バカップルより性質(タチ)が悪い


「銀さんって本当に土方さんと付き合ってるんですか?」
「あぁ?」

今日も依頼のない万事屋。
いつものように銀時と神楽がそれぞれのソファで寝そべり、新八が掃除や洗濯をしている。
少しは手伝えだ何だと小言を言っていた新八がふと思い出したように言ったのが冒頭の質問である。

「だから、銀さんと土方さんって本当に付き合ってるんですか?」
「当たり前だろ?冗談で付き合ってるとか言うかよ」
「でも…何だか全然そんな雰囲気ないじゃないですか」
「あっ、それ私も思ってたネ」

むくりと神楽も起き上がり新八に同意する。

「神楽ちゃんも?」
「そうネ。銀ちゃんとマヨラー見てても恋人同士って感じがしないアル」
「何だよソレ…。こないだだってウチに呼んだじゃねェか」
「そりゃあ土方さんが来てココでご飯食べたり、泊まっていったりすることもありますけど…」
「ただの友達同士みたいに見えるアル」
「どう見えるかなんて知らねェよ…何だ?ヤってるとこでも見せれば満足か?」
「いや…そんなことは言ってません」

相変わらずソファに寝そべったままの銀時が面倒臭そうに応え、新八は即座に否定する。

「私もそんなの見たくないネ。でも…もっとラブラブした方がいいと思うヨ」
「ラブラブって何だよ…。いい年した野郎同士でそんなんしたらキモイだろ?」
「それはそうなんですけど…何だか二人を見てると、本当にお互いのこと好きなのかな?とか思えて…」
「ったく…好きだから付き合ってんだろーが」
「じゃあ銀ちゃんはマヨラーのどこが好きアルか?」
「んなモン決まってんだろ?ふぁ〜…全部だよ全部」
「……えっ?銀さん、今、何て言いました?」
「だから、全部」
「「………」」

欠伸をしながらではあったが銀時の貌は真剣そのもので、冗談を言っているようには見えない。
聞き間違いかとも思い念のためもう一度聞いてみたが、やはり同じ答えが返ってきた。
顔を見合せて黙ってしまった新八と神楽を訝しみ、銀時がゆっくりと起き上がる。

「おい、どうしたんだよ。いきなり黙って…」
「あっすいません…。えっと…銀さんは、土方さんの全部が好きなんですか?」
「ああ。当然だろ?アイツに悪いトコなんかねェし…」
「例えば…何にでもマヨネーズかけるのは悪いトコじゃないアルか?」
「アイツはマヨネーズが好きなんだから、かけたっていいだろ?」
「いやでも、かけ方が尋常じゃないじゃないですか」
「めちゃくちゃマヨネーズが好きなんだろ?何だよ…オメーらマヨネーズ嫌いだったか?」
「別に嫌いじゃないですけど、あそこまでは…」
「マヨネーズで思い出したけどよ…どんな料理もマヨネーズひとつで土方スペシャルになるんだよな」
「ああ、そうアルな…」
「それってすごい発明じゃねェ?アイツって天才かもな…」

腕を組んで「アイツは天才だな」と頷く銀時を、新八と神楽は信じられない思いで見ていた。
銀時に聞こえないよう、新八が神楽に耳打ちする。

「神楽ちゃん…銀さん、どうしちゃったのかな?」
「分からないネ。何か、変なものでも食べたんじゃないアルか?」
「少し前までは普通だったのに…。あっ、僕らがもっとラブラブに、とか言ったからかな?」
「でもラブラブはキモイって銀ちゃん言ってたヨ」

「おーい、何だよ二人でこそこそ…」
「い、いや、何でもありません」
「そんで話の続きだけどよ…やっぱ、土方って天才だと思わねェ?」
「いっ言われてみれば…」
「そうかもしれないアルな…」
「…オメーら顔が引きつってんぞ。ンだよ、そっちから聞いてきたくせに俺の話聞いてなかったのか?これだからガキは…」
「はははっ…ぼ、僕らにはまだ早かったかもしれないなーなんて…ねっ、神楽ちゃん?」
「そっその通りアル。もっと大人にならないと銀ちゃんの話は難しいネ!」
「しょーがねェな…」
「ああっ!そういえば洗剤が切れてるんだった!僕、買いに行ってきます」
「私、定春と散歩してくるアル!」

