※第三百五十一訓ネタです。大丈夫な方のみスクロールしてください。
「私もほしいヨ、携帯!!メールがしたいヨ、ねェサダえも〜ん!!」
「仕方ないな神楽ちゃん(神楽ダミ声)・・・それは僕の四次元ポケットより銀さんの四次元ガマ口に
きいてみない事には(神楽ダミ声)」
「でもォ、直接はききづらいネ。あ〜あ、こんな時メールができれば思いも伝えやすいのに〜。」
「その思いはきっと伝わってるよ神楽ちゃん(銀時ダミ声)・・・携帯なんて金のかかるモノが家計に
どれだけの影響を生むかも君には伝わるハズだ。」
「ママぁ、きいてよ!!」
「誰がママだ。確かに顔似てるけど!!」
「今時、携帯なんて持ってないのはウチ位アルヨ!!このままじゃ万事屋は時代に乗り遅れるばかりネ。
仕事にも役立つし、絶対損はしない。ウチも揃えようヨ!!」
「って言ってますけど。」
「いい加減にしなさい!!サダえもんとお前の食費でウチは既に火の車(タケコプター)なんだよ!!」
「そうだ!神楽ちゃん、君にはもう一人頼りになる四次元ガマ口があるじゃないか(神楽ダミ声)」
「そうだネ、サダえもん。一緒に行ってくれる?」
「もちろんだよ神楽ちゃん(神楽ダミ声)」
神楽は定春を連れて出て行ってしまう。
「いいんですか、銀さん…」
「放っとけ。携帯は買って終わりじゃねーんだぞ?やれ通話料だ、なんたら通信料だで一生料金を
払い続ける世にも恐ろしい代物なんだ。そんなもん、買えるワケねーだろ…」
「そうなんですけど…神楽ちゃん、どこ行っちゃったんでしょう?」
「俺が知るかよ…」
銀時は再びジャンプを読み出し、新八もそれ以上深くは追求せずに夕飯の支度へと戻った。
面倒でも取扱説明書は読みましょう
「サダえも〜ん、携帯がほしいヨ。メールがしたいヨ〜!!」
「確かに携帯は仕事の連携時にも役立つね(神楽ダミ声)」
「そうヨ。携帯があれば、もっともっと仕事を頑張れるヨ!!」
「神楽ちゃんは偉いな(神楽ダミ声)そんな偉い子にはきっと、銀さんの四次元ガマ口も開いてくれるハズさ。」
「それが…固く閉ざされたままだったネ!あ〜、携帯で仕事したいヨ!!」
「…何やってんだ?」
定春の背中に抱き付いていた神楽は一瞬だけ顔を上げ、土方がこちらを見ているのを確認すると
すぐまた元の姿勢に戻った。
ここは真選組屯所。副長室から見える中庭に定春と神楽はいる。
土方に携帯電話をねだろうと考えた神楽は、まず定春を中庭に待機させてから屯所内に入った。
そして「サダえも〜ん」と叫びながら副長室を通り抜け、外の定春に向かってダイブしたのだった。
神楽の一人芝居は続く。
「それなら神楽ちゃん、既に携帯を仕事で使ってる人に聞いてみたらどうだい?(神楽ダミ声)」
「え〜?そんな人、私の周りにいたかなぁ?」
「おいっ…」
「いるじゃないか(神楽ダミ声)例えばほら、銀さんと仲良しのお巡りさんとか…」
「でもォ、アイツは銀ちゃんと付き合ってるだけで、私とは無関係ヨ。」
「おいっ!」
「そんなことないさ(神楽ダミ声)銀さんの家族同然である神楽ちゃんを蔑ろにはしないよ。」
「でもやっぱり、直接は言いづらいネ。あ〜あ、こんな時にメールができればな〜…」
「だから何やってんだァァァ!!」
遂に痺れを切らした土方が縁側を下りる。
「おいチャイナ…いい加減その犬芝居をやめろ。」
「ねぇサダえも〜ん、犬芝居とかって上手いこと言った気になってドヤ顔してるマヨラーなんかには
言いづらいネ。」
「してねーよ!!」
「覚えているかい神楽ちゃん(神楽ダミ声)『犬芝居』という言葉はさっき銀さんが使っていたよね?」
