「万事屋……」
「ん?」

ある日、散歩の途中に俺は、怖い顔したV字ヘアーのお巡りに呼び止められた。

「何だ?依頼なら菓子折り持って事務所に来いや」

いつもの要領で喧嘩腰に返してやったが、突っかかって来る様子はない。何か変だ……。
まあ、コイツはいつも変なんだけどさ。

「依頼じゃねェ。けど、お前に話がある」
「話〜ィ?」

自然と眉間に皺が寄った。だってそうだろ?今までの経験上、コイツに関わると碌なことがない。

「話ねぇ……」
「時間は取らせねェ。すぐに終わる」
「ふぅ〜ん……何?」
「いやっ、ここでは……」

こんな往来で話せねェこと……ほらな、碌でもないことだ。でも、今更「聞かない」って選択肢は
与えてくれなそうだし……

「んじゃ、そこの喫茶店でいいか?……当然お前の奢りな」
「ああ」

意外にもあっさり奢りを承諾した土方に、一体どんな無茶を言われるんだと俺は警戒心を強めた。

*  *  *  *  *

「ご注文はお決まりですか〜?」
「俺はデラックスいちごパフェとー……あと、スペシャルチョコレートケーキ」

喫茶店に入った俺達は隅のテーブル席に座った。

「お前は?」
「……ホット」
「ホットケーキ?」
「ホットコーヒー!」

そんなに怒るなよ、ちょっとしたジョークじゃねェか……。店員のおねーさんも怖がっちゃって
可哀相に……。
俺は、おねーさんに笑顔で注文は以上だと告げて下がらせた。

「で、話って何?」
「……お前が好きだ」
「は?」

周りを確認し、やや声を潜めて、けれど真っ直ぐ俺を見て発せられた言葉は、俺の予想の遥か上
……いや、むしろ遥か下の内容で、すぐには理解できなかった。
なに?好きだ、つったのか?俺を?コイツが?

「万事屋、俺はお前のことが……」
「あー、聞こえてる。ちゃんと聞こえたからちょっと待て。今考えてるから……」
「お、う……」

土方を黙らせて俺は発言の真意を探る。
こんなに改まって「好きだ」なんて言ったんだから、これはそういう意味だろ?それは分かる。
ていうか土方ってそっち系だったのか……いや、違うな。

俺の脳裏に浮かんだのは、淡い色の髪をした美人薄命な彼女。

あっ、そうか……

「罰ゲームか何かだろ?沖田くんにハメられた?」
「あ?……違ェよ。俺の本心だ」
「そう、なんだ……」

じゃあやっぱりコイツはそっち系……つーか両刀?でもまぁ、俺はそういう趣味ねェし、
そもそも土方と仲良くするっつーこと自体想像できねェし、考えるまでもなくお断りだな。

「あのよー……」
「スペシャルチョコレートケーキのお客様……?」
「あっ、はい」
「ホットコーヒーでございます」
「ん……」

店員のおばちゃんがケーキとコーヒーを持って来たので話は一旦中断される。
……とりあえずケーキ食ってからでいいか。スペシャルって付いてるだけあって美味そ〜。

「万事屋、あの……」
「まあまあ、食い終わるまで待てって」
「あ、ああ……」
「うおっ、このケーキマジで美味ェよ!」
「……良かったな」

いや〜、良かった良かった。前から気にはなってたんだけど、高いからいつも迷った挙げ句
別のもん頼んじゃうんだよなぁ……。今日は土方の奢りだから遠慮なく……

「デラックスいちごパフェでございます」
「あっ、それもこっちね」

うっひょ〜!パフェも美味そうだぜ!今日はいい日だな。コイツも偶には役に立つじゃねェか……

「…………」
「どうした?」
「いや。パフェも美味そうだなって……」
「そうか……」

……うん。流石にそれはナイと思う。ちらっと、本当にちらっとだけど、コイツと付き合えば
好きなだけ甘味が食えるとか考えちまったけど、そんな理由で付き合うなんてダメだろ。
まあ別にコイツのことは嫌いじゃねェが、それでも恋愛感情はないしな……

「…………」
「どうした?」
「いや。本当に奢ってもらっていいのかなァと……」
「構わねェから食えよ」
「うん……」

確かにね、コイツと付き合えば甘味食い放題だし、たまになら新八と神楽にもご馳走して
もらえるかもしれないけど……う〜ん、そんな理由で付き合うのはなぁ……。
そりゃ、コイツのいい所は金だけじゃねェし、一緒にいたらそれなりに楽しいんじゃないかなと
思わなくもない。
ただ、キスとかエッチがしたいかっつーと「No」だ。土方とそういうことすんのは考えられねェ。

つまり、プラトニックなら付き合える?

