皆さんこんにちは。志村新八です。今日は皆さんに僕の悩みを聞いてもらいたくてお呼びしました。
……え?お前なんかに呼ばれて来たわけじゃない?新しい話がアップされたと聞いて来ただけ?
期待して来てみればいきなり新八でガッカリ?
そこまで言うことないだろォォォォォ!!分かってるよ!こっちだってこのサイトの傾向くらい
分かってるよ!本当は僕だって、僕のファンが作ったサイトに出たかったよ!でも仕方ないだろ!?
僕だってレギュラーキャラの一人なんだから、こうして出て来ることだって時には必要なんだ!
それなのにそれなのに……
そこまで言うことないだろォォォォォ!!
……え?私が悪かった?新八くんの悩みを話してくれ?
あ、そうですか?こちらこそ、ヒートアップしちゃってすみませんでした。色々ストレスが
溜まってたもので……。あれ?なんか「どうせ銀土のことに決まってる早く話せウヘヘ」とか
聞こえた気が……
泣いてもいいですか?
いいやせん〜バカップルの日常〜
「美味い!銀時は料理の天才だな!」
「え〜、そんなことないよぅ。あっでも、十四郎に食べさせてもらったら美味しいかも♪」
「そうか?じゃあ、あーん……」
「あ〜ん…………美味いっ!十四郎は美味しく食べさせる天才!」
「銀時の料理が美味いんだよ」
ここは万事屋の居間。依頼者が来れば事務所にもなるこの場所で、朝っぱらからいちゃつく
バカップル。しかも二人きりでもないのに。そんなはた迷惑なカップルの片割れが僕の上司で、
もう一人が警察の幹部だなんて……悩むのも当然だと思うでしょう?
会えば喧嘩しかしない二人がどういうわけか付き合うようになって数ヶ月。
銀さんからそのことを聞かされた時にはとても驚いたものだけれど、今はそんなことよりも
二人の付き合い方に驚いて悩んでしまうほど。
とにかくベタベタベタベタ……人目があってもお構いなしなんだ。
昨夜は土方さんが泊まりに来たから、神楽ちゃんも定春もウチに泊まった。
僕はそのまま土方さんが帰るまで家にいようと思ったのに、神楽ちゃんがご飯目当てに行きたいと
言うから仕方なく……
確かに、土方さんが来た時の食事は銀さんも気合い入ってるし、土方さんが手土産にお菓子を
持って来てくれるから豪華だ。だから神楽ちゃんは二人を無視して食べまくって上機嫌なんだけど、
そこまで食に執着しない僕にとっては我慢できない状況だ。
「わぁ、すっげぇ美味そう!」
今、銀さんは土方さんがくれたプリンの箱を開けて目を煌めかせている。
それくらいならまだ微笑ましく見られるんだけど、この後どうせ……
「十四郎ありがとう!でもね、そんなに気を遣わなくていいんだよ?俺達は夫婦みたいなもん
なんだからさ」
「それはそうだけど……」
ほらね……いつ約束したのか結婚前提になってる銀さんと、夫婦発言にツッコまない土方さん……
またバカップルがいちゃつきだした。
「銀時が喜んでくれると、俺も嬉しいからつい……」
「俺にとって、十四郎に会えること以上の喜びはないよ」
「銀時……俺も……」
「十四郎……」
二人は手を取り見つめ合う。……ああ、この後絶対キスするな。
ほらした。
男同士のキスシーンなんてかなり珍しいはずなのに、今やすっかり見慣れたものになってしまった。
最初に来た頃は人前でそこまでやるなと文句を言ったこともあるんだけど……
* * * * *
「十四郎……」
「銀時……」
「「ん〜……」」
「ちょ、ちょっと二人とも!何してんですか!」
「おいおい新八、お前キスも知らねェのか?」
「何で僕らの目の前でするのかって言ってるんです!ねぇ、神楽ちゃん?」
「二人はラブラブアルな」
「まあな」
「まあな」
そしてまた二人はキスをする。
この頃はまだ神楽ちゃんも二人を見て面白がっていて、けしかけるようなことも言ってたっけ。
「ねぇねぇ、トッシーは銀ちゃんの何処が好きアルか?」
「全部っ!」
そう言って土方さんは顔を両手で覆う。キャッ言っちゃった、とでも聞こえてきそう。
でも正直なところ、僕より体は大きいし声は低いし、どこから見ても立派な男である土方さんが
そんなことしても……と僕は思うのだけれど銀さんは違うみたいで、
「銀ちゃんは?トッシーの何処が好きアルか?」
「全部っ!」
さっきの土方さんと全く同じ仕種をしてみせた。
「真似するなよ〜」
「だって十四郎が可愛かったんだもーん」
「可愛くねぇよ。……銀時は可愛かったけど」
「え〜、十四郎の方が可愛いよ〜」
いや……二人とも可愛くねぇよ。ていうか……
