弐
「もう、入れていいから」 慈しむような愛撫にいたたまれなくなった俺は、手っ取り早く目的の完遂を願い出た。しとどに濡れた俺のモノ。筒状にした土方の手が撫で上げる。 「ふぅん!」 出すのを堪えるので精一杯。腰が浮くのは止められなかった。 モテなくて金もないから久しく触られていないだけだと思ってくれますように。ガキと一緒だから自分でシコる間もなくて溜まっているだけだと思ってくれますように。土方にされて興奮してると思ってくれませんように。 「あ、あ、あ……」
俺のカウパーでぬめる指が入口をくるくるとなぞる。まだ入ってすらいないのに、奥までじくじくと気持ちいい。それと同時に、入れられたら一体どうなってしまうのかと恐怖にも似た感覚が襲ってきた。 「待っはぅぅぅぅ!!」 一旦仕切り直そうとした直前、土方の中指が挿入された。殆ど違和感もなくするりと入ってきたのだけれど、今の俺には「入ってきた」という事実だけで充分。筆舌に尽くしがたい快感が……あれ?これ快感?違うよね?いくら何でも指一本入れた程度で気持ち良くなるわけねェよ。それに、こんな叫びたくなるような、爆発しそうな感じが快感なわけねェだろ。快感っつーのはいつでも歓迎できる、ずっと味わっていたくなるような…… 「悪ィ、痛かったか?」 「ほえ?」 俺の様子がおかしいのを痛みのせいだと解釈した土方は指を抜き、反対の手で頬に触れる。だからそういう優しさは心臓が痒くなるんだって!胸筋ぱかっと開いて掻きむしりてェェェェェ! 「別に痛かねェからヤれよ」 「でもよ……」 つーかケツの中がまたじんじんしてきた!これって欲しいから?やっぱりアレは快感で、指を入れて欲しいから? 「ちょっとビックリしただけ。その……テメーの手が冷たかったから」 「すまん」 もちろん嘘だが目の前の男はすまないと素直に謝ってきて、心臓の痒みが増す。そういえば大分前から出すのを我慢してたんだっけ。 もう色々と限界ギリギリだった。 「なあ、早く……」 「よ、万事屋?」 両膝を曲げて尻を浮かせ、下から伸ばした二つの手で穴を左右に広げて見せる。余計なことを考えるのは中止。とにかく中に刺激が欲しくて仕方がなかった。 戸惑いを纏いつつも土方の指が二本埋められていく。 「あ、んぐっ……!」 途端に迫り上がる排出欲。合体まではもたねェな。 握ったムスコは二十ン年の付き合いでも知らねェほどにギンギンのビンビンだった。 「こっちも欲しいならそう言え」 「うぎゃあ!!」 俺の手の下に土方の手が滑り込んできて、瞬く間にギンギンさんは暴発。我ながら色気のないイキ方したものだ。土方も若干呆れ気味。 「ぎゃあって……」 「うううるせーな!テメーはテメーの役目を果たしてりゃいいんだよ!」 「役目?ああ、こっちか」 「はうっ!」 中の指を動かされれば萎える暇もない。でもコイツと話してると全身がむず痒くなる。それよりは突っ込まれてヨがる方が幾らかマシってもんだ。 「ひぐっ!あっ!うくっ!」 二本の指がゆっくりと広がる。そんなことで俺の身体は震えが止まらねェ。これで野郎のムスコが入ったら…… 「あぁう!!」 ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!ちらっと想像しただけで、とんでもねェ感じになりやがった。つい先刻、ちょっぴりビビってたってのに。 碌に動かしてない時に俺が悶えるもんだから土方も怪しんでいる。 「お前、本当に大丈夫か?」 「なななな何が?大丈夫の意味が分かんないんですけど?」 「キツいならもう……」 「あ?まだまだイケるっつーの!」 だからその気遣いをやめろォォォォォ!!何なのコイツ?バファリンか?鬼の副長のくせに半分は優しさでできてんのか?テメーに必要なのは痒み止めだ。俺の心を痒くする甘ったれた態度を全て苦味に変えやがれ!! 「いつまでも慣らしてんじゃねェよ。もう入れられんだろ」 「いや。まだ指二本しか……」 「テメーの粗チンなんざそれで充ぶ……」 「…………」 腕を伸ばしてボクサーブリーフの中央を握る。勃ち上がったそこは予想外の質量で、俺は無言でベッドに沈んだ。無駄に立派なモン生やしやがってコノヤロー。 「一回抜け」 「お、おう」 土方の手から抜けてベッドを下り、ソファーに丸めていた俺の着物の袂を探る。備えあれば憂いなしだ。小分けボトルに入れたローションを投げて渡した。 「それ使えば三本だって入ると思うから」 「……何でンなもん持ってんだ?」 「いつ何時こういう事態になってもいいよーに」 「そういや銭湯にもテメーは……」 息を吐き額に手を当てる土方。銭湯?