「話がある」と散歩の途中で呼び止められ、テキトーにその辺の路地に入って「なに?」と聞けば、
お前が好きだと告白された。

チンピラ警察の副長さんに。


惚れられた弱み


「えっと……何かの罰ゲーム?どっかで沖田くんでも見てんの?」
「違ェ!俺は、本気でテメーのことが……」
「好きなの?」
「ああ。」
「銀さん女の子じゃないけど?」
「知ってる。」
「…土方くんってホモだったの?」
「人を好きになるのに、性別は関係ねェ。」
「ふうん……」

そういうもんだろうか?少なくとも俺は男相手に恋愛感情を抱いたことはない。
だが俺の前にいるコイツは関係ないって言うくらいだから、どっちもアリなんだろうな。
けど……

「俺は女の子の方が好きだから。」
「そうか。時間を取らせて悪かったな。」
「あ、いや、そんな…どうせ暇だし。」

コイツに謝られたのは初めてかもしれねェ。ていうか、コイツが謝る必要なくね?むしろ俺がごめんなさい
しなきゃいけなかったんじゃね?そうは思うが今更重ねてお断りするのもアレだから、表通りへ
向かう土方を黙って見送ることにした。

「万事屋。」

振り返らずに行くと思われた土方が徐に振り返った。土方の後ろ姿を見詰めて……いや、ただ何となく
そっちの方を眺めていた俺は、振り返られた瞬間土方と目が合い、気まずくなって目を逸らした。
土方は特に気にする様子はなく、話し始める。

「今夜、空いてるか?」
「あ、うん。」
「飲みにでも行かねェか?」
「別にいいけど。」
「じゃあ、七時に一丁目の居酒屋でな。」
「おう。」

今度こそ土方は路地から出て表通りを歩いて行った。
今夜は土方と居酒屋か……アイツとサシで飲むのは初めてだな。



あれっ?これはもしかしてデートなんじゃ…。俺はただダチと飲みに行く感覚で気軽にOKしちまったけど、
自分のこと好きだっつった相手と二人で会うのはデートだよな、やっぱ……土方に望みがあるとか
思わせちゃったかな?そんなつもりじゃないんだけどなァ……あー、男同士ってメンドクセェ!


*  *  *  *  *


「あ、あのさァ…今日の目的は単なる飲食であって、別にそれ以上の意味があるわけではなく……」

居酒屋に着いて俺は注文もそこそこに、向かいの席の土方へ今日の来店目的を説明する。
下手な希望を与えてしまえば、また告白されて断わらなくてはいけなくなる。流石にそれは互いにとって
いい影響を及ぼさないだろう。日常生活においても仕事においても俺達の行動範囲には重なる部分が
多い。顔を合わさずに暮らすことは困難な間柄であるから、なるべく穏便に済ませておきたいというのが
正直なところだ。そんな俺の思惑を感じ取ったようで、土方はふっと口元を緩ませて言う。

「昼間のこたァもうケリが付いてる。これくらいで妙な勘違いなんざしねェから安心しろ。」
「あ、そう?」
「……ダチがいねェんだよ。」
「へっ?」
「真選組以外で、こうして飲みに行くような知り合いがいねェんだ。」
「そう、なんだ。」

何となくそんな気がしてたけど、とりあえず初めて聞いた風を装っておいた。

「今日は一人で飲む気分じゃねェから、その場にいたテメーを誘ったまでだ。」
「そっか。」

そもそも「一人で飲む気分」じゃなくさせたのは俺のような気もしたが、土方がいいならいいのだろうと
俺は深く考えるのをやめ、他のヤツと飲む時と同じように振舞った。


他のヤツと同じ……それがいけなかった。


いつものペースで飲んだ俺は、居酒屋を出る頃にはいつものように千鳥足になっていた。
土方と肩を組み(というか支えられながら)繁華街を闊歩する。

「ぃよ〜っし!もう一軒行くぞー!」
「テメーふらふらじゃねーか。今日はもう帰れよ。」
「そんなツレないこと言うなよ土方く〜ん。次はオネーさんのいる店行くか?」
「行かねェよ。」
「クールだねぇ。そういう所がモテる秘訣か?」