新八と神楽は逃げるようにして万事屋を飛び出していった。


*  *  *  *  *


「…ってことがあったんだけどよー、沖田くんなら分かるだろ?土方って天才だと思わねェ?」
「旦那ァ、それマジで言ってんですかィ」

一人でごろ寝するのに飽きた銀時は、パチンコでもしようと表へ出た。
パチンコ屋へ行く前に通りがかった団子屋で休憩中の沖田を見付け(恐らくサボりであろう)先程のやりとりを話した。

「マジだけど?あれ〜、もしかして沖田くんも人の話をちゃんと聞けないお子ちゃまか?
ったく最近の若者はなってねェな…」
「いや、話は聞いてやしたが、あのマヨラー野郎のどこが天才なんだかサッパリ…」
「ハァー、大人びて見えてもやっぱりまだまだ子どもだねー。
沖田くんだったら俺よりも土方との付き合いは長いんだから、分かってくれると思ったんだけどなぁー」
「旦那は…土方さんが天才だと思ってるんで?」
「ああ。アイツって本当にすげェヤツだよな…あんなに完璧な人間、俺ァ見たことねェよ。
どんなに評価されてるヤツでもさ、人間どっかしら欠点はあるもんだろ?なのに土方ときたら…もしかして、神?」
「ああ…マヨネーズの神様かもしれませんねィ」
「そうだよなァ…アイツ何でも完璧だけど、マヨネーズの使い方は特にすげェからな…」
「………」

嫌味も通じない銀時に沖田がほとほと困り果てた時、山崎が走ってやってきた。

「ハァ、ハァッ…探しましたよ隊長」
「…どうしたんでィ」
「勝手に携帯切ってサボってるんだから…副長、めちゃくちゃキレてましたよ」
「そりゃあ大変だ!じゃあ旦那、俺はこれで…」
「ああ、じゃあね〜」
「あっそうだ。山崎だったらさっきの話、分かるかもしれませんぜ?」
「えっ、話ってなんですか?」
「旦那に聞いてくれィ。俺ァ、急いで屯所に戻らねェと…」
「えっ、ちょっ…」

普段なら、土方から直接怒鳴られたって涼しげな表情を崩さない沖田が、珍しく慌てている。
山崎は不思議に思いながらも走っていく沖田を見送った。

「それで…話って何なんです?」

今まで沖田がいた席に腰掛け、山崎は銀時に話を振る。…数分後に激しく後悔することになるとも知らずに。

「新八と神楽に話しても、沖田くんに話しても分からねェって言うんだよ…。
誰が見たって分かりそうなもんだけど…ガキには難しいみたいでよー」
「そうなんですか?俺に分かるかな…」
「ジミーだって、沖田くん程じゃねェみたいだけど俺よりは付き合い長いワケだし…」
「付き合いって?」
「土方だよ」
「ああ、副長のことを話してたんですか」
「そっ。アイツってさァ…マヨネーズの天才だと思わねェ?」
「………えっ?」
「あっ、そりゃあアイツには欠点なんかねェけど…特にマヨネーズの使い方に関しちゃ、天才的だと思わねェか?」
「そっそういえば、そうかもしれませんね…。副長みたいにマヨネーズを使う人、見たことないですもんね」
「だろ!?やっぱりジミーは分かってくれると思ってたよ!」

滅多に見ない煌めいた瞳で満足そうに頷く銀時の横で山崎は、ここにいない沖田へ恨みの念を送っていた。

「じっじゃあ旦那、俺も仕事に戻らなきゃいけないんで…」
「あっ、そうか。いいなァ、土方と一緒に仕事できて…」
「はははっ…仕事中の副長はすっごく怖いですけどね」
「それはオメーらが真面目に働かねェからだろ?あんまり土方を怒らすんじゃねェよ」
「そ、そうですね…だったら急いで戻らないと。それじゃっ!」
「じゃあね〜」

