「ぎんとトシと出藍の誉れ」の続きですが、シリーズ物で今から全部読むのは大変でしょうし、そもそも一年振りの
続きなので既読の方も覚えてらっしゃらないと思います。なので、当シリーズについて簡単に説明を…
・二人は「ぎん」「トシ」と呼び合っています。
・銀さんは性の知識皆無で、土方さんと付き合うまで童貞でした。
・土方さんは付き合ってから銀さんが何も知らないことを知りました。
・というわけで、土方さんは身をもって銀さんに性の手解きをしました。
・そのことを知っているのは、新八、神楽、沖田、山崎です。
・土方さんの教えの甲斐あって(?)銀さんは「セックスは気持ちいい」と学びました。
・快楽を素直に享受する銀さんは、土方さんを翻弄するくらいヤりまくることになります。
・セックスは受ける側に負担がかかることを知り、銀さんは今までの自分を反省。
・土方さんを労わるセックスを覚え、ぎんトシシリーズは第一部「完」となりました。
まあ、簡単に言うと「教えてシリーズ」の逆バージョンみたいなものです。
それでは、一年振りのぎんトシシリーズ、お楽しみいただけたらと思います。どうぞ↓
「明日はトシとデートで帰って来ねェからな。」
万事屋での夕食時、笑顔でそう話す銀時に対し、新八と神楽は「今しかない」とアイコンタクトで
タイミングを確認し合い、新八が口を開く。
「デートって、何処へ行くんですか?」
「親父のホテル。明日は昼過ぎに会えるから、いっぱいセックスできるなァ…」
銀時の言う「親父のホテル」とは、知り合いの経営しているラブホテルのことで、毎回「デート」の
大半をそこで過ごしていた。
幸せそうに明日へ思いを馳せる銀時に新八は苦笑いを浮かべる。
そんな新八の脇を「早く本題を切り出せ」とばかりに神楽が小突いた。
新八と神楽は、そんな銀時に一般的なデートを勧めたいと前々から思っていた。
「あのっ、たまには他の場所に行ってみたらどうですか?」
「他の場所かァ…。そういえば、トシに一回だけ連れてってもらった…」
「そこがいいですよ!」
「連れ込み宿ってとこがあったな。」
「…えっ?ちょ、ちょっと待って下さい。それじゃあ…」
ラブホテル以外だったら何処でもいい―そんな思いで賛成した新八であったが、銀時から出てきたのは
連れ込み宿という言葉。それではラブホテルと同じではないかと、新八は前言を撤回しようとする。
「でもあそこはなァ…」
「そうです。やめましょう。」
「風呂場がねぇから不便なんだよなァ…」
「いや、そういうことじゃなくて…」
「なあ…いいラブホテルか連れ込み宿知らねェ?風呂場付きの。…あっ、オメーら十八歳未満だから
中には入れねーのか。じゃあ、知らねェよな…」
「………」
僕ではダメだ―新八はバトンタッチの意味を込めて神楽の肩をポンと叩いた。
「銀ちゃん、たまには別のトコ行かないとマヨラーに飽きられちゃうアル。」
「そうだよなァ…。明日はトシに別のラブホテルの場所聞いて、そこに行くことにするか。」
「場所が違っても、ヤること同じじゃ意味ないネ。」
「同じじゃねーよ。…お前ら知らねェのか?セックスには色んなやり方があってだな…」
「そういうことじゃないネ!どんなヤり方したってセックスはセックス。そればっかりじゃ本当の
恋人同士とは言えないアル。」
「そ、そうなのか…?」
初めてできた恋人から教わったセックス。その虜になり、会う度に身体を重ねてきた銀時は
神楽の発言に動揺を隠しきれない。
一方神楽は、漸く話ができると安堵していた。
「そうアル。恋人同士っていうのは、もっと色んなデートをするものネ。」
「色んなって…?」
「一緒にご飯を食べたり…」
「それならしたことある!良かったァ…俺とトシ、本当の恋人同士だよな?」
「それだけじゃダメネ。他にも、遊園地に行ったり映画館に行ったり…」
「…付き合う前、トシと映画館で会ったことあるけど…それじゃダメ?」
「ダメアル。お付き合いを始めてからじゃないとノーカウントネ。」
「そうだったのかー…。あ〜…トシと本当の恋人同士になりてぇなー…」
そこで空かさず新八が映画観賞券を差し出した。
「これ、この前の依頼でもらったチケットです。二枚あるから、明日、土方さんと行って来て下さい。
エイリアンVSやくざシリーズ、僕も神楽ちゃんもあまり好きじゃないんで…」
「おー!サンキュー!…でも明日は、トシと会うのにセックスできないのか…ハァー…」
「映画観て、映画の感想なんかを話しながらご飯食べて、それからホテルに行けばいいアル。」
「昼過ぎから会うんだったら、それくらいの時間はありますよ。」
たまには健全なデートをしてほしかったのだが、セックスができないと残念がる銀時は気の毒に思えたし、
明日ムリヤリ我慢させて、その次のデートで暴走したら土方に恨まれかねない。
そう考えた二人の妥協案であった。
「そっかァ…そうだよなァ…。いっぱいセックスできないのは残念だけど…まあ、夜から会って
セックスする日もあるもんな。トシと本当の恋人同士になるため、ちょっと我慢するか。」
「頑張ってね、銀ちゃん。」
「応援してます。」
上手くいったと、神楽と新八は顔を見合わせてニッと笑った。
ぎんとトシと恋人同士のデート
翌日。
「トシ〜、こっちこっち。」
「ぎん…今日はどうしたんだ?映画館で待ち合わせなんて…」
「映画のチケット二枚もらったんだ。だからトシと見ようと思って。」
「そうか。ありがとな…このシリーズ毎回楽しみにしてるんだ。」
「じゃあ行こう。」
銀時は土方の手をとって映画館に入っていった。
十分後。
「ハァッ…」
本編が始まったばかりの館内で、銀時は一人苦しげに息を吐いた。
(どうしよう…。チ○コがうずうずする…トシとセックスしたい。こんな近くにトシがいるのに
触れないなんて…)
銀時は服の上から股間を抑えつつ、横目でちらりと土方を見てまた息を吐いた。
(あ〜…もうダメだ!)
