銀さん教えて下着編
教え教わりながらも幸せな交際を続けて早三年。未経験だった十四郎も肌を重ねることにすっかり慣れ、落ち着いた大人の恋人同士へと成長を遂げて……いても良い時期なのに、未だ逢瀬の大半を宿で過ごすという熱々な関係であった。 今日も今日とて日も高い時分から、愛の宿へとやって来ている。
「縛ってもいい?」 紅い縄を手に鼻息荒く銀時が問えば、 「銀時のやりたいことでダメなもんなんてねェよ」 何とも頼もしい返答。それならばと気を良くした男はいそいそと風呂敷包みからある物を取り出した。 「じゃあこれ、着てくれる?」 「え……」 即座に了承できなかったのは、明らかに着たことのない形状の下着らしきものだったから。向こうが透ける藤色の布でできたそれはタンクトップに見えなくもないが、何処もかしこもフリルだらけ。同じ素材のパンツらしきものは、足を通す所以外にもう一つ大きな穴が開いていた。 セックスについて殆ど理解できたと手応えを感じていた十四郎であったが、久しぶりに首を傾げることとなる。 「それ、何だ?」 「ベビードールとOバック」 語尾を踊らせて教えてくれたが名前を聞いても分からなかった。 「女物じゃないのか?」 「Lサイズだから大丈夫!」 太鼓判を押されたところで疑問はそこじゃない。 「何で着る必要があるんだ?」 「たまには可愛い十四郎とエッチしたくて」 「可愛い……?」 物だけ見れば確かに「可愛い」と言えなくはないだろう。しかし己がそれを身に付けたとしても可愛くなりはしないというのが結論。期待に応えられず申し訳なく思えてきた。 「俺には似合わねぇよ」 「絶対に似合う!ちょっとだけ着てみて?」 「だが……」 銀時の美意識を否定するつもりはないけれど、やはりこれは自分が着るべきものではない。みっともない姿を恋人に晒したくはなかった。 そんな十四郎の逡巡を知ってか知らずか、銀時は次の作戦に打って出る。 「これ着るの恥ずかしい?」 「まあ……」 「ちょっとMな十四郎なら、恥ずかしいと気持ち良くなれるんじゃない?」 「あ……」 悪戯心を纏った笑顔に十四郎は、腹の奥から疼きが広がるのを感じた。事細かに閨での希望を言わされたり体の隅々まで見られたり、辱めを受ければ常より高揚してしまうのは分かっている。優しい銀時が稀に見せる意地悪な所にときめくのだということも。 分かった――小さく言って十四郎はランジェリーに手を伸ばした。
「こっちが前ね。で、足を通すのはココとココ」 共に入浴を終え、タオル一枚腰に巻いて、脱衣所でOバックの履き方を教える銀時。全部着たところを見たいからと実践は十四郎に任せ、一足先に寝室へ戻っていった。 恥じらいを残しつつも気持ちいいコトが大好き――実に理想の恋人だと銀時は思う。残念ながらMな十四郎が満足できる程のS気質は持ち合わせていなかった自分。抵抗力を奪い、泣いても責め立てるようなプレイは無理。銀時がしたくないことを十四郎は望まないものの、その気遣いに甘えてばかりもいかがなものかと思案していた。
そんな銀時に差した光明が羞恥プレイ。
肉体的に苦痛を与えるのは苦手だけれど、からかう程度の精神攻撃は嫌いじゃない。好きな子をイジメたくなる、付き合う前の状況を思い出して懐かしさすら感じるものだ。 「あの……」 淡い色のすけすけ下着を身につけて、十四郎は股間を両手で覆いながら出て来た。想像した通り全裸より淫靡な雰囲気を醸しており、銀時の下半身は臨戦体制。ベッドの前で立ち尽くす十四郎の両手首を掴み、隠さないでと開かせた。 「ちょっと小さかったかな?」 羞恥心を刺激されたゆえか今後の展開への期待か、十四郎のモノは勃ち上がり涙を零し始めている。