山崎は来た時以上のスピードで屯所へ帰っていった。


*  *  *  *  *


「酷いじゃないですか、隊長!」
「あぁ?何のことでィ」

屯所に戻った山崎は真っ先に沖田の元へ行った。

「旦那のことですよ!旦那をあんな状態にしといて俺に押し付けるなんて酷いです!」
「何言ってるんでィ。俺ァ何もしてねェや…」
「そんなわけないでしょう?いきなり『アイツって天才だと思わねェ?』って聞かれた俺の身にもなって下さいよ!
『昨日のドラマおもしろかったよね?』みたいな軽いノリであんなこと聞かれたんですよ!俺の気持ち分かりますか!?」
「ああ、よーく分かるねィ。何てったって経験者だからな…」
「経験者って…まさか、隊長も?」

沖田の言葉で山崎の怒りは急激に終息した。

「最初は冗談かと思ってたんだが…ありゃマジだな」
「えっ…俺、旦那から副長の話聞いたのって初めてなんですけど…いつもあんななんですか?」
「俺だって初めてでィ。帰る途中でチャイナに会ったんだが、チャイナも今日初めて聞いてビックリしたって言ってたな…」
「そうなんですか…。旦那と副長が一緒にいるところは何度か見たことがあるんですけど、その時は何ていうか
あれっ?本当にこの人たち恋人同士?って感じで…いや、仲悪く見えるってワケじゃないんですけど…」
「俺も見たことあるから分かる。確かに全然恋人同士って雰囲気じゃねェよな。
ただの友だちっつーか、むしろ知り合いくらいの感じで…」
「そうそう、そうなんですよ!甘い雰囲気なんか全くなくて、ただ知ってる人同士が一緒にいるだけみたいな…。
かえって局長と副長の方が仲良く見えません?」
「そうだな…あの二人だって恋人には見えねェが、肩組んだり互いを褒め合ったりして仲が良いな」

「トシはすごいな」「近藤さんの方がすげェよ」とよく言っている二人の姿を、沖田と山崎は思い出していた。

「そうでしょう。だから副長と旦那が付き合ってるっていうのは未だに信じられなかったんですよ。でも…」
「旦那は随分と土方さんに熱を上げてるみたいだな…」
「本当ですよね。真顔で『土方に欠点はない』って言い切ってましたからね」
「普段とキャラが変わらねェとこが逆に怖ェな…」
「いっそのこと、ニヤけるとか真っ赤になるとかしてくれた方がいいですよね…キモイだろうけど」
「ああ、その方がマシだな」
「…副長は知ってるんですかね?」
「さあな…聞いてみるかィ?」
「えっ…」

沖田は山崎を連れて副長室へ向かった。


「土方さーん、ちょっと聞きてェことが…」
「…仕事のことか?」
「違いますぜィ」
「じゃあ後にしろ」
「旦那のことでさァ」
「…銀時の?」

恋人の名前が出たところで漸く土方は仕事の手を止めた。

「…山崎も銀時の話か?」
「はい、まあ、そんなところで…」
「旦那は土方さんのどこが好きだか知ってますかィ?」
「ああ?んなこと知るかよ…」
「知りたくありませんかィ?」
「別に…知る必要もねェしな。必要なのは銀時が俺といて幸せかどうか、それだけだ。
アイツが俺のことを好きだと思ってくれている間は、ずっと傍にいてやるのが俺の役目だからな」
「へぇー。じゃあ土方さんから旦那をフルなんてことはあり得ないんですねィ」
「当然だろ?俺はアイツを幸せにするために生まれてきたんだからな」
「………」
「………」

真顔でとんでもないことを言い出した土方に、沖田と山崎は顔を見合わせた。

「おい、どうした?話はそれで終わりか?」
「えっと…ちなみに土方さんは、旦那のどこがそんなに好きなんですかねィ?」
「どこがって…全部に決まってるだろ?アイツの悪いところなんか一つもねェからな」
「そ、そうですか…」
「いやー、完璧な人間って本当にいるんだな。驚いたぜ…あっ、もしかしてアイツは地上に舞い降りた天使、とか?」
「あー、そうかもしれませんねィ。じゃあ土方さん、俺ァ仕事に戻るんで…」
「あっ、俺も仕事に戻ります!」
「おう。もうサボるんじゃねーぞ」

