銀土撲滅隊本部―沖田の部屋には、今日も土方へ密かな恋心を抱いている隊士達が大勢集まっていた。

「聞いて下さいよ、隊長!この前、副長と巡回中にえいりあんVSやくざの新作DVDの話をしてたら
偶々万事屋一行と出くわして…そしたら副長、旦那と見詰め合って俺の話なんか全然聞いてくれなく
なっちゃったんですよ!」
「あー、そうかィ…」
「そんなのまだマシだ!俺なんかマヨネーズの話してたんだぜ?それなのにケーキ屋の前を通った途端
季節限定のケーキを見詰めて『銀さんこれ好きかな?』って…答えたくねーよ!副長と会話できるだけで
幸せだったのに、今じゃどんな話題振っても最終的に『銀さん』って…酷いですよね!」
「あー、大変だったな…」
「俺なんて一昨日…」
「つーかお前ら、なんで俺の部屋で愚痴ってるんでィ」

次から次へと湧いて出る愚痴に沖田は溜息を漏らす。彼らの気持ちは分からないではないが、沖田とて
土方に想いを寄せる一人である。銀時の話などあまり聞きたくはなかった。
けれど隊士達はそんな沖田に詰め寄る。

「何言ってるんですか!あなたは一番隊の隊長というだけでなく、俺達の、副長親衛隊兼銀土撲滅隊の
隊長なんですよ!俺達の苦悩を共に分かち合って下さい!」
「…つーかそんな隊、結成した覚えがねェんだが…」
「覚えがなくても決まってるんですよ!冒頭にもそう書いてあったでしょう?そもそも今まで、俺達と
副長の触れ合いの場を仕切って来たのは沖田隊長じゃありませんか」
「そうです!これからも俺達は隊長と共に副長を愛し続けます!」
「あー、分かった分かった…。でも俺ァ人の話を聞くのは得意じゃねェから、今日みたいな話は山崎に
言ってくれィ」
「えー!何で俺がそんなこと…」
「何でィ山崎、いたのか…」

地味過ぎて気付かなかったと沖田は続ける。

「酷いですよ隊長!嫌な仕事押し付けた上に気付かなかったって…」
「うるせィ。てめーは土方さんのファーストキスを奪ったって罪があるんだ。率先して損な役目を担って
当然だろィ。…なあ、みんな?」
「「そうだ、そうだ!」」
「ちょっ…そのことは当時いっぱい謝ったじゃないですか!昔のことは水に流して、協力しましょうよ。
そうじゃないと旦那には勝てませんって!旦那は遂に、局長が味方だと気付いてしまったんですから!」
「それもそうだな…。よしっ、一先ずてめーの罪は置いておこう」
「ありがとうございます」
「その代わり…旦那を潰したら次は山土撲滅隊になるからな」
「えぇ〜!旦那がいなくなったらそれでいいじゃないですか!元通り、真選組皆の副長でしょ?」
「てめーは土方さんと一緒にいることが多くて調子に乗ってるから、そのうち潰すことにした」
「乗ってませんって!仕事してるだけですよ!それに、一緒にいることが多いからこそ、副長と旦那の
情報をいち早く掴めるんです!二人の次のデートは明日ですよ!」
「そんなこと言われなくても分かってらァ。…土方さんは明日、午後から休みだからな」
「だけど俺、おかしいことに気付いたんです」

自分を仲間だと再認識してもらおうと、山崎は共通の敵の話題を膨らませる。

「おかしいこと?…何でィ」
「旦那と副長が一緒にいるところをほとんど見たことがないんです」
「…それがどうしたんでィ。二人がいちゃついてるとこなんざ見たくもねェや」
「それはそうなんですけど…でも、副長は休みの度に旦那と会ってますよね?それなのに、こんなに
目撃されないなんて変じゃないですか?旦那単体ならよく見かけるのに…」
「確かに…旦那と仕事中の副長がバッタリ会うことだってあるのに、デート現場を目撃しないってのは
不自然ですね。毎回遠出してるとは思えないし…」