「は?」
「もちろん覚えているヨ。」
「離れていても通じ合ってるラブラブな二人には携帯なんて必要ないのかもしれない(神楽ダミ声)」
「おいィィィ!!なに言ってんだこの…」
「でも本当にそうだろうか?(神楽ダミ声)銀さんの家には神楽ちゃんや新八がいる。他の人が出る
かもしれない家の電話にかけるのは、勇気がいるだろうなぁ。」
「そうだネ。あ〜あ、私達が携帯を持っていれば銀ちゃんとマヨラーももっとラブラブできるのに!!」
「ちょっ、用件は分かったから少し黙れ!…俺達の関係、知らねェ隊士もいるんだよっ。」
土方は神楽の口を塞ぎ、自室へ招き入れた。
* * * * *
「…で、オメーは携帯がほしいんだな?」
「おぉ!よく分かったアルな!」
「だが携帯っつーのは本体を買って終わりじゃねェしな…」
「…そういうこと、銀ちゃんも言いそうアル。」
「っ〜〜…とにかく!お前、通話料を払うアテは……あるわけねェよな。」
「もちろんネ。」
神楽の給料が現物(酢こんぶ)支給なのは土方も知っていた。
「…だが、今時はガキでも持ってるもんな…」
「!?」
「明日の午後…空いてるか?」
「空いてるネ!」
「じゃあ、携帯買いに行くか?…万事屋とメガネも一緒に。」
「ありがとー、マヨミちゃん!!」
神楽は土方に飛び付いた。
「マヨっ…おい、まさかそれはド○ミか!?○ラミから取ってんのか!?」
「…まよかちゃんの方が良かったアルか?」
「何で女キャラなんだよ!!」
「だってお前、銀ちゃんに突っ込ま「あ〜!!!ガキがんなこと口にするんじゃねぇ!!」
「はいヨ〜。…じゃあ明日な。」
「おう。」
* * * * *
翌日。かぶき町にある携帯電話ショップには、土方と笑顔の神楽、そして渋い顔をした銀時と
苦笑いを浮かべる新八がいた。
「ったくよー…ウチのことにあんま口出ししないでくれる?」
「まあまあ…。土方さん、本当に僕らまで買ってもらっちゃっていいんですか?」
「ああ。…チャイナは仕事上あると便利だと言ってたからな。」
「ンなもんただの口実に決まってんだろ。…騙されやがって。」
「違ェよ!実際、俺もあった方がいいだろうと思って…」
「ほ〜…じゃあ、通話料なんかも払ってくれるわけ?」
「そこまでは面倒見ねェよ。」
「だったら余計なことすんなよ。…おら、新八、神楽、帰ぇるぞ。」
「えっ…」
「嫌アル!!」
店を出ようとする銀時に新八は戸惑い、神楽は抵抗する。そして、こういう話は来店前につけておいて
ほしかったと迷惑に思いながらも、恐ろしくて声を掛けられない女性店員は、商品陳列棚にある
電話機の見本を黙々と並べ直していた。
「マヨラーは携帯買ってくれるって言ったネ!!」
「だからー…携帯は、本体買ってそれで終わりじゃねーんだよ!!」
「同じことマヨラーも言ってたネ!!やっぱり二人はラブラブアル!!」
「へっ?」
「チャイナテメー!余計なこと言うんじゃねーよ!!」
土方は慌てて店員の方を振り返る。店員は土方と目が合った瞬間に棚の後ろへ身を隠した。
「私は本当のことを言ったまでネ。銀ちゃんとマヨラーは…」
「もうその話はいいから…どの機種にするか決めろ。」
「おいっ、その話はまだ終わってねーよ。」
「…プリペイド式なら使えんだろ?」
「プリ…?」
何やら未知の単語が土方から飛び出し、銀時は首を傾げた。空かさず神楽が食い付く。
「何アルか?プリプリ式って何アルか!?」
「プリペイド、な。…カードを買って、そこに書いてある暗証番号みてぇのを入力しないと使えない携帯だ。