沖田と山崎は逃げるように副長室を後にした。


「副長も怖いですよ!あれは本気で旦那を天使だと思ってる目でしたよ!」
「旦那を幸せにするために生まれてきたなんて言ってたな…とんでもねェバカップルでィ」
「バカップルなんてかわいいもんじゃないですって!恐怖の二人組って感じですよ!」
「おぉ!それピッタリだな…」
「俺、もう怖くて副長とも旦那とも話ができないですよ」
「俺だって嫌だねィ」

その日から、沖田と山崎は恐怖の二人組に怯える日々を過ごした。



*  *  *  *  *



それから数日が経ったある夜、土方は居酒屋のカウンターに座り一人で酒を飲んでいた。
ガラリと店の扉が開く音がして、入って来た客は土方の隣に座る。

「悪ィ、悪ィ…待ったか?」
「ああ。一時間以上待ったな」

一時間以上も遅れてやってきたのは彼の恋人・坂田銀時。
漸く来た待ち人に土方は不機嫌さを隠そうともしない。

「そこはさァ…俺も今来たトコ、とか言うべきじゃね?」
「あん?テメー、俺にそんなコト言われて嬉しいか?」
「……あっ、キモイな。そんなこと言われた日にゃ天変地異の前触れかと思うな」
「だろ?…まあ、オメーが時間通りに来たら俺も同じこと思うだろうな」
「はははっ…そうかもなー」


およそ恋人同士らしからぬ彼らの言動をつぶさに観察している四人がいた。
山崎、沖田、新八、神楽―最初の二人は土方を、後の二人は銀時をつけて来ていて合流したのだ。
四人は二人に聞こえないよう、小声で会話する。

「…二人とも、いつも通りだな」
「そうアルな…アレ以降も銀ちゃんはいつも通りだったネ」
「まあ、僕らが敢えて土方さんの話題を避けてたんですけどね」
「副長も特に変わったところはありませんでしたよね、隊長」
「ああ…。だが、だとしたらあん時の恐ろしいまでの入れ込みようは何だったのか、説明がつかねェや」
「やっぱり、変なものでも食べたんじゃないアルか?」
「じゃあ、副長も一緒に食べたってこと?」
「それしか考えられないネ」
「それも考えられなくはねェが…」
「銀さんと土方さんが揃っておかしくなったっていう確証がほしいですよね」
「確証って言ったって、どうやって確かめるネ?」
「簡単な方法があるけど…確かめるのが怖い気もするな」
「山崎、言ってみろィ」
「…この前と同じ質問を二人にするんですよ。それで違う答えが返ってきたら、この前は何かの理由でおかしかった
ということになります。でももし同じ答えが返ってきたら…」
「二人は恐ろしいくらいに愛し合ってるってことですよね」
「うん…」
「それは確かめるのが怖いですね…」
「でもやってみるしかねェだろ…いつまでも土方の野郎に怯えて暮らすなんざ嫌でィ」
「私もやるネ!これ以上、銀ちゃんとギクシャクするの嫌アル」

その後も四人で話し合い、山崎と沖田が銀時に、新八と神楽が土方に質問することで決定した。
銀時はともかく土方は、子どもの前で堂々と惚気ることはないだろうと考えての役割分担だった。



*  *  *  *  *



翌日。土方が山崎と市中巡廻していると、向こうから新八と神楽がやってきた。
実は昨日の作戦を実行するためにあらかじめ二人に今日の巡回ルートを教えておいたのだ。

「あっ、土方さん山崎さんこんにちは」
「こんにちはヨ〜」
「おう」
「二人だけなんて珍しいね。旦那は一緒じゃないのかい?」
「ええ…家で寝てるんですよ」
「今日は銀ちゃんがご飯作る日なのにいつまで経っても起きないアル。私もう腹ぺこヨ」
「……あー、じゃあその辺でメシ食ってくか?」
「そんな金あると思ってんのカ?」
「俺が出すから…」
「えっ、でも…いいんですか?土方さんはお仕事中じゃ…」
「ちょうど昼時だしいいだろ。…山崎も一緒に来るか?」
「あっ、じゃあそうします」

