後編


「あっ、あっ、あっ…ああっ!!」

ベッドの上。土方は生まれたままの姿になって横たわり、銀時に促されて精を吐き出した。


「随分早かったね。…最近ヌいてなかったの?」
「仕事、忙しかったから…」
「そっか…。じゃあ今日はいっぱい出そうねー」
「次は銀さんの番」

土方は体を起こし、銀時の股間に触れた。銀時のモノは服の上からでも分かる程に隆起していた。

「俺のもしてくれるの?」
「当たり前だろ」
「でもさ…十四郎だってまだ出したいでしょ?」
「あうっ」

銀時が軽く握っただけで土方のモノは容易く回復する。そのまま少し擦るだけで土方はたちまち
我慢できなくなった。

「あっ、あっ…」
「…俺の、してくれるんじゃなかったの?」
「だって…」
「じゃあさ、一緒にしよ?」
「一緒に?」
「そう。俺が十四郎に触るから、十四郎は俺のを触って」
「分かった。でも…どうすればいい?」
「…向かい合って触ればいいんじゃないかな」

銀時も服を脱ぎ、土方の前に座った。



「脚が邪魔だな………これでよしっと」

胡坐を崩したような姿勢で座ると、手が届かないことはないがやや相手が遠い気がする。
銀時は土方の脚を開かせ、その上から自分の脚を絡めた。
腰から上が全てくっ付いてしまいそうな距離に、土方は戸惑いを覚える。

「ちょっと近過ぎねェか?」
「近付かなきゃ触れないでしょ」
「そう、だけど…」
「ほらほら…銀さん、早く十四郎に触ってほしいな…」
「分かったよ」

土方は意を決して銀時のモノに触れた。すると銀時の手も土方のモノに触れる。


「んんっ!」
「…十四郎も手を動かして」
「うん。あ…」


土方は快感に震える手をゆっくり上に滑らせた。
けれど銀時から与えられる刺激に翻弄されて、上手く動かすことができない。


「あっあっあっあっ…」
「十四郎…またイキそう?」
「んっ…イキ、そう…ああっ!」
「ねぇ、今回は一緒にイッてみない?」
「一緒にって?」
「せっかく一緒に触ってるんだからさ、イクのも一緒がいいと思って」
「でも、銀さんはまだ…」

銀時のモノは完勃ちしているものの、ほとんど先走りも漏れておらず、達するにはまだ時間が
かかりそうだと土方は思った。

「だからね、俺がイキそうになるまで十四郎は少し我慢しててくれる?」
「我慢…」

我慢と聞いて土方の脳裏に苦い体験が浮かんだ。それは銀時と付き合って間もなくの頃、
一人で慰める方法も知らなかった土方は、銀時と会えない時に勃ち上がってしまったモノを
どうすることもできず、自然に治まるまでの間、ひたすら耐え続けた体験である。
そんな土方の不安を読みとったのか、銀時はにっこり笑いかける。

「大丈夫。我慢といってもこのまま放置するわけじゃないよ。…それだと十四郎が辛いでしょ?」
「ああ」
「出ないように優しく触るから、十四郎も出そうになったら我慢して?」
「…どうするんだ?」
「トイレを我慢する時と一緒だよ。それに、ちょっと我慢してからイッた方が気持ちいいよ」
「そうなのか?」
「うん」
「じゃあ…やってみる」
「やったぁ」
「…でも、あの…なるべく早く、な」
「それは十四郎次第だよー。頑張って俺をイカせてね」
「わ、分かった」

土方は銀時のモノを握り直し、シュッシュとリズミカルに扱いた。


「んっ…気持ちイイよ。じゃあ俺も…」
「あっ…くぅっ…あぁっ!」


銀時が土方のモノを軽く撫でると、土方は言われた通り下腹部に力を入れて射精を耐えた。


「そうそう、そんな感じ。…でも、手が止まってるよ」
「あ…んんっ…んあっ!」


土方は懸命に手を動かそうとするが、イク寸前の自分のモノに更に刺激が与えられて
堪えるので精一杯であった。銀時のモノを握り締めながら必死に耐える土方の姿を見て銀時は
今までにない興奮を覚えていた。

(やべェ…十四郎のこの耐えてる顔、もっと見たい…)

