おまけ


万事屋と恋人同士になってから半月が過ぎた休日前の夜。一緒にメシを食っていると、
今夜は何処かに泊まらないかと誘われた。
その意味が判らないほどバカじゃねェ。
俺は黙って頷いた。



*  *  *  *  *



「先、シャワー浴びてこいよ。」
「ああ…」

宿に着き、風呂場に向かい、着物を脱ぐ。
何だか…ドキドキする。
ヤるのが嫌なわけじゃねェ。むしろ、アイツが俺なんかとヤりたいと思ってくれたのが嬉しい。
…とても嬉しい。物凄く嬉しい。

その反面、幻滅されたらどうしようとも思う。
自分と同じ体格の男を抱いて、万事屋は楽しいんだろうか?せめて俺がもう少し小さいとか若いとか…
そしたらまだマシだったかもしれねェ。
そんなこと、今更どうにかなるもんじゃねェが考えずにはいられない。
折角恋人同士になれたんだ。少しでも長くこの関係を続けたい。
だからといって今すぐ俺が変われるもんでもねェし…

結局、悩みは解決しないまま「その時」はやって来た。
ベッドの中央に俺が寝て、その上に万事屋が…

「土方…」
「万事屋…」

万事屋の顔が徐々に近付いてきて、唇同士が触れ合った。
その瞬間、

「んん!?」

全身の血液が一気に湧き立つような感じがした。
心臓がバクバク動いて、送り出された血液がある一点に向かって流れ込む。
まだキスだけ、それも唇と唇が触れただけ…にもかかわらず俺の身体は歓喜に満ち、それを快感に
置き換えていった。

万事屋の舌先が俺の唇を辿る。…マズイ。この状態で舌なんか入れられたら…
だが万事屋を拒むなんてことが出来るわけもなく、俺は少しだけ口を開いた。


「んん〜っ!!」
「…えっ?」


万事屋の舌が俺の口内に滑り込んだ途端、俺のモノは堪え切れずに弾けた。
嘘だろ…。キスだけで…しかもこんなに早く…。
口が離れたところを見ると、万事屋も俺の事態に何となく気付いたはずだ。きっと呆れているだろう。

「あの…脱がせていい?」
「………」

浴衣を脱げば下着一枚になる。先程出したモノで濡れている下着一枚に…
俺の状況を確認するためなのかもしれないが、そんなみっともない姿を見られたら終わりだ…。
だが万事屋が「脱がせる」と言っているのにそれを断るというのも…

俺は頷くしかなかった。

万事屋が俺の帯を解き、浴衣の合わせを左右に開く。
視線が俺の股間に向いている…気がする。
俺は自分の状況もそれを見た万事屋の反応も見たくなくて、キツく目を閉じていた。

「…キスだけでイッちゃった?嬉しいなぁ〜。」
「…う、れしい?…何でだ?」
「嬉しいに決まってるじゃん。俺、土方をもっともっと気持ち良くしてあげたい。」
「もっとって…」
「遠慮せずに沢山イッてね。」

万事屋は笑顔でそう言って、俺の胸に顔を埋め、乳首をペロリと舐めた。


「ああっ!」


…今のは俺の声か?こんな甘ったるくて高い声が俺から出たのか!?
嫌だ…こんな声、これ以上万事屋に聞かせたくねェ…。


「ハッ…ぁ…くっ!」


万事屋の舌が動くたび、漏れそうになる声を必死になって堪える。
女じゃねェのに、こんな所を舐められてヨがってるなんて恥ずかしくて堪らない。
なのに体は万事屋の温もりに喜び、万事屋が触れた所全てから快感を生み出していく。
俺は歯を食いしばり、拳を握り締めて声を抑えた。


「うっ!…くっ、ぁ…んんっ!」
「ねえ…声、聞かせてよ。」
「…は?」
「声。…我慢しないで。土方が感じてる声、聞きたいから。」
「だ、だが…」
「じゃあ続けるぜ。」
「ああっ!」


万事屋の舌が再び胸の上を這うと、耳障りな嬌声が俺の口から漏れる。
…本当に我慢しなくていいんだろうか?


「ああっ!あっ、あっ…ハッ…あっ!」


けれどそのうち、醜態を晒しているという羞恥心までもが快感にすり替わっていく。


「あっ!くっ…ああっ!!」


音がするほど強く乳首を吸われ、俺はまたしてもイッてしまった。

下着の中が二回分の精液でぐちゃぐちゃになり気持ち悪い。
だがそれ以上に、呆気なく達してしまう自分が情けなくて仕方がない。一度ならず二度までも…
流石に呆れられたに違いない。
そう思っていると、万事屋がいきなりガバリと抱き付いてきた。

「よろず…」
「…もう我慢できねェ!」
「あっ…」

抱き付かれて、万事屋のモノが硬くなっていると判る。…俺で興奮してくれたのか?

