銀さん教えてレッスン14


「十四郎、今日は五〇五号室にしてみない?ちょっと高いんだけど……」
「銀時がいいならいいぞ。」

行き付けのラブホテルへとやって来た二人は、これまで利用したことのない部屋を選んだ。
漸くこの部屋に入れると胸躍らせている銀時に対して、土方はいつもと何が違うのか、
よく分かっていなかった。
銀時はいつものようにドアを開け、土方を先に入室させる。

「五〇五って牢屋の部屋だったのか……」

入口を開けるとその正面―部屋の奥―には鉄格子。

「さあ入って入って。……この部屋は靴のままみたいだから。」
「おう。」

履物のまま室内に入り、土方はぐるりと一周見回す。黒を基調としたその部屋は、中央にベッドが
置かれている。それは今まで利用した部屋と同じであったが、やはり目を引くのはその横の
鉄格子であろう。奥の壁から一メートルくらいの位置に上から下まで鉄格子がはまっていて、
脇に取り付けられた扉を閉めれば本物の牢屋のようになる。

「何でラブホテルに牢屋があるんだ?」
「それはね、イメージプレイと言って……まあ、ごっこ遊びみたいなもんだよ。」
「ごっこ遊び?」
「そう。たまには違う環境でエッチするのも面白いでしょ?」
「うーん……よく分かんねェ。」
「じゃあ、やってみようよ。」
「ああ。」

銀時は浮足立って土方の手を引き、牢屋スペースの中へ入った。

「それでね……悪いヤツが十四郎を捕まえて、エッチなコトしようとするって設定でどう?」
「……銀時が悪者役なのか?」
「そうだよ。」
「なんかヤダ。俺が悪者になる。」
「悪役の方が難しいから、今日は俺にやらせて。」
「そういうことなら……」

思い通りに事を運べたと銀時の口元は自然に緩んでいく。

「それで?俺はどうすればいいんだ?」
「捕まってる設定だから軽く拘束させてね。」

銀時は一度牢屋から出て棚にあった手錠を持って戻って来た。

「へぇ……手錠もあんのか。本格的だな。」
「でしょ?……はいっ、十四郎は悪い銀さんに捕まってしまいました〜。」

土方の両手を前にして、その手首にカチャリと手錠をはめる。

「なあ……俺は銀時から逃げればいいのか?」
「まあそうだね……えっ?」

上から吊るせそうだと銀時の視線が外れた瞬間、土方は一直線に牢屋の出口へ向かった。
そして、鉄格子の隙間から手を出し、外側からノブを回して扉を開け、外へ出る。

「脱出成功だ!」
「いやあの……ていうか、手錠は?」
「外した。」
「え!?ちょっ、ホテルの備品だから壊しちゃダメだよ!」
「ちゃんとカギで開けた。銀時がカギをその辺に転がしてたから悪いんだぞ。」
「ああ、そうね……」

本気で拘束から逃れるなんて予想だにしていなかった……。この部屋に入った時の浮かれ気分が
徐々に萎んできた銀時であったが、けれどこのくらいで待望のSMプレイへの第一歩を
止められるかと自分自身を奮い立たせた。

「こ、今度は逃げられないようにするからね。」
「分かった分かった。」

今度も負けないと不敵な笑みを湛えて牢屋スペースの中へ戻る土方は、イメージプレイについて
全く理解できていない。何としても体で教えてやるんだと意気込み、銀時は縄を手にした。