冷静になって考えればこんなこと、フッた相手に言う台詞ではない。けれどこの時の俺は、

「……お前、相当酔ってんな。」
「ぜ〜んぜん酔ってませんー。」

酔っ払いの常套句を言っちまうくらいに酔っていて、全くもって冷静ではなかった。
ほんの少しでも冷静さが残っていれば、あんなことにはならなかったはずだ。

「いいよな〜、お前はサラツヤモテヘヤーでよ〜。…俺なんか天パだからさァ……」
「………」

もう相手にするだけ無駄だと思ったのか、土方は無言で俺を引き摺りながら歩いていった。

「なあ聞いてる?ひ・じ・か・た・くん。」
「っ!」

土方の耳元に息がかかる程近くへ唇を寄せて名前を呼べば、土方の体が大袈裟なくらいビクッと揺れた。
惚れてるヤツ(俺のことだ)にそんなことされりゃ、当然の反応なんだろうけど、その時の俺はとにかく
酔っていたせいでそんなことにも気付けず、ただビクッとなったのが面白くて土方の耳にフーフー息を
吹きかけて遊んでいた。

「やめっ…!」
「土方くん耳が弱いんだ〜。か〜わい〜。」
「万事屋っ!」
「そんな怒んないでよ〜。銀さんモテないから人肌に飢えてんのー。」
「だったらその辺の玄人に頼めばいいだろ。」
「そんな金ないも〜ん。しかもウチ、子どもがいるからAVも満足に見れねェしよー……何とかしてよ。
ねぇ、土方くんってば〜……」

……うん。どう考えてもヤバイ会話をしてたな。でも、酔うと話がソッチ方向にいくのもいつも通り
だったんだ。こんな風にいつもモテない男の悲哀を嘆いては、お気に入りのAV女優の話なんかに
花を咲かせ、道行くお姉さま方を一方的に品定めしつつ家路に着くというのがいつものパターンだった。
男同士で飲めば大抵こんなもんだろ。

だがしかし、今回は一緒に飲んだ男が俺に惚れてるってことで(別に自慢じゃないからね?)いつもと
ちょっと違った反応が返ってきたんだ。

「……溜まってんのか?」
「まあねー。」
「ヌいてやろうか?」
「マジで?土方くん、優しいねー。」

いつの間にか俺達はネオンの光も届かない路地にいた。多分だけど、人前で過剰なスキンシップをしたり
エロい話をしたりする俺に耐えられなくなった土方が、人通りの少ない所に避難してたんだと思う。
でもそのせいで土方もちょっと大胆になってこんなことを言ったんだろう。
何度も言うが俺はかなり酔っている。酔っているせいで会話のおかしさに気付けず、タダで吐き出させて
もらえるなんてラッキーとすら思っていた。

「じゃあ、お願いしまーっす。」

壁に寄りかかり、ズボンのチャックを下ろしてバズーカを……いや、これからバズーカになる予定の
柔らかいモンを取り出す。土方は俺の足元に蹲り、目の前のモノをそっと握って扱き始めた。

酔って勃たなきゃまだシャレで済まされたのに(えっ、もう無理?)俺のムスコさんは久しぶりの
他人の感触に、はしたないくらい大はしゃぎであっという間にバズーカへと変貌を遂げた。
それはもう、涙流して大喜びだったよ。……涙っつーか、別のモン垂れ流しなんだけどさ。

土方の手が動く度にチュクチュク音が鳴って余計に興奮する。


「あー…めっちゃ気持ちいい……土方くん、上手だねぇ。」


いい子いい子と言いながら土方の頭を撫でる。
土方の髪は羨ましいくらいにサラサラで、その手触りも楽しくて撫で続けていると、丁度いい位置に
頭があるなと思えてくる。何に丁度いいかって?それは……


「ねえ…しゃぶってくんない?」


土方は無言でちらりと俺を見上げて、それから俺のムスコへと視線を戻した。
薄めの唇が大きく開き、中の赤い舌がチロリとエロチックに覗き見え、ムスコの頭がその舌に包まれて
暗く湿った口内へ……


「うっ!!」


入った瞬間、バカムスコは砲弾の発射スイッチを押しやがった。

でもこれでバカムスコも静かになるだろうと安心していたら、ヤツはとんでもない力を秘めていたんだ。
ヤツは、俺の体を乗っ取ったんだ!!

誰だ?今、そっちが銀さんの本体だとか言ったヤツ!違うからな?本来の俺はとても理性的な紳士だ。
今日は偶々、酔いとムラムラと土方の告白が重なって、ムスコの力が強くなっちまったんだ!


俺の体を乗っ取ったムスコは砲弾を発射し終えてすぐ、土方の頭をガッと両手で掴んで固定した。


「もっかいシテ。」


そのまま腰を振ると先に発射されたモノが土方の口の端から零れ落ちてきて、それを見たらもう止まれない。
……ムスコがね?。あくまでムスコの話だから。銀さん、操られちゃってるからね。


「ハァ、ハァ…すっげぇ、キモチイ……」


興奮したムスコは土方の喉の奥まで犯し、最後は顔面目掛けて第二弾を発射させた。


(11.07.11)


銀←土から始まる馴れ初め話です。少し長めですがお付き合いいただけたらと思います。続きはこちら