌を入れる。
触れた所も、触れられた所も全てが熱い。けれどやっぱり土方は土方で、壊れ物でも扱うかのようなソフトタッチは変わることがなく、生み出された熱が次第にもどかしい痒みへと変換されていく。
「んうっ!?」
ガンガンいこうぜと言う代わりに密着して口内を舌で暴れさせた。だがそれで感じたのか土方の手が俺の脇の下から肩へ、掴まるようにぶら下がるように力が込められる。
それは、幾度か肌を重ねる中でも初めての感覚だった。
土方の仕草に心臓がきゅうと縮こまる感覚。その先の、気の向くままに行動した己の姿を想像すると、全身を掻きむしりたくなってしまう何とも不可思議な感覚。散々、即物的な交わりを所望していた身とは思えぬような感覚。
すなわち、今この腕の中の存在を愛しみ、じっくりやんわり溶け合いたい――
「ひじかた……」
唇同士に僅かな隙間を作って名前を呼んで、俺とは違う真っ黒な髪を指で梳きつつキスをする。離れないよう細心の注意を払ってベッドへ沈めば、こそばゆい温かさに包まれた。
「んっ、ハァ……」
枕に手を付き顔を上げ、見下ろした土方の表情に胸が苦しくなる。これまでの劣情とは違った、だけど抱き締め口付け一つになりたい欲求。
嫌がられるだろうか。嫌だと言えず無理をさせてしまうだろうか。できれば快く受け入れてほしいのだけれども。
「あのっ」
「ん?」
喉が渇き声が上擦る。くそっ、カッコ悪ィ……気合い入れろ俺!
「ひ、土方くんはその……ケツをー……じゃなくて、あのね……」
直接的すぎる表現はダメだ。あれほど丁寧なセ〇クスをするコイツのこと、誘い方にも気を配らねぇと乗ってくれないに違いない。
「えっと……」
「何だ?」
「…………」
分っかんねェェェェェ!!どう言や土方が頷いてくれんのか、さっぱり分からねぇ。甘い台詞の一つでもと考えれば考えるほど、真逆のものが浮かんでくる。
いっそのこと、ストレートに欲望をぶつけてみてもいいかな?ストレートだって悪かねぇよな。ストレートヘアーなんて最強じゃねぇか。寧ろストレートの方がいいかな。よしっ!
瞼に力を入れて目と眉を近付け、平静よりも低めの声を作る。
「土方」
「お、おう」
ぽっと頬が染まり瞳が潤んだ……ような、そうでもないような。
いや、俺のキメ顔キメボイス作戦に失敗は有り得ん!
「お前のケツの穴に俺のチ〇コを入れて中出ししてもいいかい?」
「……は?」
「お前のケツの穴に……」
「くっ繰り返すな。聞こえたから」
まともな面構えをしたと思えばこれだと、やや呆れ気味のご様子。でも、
「いいぜ」
無事にお許しがいただけたので、善は急げとばかりに穴を解そうとした。
「ん……」
なのに土方へ覆い被さる俺の手は何故か黒髪を撫で、優しいキスを繰り返している。
何してんだ俺ェェェェェ!そっちはもういいだろ!早く下にいかねェと俺のバズーカが暴発しちまうじゃねーか!
「んっ、ん……」
すぐにでも突っ込みたいはずが唇の感触に囚われて先へ進めねェ。両手を擽る髪も離しがたい。
こんな温いことじゃムスコはちっとも納得しねぇのに、ビンビンのギンギンなのに、キスも止められる気がしない。
「んうっ!」
カチカチヌルヌルのチ〇コが土方のそれに掠る。このまま腰を擦り付けて一度出しまおうか……
いやダメだ!中出しする約束(?)したじゃねーか!土方もそれを望んでくれたことだし、ふにふにの唇なんぞに負けるわけにはいかねぇ!!
「ぶはっ!」
勢いつけて顔を上げ、ぽってり唾液に塗れた唇にうっかりまた吸い付きたくなったのも振り切って土方の足元へ。少し前まで土方に貸していたローションのボトルを手に取り、中身を絞り出した。
「お、お邪魔しまーす」
「っ……」
ぬめる中指で割れ目をなぞれば土方の体はびくりと強張る。突っ込まれるのも快く引き受けてくれたけど、実はビビってる?だがもしかしたら気持ち良くて反応しちまっただけの可能性もある。俺だって土方にちょこっと触られただけで全身びくびくだったし。