銀時は土方のモノを激しく扱いた。


「やあぁっ!だめっ…も、でちゃう!!」
「じゃあ早く俺をイカせて?」
「やっ…むりっ!ぎ、さんっ!!」
「仕方ないなァ…」
「ひうぅっ!」


銀時は土方のモノの根元をぎゅっと押さえた。


「やっ…いたぃ…」
「ここ絞っておけば力抜いても出ないよ。ほら、今のうちに俺に触って」
「うぅっ…」


土方は目尻に涙を溜めながら銀時のモノを刺激する。けれど強い快楽が銀時から与えられ
すぐに土方の手は止まってしまう。


「十四郎…頑張って」
「ああっ!ああっ!…や、なに?…ひあぁっ!」


銀時は自分のモノと土方のモノを重ねて土方に握らせ、その上から自分も手を添えて動かした。
もちろん、土方の根元を戒めている手はそのままで。


「こうすれば一緒に気持ちよくなれるでしょ」
「やあぁっ!もっ…イキたい!手、離してぇ!!」
「もう少しだからね…」


実を言うと、銀時もとっくに限界は超えている。しかし土方の苦痛と快楽の入り混じった表情を
見ていたくて耐えているのだった。
銀時は土方の先端の窪みに指先を捻じ込んだ。


「はあぅっ!!でる!…でたい!!ぎん、さんっ!!」
「んっ…もうちょい…」


ぐりぐりと先端を抉ると、土方のモノから次々に雫が溢れ出す。


「ぅああっ!!ああぅ…くぅっ!!」
「あ、やばっ!イキそう…」


銀時は土方の戒めを解き、二本をまとめて激しく扱いた。


「はああぁぁっ…!!」
「くぅっ!!」


二人のモノから白濁液が飛び出し、土方は漸く解放されたかに見えたのだが…


「ああっ…ぅ…あ、ぁ…」
「うわぁ…十四郎、まだイッてるの?」


強制的に射精を止められていた土方のモノからは、断続的にピュッピュと精液が噴出していた。
銀時は達して萎えかけていた自分のモノと土方のモノを再び重ねて扱き始めた。


「ぃやああぁぁっ!!」


銀時のモノもあっという間に回復し、土方のモノが出なくなるまで共に擦り続けるのだった。



*  *  *  *  *



「あの…ヤりすぎました。ごめんなさい!」

動けなくなった土方の身体をキレイに拭いて着流しを着せた後、銀時は深々と頭を下げた。
土方はベッドに仰向けになり、虚ろな目で銀時の方を見ている。

「本当にごめん。頑張って耐えてる十四郎が可愛くてつい…」
「…可愛くねェよ。けど…銀さんってSだよな」
「へっ?…十四郎、エスって何のこと?」
「知らねェのか?人の嫌がることして楽しむヤツをSって言うんだぞ」
「それなら知ってるけど…えっ?何で十四郎はそんなこと知ってるの?」

性に疎いはずの土方がなぜ…銀時にとって尤もな疑問だった。

「総悟も同じだからな…」
「ああ、そういえばそうね…。でっでも、俺は別に十四郎に嫌がらせをしたかったわけじゃ…」
「…嫌だって言ってもやめてくんなかった」
「うっ…それは、ごめんなさい」
「もう、ああいうのは嫌だ…」
「はい。今後、ああいうのはやりません」
「…なら、許す」
「へへっ…ありがと」

銀時は土方の前髪をかき上げ、額に口付けをした。銀時の唇が離れると、土方は体を起こす。

「っ…」
「まだ休んでなきゃダメだよ」
「そろそろ、戻んねェと…」
「あ、そうか…」

銀時と会うことを秘密にしているため、あまりに長時間屯所を留守にするわけにはいかない。
既に会ってから数時間が経過している。土方の言うようにそろそろ限界の時間である。
けれど、座っているのがやっとの状態の土方をこのまま帰すことはできない。銀時は決心した。

「ねぇ土方…今日は泊まっていかない?身体、まだ辛いでしょ?」
「だが、勝手に外泊するわけには…」
「俺と会ってること、公表しない?」
「えっ…」
「もちろん、誰にでもってわけじゃないけどさ…十四郎が本当に信頼できる人になら…」
「………」
「今日は身体がアレだから泊まってほしいけど、そうじゃない日でもさ…できれば落ち着いて
ゆっくり会える日があったらなぁって…」
「……俺も、銀さんともっと一緒にいたい」
「十四郎…」
「今日は泊まるって、連絡してみる」
「ありがとう。ちなみに…誰に?」
「近藤さん」
「近藤…」