昨夜土方は、居酒屋で銀時と飲んだ後に万事屋へ行き、明け方近くまで睦み合った。
銀時が起きられない原因は自分にあると思い、子どもたちにご馳走することにしたのだ。

四人は近くのファミリーレストランに入った。


「いや〜、土方さんって本当に優しいんだね。ねっ、神楽ちゃん」
「何言ってるカ、新八。銀ちゃんが起きられないのコイツのせいに決まってるネ。…お前、昨日ウチに来たんダロ?」
「ちょっ、神楽ちゃん!」
「ああ…悪かったな」

起きない原因を見破っていた神楽に土方は素直に謝罪する。
そこをすかさず新八がフォローした。

「べっ別に土方さんのせいじゃありませんよ!仕事のない日はいつも銀さん、昼頃まで寝てますから」
「そうか…アイツは本当によく寝るヤツだな」
「全く…少しは土方さんを見習って真面目に働いてほしいですよ。
あんなグータラじゃ、そのうち土方さんに愛想尽かされるんじゃないかと心配で…」
「何言ってんだ…俺がアイツを捨てるなんざ有り得ねェだろ?」
「…何でそんなことが言えるアルか?」
「俺ァ、アイツを幸せにするために生まれてきた男だからだ」
「「「………」」」

新八と神楽と、ついでに山崎も聞いているところで土方は言い切り、三人は絶句した。

「…どうした?もう食わねェのか?」
「へっ?ああああ食べます!神楽ちゃん、早く食べて帰ろう。土方さんたち仕事中だし…」
「そ、そうアルな!」
「おいおい…そんなに慌てなくてもいいんだぜ?」
「いいいいや、お仕事の邪魔しちゃ悪いですから!」
「…じゃあこれで帰るネ。ごちそうさまヨー」
「ごちそうさまでしたァァァ!」

二人は逃げるようにしてレストランを飛び出した。



「神楽ちゃん…やっぱり土方さん怖いよ」
「目がマジだったネ。本気で銀ちゃんのために生まれてきたと思ってるアル」
「どどどうしよう…もう怖くて近寄れないよ!」
「落ち着くアル新八…まだ銀ちゃんがいるネ。銀ちゃんはもう治ってるはずネ」
「そっそうだよね!銀さんは大丈夫だよね!」


数時間後、彼らの期待は見事に裏切られることになる。
夕方近くなって漸く活動を始めた銀時を沖田が団子屋に誘い、さりげなく土方の話題を振ったところ
先日と全く同じ答えが返ってきてしまったのだ。



*  *  *  *  *



「オメーよ、その仏頂面もう少し何とかなんねェの?」
「あん?どういう意味だコラ」
「新八と神楽がよー…オメーのこと怖がってんだよ。ほら、前はたまに皆でメシ食ってたけど最近は二人ともいねェだろ?」
「…そういやぁいねェな」
「オメーが来るっつーと逃げるように出て行っちまうんだよ。
『二人の邪魔しちゃ悪いから』とか何とか言ってっけど、ありゃ、絶対ェオメーに怯えてる顔だって」
「知るかよ…。そんなこと言ったらテメーだって怖がられてんぞ?」
「へっ、俺が?誰に?」
「総悟と山崎と…この二人に何か聞いたらしい他の隊士達も怖がってたな」
「えー、何だよソレ…。俺ァお前と違ってフレンドリーだぜ?」
「何がフレンドリーだ…。大方、金がなくてタカられたとか強請られたとかそんなんじゃねェのか?」
「天下の真選組にカツ上げなんかするかよ…」
「テメーならやりかねん」
「酷ェな、おい」
「はははっ…」


世界中の皆が恋人の魅力を知っていると信じて疑わない二人には、恐怖の出所など想像もつかないだろう。
誰もが関わりたくない程に愛し合っている恋人達は、今日も二人きりで熱い夜を過ごすのだった。

(10.01.16)


10,000HIT記念アンケートより「二人とも乙女じゃないけど、甘々で胸焼けしそうな、砂吐きそうな、目を背けたくなるようなベタカップル」でしたが…作者は「乙女じゃない」をかなり履き違えてます^^;

というか、二人でいる場面がほとんどないし、肝心のベタベタしてるシーンをカットって!あっ、でもこれ、リクエストして下さった方が「匿名」様でしたので差し上げられないから、リクと違ってもいいか(笑)

…そういう問題じゃないですね。すみません。いつかリベンジしたいです。日記に後書きとリクエスト下さった方へのメッセージを載せております。

 

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