「うぅ……」
唸りとも喘ぎとも、声では判別がつかないものの、前が萎えていないのをいいことに中指を奥へと進めてみた。付け根まで入ったら半ばまで引き抜いて前立腺を探す。自分がされた時のことを思い出すとケツの中がじゅくじゅくしてきた。
「はぐっ!」
だけど、土方の明らかな喘ぎ声を聞いちまったら俺のことなんかどうでもよくなる。探り当てたばかりの快楽点を捏ねくり回した。
「あうぅぅぅっ……!」
すっげぇぇぇぇぇ!俺の指で土方が悶えてる!もっともっともっと乱れさせてぇ!!
入れる指を二本に増やし、より強い快楽を引きずり出す。ぱんぱんに膨れた土方のモノは、くぷくぷと透明な液を漏らし続けていた。
てらてら光るナニはマジで美味そう。何なら甘いようにも見える。パクっといっていいかな?
「うあぁっ!!」
口に含んだ途端、びゅくびゅくと精液が注ぎ込まれた。
甘くないけどとびきり美味いもんを飲み込みつつ中の指を動かすと、土方のモノは膨れ上がったまま新たな雫を溢れさせる。
「ハァッ……」
次から次へ漏れ出す体液を全部舐め取りたい。けれどよがる表情も見たくて泣く泣く尺をやめた。
「ああああっ……」
やめて良かったァァァァァ!
恍惚として震える土方は生唾もんで、こんな姿を独り占めできる俺は最高に幸せ者だ。
ああもう我慢できねぇ!!
「ふぐぅっ!!」
遂に、猛る一物を土方の中に挿入。ふおぉぉぉ……何だこれ!何だこれェ!入口はがっちり固められて奥はやんわり包み込まれるような、それでいて俺のモノにジャストフィットのような、とにもかくにも気持ちが良くて、天にも昇る気分!
「土方」
「よろず……」
土方の頬に右手を添えて、再び目指すはあの、ふにふにな唇。股間は結構ヤバイ。キスしたらイッちまいそうだけどまあいいか。
しかし、
「ぎ、んとき」
おずおずと吐息混じりに発せられた己の名。初めて呼ばれた!ていうか一度「万事屋」って言おうとして言い直したよね?恋人になったからか?お付き合いしたからには名前で呼ばなきゃってか?可愛いじゃねぇかァァァ!
「うっ!!」
あまりの可愛さにノックアウト。唇に到達する前に出ちまった。
気付かれないうちにと舌を絡ませてやれば、成長著しいムスコは瞬く間に回復を遂げた。
「うぐっ!あっ、ああっ!」
今度こそ正しい中出しをするのだと息巻いて腰を打ち付ける。体を痙攣させながら悲鳴めいた声を上げる土方の、先っぽからは俺の動きに合わせて雫が飛んだ。
「ひあぁぁぁっ……!」
出ていないのにイッたような激しい身悶え。これは多分、中で達している状態。俺に抱かれてケツでイク土方――感動のあまり鼻の奥がつんとした。
両手とも指を絡ませしっかり繋ぎ、土方の頭の横へ縫い付ける。
「ハァ、ハァ、土方っ……」
興奮しすぎかクラクラしてきた。土方の瞳はとっくに焦点が定まっていない。
「はぁん!ぎんっときィ!」
だからだろうか。躊躇いなく俺を呼べるのは。
う……こんな時に心臓がむず痒くなってきた。だが今更止められるかっ!
「とっ、とおしろー……」
「っ――うああっ!!」
「はうっ!!」
土方……いや、十四郎のモノが精液を撒き散らして弾け、それに釣られて俺も十四郎の中で果てた。
俺が十四郎を「十四郎」と呼んだ瞬間、元々赤かった十四郎の顔が更に赤くなったように見えて、十四郎と呼ばれたくらいで照れる十四郎が可愛くて、十四郎と呼ばれてイッちゃった十四郎がエロ可愛くて、これはもう、十四郎とチュウするしかないなと。十四郎に魅了された俺は、自分も名前を呼ばれてイッてしまったことなど棚に上げ、十四郎の唇に唇を押し当て、十四郎の舌を吸い、十四郎の口内を犯すのだった。

(15.07.06)


土方さんにきゅんきゅんして銀土に転じる銀さんの巻でした。呼べた途端に「十四郎」連呼する銀さんです。
次はまたひっくり返る予定です。更新まで少々お待ち下さいませ。

追記:続きはこちら(18禁ですが直接飛びます)