……ああ、屁怒絽さんと会った時のこと言ってんのか。 「あん時もローションのおかげで助かっただろ?」 「助かってねーよ」 「はいはい……」 土方は難しい顔をしてボトルを睨みつけている。もしや俺が誰でもほいほい誘って寝てると思ってる?まあいいか。その方がコイツも気負わずヤれんだろ。 「土方く〜ん」 「あ、ああ」 きゅぽっとキャップを開ける音。俺のローションを土方が使ってる。何だかウキウキしちまう。 「ふぐぅ!」 三本の指が纏めて押し込まれる。ローションの力をもってしても痛みは避けられなかったけれど、土方を受け入れるためだと思うと寧ろ興奮した。 「痛ェか?」 「いや……も、本番いけるんじゃね?」 痛かったのは最初だけ。気持ちが高ぶり続けてる俺はランナーズハイのごとく痛みが薄れ、更に太くて長いモノで突かれたくなっていた。 「本当に平気か?」 「へーき。もっと奥に……」 「…………」 土方ともっとガッツリ繋がりたい。もうすぐその時が訪れる――気持ち良過ぎて意識が飛びかけていた俺は、ローションの登場からずっと、土方の表情が強張っていることに気付けなかった。
そして遂に、 「ふおぉぉぉ……」 指が抜け、足を抱えられて土方のムスコさんが我が家へやって来る。ようこそ。汚くて狭い所だけど、まあゆっくりしてってよ。 「はうぅぅぅ……」 想像を絶する圧迫感。えっまだ奥に行くの?嘘だろ。どんだけ長いんだよコイツ。もう腹まで来てねェ?気のせい?ケツの中に納まってる?あ、尻の下に何だか柔らかいものが…… 「ひぐぅ!!」 土方の二つの玉が俺に触れている。深く合体できたのだと理解した時、内側から肉体を突き破る勢いで何かが破裂した。 「はあっ!!あぅぅぅぅ!!」 衝撃に痙攣する身体。それにより、刺さったままの土方のモノごとケツが締まり、新たな刺激に更なる破裂。 射精してはいない。にもかかわらずイッている。 イッているのに出ないから、もっとイキたくて堪らない。 「いいっ!!」 ずるりと抜けてまた奥を突かれて出さずにイク。土方のチ〇コがこんなに気持ち良いなんて。 「はぁん!チ〇コ、サイコー!!」 「チッ……」 喘ぎに遮断されて土方の舌打ちは俺の耳まで届かない。 どちらか一方でも動けば悶えるほどに感じ、感じれば益々意識が遠退いていった。
* * * * *
ジリリリリリリ…… 「んー……あと五分……」 「目覚ましじゃねーよ」 「!!」 ベルの音で辛うじて目を覚ました俺は次いで聞こえた低音で一気に覚醒。ベルはベルでも電話のベルだったようだ。ベッドから離れて土方が携帯電話と話している。ゴリラが檻から逃げ出したか? つーか俺、どのくらい寝てた?時計を見ればまだ日付は変わっていないものの、いつ行為が終わったのか分からない。それどころか、土方がイッたのかすら不明な状態。俺が途中で落ちちまってイケなかったとかじゃねェよな?俺の中でイケたんだよな? でもケツはスースーするだけでヌルヌルしねェし……き、きっと後始末してくれたんだ!なんたってバファリン並みの優しい男だからな。うん。それに決まり! 「身体は大丈夫か?」 電話を終えた土方が枕元に腰を下ろす。 「んーまあ、何とか」 「そうか。実は戻らなきゃなんなくなってよ」 「何か事件?大変だねお巡りさんは」 「ああ」 「俺ァ朝まで寝てくから、いってらっしゃーい」 土方に向かい「いってらっしゃい」なんて言える状況に、顔が勝手に笑顔になる。それを悟られぬよう、眠いふりして枕に突っ伏した。 「宿代、ここに置くぞ」 「ん?」 金の気配に頭を上げれば、万札が一枚差し出される。このホテルは前払い制。誘った手前、入る時に俺が払っておいたんだけど、黙って奢られるヤツじゃねーか。 だけど、 「ちょっと足りなくね?」 「そのくらいテメーで出せ」 「あーはいはい、そのパターンね。どーも」 ピッタリでも余分にでもなく少なめに金を寄越した土方の思惑は、未だ性交の余韻でふわふわしてる俺の脳味噌じゃ測りきれなかった。
間もなく、土方と過ごしたベッドで一人になった俺は、屑籠の中に使用済みのゴム(ザ〇メン入り)を発見する。孕まねェのに着けてくれたんだ。そんでもって、俺に突っ込んでイッたんだ―― この数時間の出来事を想起して、明け方までオ〇ニーに耽ることとなった。
(15.06.17)
好きな人と繋がれて満足している銀さん。土方さんは……まあ、私の書くものですから予想はできますよね^^; 続きはまた少々お待ち下さいませ。
追記:続きはこちら(18禁ですが直接飛びます)→★
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