後編
「ハァ、ハァ、んっ……」
「ん、ハァッ……」
横向きに抱き合って足を絡め、身体を密着させて口付けを交わす。掛け布団は途中で剥いだ。
激しい動きはなくとも、時間を掛けて互いの想いを確かめ合った二人は、体内が燃えているのでは
ないかと錯覚してしまうくらいに熱くなっていた。
「そろそろ、入れる準備しようか?」
二本のモノは先走りに塗れて腹筋をしとどに濡らしており、もう充分に触れ合いを堪能できたと
銀時が次に進むことを提案する。すると、土方は腕に力を込めてしがみついた。
「まだ、離れたくねぇ……」
「十四郎……」
銀時もまた土方を強く抱き締め、その唇にキスをする。
「離れないよ。繋がるんだから」
「けど……」
繋がれば今以上に銀時を感じることができる。
けれどその準備のために僅かでも身体を離さねばならないのが辛かった。
それは銀時も同じ気持ちで、
「十四郎、俺の上に乗る?」
「え?」
「回るから、ちゃんと掴まっててね」
「あの……」
銀時は土方の身体をしっかりと自分に引き寄せ、「よっ」と勢い付けて仰向けになった。
当然、土方は銀時の上にうつ伏せる体勢になる。
「これなら、ぎゅってしてなくても離れないでしょ?」
「……重くないか?」
「ピッタリくっついてて気持ちいいよ」
「銀時……」
上下になることで、抱き寄せるのとは違った密着感が生まれた。
「ちょっとだけ上に行ける?」
「んっ……」
臀部を撫でる手で銀時の意図を読み取った土方は、ずるずると銀時の身体の上を進んでいく。
「あ……」
銀時より頭半分上がったところで、指先が土方の入口に触れた。
「んんっ……」
銀時の指がゆっくりと内部へ埋められていく。
「ハァッ……銀時……」
「十四郎っ……」
柔らかな銀髪を抱え込みながら、土方は熱い息を吐く。耳元で吐息混じりに名前を呼ばれ、
銀時の欲は一気に高まった。
「早く、入りたい……」
「んっ……入れて」
抱き合ってキスをして撫でて……緩やかでたゆたうような触れ合いは、心と心も重なる心地がした。
それは非常に得難い貴重な体験であったけれど、一度身体の繋がりを意識してしまえば心も
そちらへ引っ張られる。
今は二人、一刻も早く繋がることだけを考えていた。
土方の中の指が二本に増やされる。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
「十四郎……いい?」
「う、ん……」
二本の指は土方の中を数回行き来して抜けた。
銀時は土方をもう少しだけ上へずらして、己の先端を土方の後孔に宛てた。
「そのまま下りてきて……ゆっくりでいいから」
「分かった。……んっ、ハァ……あ、ハッ……」
銀時の誘導に従い、土方は徐々に身体を下ろしていく。できるだけ離れないよう、上半身も
密着させたままで。
「ぎん、とき……」
「とーしろー……」
最後まで繋がり切ると、二人はまたしっかりと抱き合う。
「十四郎のナカ、今までで一番気持ちいいよ……」
「銀時のも、気持ちいいっ……」
挿入しただけで、結合部から次々に快感が湧き立つように感じる。
二人はぎゅうぎゅうと相手に抱き着いて、何もせずとも生じるその快感を享受していた。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
「ハァ、ハァ、ハァ……」
次第に土方の内部が蠕動を始める。それが合図のように、
「十四郎、動くよ」
「んっ……」
抜けないよう、細心の注意を払って銀時は膝を立てていく。土方も畳んだ足を銀時の体側に
つけて、身体が離れない程度に銀時へ預けていた体重を足へ移動させた。
土方の腰に手を添えて、始めは軽く揺するように、それからだんだんと動きを加速していく。
「あっ、あっ、あっ、あっ……!」
「ハァッ、くっ……!」
長く続いた穏やかな時から一転、明確な快楽は瞬く間に二人を支配する。
「ひうっ!!あっ、ぎっぎん、ときっ……!」
「と、しろー……もっ、イク……んむっ!」
両手で銀時の髪を撫で回しつつ、土方は唇を銀時のそれに押し当てた。
「んんんっ!!」
「んんーっ!!」
銀時は土方の中に、土方は二人の身体の間で吐精した。
* * * * *
「ハァ〜……」
一度の交わりで全てを出し切って、銀時は自分の上の土方の背を撫でながら満足げに息を吐いた。
「十四郎、大丈夫?」
「ん。……悪ィ、今どくから」
とは言ったものの身体を起こすのも億劫で、土方は半回転して銀時の上から下りた。
「あの……どうだった?」
自身はかなりの充足感と心地好い疲労感でいっぱいであるし、最中の土方はそれなりに感じて
いたようにも見えた。けれど、拘束プレイ好きには温いと感じられるのではと不安でもあった。
「…………」
「あ、あの……十四郎?」
土方は目を瞑り、すーすーと寝息を立てていた。
その様子に漸く肩の荷が下りた思いの銀時は、掛け布団を手繰り寄せ、土方の隣で目を閉じた。
付き合い始めたばかりの頃、早く一人前の恋人になりたくて土方は必死だった。
土方の成長を後押ししつつも、恋敵の多い銀時はそれを悟られまいと必死だった。
様々なことを学んだ土方は、覚えたての欲求を制御できず我を忘れて求めていた。
求められる喜びを感じながらも、想定外の欲求に銀時が苦慮することもあった。
そして今日、二人は交際開始以来初めて心身ともに満ち足りて眠りに就いた。
これにてレッスン修了……?
(12.05.19)
というわけで、当シリーズはここで一旦終了となります。「一旦」です。他のシリーズ物と同様、今後は忘れた頃にひょっこり現れる感じです^^;
2010年5月にシリーズ第一話をアップしましたので、連載期間はちょうど2年でした。途中、本家の土方さんが「銀さん」発言したり、ゲレンデで
前○腺ブレーキをかけたりしてテンションがおかしいことになったのもいい思い出です。
今後の二人は、基本まったりラブラブ、時に激しくラブラブで……つまりはいつでもラブラブです*^^* 一旦終了と言いましたが、現在が十九話で
ということは次が二十話なので、二十話記念をしてから本格的に一旦終了します(笑)。リバの純情シリーズでやったアレです。
それでは、これまで「銀さん」と「十四郎」にお付き合いいただきありがとうございました!またいつかお会いしましょう。
追記:二十話記念アップしました。→★