俺、ドSじゃなかったんだ……。拘束とか緊縛とか羞恥プレイとか言葉責めとか好きだから、
絶対ドSだと思ってたんだけどな……。
好きなコの泣き顔なんて見たくない。キツいことなんてさせたくない。優しく甘やかして
気持ちイイコト沢山したい!!

これが恋ってやつなのかもな。本当に好きなコにはドSスイッチもオフになっちまうんだよ。
俺もまだまだ分からないことだらけだ。
ソッチ系は俺が教える側だと思ってたけど、十四郎とお付き合いを続けていく中で色々なことが
分かったし。攻めより元気な受けもいるとか早漏でも悪くないとか……


十四郎がドMとか……


拘束と快楽責めが好きなドM……ハハッ……どうしようコレ。
俺がドSじゃないのに十四郎がドMって……俺じゃあ、十四郎を満足させられないってこと!?
ただでさえ、十四郎が溜め込んじゃうと体力的に厳しいから自己処理用の張り型買ったのに、
それでも十四郎の求めるセックスができなかったら俺は……
だけど、十四郎を苦しめるセックスなんてできない!ちょっと縛って動けなくするくらいなら
いいけど、痛くしたり泣くまで攻め立てたりするのは嫌だ!でも……

この前、不満そうだったな……。

どうしよう……。こんなことで十四郎と別れるなんて絶対に嫌だ!でもできない。
何かそういう系の薬でも使って勃ちっぱなしにしとけば……とも思ったが、問題はそこだけじゃ
ないしな……。例え勃っていたとしても、十四郎がキツそうな顔をすれば動きが鈍る。
けど十四郎にとってはそこからが一番イイ時でむしろ激しくしてほしいらしい……


あー、どうすればいいんだァァァァァ!!



銀さん教えてレッスン19



「いらっしゃい十四郎」
「お邪魔します」

性生活の課題に解決策が見出だせない銀時は、子ども達のいる我が家へ土方を招待した。
これで夜までは穏やかに過ごせるし、夜になってもホテルと異なり道具がないからSMプレイを
しない言い訳も立つ。
そんな思惑など知らぬ土方は、恋人の家族に失礼があってはいけないと手土産持参で訪れた。

「これ、水羊羹」
「わざわざありがと。急に呼んじゃってごめんね」
「いや……前にちゃんとできなかったからまた呼んでもらえて良かった」

以前土方が万事屋を訪れた時は、途中で具合が悪くなったことにして子ども達を志村家へ帰し、
二人で抱き合った。翌朝、仕切り直して四人で食事をしたものの、よく分からない間に
「誓いのキス」をすることになり、全てが銀時任せで本当に恋人として家族に認められたのか
気になっていた。だから今度こそはと意気込んで来たのだった。

「制服着てるのももしかして……」
「正装の方がいいと思ってな。……あ、袴の方がよかったか?」
「いやいや……そんな畏まらなくても大丈夫だよ」

懸命に自分と恋人でいようとしてくれる土方を前に、銀時は自分の悩みがいかに些末なことか
思い知らされる。土方はきっと、何があっても銀時を捨てるようなことはしないだろう。
自分の思いを素直に話して互いに満足するための方法を探ればいい……具体的な解決策はまだ
何も決まっていないけれど、銀時は清々しい気分で土方を居間へ通した。


それから万事屋三人に土方を加えた四人で夕食をとり、その後は神楽の発案でトランプ大会と
なった。

「トッシー、このカードがおすすめアル」
「そうか?じゃあ……」
「あっ、次はこれがいいと思いますよ」
「なら俺が……」
「銀ちゃんはダメネ!」
「ダメです!」

客である土方を勝たせようと奮闘する新八と神楽に、その気持ちを汲んで勝ち続ける土方と、
横槍を入れているように見せつつ常に最下位の銀時……何度やっても順位の変わらぬトランプ
ゲームを、四人は心行くまで楽しむのであった。