元より股間の膨らみを覆う機能などない女性用下着、上からは深緋色の頭がひょこりと覗き、下からも双珠がはみ出していた。 「んっ!」 辛うじてフリルの裾に隠れていた頭を人差し指で弾かれれば、思わず腰が引ける。けれどそれ以上のことはせず、銀時の興味はベビードールへと移っていった。 「意外と丈が短ェな……」 ショーツのウエスト部分と細かく波打つ裾とが微かに重なる長さ。だから後ろへ回ると、ぽっかり開いたOの字が丸見え。 「十四郎のお尻、ヒクヒクしてる。入れてほしい?」 「ほしい」 そのためにこんな馬鹿みたいな格好で堪えているのだ。銀時も準備万端なのは分かっている。 「じゃあ縛るからね」 「ああ」 手首を一つにぐるぐると。次いで縄の端を天井の梁に渡し、括られた手は肘を軽く曲げられる位置で固定した。 「完成〜」 ベッドの縁に腰掛けて眺めた恋人の姿はまさに生唾もの。腕に釣られてベビードールの裾も上がり、刺激を欲する高ぶりの様がよく見える。 「早く、入れて」 可愛いおねだりに飛び付きたいのを我慢して、銀時は左右の胸のリボンを指した。 「これ何だか分かる?」 「ただの飾りじゃないのか?」 「違うよ。こうやって解くとね……」 「っ……」 左のリボンが解かれれば、縦にぱっくり裂け目が現れる。そこから指が侵入し、周囲よりも敏感な突起を摘まれた。 「脱がなくても乳首が弄れる優れものなんだ」 「あっ、あ……」 ピクピクと腰が震えだす。確かにそこも気持ちいいけれど、今ほしいのはそこじゃなかった。 「銀時お願い……入れてっ」 身動きの取れない十四郎は懇願するしかない。例え、銀時が己を困らせるために敢えて挿入を先送りにしているのだと分かっていても。 「お尻に入れてほしいの?」 「ああ」 「ここの隙間から乳首舐めんの、楽しみにしてたんだけどなァ」 「んんっ!」 左の裂け目に舌先を滑り込ませながら右胸のリボンも解いていく。 「ああっ!!」 一際大きく体を震わせ、ベビードールの内側に白濁液が飛んだ。 「乳首だけでイッちゃった?相変わらずエッチな体だね」 「銀時ィ……」 恥じらいつつも腰をくねらせ愛する人を誘う。前のみで達したせいで後ろの疼きが余計に増してしまった。最早、一刻の猶予も許されない切迫した事態。 「銀時のちんちんを早く入れて下さいっ」 「とっ……」 これまで幾度か言わされた経験のある卑猥な台詞を自ら吐いて、 「もう縄抜けしたい!」 続いたのは脅しにも似た最後通告。職業柄、拘束から抜け出る術は心得ている十四郎。プレイの一環として、また、M気質を自覚したからこそ大人しく縛られてくれている。 だから、意にそぐわない行為が続けば耐え兼ねて自由の身になるのは明白。更に言えば、そんな風に火の点いた十四郎は底無しかと思える程。気絶するまで絞られた苦い記憶が銀時の脳裏を過ぎった。 「いい今すぐ入れるから!ほら、ローションも持って来たよ!」 わたわたと腰のタオルを外して陰茎に潤滑剤を塗る。安堵と興奮の混じった熱視線はそれだけで射精してしまいそう。銀時は土方の左足を抱えた。 「パンツも履いたままか?」 「こんだけ開いてりゃ、問題ないだろ?」 「ああ……」 ぬめる先端で、広く開いた穴から割れ目を辿ると、待ってましたと言わんばかりの表情。狙いを定め、一気に突き上げた。 「うくっ!!」 「ハァッ」 妖艶な恋人の歓迎に抗えず、銀時は挿入の直後に果てる。即座にそれを感じとった十四郎は満足げな息を漏らすのだった。
(15.07.17)
有り難くも続きを見たいとのコメントをいただけて、お久しぶりの「教えてシリーズ」です。今回はセクシー下着のレッスン♪ といっても、なかなか銀さんの思い通りには進んでくれないようですがw 続きは少々お待ち下さいませ。
追記:続きはこちら(18禁ですが直接飛びます)→★ |