「手錠はやめたのか?」
「まあね……」

銀時は苦々しい顔付きで土方の両手首に縄を巻いていく。

「なあ銀時……それだと簡単に抜けられるぞ。」
「へっ?」
「貸してみろ。」
「あ、あの……」

土方は自分の手首に巻き付いている縄を外して銀時の手を取った。そして、慣れた手付きで
銀時の両手を拘束していく。

「こうすると抜けにくいんだ。」
「へ、へぇ〜……」

ガッチリ固定された自分の手首を見て、銀時は顔を引き攣らせた。

「このまま銀時が捕まる役でいいんじゃねェか?」
「だっだめ!俺が十四郎を捕まえるの!」
「はいはい……」

聞き分けのない子に対するような口ぶりで土方は銀時の縄を解いてやった。

「はい、十四郎、手ェ出して。」
「あのな銀時、後ろ手に縛った方が逃げにくいぞ。」
「そ、そうだね……。でっでも、後で上に吊るすから大丈夫!」
「上?」

天井を見上げると、そこにはフックが下がっていた。
その間に銀時は先程身を以って体験したやり方で土方の手首を縛り上げる。

「……そろそろ逃げていいか?」
「ダメ!『始め』って言ってから。」
「はいはい……」

完璧に駄々っ子扱いだ。絶対にエロい感じのお仕置きをしてやる!そう闘志を燃やして銀時は、
土方の両腕を完全に伸びきった所で固定した。


「はいっ、それじゃあスタート〜……ぐはっ!」
「ぎ、銀時!?」

プレイ開始宣言直後に土方の蹴りが鳩尾に炸裂し、銀時はその場で蹲った。
土方は慌てて縄を解き、銀時に駆け寄る。

「大丈夫か!?」
「う〜……」
「お前ほどの男が油断し過ぎだぞ。手が使えなければ足で攻撃するのは当然じゃねェか。」
「そ、そう、だね。ハハッ……ていうか、手、解けるんだ……」
「縛り方がちょっと緩かったからな。」
「そう、か……は、ハハハ……」

イメージプレイはまだ早かった。そもそも本職相手に牢屋拘束プレイは無理があった。
土方に支えられて牢屋スペースからベッドへ向かう間、銀時はそんなことを考えていた。

(だが俺は諦めんよ!いつの日か十四郎とどぎついSMプレイをするんだァァァァ!!)
「銀時、大丈夫か?」
「だ、大丈夫だよ〜。それじゃあセックスしようか。」
「ああ。」

楽しみは後に取っておいた方がいいと自分を慰め、今日は普通に身体を重ねようと決めた。

「そうだ。今日は別の体位に挑戦してみない?」
「たいい?」
「セックスする時の体勢のこと。色々あるんだよ。」
「へぇ……どんなのがあるんだ?」
「まずはバックかな……。服脱いで四つん這いになってみて。」
「おう。」

土方が服を脱いでいくのに合わせて銀時も服を脱ぎ、二人揃って一糸纏わぬ姿になった。
それから土方は両膝と両手を付いて、ベッドの上で四つん這いになり、銀時の方を振り返る。

「これで、いいのか?」
「オッケ〜。」
「なんか、恥ずかしいな……」
「そう?でもこの方がココは楽なんだよ。」
「あっ……」

唾液で濡れた指が後孔に触れ、土方の身体がピクンと震える。銀時はその指の腹で入口の皺を
くるくるとなぞった。


「んっ、ハァ……」


一度目を閉じて感じ入り、土方は首を正面に戻す。


「指、入れるよ〜。」
「あっ、ん……」


ローションに塗れて入って来た指は、一直線に快楽点を目指す。


「はぁん!あっ、あぁっ!」


銀時の指先が前立腺に触れた瞬間、土方の首が撓り、艶やかな黒髪が揺れる。


「あっ、あん!あんっ!」
「指、二本にしていい?」
「いいっ!あっ、あぁっ!」


二本の指が埋まる頃には、一度も触れていないにもかかわらず土方のモノは硬く勃ち上がり
先端から雫が滲み始めていた。


「あっあっ!あぁんっ!」


ナカの指を締め付けながら喘ぐ土方の痴態に銀時の喉が鳴った。二本の指を根元まで挿入し、
奥で指を開きナカを広げる。


「ハ、ァ、銀時……んんっ!」


銀時は指を挿入したまま土方の一物を扱き始める。


「あぁんっ!銀時ぃ!」
「イッていーよー。」
「んんんっ!」


土方から放出された白濁液がシーツを濡らす。けれど一物は銀時の手の中で硬度を保ち続けていた。

「すごいね。十四郎のちんちん、イッたのにまだ硬い……」
「あ、銀時……入れて。」
「……入ってるでしょ。」

今すぐにでも猛る一物をぶち込んでしまいたいが、その衝動を堪え、銀時はナカの指を軽く
揺すった。折角この部屋に来たのだ。拘束プレイは無理だったがちょっとした言葉責めくらい
したっていいじゃないか……。銀時が勝手にソフトSMプレイに思いを馳せていたところ、
土方は違うと言って首を振る。