枕元に手を伸ばして携帯電話を取った土方を銀時は不安そうに見詰める。

(そりゃあ、外泊の許可を取るんだから局長に連絡するのは当然だけど…アイツは十四郎のことを
どう思ってるんだ?…今まで、俺と十四郎のことについて近藤から何か言われたことはない。
沖田くんや山崎はあからさまに邪魔してくるけど、こないだ屯所に乗り込んだ時も近藤の姿は
見かけなかった。偶々留守だったのか、それとも俺と十四郎のことを認めてくれてるのか…)

土方が真選組の隊士達から邪な思いを抱かれていると知ってから、銀時はさりげなく近藤の話題を
避けていた。他の隊士相手なら、束でかかって来ても蹴散らす自信はある。けれど近藤は別格だ。
土方は近藤に対して崇拝に近いような感情を抱いている。その近藤が銀時との交際に反対したら…

銀時がそんなことを考えているとはつゆ知らず、土方は携帯電話から近藤の番号を呼び出した。
数回コール音が鳴り、電話が繋がった。

『トシか?どうした?もう夕メシの時間、終わっちまったぞ』
「近藤さん…実は今、銀さんと会ってて…」
『なんだ、そうだったのか』
「その…すまん。何も言わずに出てきてしまって…」
『トシの勤務時間は終わってるんだから気にするな』
「それでな…今日は泊まっていきたいと思ってるんだが…」
『…泊まり?』
「あ、ああ…」
『分かった。じゃあ今日はお妙さんのところに行かず、屯所に残ることにするか』
「すまないな」
『いつも俺が迷惑かけてばかりだからな…たまにはトシの分まで頑張るさ』
「近藤さん…」
『それじゃあな。…万事屋によろしく』
「ああ…」

携帯電話をたたんだ土方に、銀時は恐る恐る尋ねる。

「…どうだった?」
「外泊許可取れた」
「本当に!?本当に近藤が泊まっていいって言ったの!?」
「あ、ああ」
「マジで!?マジで近藤が言ったの!?」
「ああ。…そんなに信じられねェか?近藤さんはそんなに厳しい人じゃないぞ」
「それは分かってるんだけどさ…十四郎が俺と付き合ってるのは認めてくれないかと思って…」
「何言ってるんだ。むしろ近藤さんは一番の理解者だぞ」
「えっ、そうなの?」
「ああ…。俺達がこっそり会ってるのは知らないから、仕事してないでデートしてこいって
いつも気にかけてくれてるんだ」
「そうなんだ〜。へぇ〜…いい上司を持って十四郎は幸せだね」
「そうだな…」

近藤のことを褒められて、土方は嬉しそうに笑った。

「そういえば…十四郎は近藤とキスしたことあるの?」
「あるわけねェだろ。近藤さんは…付き合ってはねェけど、心に決めた女がいるんだ」
「だよね〜」


その後二人は出前で夕食を済ませ、明け方近くまで他愛もない会話を楽しんだ。
これ以上ない強力な援軍を得たと確信した銀時は、土方との幸せな未来に思いを馳せるのであった。


(10.09.30)


このシリーズは土方さん総受け気味ですが、近藤さんだけは銀土の味方にしようと決めていました。近→土を期待していた方がいらっしゃいましたらすみません。

近藤さんが反対したら、土方さんは銀さんと付き合わないんじゃないかと思って…^^; もちろん土方さんは銀さんのことが大好きですから、例え近藤さんに反対されても

交際を認めてもらえるよう頑張って説得するとは思いますが。近藤さんが味方だと分かり、銀さんは既に「向かうところ敵なし」の気分でいます(笑)

ちなみに沖田達は近藤さんが二人を認めていると知っているので、秘密で邪魔をしています。前編で副長室に詰めかけたのも、近藤さんの留守を狙っての行動です。

ここまでお読みくださりありがとうございました。

追記:続き書きました。土方さんが外泊すると知った真選組のメンバーは…

 

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