「万事屋…」
「…入れていい?」
「ああ。」

万事屋が身体を起こして自分の浴衣を脱いでいく。俺もドロドロになった下着を脱ぎ、浴衣も脱いだ。
万事屋のモノは真上を向いていて、本当に俺で興奮してくれたのだと嬉しくなった。
…そしたらまた、俺のモノも勃った。…俺の身体、反応早過ぎじゃねェか?くそっ…


「横になって、足開いてくれる?」
「ああ。」

言われた通り仰向けに寝て、膝を立てて足を開く。
万事屋は足の間に座り、何処からかローションのボトルを取り出して自分の指に絡め…えっ?
俺は慌てて起き上がり、万事屋を制止した。

「な、なにを…!」
「何って…入れる準備だろ?」
「まさか、その指を俺の中に入れる気か?」
「当たり前だろ?…お前、何処に何を入れると思ってんだよ。」
「お、俺の中に、その…お前の……ナニを…」
「…分かってんじゃん。でもいきなり突っ込んだら傷付くから、まずは指でね。」
「………」
「はい。分かったら寝てー…」
「あ、ああ…」

マジでか!?万事屋がこんな汚ねェ所に指を…。
俺が傷付くとか気にせず、そのローションを自分のモノに塗って突っ込めばいいのに…。
一応、大丈夫なように風呂場で慣らしてきたし…

それを言ってやれば万事屋の手が汚れずに済むけれど、触れて欲しい気持ちもあり、伝えられなかった。
万事屋の手で俺の入口にローションが塗られ、そしてゆっくりと指が一本入ってきた。


「ああっ!!」
「うわぁ…」


まただ…。また、あっという間にイッちまった…。しかも今回は出る所をバッチリ見られた…。
もう絶対に呆れられた…

万事屋の指が引き抜かれ、これで終わりだと思ったのに、二本まとめて入ってきた!


「ああっ!」
「すげぇ敏感…。また勃ってきてる。」
「やっ…ああっ!」


俺の中を万事屋の指が出たり入ったりしている。
もうダメだ…。恥ずかしくて情けなくてみっともなくて嬉しくて気持ちよくて…
頭に靄がかかったようで、何が何だか分からない…。


「あっ、あっ、ああっ!!」


またイッた気がするけど、万事屋の指は動き続けていて、俺はずっと感じ続けていた。


「ああぁっ!!」


万事屋の指が引き抜かれ、遂に熱くて硬い万事屋のモノが俺の中に挿入された。


「ああっ!!あっ…んんっ!…ひあっ!!」
「すっげ…。イキっぱなしかよ…」


万事屋が腰を持ち上げるから、俺の出したモンが顔にかかる。
それにすら煽られて感じてしまう。万事屋から与えられた快感ゆえのものだから…


「ああっ!!くぅっ…あっ!ああぁっ!!」
「はあっ…すげぇ締め付け…。気持ちいい…」


万事屋の言葉をちゃんと聞きとる余裕はないけれど、どうやら俺の中で感じているらしい…。
また嬉しくなって、気持ちよくなった。


「ああっ!!ハッ…はあんっ!!」
「ヤベっ…俺もすぐイキそう…」
「ああああ…!!」


*  *  *  *  *


気付いたら、万事屋の腕に抱かれて眠っていた。
まだ頭の中がふわふわして、夢の中の出来事のように感じる。本当に俺は万事屋に抱かれたのか…?
本当だったら幸せだな…。とりあえず、これが現実かどうかはもう一度起きた時に考えよう…

俺は再び万事屋の腕の中で目を閉じた。


(11.03.30)


銀さん大好き土方さんの初エッチ話でした。「おまけ」にしてはボリュームがありすぎですね^^; この土方さんは、銀さんと手を繋ぐだけでもイッちゃいそうです(笑)

憧れの銀さんが自分に触れるなんて嬉しくて仕方ないんでしょうね。銀さんもちゃんと土方さんのこと好きなのですが、まだ伝わりきれてない感じです。

今回のおまけを書いてみて、土方さん視点のエッチってあまり書いたことがないと気付きました。このように今までと違うことに挑戦できるのもリク小説ならではです。

リクエスト下さったmai様、alice様、ありがとうございました!そしてここまでお読みくださった皆様もありがとうございました。

 

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