そんで、カードの料金分使ったら次の番号を入力しないと使えねェ。」
「ふんふん…」
分かっているのかいないのか定かではないが、神楽は熱心に土方の説明を聞いていた。
銀時は少し離れたところで横を向いているが、話は確りと聞いていた。
「だから、使い過ぎる心配もない。…最初のカードは今日、本体と一緒に買ってやるから、
次も使いたいなら、使い切る前に頑張って金を貯めるんだな。」
「…そのカードって、一枚いくらくらいするんですか?」
土方の説明で興味をもったらしい新八が質問する。
「詳しいことは店員に聞け。」
「お姉さーん!プリプリ携帯のカード、いくらアルか〜?」
「…さ、三千円と五千円がございます。」
怯えた様子で店員は棚の陰から顔を覗かせて答えた。
「そのカードって…有効期限みたいなの、あるんですか?」
「きゅ、九十日間でございます。」
「三ヶ月か…。それを過ぎて、新しいカードを買わなかった場合、どうなるんですか?」
「一年以内でしたら、追加でご入金いただいた際に再びご使用になれます。」
「銀さん…これならいいんじゃないですか?お金ない時はカード買う必要ないですし。」
「まあな…」
「メールはできるアルか?」
「はい。」
「やったぁ!…ねえ銀ちゃん、いいでしょ?」
「…いいんじゃねぇの。」
「お姉さん!プリプリ携帯三つよろしくネ!!」
「こちらからお好きな機種をお選びください。」
漸く買ってくれるようだと、店員はホッとして通常のセールス体勢に入れた。
* * * * *
「これで私達いつどこにいても一緒アルヨ。…定春、公園に行こう。」
「ワン!!」
神楽は買ってもらったばかりの携帯電話を握り締め、足取り軽く定春と走って行った。
「土方さん、ありがとうございます。」
「おう。」
「それじゃあ、僕はこれで。」
「おう…」
新八も笑顔でその場を後にし、銀時と土方だけになった。
「…メシでも食いに行くか?」
「そうだな…。奢るよ。」
「いい。携帯貯金でもしとけ。」
「はいはい…」
二人は近くのファミリーレストランへ向かった。
その途中、神楽から銀時にメールが入る。
Sub:銀ちゃんへ
本文:マヨラーとケンカしてないですか?私は公園につきました。
「ったく…下らねぇメールよこすんじゃねーよ。」
銀時は内容を確認するとすぐに携帯電話を閉じてしまう。
「返信してやらなくていいのか?」
「いいよ…。どーせ面白がって使ってるだけなんだから。」
そう言っている間に二通目のメールが届く。
Sub:銀ちゃんへ
本文:マヨラーとラブラブですか?私は定春となかよく遊んでいます。
「チッ…」
「またチャイナか?…何て?」
「…マジでどーでもいいこと。『何してる?』的な…」
「メシ食ってる、でいいから返信してやれよ。」
「ったりぃな…」
大きく息を吐いて銀時が返信画面を開いた途端、またまた神楽からメールが届く。
Sub:もしかして
本文:合体中ですか?おじゃましました(≧▽≦)
「ンなわけねーだろォォォ!!アイツ、俺を何だと思ってんだよ!!…あー、もうやめた。
絶対ェ返信なんかしねぇ。」
「おい。」
その後も神楽から取るに足らないメールが十通以上届き、銀時は一応全てに目を通すものの
一切返信をしなかった。
(11.05.27)
リクエストは「原作のような男らしい銀土」だったので、原作らしくするために原作ネタを引っ張って来たのですが…男らしいって何でしょう^^; 難しいですね。
そして元ネタの原作をお読みになった方は、この後のオチも予想が付くと思いますが、よろしければ最後までお付き合いくださいませ。→★