流石にそれはナイだろうと思いつつも何処かでとりあえず聞いてみようとも思ってて……
結局、聞いてしまった。

「あのさ……プラトニックでもいい?」
「そっそれは、OKということなのか!?」

ガタガタとテーブルに両手をついて身を乗り出す土方は思いの外嬉しそうだ。

「その、俺はそっち系じゃねェけど、お前とこうやって過ごすのは嫌じゃねェし、でも、
それ以上のことは考えらんなくて……」
「それでも構わねェ!お前が、付き合ってくれるなら……」
「あ、そう?じゃあ……いいよ」
「ありがとう万事屋!」
「うん……」

こうして、俺は土方と恋人同士になった。


プラトニックを貫いて


「――というわけで土方と付き合うことになったから、ウチに来た時にはもてなすよーに」

ウチに帰った俺は新八と神楽に土方とのことを報告した。
予想通り驚かれたが、まあ、そのうち慣れるだろ……

「……本気で言ってるんですか?」
「当たり前だろー」
「お金目当てに付き合うなんて土方さんが可哀相ですよ」
「それならせめて、銀ちゃんの貧相なカラダを差し出すアル!」
「誰が貧相だコラ!つーかお前ら、俺の話聞いてたか?土方はプラトニックなお付き合いでいいって
言ったんだよ」
「好きな人のお願いを断れるわけないじゃないですか」
「キスもさせないでデート代だけ出させるなんて最低アル!」
「いや、だってさァ……」

何だよコイツら……俺、そんなに悪いことしたか?土方のことは嫌いじゃねェし、デートはちゃんと
するんだし、土方もそれでいいって言ってんのによー……

「ったく、たまにはお前らもメシ食いに連れてってやろうと思ったのに……」
「そこまで落ちぶれてないアル」
「僕も遠慮します」
「ンだよチキショー……」

新八と神楽に後ろ指差されながら、俺は土方と付き合っていくことになった。


*  *  *  *  *


「銀さん、これオススメだから見てみてよ」
「おっ、サンキュー長谷川さん」

いつものように長谷川さんから借りたAV。お誂え向きに今夜は神楽も志村家へ行ってて一人だ。
俺はAVをデッキにセットし、ソファに座りテーブルの上へ足を投げ出した。もちろん傍らに
ティッシュの箱をスタンバイだ。

OLものかァ……ちょっと結野アナに似てるな。こりゃ楽しみだぜ。
期待を込めて俺はズボンのチャックを下ろし、ムスコを取り出した。



「…………」

ストーリーが始まって三十分。そろそろ最初の山場を迎え、テレビの中ではOLさんが上司と
事務机の上でまぐわっているんだけど……俺のムスコは何の反応もない。結構いい感じだと
思うんだけどなァ……何で反応しねェんだ?今夜は久々のオ○ニータイムだってのによー……
久々過ぎて勃ち方忘れたか?久々つっても、ここ一ヶ月くらいなんだけどなぁ。

土方と付き合うようになって俺が一人で過ごす時間は減った。土方は少しでも時間ができれば
会いに来るから、俺も暇な時は土方に会いに行ってた。別にそれが面倒臭いとは思わなかったし、
会えばそれなりに楽しいと感じていた。ほんの一言二言話して終わるだけの時もあったけど、
それでも数日全く顔を見ないなんてことがあると何だか落ち着かなくて、とりあえず挨拶だけしに
屯所へ行くこともあった。

そういやぁアイツもAVとか見るのかね。なんか想像つかねェなぁ……けど男所帯だから意外と
慣れてたりして。部下とAVの貸し借りとかすんのか?どんなAV見るんだろ?今度聞いて……

……って、聞いちゃダメだろ。土方は俺のことが好きなんだから、俺でヌいてるかもしれない。
俺はそういうんじゃないから土方で欲情することはねェけど、土方はきっと銀さんの逞しい腕に
抱かれたい的なことを考えてるんじゃないかな……つーか、テレビ煩ェ。

見てても勃たないAVは消して、俺はムスコに直接刺激を与えることにした。右手で握って扱く。
ムスコは徐々に調子を取り戻してきた。

土方は俺のことを考えてヌいてるんだろうか……。それともオカズは別にあったりすんのかな?
デートしてても一切そういう雰囲気にならねェけど、ムラムラすることねェのかな?いや、ムラムラ
されても俺にはどうすることもできねェんだけどよ……。付き合ってるのにヤれねェって、なんか
虚しくならないのかね。
俺が言い出したこととはいえ気の毒な気もしてきた。

ヌく手伝いくらいならやってやろうか……

「ハァ……」

ムスコを擦り続けながら俺は考える。
こうやって、自分のをヌく感じで扱いてやるくらいならやってもいいよな。そん時は俺のを土方に
ヌいてもらえばいい。全く何もできないよりは、ちょっとでもこういうことできた方が恋人らしく
なるんじゃね?ついでに……チュウくらいならしてもいいかな。手コキだけじゃ商売みたいだもんな。

「ハァッ……」

いつの間にかムスコは完勃ちしていて、俺は扱くスピードを上げた。

土方のチ○コってどんなんだろ。あれで意外と小さいとか?被ってるとか?早いとか?
まあ、どんなに粗末なモノでも俺は笑ったりしねェから安心して自分を曝け出せよな。
……あっ、あんまり曝け出し過ぎて「抱いて!」ってなったら困るな。ほどほどにしとこう。

「うっ!!」

精液が出たので思考は一時中断。
AVはダメだったけど、溜まっていたからか結構早くイケたな……


この時の俺は、土方のことを考えながらヌいていたことに気付いていなかった。

(12.01.30)


タイトルは昔のアニメの主題歌から。続きは暫くお待ち下さい。ウチの話は全て最終的にラブラブになりますのでご安心を^^

追記:続きを書きました。18禁ですが直接飛びます