「…ぎん?」
「かっ厠、行って来る。」
「おう…」
小声で会話を交わし、銀時は映画館の厠へ駆け込んだ。
「ハァ、ハァ、ハァッ…」
個室の便器に腰かけ、銀時は自分のモノを扱いていく。
(映画が二時間で、その後メシ食うのに一時間くらいか?ずっとトシと一緒なのに、ホテル行くのは
まだ先で…本当の恋人同士になるのって大変なんだなぁ…)
何とか精を吐き出させ、まだ熱の燻ぶるモノを無理矢理服の中に収めて個室の扉を開ける。
するとそこには、心配そうな表情の土方の姿があった。
「と、トシ…」
「遅かったから気になって…」
「ご、ゴメンね。昨日のイチゴ牛乳が傷んでたみたいで…」
作り笑いを浮かべながら手を洗う銀時を土方はじっと見詰める。
「じ、じゃあ、戻って続きを見よう。」
「ぎん…」
そそくさと厠を出ようとする銀時の腕を掴み、土方が引き止める。
「何でこっちを見ない?」
「そっそんなことねぇよ。…ほら、早く戻んねぇとアニキが…」
「ぎん!」
「っ!」
銀時は腕を引かれ、土方と至近距離で対峙する。
(ヤバイっ!こんなに近付いたら我慢できなくなる!早く離れなきゃ……!?)
「ぎん、お前…」
どうにかして距離を取ろうと銀時が思案しているうちに、一つの可能性を見出した土方は白い着流しの
裾を捲って状況を確認していた。細身のパンツは股間の状態を如実に伝えていて…気付いた銀時は
慌てて裾を戻したものの、土方には全て見られてしまっていた。
「宿、行くか?」
「ちっ違う!これはそういうアレじゃなくて…」
「…映画はまた今度でいいから。」
「ダメ!今日は映画観て、メシ食って、それからホテルなんだ。」
「ンなこと言っても、ぎん…」
「俺は大丈夫!だから戻ろう?ねっ?」
銀時はそう言うが、先程見た下半身の状態と熱を帯びた瞳を見れば、戻ったところですぐにまた
我慢できなくなるのは明らかに思えた。そんな状況で呑気に映画を見る気になど、土方はなれそうもない。
「…何で今日に限って映画に拘るんだ?いつも通り、宿に行くんじゃダメなのか?」
「ダメだよ…。それじゃあ、いつまで経っても本物の恋人同士になれない…」
「…本物?俺とぎんが本物じゃないっていうのか?」
「色んなデートしないと、本当の恋人同士とは言えないって…」
「…誰かに言われたのか?」
「新八と神楽。」
「そういうことか…」
土方は漸く合点がいった。新八と神楽は性に目覚め過ぎてしまった銀時を憂いていた。
そこで、もっと一般的なデートをさせたいと考えたのだろう。土方とて、たまにはのんびり過ごしたいと
思わないわけではない。けれど今の銀時に我慢を強いるのは酷だとも思った。
「じゃあ今日は、宿で映画観ようぜ。」
「…どういうこと?」
「ついて来い。」
「………」
厠を出て、映画館からも出ていく土方の後を、銀時は仕方なくついて行った。
* * * * *
「やっぱりいつものトコかぁ…」
自分のせいとはいえ、行き付けの宿に来てしまったことに銀時は溜息を吐く。
そんな銀時を元気付けようと土方が言う。
「いつもと違う部屋にするか?」
二人がいつも利用するのは銀時の懐事情に合わせて一番安い部屋だった。
「部屋なんて、ちょっと広さが違うとかそんなんだろ…」
「そうでもねぇみたいだぜ?…ここなんかどうだ?」
「トシがいい所でいいよ…」
ロビーにある部屋の写真パネルを土方が指差すも、銀時は俯いて溜息を吐くばかり。
落ち込む銀時の手を引き、土方は選んだ部屋へと向かった。
(11.05.16)
七万打記念アンケートで、ありがたくも「ぎんトシシリーズの続きが見たい」と言って下さった方がいまして、一年振りに復活いたしました。
というか、第一部終了した時は、こんなに間を空けずに復活するつもりでした。思いがけず現在連載中の「教えてシリーズ」が長引いて…^^;
今回の話を書くに当たり、シリーズ全話読み返しました。そしたら誤字は見付かるわ、最終話が全然終わってないわで、ホントすいまっせーん(DOGEZA)
しかも映画館で我慢できなくなる設定、教えてシリーズと同じですみません。後編は明日中にはアップできると思います。少しだけお待ち下さいませ。
追記:後編はこちら(18禁ですが直接飛びます)→★