おまけ


騒動から数日後の夜、土方は万事屋を訪れた。

「いらっしゃい…」
「おう。」
「………」
「どうした?」
「いや…。どうぞ。」
「おう。」

未だ包帯の外れない姿で出迎えたというのに土方は何も言わない。
咎められること覚悟で今夜の訪問を了承した銀時は、拍子抜けしてしまった。
土方はまるで何事もなかったかのように部屋の中へ入って行くので、銀時もそれに続いた。
そして二人はいつものように長イスに並んで座り、土方が銀時を抱き寄せて頬や耳に口付けを落とす。

「…なんで何も聞かねぇんだよ。」
「何のことだ?」
「分かってるくせに…」
「分かってんなら、聞かなくていいだろ。」
「お前…コイビトが怪我してんのにスルー?」
「…その怪我ってのは、俺が何か言えば無かったことにできんのか?」
「そういうわけじゃねぇけど…」
「…だったら、テメーが話したいことだけ話せ。」

土方の言葉はともすると冷たいようにも感じるが、聞かれても答えられない事情が銀時にあることも
事実であり、それが土方なりの優しさなのだということは銀時には分かっていた。けれど、それに
甘えてしまっていいのだろうかという迷いもある。

「お前は本当に、それでいいのか?」
「…それしかねェだろ。」
「そうなんだけどさ…たまになら、束縛したっていいんだぜ?」
「俺程度の縛りなんざ、容易く抜けられんだろ?」
「………」
「気にするな。俺は、そんなテメーに惚れたんだ。」

銀時は土方の腰と腹に腕を回して抱き付いた。

「理解があり過ぎても、不安になるんだな…」
「フッ…それは良かった。」
「何で?」
「俺ァその百倍くれぇ不安になってるからな…」
「土方………ごめん。」
「謝んな。…今、お前の隣にいられれば、それでいい。」
「…ありがと。」
「ンだよ…調子狂うじゃねーか。いつもみてぇに憎まれ口叩いてりゃいーんだよ。」
「うん…」

土方の肩に手を付き、銀時は自分の唇を土方のそれに重ねた。


*  *  *  *  *


「よしっ、今日はサービスしてやるぜ。」

寝室に移動すると、銀時は親指を立ててニッと笑う。

「…遠慮しとく。」
「何だよ、ノリ悪ぃな…。銀さんのサービスっつったらアレだよ?ほら、あの…すっごいから!」
「いや…」

先程のやりとりで機嫌がよくなり「サービス」などと言っているのは分かっているが、土方はそれを
素直に受け取る気にはなれなかった。

「まだ傷が癒えてねェだろ…。『サービス』とやらはまた今度な。」
「大丈夫だって〜。…あっ、縛ってもいいぞ?ドSな銀さんを縛れるなんて今だけだぜ。」
「いや、だから…」
「ほらほら〜…どこ縛る?腕?足?…あっ、チンコならちょっとだけな?一応、病み上がりだから。
…ん?病気じゃねーから病み上がりは変か?…傷上がり?怪我上がり?」
「何でもいいけど上がってねーだろ。…今日は大人しく寝てろ。」

土方は溜め息混じりに銀時を布団に寝かせた。

「おっ、動きを封じて触り放題的な感じ?じゃあ縛るのは腕だな。」
「だから縛らねェって。」
「たまにはいいじゃねーか。…今日は、お前からも抜けてったりしねーからよ。」
「ったく…分かったよ。」

今日はいつもより強く「土方」を感じたい―銀時はそんな風に思っていた。その思いが僅かでも通じたのか 、
土方は観念して自分の帯を解き、それで銀時の両手首を軽く一つに纏めた。

「もっとぎゅっとやれよ。」
「今日は抜けてかねぇんだろ?」
「それは、まあ…」
「だったらこれで…」
「んっ…」

銀時も漸く納得し、纏められた両腕を頭の上に上げた。


*  *  *  *  *


「んっ…あっ、あぁっ!」


下に履いていたものは全て脱がされ、上衣は肌蹴た状態で銀時は布団の上、仰向けに寝ている。
頭の上の両手首には土方の帯が絡まっており、剥き出しの下半身は土方に咥えられ、指を二本
ナカへ挿入されていた。


「あぁっ!そこっ…もぅ、イク!」
「んっ…」
「やっ!ダメっ…イクって!あ…ああぁっ!!」


一物を吸われながら前立腺を刺激され、銀時は土方の口内に精液を放った。
土方はそれを全て飲み込むと、傍らに置いていたティッシュで銀時の下半身と自分の手を拭い、
銀時の寝巻きの合わせを閉じる。

「ちょっ…何してんだよ。」
「一度イケば充分だろ?」
「…これで終わる気か?」

腕の拘束も解かれ、銀時はムッとしながら身体を起こす。

「まだ本番シてねーじゃん。」
「怪我人相手にそこまでできるかっ。」
「じゃあお前どーすんの?こんなになっ…あれっ?」

銀時は着流しの裾を割り、下着の上から土方の股間を握る。けれどソコはほとんど反応を示していなかった 。

「えっ…何で?」
「だから、怪我人相手にヤる気にはなれねェって言ってんだろ。」
「そんなこと言ったって、可愛いコイビトの乱れる姿を見たらフツーは興奮するもんだろ?」
「…怪我してる上に縛られてる状態を見て、どう興奮するってんだよ。」
「拷問プレイみてぇで滅茶苦茶興奮しねェ?」
「テメーと一緒にすんな。」

土方は短く息を吐いて、銀時を再び布団に寝かせる。

「じゃあさ…これから普通にヤろうぜ。」
「もう今日はいいって。…寝るぞ。」
「…次会う時、覚えてたらサービスしてやるからな。」
「そりゃどーも。」


銀時が土方の手首を掴んで引き寄せ、二人は抱き合って眠りに就いた。


(11.05.22)


えっと…すみませんでしたァァァ!土方さん、大してカッコよく書けなかった…。銀さんが銀さんらしくあるために、自分の想いは二の次にする土方さんと、

そんな土方さんをありがたいと思いながらも、(精神的な意味で)たまには縛られたい銀さんを書こうとしたのですが、なんだかいつものノリで、エッチに

積極的な銀さんっぽくなってしまった…^^; 違うんですよ!銀さんが好きなのは、エッチじゃなくて土方さんです*^^*

というわけで(?)リクエスト下さった匿名希望主婦A様、ありがとうございました。そして、ここまでお読みくださった皆様、ありがとうございました!

 

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