その場にいた隊士も山崎の意見に乗っかった。

「でしょ?ほら隊長、何だか怪しいですって!」
「…旦那は貧乏だから、安上がりに自分家へ呼んでるんじゃねェか?」
「俺もそう思って調べてみたんです」
「調べる?どうやって?」
「新八くん達に聞いてみたんですよ。そしたら副長は交際を始めてから一度も万事屋へ行ってないって」
「その話、本当か?」
「嘘なわけないじゃないですか。もちろん新八くん達も嘘を吐いてる感じじゃありませんでした」
「変だな…じゃあヤツらはどこで会ってやがんだ?土方さんは映画とか居酒屋とか言ってたが…」
「丸一日一緒にいることだってあるのに、ずっと映画館の中ってわけないですよね?」
「そうだな…」
「隊長、どうしましょう?」
「…尾けるか?」
「そうですね」
「よしっ…つーわけで俺と山崎は明日、二人を尾行する。お前ら、後は頼んだぜィ」
「「「分かりました隊長!」」」



銀さん教えてレッスン6



翌日の昼過ぎ、自分の仕事を終えた土方は着流しに着替え、屯所を出てかぶき町へ向かう。
その後ろを山崎と沖田がこっそり付いていった。


「銀さん!」

万事屋にほど近い河原の土手に銀時が座っていた。土方は銀時の姿を見止めると、名前を呼び小走りで
駆け寄っていく。銀時も土方に気付いて腰を上げ、笑顔で歩み寄る。

「十四郎、今日もお仕事お疲れ様〜」
「銀さんも午前中は仕事だったんだろ?お疲れ様」
「えへへ、ありがと。じゃあ行こうか」
「ああ」

二人はかぶき町を並んで歩いていく。



「十四郎、後ろ…」

数分後、銀時が隣に歩いている土方にしか聞こえないような小声で言った。

「あっ、銀さんも気付いたか?」
「『も』って…十四郎も気付いてたの?」
「というかアイツら、屯所から俺をつけてきてんだ…」
「えっ?もしかして…後ろにいるのって真選組のヤツ?」
「ああ。アイツらは多分、俺をからかいたいんだと…」
「そっかァ…色んな部下がいると大変だね」

銀時は彼らが土方に懸想しているのを知っているが、土方に話を合わせておくことにした。

「悪ィな。放っておけばそのうち飽きると思うから…」
「うん。…ねぇ、十四郎…映画に行かねェか?」
「いいぞ。何見る?」
「行ってから決めよう」
「ああ」

真選組メンバーが尾行していると判った以上、いつものようにホテルへ直行というわけにはいかず
銀時は映画を見ようと提案した。


*  *  *  *  *


「…中まではついてこないみたいだね」
「そうだな」

劇場内まで尾けられていないことを確認し、二人は漸く肩の力を抜くことができた。
一番後ろの席に隣り合って座り、映画が始まるまでを会話で繋ぐ。

「ったくアイツら、仕事サボりやがって…」
「ハハハ…十四郎は誰がついてきてたか分かってるんだ?」
「そういう銀さんはどうなんだ?」
「うーん…沖田くんはいたと思うんだけど、もう一人いるよな?」
「もう一人は山崎だ」
「あっ、そうなんだ。ジミーの気配って分かりにくいけど…一緒に仕事してると分かるようになんの?」
「いや…アイツが本気で気配殺すと厳しいな。ただ、今日は総悟が一緒だから…」
「沖田くんの気配に紛れて、ジミーの気配も感じるの?」
「というか、総悟は尾行みたいなことは苦手なんだ。もっと前へ出る方が得意というか…」
「そうだろうね」
「でも今日はその総悟がそれなりに尾行できてる。つーことは、尾行の得意なヤツが一緒ということだ。
尾行が得意で、しかも総悟に意見できるヤツなんてそうはいねェよ」
「なるほどね…。あっ、始まるみたい」

館内が暗くなると同時に二人の会話は止まった。銀時は横目でちらりと土方を見てそっと溜息を零す。

(あーあ…今日は泊まりOKの日だから、本当ならいつものように…
「ご休憩フリータイムを利用してラブホで長時間いちゃいちゃ」
  ↓
「一旦チェックアウトして居酒屋か屋台で夕メシ」
  ↓
「今度は『ご宿泊』でラブホに入ってまったりorもう一度いちゃいちゃ」
…のはずだったのに!すぐにホテル行けると思ってたから、昨日の晩はヌきたいのを我慢したのに!
くっそ〜、沖田・山崎め〜!もしかして何か勘付きやがったのか?流石に何度もお泊まりデートしてて
キスまでってのは無理があるか?いやでも世の中には一年以上付き合ってんのにキス止まりっつー
ヤツらもいるとか聞いたことが…。ていうかアイツら、十四郎のことが好きだったら十四郎の言うことを
信じろよ!あー…とりあえず今日は映画終わったらウチに行くか…。最悪、神楽をババァかお妙に
預けてウチで…いやいや、二人きりになったら怪しまれるな…。和室でこっそりヤるしかねェか…)