「人前でベタベタするの止めてくれません?」
「十四郎、俺達ベタベタしてるか?」
「してねぇよな?」
「うんうん、普通にしてるだけだよな」
「いや……ベタベタしてるじゃないですか。そんなくっ付いて」
「これは自然の摂理だよな、十四郎?」
「磁石みたいな感じ?」
「そうそう、引かれ合っちゃうんだから仕方ない」
「運命ってあるんだな〜」
「そうだよね〜」
「いい加減にしろバカップル!人前でキスするのが非常識だって言ってるんですよ!!」
頭の中までバカになったらしい二人にも分かりやすく話してあげたつもりだったのに……
「は?なに言ってんだ?ここは俺ん家だぞ?」
「だからそういうことではなくてですね……」
「なあ、銀時……もしかして俺達が外でもこうだと思ってるんじゃねぇか?」
「あぁそういうこと……。外ではやってねぇよ。十四郎は警察官なんだから、デートしてるって
バレたら示しが付かねェだろ?だから人目がある所じゃ友達のフリしてんだぜ?」
「悪いな。俺と付き合ったばっかりに……」
「そんなことないよ。俺、仕事してる十四郎も大好きだから。あの制服、似合ってるよね〜」
「そうか?俺はお前が着た時、似合ってるなって思った。まあ、お前は何着ても似合うけど」
「十四郎だっていつもカッコイイよ」
「あの!」
気付くと二人の世界に入っていくバカップルに、声を張り上げて自分の存在を主張する。
まったく……なんだってこんなことに労力を使わなくちゃいけないんだ。
「さっき銀さんは、人目がある所で友達のフリしてるって言ってましたけど、僕や神楽ちゃんは
『人』じゃないって言うんですか?」
「ンなこと言ってねーだろ。オメーも神楽も俺達の関係知ってるじゃねーか」
「それはそうですけど……」
「だったら演技なんてする必要ねェだろ?恋人として自然な振る舞いで……」
「いやでも、キスまでしなくたって……」
「両親の仲がいいと子どもも健やかに育つって言うからな」
「誰が両親で誰が子どもだ!」
「俺達ァ血の繋がりこそねェが、家族みてーなもんだろ?なあ、神楽?」
「そうアル。万事屋全員……銀ちゃんも定春も新八のメガネも私の家族アル」
「何でそこメガネ?」
「つーわけでだ新八、俺達は家族同然で俺と土方は夫婦同然。つまり、お前らの親同然だ。
すごいだろ、土方は。俺のことを好きになってくれただけじゃなく、お前らの面倒を見る
決心までしてくれたんだから」
「別にすごくねェよ。銀時の大事な人は俺にとっても大事なだけだ」
「それはとてもありがたいんですけど……」
「……もしかしてお前、土方のこと認めてないのか?こんなに素晴らしい土方のことを!」
急に銀さんの表情が険しくなり、その上傍らの木刀片手に立ち上がったものだから、
僕は慌てて「違います」と弁解した。
「お二人があまりに仲睦まじくてビックリしただけです!末長くお幸せに!」
* * * * *
よく分からない勘違いで怒り出した銀さんの迫力に負けて、認めるようなことを言ってしまった。
そういえばあの後神楽ちゃんからも、もっと確り注意しろって怒られたんだっけ……。
神楽ちゃんもあの頃から迷惑だとは思ってたんだな。
目の前の皿が全て空になり、神楽ちゃんはごちそうさまと言って席を立つ。僕もそれに続いた。
もうここに用はない。さっさと出て行くに限る。
というわけで皆さん、僕の悩みを分かっていただけましたか?羨ましいなどと言わずに、
何かいい案があったら教えて下さいよ。あの二人を別れさせろとまでは言いません。
せめて……せめて、あの二人に早く倦怠期が訪れる方法を……どうかお願いします!!
おまけも付けますから、どうか一つ、宜しくお願いしまァァァァァす!!
(12.03.26)
118000HITキリリクより「超ラブラブな銀土」でした。ラブラブ、ということでバカップルにしました*^^* そういえばバカップルな銀土ってあまり書いてなかったかも?
土方さんは基本的にツンデレですからね〜。でもこんな風にデレデレな土方さんも偶にはいいかと。……あっ、ですが新八は困っているみたいなので、
よろしければ拍手等から感想という名の打開策を送って下さると嬉しいです(笑)
そして、新八が最後に言ったように「おまけ」を付けました。リクエスト下さった方がコメントの中でお仕事をされていると仰っていたので18歳以上だと踏んで
おまけは18禁です(若くして働かれている方でしたらすみません)。それでは18歳以上の皆様、おまけに相応しい短さですが、こちらからどうぞ。→★