後編
「あ、あの…今日、ガキ共は?」
「大丈夫。オメーが具合悪くて寝てるから、外に出てろって言ってある」
「で、でも…やっぱり、その…」
「まぁた『俺と付き合わない方が幸せ』か?違うって言ったろ?俺はお前といられれば幸せなの!
お前が俺のこと思ってくれてんのはすげぇ嬉しいけどよ…今から初エッチって時に別れようとすんなよな…」
「は、初エッ…えぇっ!?」
「…この状況なんだから当然だろ?」
現在万事屋には二人しかおらず、土方は再び布団に寝かされ、銀時が上から抱き締める体勢になっている。
「そ、そんな…」
「…銀さんなんかとヤりたくない?」
「ちっ違う!そういうワケじゃ…」
「じゃあいいよなっ?」
「あ…ぅ……んんっ!?」
銀時は自分の唇を土方のそれに重ねた。土方は驚愕の余りいつもよりも瞳孔を開かせて硬直してしまう。
その隙にと銀時は土方の帯を解き、前を肌蹴させたところでふと手を止めた。
「なあ、土方…お前、どっちヤりたい?」
「ど、どっちって…?」
「だから…突っ込む方と突っ込まれる方」
「…つっ!?」
「なあ…どっち?」
「ほ、本気、なのか?」
「…当たり前だろ」
「……。じゃあ…お前の、好きな方で、いい」
ここまできて漸く観念したようだが、それでもまだ自分の希望を言わない土方に、銀時は心の中で溜息を洩らす。
銀時とて好きな人の望みを叶えてやりたい気持ちはある。でも、何を言っても土方は銀時を優先させようとするだろう。
そこで銀時はあることを思い付いた。
「今日は俺が上になるから、次は土方が上ね」
「つ、つぎって…」
「次は次だよ。一回きりってこたァないだろ?…ダメ?」
「だ、だめじゃ…ない」
「じゃあ決まり〜」
選べないなら両方させればいい―そうすれば土方のやりたいことが分かるかもしれないと銀時は考えていた。
* * * * *
土方の着物を脱がせ、自身も着物を脱いで生まれたままの姿になると銀時は、もう一度唇を重ねた。
「口、開けて?」
「えっ…んっ!…んんっ!」
口が薄く開いた瞬間に素早く口付け、舌を捻じ込む。
逃げるように奥へ引っ込む土方の舌を吸い出し、絡め取っていくと土方の身体がビクビクと震えた。
唇はそのままに下肢へ手を伸ばすと、土方が銀時の腕を掴んだ。
「なに?触っちゃダメ?」
「お、前の手が…汚れる、からっ」
「…俺は触りたいんだけど…ダメなの?」
「う…」
銀時が望めば断れないことを分かっていて敢えて訊いた。
おずおずと手を離した土方に「ありがとう」と言って銀時は土方の一物を握る。
「んっ…んっ!」
一物を扱かれると、土方は腰を震わせて感じ入る。
「なあ…声聞かせて?」
「んんんっ!」
手で口を覆い、目をギュッと閉じている土方に、銀時は優しく囁くように言う。
それでも首を横に振る土方の手を半ば強引に外すと、銀時は自分の指を二本土方の口に咥えさせた。
「なるべく噛まないでね〜」
「う…んぐ……んあっ!」
一物を握っていた手を動かすと、閉じられなくなった土方の口から嬌声が漏れる。
銀時は緩急をつけて扱き、時折口内の指で舌を弄んだ。
「あっ…んうっ…あぁっ!」
土方の腰はビクビクと震え、目尻には涙が溜まっていた。
「イキそう?」
「ふぅ…んく…ふあっ!」
「…イキそうだね」
限界の近付いた土方を追い立てるように、下肢を擦るスピードを上げた。
「んぅっ!…あぅ、はんっ…んうっ……ああっ!!」
最後に大きく身体を撓らせて土方は達した。
銀時は出たものを指に絡めると土方の脚を大きく開かせ、後ろの窄まりに触れる。
「ひっ!」
「慣らすから…ちょっと我慢してね」
入口の皺を丁寧になぞってから、ゆっくりゆっくりと指を一本挿入する。
第二関節辺りまでナカに埋めたところで、銀時は土方の口内から指を抜いて訊ねる。
「痛い?」
「いたく、ない…」
「…本当に?」
「ああ…」
「良かった…」
「ひぅ!」
「あ、痛かった?」
ナカを解そうと銀時が埋めた指を動かすと土方から悲鳴じみた声が上がった。
だが銀時が「痛い?」と聞いても土方は首を横に振る。
「キツかったら言ってね」
「わかった……はぅっ!」
土方を気遣いながら、できる限り緩やかに指を出し入れする。
「はぁっ、はぁっ…」
「土方…大丈夫?」
「あ、ああ…」
「もう一本、増やすよ」
「んっ…はっ……くぅっ…はぁ、はぁ…」
多少の抵抗感はあったものの、何とか二本の指を納めることに成功する。
今度は一本の時よりも更に丁寧に、ゆっくり馴染ませていった。
「そろそろ…いいかな?」
「んっ!」
二本の指を引き抜くと、枕元に用意してあったゴムを装着し、土方の腰を抱えて入口に自身を宛がう。
「う…あ…くぅっ!」
「ご、めん…痛い、よな?」
「…ぃたく、ないっ」
初めて男を受け入れたソコはとても狭く、銀時も苦痛を感じる程だった。
それでも自分より辛い思いをしているはずの土方を宥めようと、頭を撫でたり身体をさすったりする。
「大丈夫、大丈夫だから、力抜いて…」
「う…ぁ…」
「深呼吸してみよっか?そう、ゆっくり…」
「はっ…ぁ…はぁ…」
土方の身体を労わるように、時間をかけて少しずつ少しずつ奥に進んでいく。
そして遂に銀時のモノが全てナカに入った。
「ふぅ…全部、入ったよ。…分かる?」
「あ、あ…」
「土方…大好き」
銀時は土方に覆い被さって抱き締める。
体勢がキツくなった土方は短い呻きを洩らした。
繋がった箇所から銀時の熱が伝わり、身体の中が次第に熱くなってくる。それと同時に抱き締められている体表面も熱くなってくる。
外と内から伝わる熱が、己に対する銀時の愛情なのだと気付いた時、土方は身体の奥底から暖かいものが湧き上がってくるのを感じた。
銀時の愛に応えたい――土方は銀時の背にしっかりと腕を回した。
それは、初めて自分の意志で動いた瞬間だった。
「ひじ、かた?」
「…すき、だ。俺…ずっと、お前のこと、好きだった…」
「うん…俺もだよ。…ずっと、こうしてみたかった」
いつの間にか土方の瞳からは大粒の涙が零れていた。
「す、き…。…っまえが、す…き…」
「うん。うん。俺も好きだよ」
涙で途切れ途切れになりながら、生まれて初めての愛の告白を何度も何度も繰り返す。
そんな土方の想いを銀時は余すことなく受け止めていた。
一つになった二人は当分の間、抱き合ったまま愛の言葉を交わし合うのであった。
(10.01.18)
10,000HIT記念アンケートより「銀←土で片想いから両想いになる感じの切ない話」でした。銀←土っぽい冒頭書いただけで土方さんが可哀想になってきたので、すぐに銀→←土になっちゃいました。
そしてシリアスエロを目指して途中で終了…すみません。いらないとは思いますが、リクエストいただいた睦月様のみお持ち帰り可です。もしサイトをお持ちで「仕方ないから載せてやるよ」って時は拍手からでもご一報下さいませ。
日記に後書きと睦月様へのメッセージを載せております。
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