映画の内容そっちのけで銀時が今後のデートプランを練っていると、土方がそっと立ち上がった。
銀時は囁くように聞いた。

「どうしたの?」
「かっ厠に…」
「…じゃあ俺も」
「えっ…」
「ほら早く。ここで喋ってたら周りの人に迷惑だよ」
「あ、ああ…」

銀時は土方の手首を引いて厠へ向かった。


「あ、あの、銀さん…」

土方の手を引いたまま、銀時は二人で厠の一番奥の個室に入った。
もじもじと膝を摺り合せる土方に銀時はにっこりと笑って言う。

「厠って言っても、出したいのは別のモノでしょ?」
「あ…」

銀時は、真っ赤になって俯く土方の額にチュッと口付けた。

「十四郎もそのつもりだったんだ…嬉しいな」
「だって、いつもは…」
「そうだよね。いつもはホテルに行くもんね」
「なんで、今日は…」
「沖田くん達がついてきてるじゃん」
「で、でも…ラブホテルは恋人専用のホテルだから、アイツら中までは入れないぞ」
「あー…そうね…」

どうして土方が尾行されていると分かっていて待ち合わせ場所に来たのか、銀時は漸く理解できた。

「俺…何か間違ったか?」
「間違ってはないけど…沖田くん達にエッチなことしてるってバレてもいいの?」
「えっ!」
「ラブホテルを利用する人ってのは、たいていエッチなことするつもりで行くんだよ」
「そ、そうなのか?」
「しなきゃいけないって決まりはないよ?でもそういうことする人が多いから、ラブホテルに入るとこを
沖田くん達が見たら、十四郎は俺とエッチなことしてるんだって思われちゃうよ。それでもいい?」
「…それは、やだ」
「そうだよねー。俺もやだよ。…恋人同士がエッチなことするのは悪いことじゃねェけど
だからってそれを他のヤツらに知らせたくはねェよな?」
「ああ」
「だからさ…とりあえず今日はここで…」
「こ、こでって…」
「パンツ脱いで便器に座って」
「………」

土方は戸惑いながらも銀時の言うとおりにした。今から何をされるのか想像もつかなかったが
既に股間は吐精しなければ治まらない状態になっており、銀時に身を任せるしかなかった。

「そんなに心配しなくても大丈夫。ちゃんと気持ちよくしてあげるからね」
「で、でも、こんなところで…」
「上映中はほとんど人来ないと思うけど、見付かるとマズイから声は出さないでね」
「う、うん…」
「じゃあいくよ」
「えっ…」

銀時は土方の足元に蹲り、口を大きく開けて土方のモノを口内へ招き入れた。

「なにをっ…ああっ!!」
「しっ!」

土方から喘ぎ声が上がり、銀時は一物から口を離して土方を窘めた。

「静かにしてなきゃダメだよ」
「でも…銀さん、今、くっ口に…」
「ああ、ごめん…ビックリした?こうやって口ですることをフェラチオって言うんだよ」
「ふぇ?」
「フェ・ラ・チ・オ。いつもみたいに手ですると着物を汚しちゃうかもしれないから…口でしてあげる」
「そんな…汚いし…」
「仕事上がりにシャワー浴びてきたんでしょ〜。石鹸のいい匂いがするよ」
「だけど…」
「俺がしたいの。ねっ、させてくれる?」
「う…わ、分かった…」
「それじゃあ今度こそ…声は我慢してね」
「う、ん…」

銀時はもう一度土方のモノを咥え込んだ。


「くっ…んん!」


温かく湿った舌で舐められた瞬間、土方は両手で自身の口を覆った。そうでもしなければ声を抑える
ことなど到底不可能だと思えた。手で触られるのとは違った感触に全身が震え、先端からは雫が溢れ
あっという間に射精感が高まってくる。


「んっ…んむぅっ!!」


銀時の口内では舌が蠢き土方のモノを刺激する。土方は両手で口を押さえつけ、声を押し殺すことしか
できなかった。


「んぐっ…んんっ…んんんーっ!!」


じゅるっと音を立てて先走りを吸われた時、土方は限界を超える快楽を感じて達した。
銀時は口内に流れ込んできた精液を全て嚥下し、達してぼんやりとしている土方を満足そうに見詰めた。


(10.11.12)


今回のレッスンは久々健全デート(失敗:笑)とお口です^^ 続きも18禁ですが直接飛びます