伍
「もう一回ヤれる?つーかヤろうぜ」
「底無しかテメーは……」 「あれ?この程度でへばった?」 「あ?」
寝煙草を吹かしつつ疲労感を前面に押し出す十四郎へ挑戦的な言葉を投げれば、やってやらァと容易く乗ってくる。こんなところも可愛く見えるなんて、俺はすっかりやられちまったらしい。よしよしと頭を撫でる手は馬鹿にするなと払われた。
ああやっぱり、こっちの方が性に合うな。ある種殺伐としたやりとりで全身の痒み緩和された。 「次は十四郎が中に出す番な」 「はいはい」 煙草を灰皿へ押し付けて体を起こした十四郎。足腰を中心に、そこそこ辛そうなのを気取られないようにしているのがバレバレで、何だかそわそわしてくる。「こんな健気な姿を他のヤツに見せたくねぇな」みたいな、「早いとこ合体しなきゃな」みたいな。 起き上がったばかりの十四郎を押し倒し、チ〇コにチ〇コを擦り付けて腰を揺らした。 「あっ……なん、で……」 「つ、ぎは……きじょー、いっ……」 実を言うと俺もそれなりに怠い。でも誘ったのは俺だし、また丁寧に優しくされても面倒だし、何より、中出されを経験するまでは終われねぇ!
間もなくガチガチになった十四郎の、根元を握って腰を浮かせる。何度かヤってきているが、生でヤるのは初めて――ケツの奥がきゅうきゅういってる気がした。 「あ……ハッ、あぁ……」 十四郎の形に広がっていく俺の穴。ほんの少し入っただけで全身が震えるくらい気持ち良い。最後まで入れば、 「んんんんんっ……!!」 中でイッちまうほど。 独りでに揺れる腰のせいで、とめどなく快感が湧いてくる。だがこんなんじゃ二人でイクことはできない。十四郎も感じるためにはもっと動かねぇと。 「あ、あ、あ、あ……」 ダメだ!イッたそばからまたイッて力が入らねぇ。俺ばかりヨくなっても意味がねぇのに。今回の目的は十四郎の精液なのに―― 「ひああぁっ!!」 ふいに下から突き上げられて俺はザ〇メンを飛び散らせた。 何が起きた?……って、犯人は決まりきっているけど。 「悪ィ、もう我慢できねぇ」 そう言って十四郎は両手でケツを掴みガンガン突いてくる。 一人じゃ怖くて開けられないような、絶頂の先のそのまた先の先の先くらいにある扉まで、恋人に身を委ねるだけでいとも簡単に開いちまうんだな。 「ああぁっ!!」 体を倒して十四郎にしがみつく。俺にできるのは、物凄い速さで更新され続ける自分史上最高の快楽に意識を失わないよう耐えることだけ。惚れた男が己の内で達する瞬間を絶対に覚えておきたい! 「またイ、クぅぅぅぅ!!」 互いの体に挟まれたチ〇コが弾ける。けれど十四郎は止まらない。きっともうすぐ…… 「と、しろー……」 「銀時っ」 ケツの中とチ〇コはもちろんのこと、頭の天辺から爪先まで、どこもかしこも蕩けるよう。 「ふあっ!十四郎……すき、すきぃ!!」 「うくっ!!」 「ハァッ……すき、すき、すき……」 激しい律動が止んだ隙、譫言のごとく愛の言葉を発しながら、肩に鎖骨に顎にと口付けを落とす。唇までもうちょっと――僅かに上へと進んだ拍子、ぬちゃりと繋がりが外れた音。 「あ……」 十四郎、イッてたのか。 「栓」がなくなったせいで、とろとろと逆流するのが分かる。漏らしてないのに漏れてくる、抜けているのに満ちている摩訶不思議な感覚。 そういえば、十四郎の中には俺の出したものが残ってるんだよな?つーことは、あんなふうに俺を溶かしちまうようなセ〇クスをしておきながら、ケツの中は俺に溶かされちまってたってこと?何それヤベェ羨ましい。 十四郎の顔の横に手をついて真上から視線を合わせた。 「もう一回!」 「はあ!?」 「次は俺が突っ込む番だから大丈夫」 「何も大丈夫じゃね……あっ、待て!」 「うっわ、ぬるぬる」 指を挿入してみれば案の定ザ〇メン塗れで、そんな十四郎をぐちゅぐちゅしていると俺の中からもたまにぬるっと出てきて、さっきまでの一物の質量が自然と思い出される。
この日、俺達は一睡もすることなくヤりまくった。
* * * * *
数日後。 「銀ちゃん、いいこと教えてあげるネ」 「あ?ああ……十四郎が明日休みだから今夜は帰らねぇぞ」 「えっ!」 いつも通り、神楽が十四郎情報を持ってきたようなので先回りしてやった。タイミングを計っていて伝えられなかったこともさりげなく織り交ぜれば、新八も眼鏡を……じゃなかった、目を丸くする。 「つーわけで、夜に備えて俺は寝る。依頼が入ったら二人で何とかしてくれ」 「どういうことですか銀さん!」 「この前の朝帰りもトッシーとしっぽりやってたアルか?」 「今日のところは寝かせてくれ。徹夜で激しい運動はきついんだよ……」 色々聞きたいことは分かる。だが今は寝なくちゃなんねぇんだ。 前回は最後にシャワーを浴びる時間も、歩いて帰る体力もなかったからな。デートのたびにぬめぬめの体で駕籠(タクシー)帰りじゃ格好がつかない。 というのに、恋に恋する年頃のヤツらは俺を解放してくれなかった。 「徹夜ァ!?いつからそんな関係なんですか!」 「そんなふしだらな子に育てた覚えはないアル!」 「るせーな。寝られねぇじゃねーか……」 敷きっぱなしの布団に横になり目を瞑るも、耳元で喚かれては眠れない。 「ちゃんと説明するまで外出禁止ネ!」 「土方十四郎くんと恋人同士になりました。以上!」 「以上って……」 「うぬぬぬぬ……」 漸く黙らせることに成功し、昼寝に本腰を入れる。 今夜は何回ヤれるかなァ……いやいや、数が多けりゃいいってもんでもねぇか。思い切り濃厚なのなら一発でも……いや、突っ込むのと突っ込まれるのと一回ずつはヤりてぇから最低二回は必要だな。 でも本当は、合体するより体中にキスしたいって言ったら引かれるかな? ンなわけねぇか。何せ俺達は真剣交際中だもんな。
甘い雰囲気になると感じていた心臓の痒みは、あの夜の後からすっかり心地の好い温かさに変わっていた。これが幸せってヤツなのかもしれねぇな。 なんてことをつらつら考えていたら、結局のところ碌に寝られずデートの時間になっちまった。それはそれでいいけど。
おっと、ここから先は十四郎と俺だけの秘密。じゃあな〜。
(15.07.11)
受ける→攻めも良さそう→攻める→受けも良かった→受ける……というエンドレスリバひゃっほーぅ!! 最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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