「それじゃあトッシー、またね」
「おやすみなさい、土方さん」
「ああ」

トランプ大会を終え、新八と神楽は志村家へ向かう。
自宅へ帰る新八はともかく、神楽も追い出す格好となることに土方の良心は痛んだが、
床の用意までしてもらって今更自分(と銀時)が外に出るわけにもいかない。
今度来る時は手土産に酢こんぶも加えようと心に決め、土方は二人を見送った。


*  *  *  *  *


「十四郎、俺さ……もっと優しいセックスをしたいんだ」

二人きりになり、銀時はいよいよ最近の悩みを打ち明けた。

「優しいセックス?」
「そう。ただ気持ちいいだけのセックスじゃなくて、愛情表現としてのセックス!」
「愛情表現……」

漸くセックスに慣れたと思っていた土方は新たな課題にむむむと考え込む。

「あっ、そんなに難しいもんじゃないから」
「銀時にとってはそうかもしれねェが俺は……」
「気負わずに軽〜い気持ちでね。肩の力を抜いてリラックスしてヤればいいよ」
「だが、愛情表現なんだろ?俺は真剣に銀時のことが好きだから……」
「俺だって勿論そうだよ」

銀時は土方を抱き寄せた。

「本気で好きだから……こうしてるだけで、十四郎の熱とか呼吸とかを感じるだけで、
幸せな気分になれるんだ」
「銀時……」
「この幸せを、二人で分かち合いたいんだ」
「…………」

土方の腕も銀時の背に回された。

「本当だ。すげェ幸せ……」
「十四郎……」

引き寄せられるように、二人の唇が重なった。


*  *  *  *  *


「んっ……」
「んっ……」


和室に移動した二人は一糸纏わぬ姿になって布団の上で抱き合いながら、口付けを繰り返していた。
いつものように性感を高める深い口付けではなく、唇同士を丁寧に触れ合わせる口付けを。


「ハァ、ん……」
「十四郎……」


口付けを交わしながら銀時が後頭部に添えていた手で土方の髪を撫でると、土方も同じように
銀時の髪を撫でる。


「十四郎の髪って、つるつるしてて気持ちいいよね」
「銀時の方がふわふわで気持ちいいぞ」
「そう?じゃあ、いっぱい触って」
「ああ」


再び唇を重ねながら、己にはない髪の手触りを楽しんでいく。


「ん、ハァ……」
「ふっ……」


髪から首筋を伝って背中へ、また背中を上って髪へ……互いの熱を、呼吸を、脈を感じるように
ゆっくり、ゆっくりと手の平を滑らせる。


「んっ……」


背中の中心を下から上へ辿ると土方の身体が僅かに震えた。


「ここ、いいの?」
「んっ」


頷いて土方は銀時の背中を同じように辿る。


「んっ……本当だ。気持ちいい……」


そこからは背中を中心に撫でていく。鍛え上げられた筋肉の付いた背中を上から下まで満遍なく
撫でていった。


「ハァッ……」
「十四郎、キツくない?」
「大丈夫」


安らぎを与えるような動きをしていても、裸で抱き合っていれば手で触れている箇所以外にも
色々と感触は伝わっていて、二人の一物は確りと勃ち上がっていた。
このままでは辛いのではないかと思った銀時であったが、土方は大丈夫だと言う。


「銀時は、キツくないか?」
「俺はもう暫くこの感じでも平気だけど……」
「銀時がいいなら、もう少しこのままで……」
「うん」


背中から下りていった手は大腿を撫でていたが、二人とも肝心な所には触れようとしない。
そうして暫くの間、二人は身体を撫で・撫でられる感触に浸っていた。

(12.05.15)


前々回も前回もあまりラブラブできなかったので、今回は頑張ってラブラブさせます!タイトルは「銀さん教えて」なのに、最近は銀さんの悩みが多いような?

モテモテでエロエロな恋人をもつと大変ですね(笑)。それから、これくらいで18禁にしてすみません。15禁にするか迷ったのですが、勃ってるのでギリギリ18禁です。

後編はちゃんとした(?)18禁にする予定です。暫くお待ち下さいませ。

追記:後編はこちら