「じゃあ何を入れて欲しいの〜?」
「銀時のちんちん。」
「ブハッ!」

銀時は土方から手を離し、自らの股間を押さえて蹲って悶える。

(出てない?出てないよねェ!?ちょっ、マジでこれヤベーよ。十四郎が『ちんちん』って……)
「銀時。」
「へぁ?」

一人悶えていた銀時はふいに呼び掛けられてマヌケな声を上げてしまう。
土方は四つん這いの体勢を崩し、銀時の方を向いて座った。

「な、何?」
「聞いてなかったのかよ。お前が聞いたから答えたのに……」
「ごめんね〜。もう一回言ってくれる?」

むくれる土方の肩を抱き寄せ、銀時は続ける。

「十四郎、何を入れて欲しい?」
「銀時のちんちん。……もう、恥ずかしいんだから何度も言わせんなっ。」
「えへへ〜、ごめん。」

恥ずかしがるから何度も言わせたいんだという思いは胸に秘めたまま、銀時は土方の頬に軽く
口付けをする。このまま抱きたい気持ちもある反面、もっと焦らしたくなるのはこの部屋の
雰囲気に中てられたからなのか、元々の素質なのか……

「でもさァ……俺としてはまず、十四郎のお口で気持ち良くなりたいなァ。」
「フェラチオしてほしいのか?」
「そう。」
「分かった。」

土方は銀時の腕から抜けて、銀時の股間に顔を埋める。


「ハァッ……」


咥えられた瞬間の発射だけは何とか耐え、一物を味わう土方を堪能する。


「後ろ、疼いてきたら自分で触ってごらん。」
「んっ……」


銀時に促されるまま、土方は自分の孔に指を突っ込んだ。


「んっ、んっ、んむ……」


喉の奥まで銀時のモノを咥え込み、自ら秘所を弄る土方を前に銀時は我慢できるはずもなかった。


「くぅっ!!」


銀時は土方の口内に精液を吐き出した。


「んむっ、んぐっ……」


土方は先端だけを口に含み、鈴口をチロチロと舐めながら出てくるモノを啜っていき、
銀時の一物が回復したところで口を離した。
その表情は恍惚としていて、どちらが達した方か分からない。

「ちょっとイッちゃった?」
「あっ!」

土方の先端からは薄い白濁液が漏れ出ていた。そこを指先で撫でながら銀時が問う。

「銀さんの精液飲んで、感じちゃったの?」
「って、久々だからっ……」
「そういえば最近シてなかったからね。もう一回する?」
「あ……」

切なげに眉を寄せてこちらを見る土方にくすりと笑みを零し、銀時はもう一度四つん這いになるよう
指示を出す。

「そんな顔しなくてもちゃんと覚えてるよ。十四郎はちんちん入れて欲しいんでしょ?」
「うん。」
「じゃあいくよ。」
「あ、あっ……あぁっ……」


待ち焦がれた熱い感触に土方は目を閉じて感じ入る。全てを納めきると銀時はすぐに律動を
開始した。土方の尻を両手で掴み、パンパンと音を立てて最奥を穿つ。


「あ、あんっ!あぁっ!」
「ど?この体位……」
「あっ……奥まで、くるっ!」
「そうだねっ!」
「ああっ!」


奥まで激しく突かれ、土方は背を仰け反らせて喘ぐ。


「気持ちいい?」
「いいっ!いいっ!あっ、あぁ……!」
「じゃあもっとヨくしてあげる。」
「ああぁぁ……っ!」


銀時は土方の一物を扱きながら腰を動かした。


「ああっ!ぎ、とき……イクっ!」
「ハッ……俺も。一緒にイこ。」
「んっ、んっ、あっ、あっ、あっ……」
「ハァッ……十四郎っ!」
「銀時っ!イクッ!あっ、あっ、んんっ……あぁっ!!」
「んんっ!!」


再びシーツの上へ土方の精が吐き出され、銀時は土方のナカで達した。


(11.09.06)


教えてシリーズ今回は体位のお勉強です。そして、このシリーズの第一話で出て来た牢屋部屋の伏線回収の回でもあります。…こんなんで回収しちゃってすみません^^;

元々、拘束プレイまでしようとは考えていなかったのですが、一話から読み返していたら牢屋部屋の記述を見付けたもので、何かしなきゃなと…。牢屋やら手錠やらを見て、

十四郎は副長モードになってしまいました。前話(レッスン13)で青姦を諦めた銀さんに励ましのコメントをいただきまして、SMプレイは諦めずに頑張ってもらうことにしました。

今回のラブホレッスンはまだまだ続きます。(←終了フラグ:笑) 続きは明日(9/7)にアップできると思いますので、少しだけお待ちください。

まずは、ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

追記:続きはこちら