後編


結局、土方と銀時は屯所に戻らず近くの連れ込み宿に入った。
銀時は布団の上で金時からもらった名刺を眺めている。
「万事屋金ちゃん 社長 坂田金時」と書かれた横に、住所と電話番号、ホームページのURLも書いてある。

「へぇ〜、ホームページなんか持ってんだ…。そういやぁアイツ、高そうなスーツ着てたな。
万事屋って何でも屋ってことだろ?何でもやるから儲かんだな。…俺も転職しようかな?」
「やめとけ。お前みてェなグータラは、自営業になったら生きるだけでギリギリになるぞ」
「そんなことねェよ!銀さん器用だから何でもできちゃうよ?」
「確かにテメーは器用だが…基本怠けてるから、休めるだけ休もうとするだろうな。
それに比べてアイツは偉いよな。ガキ二人とデカイ犬まで養ってんだからよ…」
「けっ、俺だってなぁ…」
「給料もらって一週間で使い切るヤツには、自営業は無理だって」
「今月はたまたまだって!パチンコであんな負けるなんて初めてだよ!あー、屯所に食堂があって良かった〜」
「ほら見ろ。…だからテメーはずっと真選組にいればいいんだよ」
「あっ、もしかして…オメー、銀さんがいなくなっちゃうと思って自営業ヤメロとか言ってたの?」

ニヤニヤしながら顔を覗きこんでくる銀時に、土方は「そんなんじゃねェ」と返して顔を背けた。

「大丈夫だって。銀さん、どこにも行かないから」
「だからそんなんじゃねェって!」
「はいはい…」
「…でも、まあ、万事屋にはたまに顔出してやれよ」
「とりあえず、今日の金届けなきゃいけないしね」
「そんだけじゃねェだろ?アイツだってお前に会いたいからわざわざ名刺まで渡してきたんだろ」
「そうかなぁ…ただ金に厳しいだけみたいな気もすんだよなぁ」
「だったら屯所に取り立てに来れば済むことだろ?」
「うーん…」
「万事屋も身寄りがねェみたいなこと言ってたから、今日オメーに会えて喜んでるんじゃねェか?」
「…俺とアイツに何か関係があるって決まったわけじゃねェし」

銀時は名刺を持ったまま、ゴロリと横になった。土方もその隣に寝そべる。

「…だが、関係がないとも確定してないだろ?」
「そうだけどさ…。だからって別に俺が万事屋行かなくてもさァ…」
「何だ?離れて育った兄弟(かもしれないヤツ)に今更会うのが恥ずかしいのか?だったら俺も付いていってやるぞ」
「恥ずかしいっつーか…だって、アイツ多分、お前のこと気になってるもん」
「はぁ?」
「お前が自販機の上で寝てた時、やたらつっかかってきたんだよ。わざとらしく『アンタの彼氏』とか言ってさァ」
「…さすが兄弟(かもしれないヤツ)。好みも一緒なのか」
「そういう問題じゃねェって!」

違う所に感心してる土方に、銀時がツッコミを入れる。

「まあ、それは冗談だが…万事屋が俺とお前の関係を気にしてるんだとしたら、それは俺じゃなくてお前に対してだと思うぞ」
「へっ?どういうこと?」
「だから、せっかく出会えた兄弟(かもしれないヤツ)にカッコイイ恋人がいたんだ。
兄弟(かもしれないヤツ)と仲良く酒でも飲みたかったのに、その隣にはカッコイイ恋人がいて…」
「オメー、自分のことカッコイイとか言うなよ…」
「事実だろ?…つまり、万事屋はオメーともっと話したかったのに、俺が邪魔だったんだ」
「そうかねェ?」
「ああ。…だから、今日の礼はお前一人で届けろよ」
「それくらいならいいけど…」

土方は、まだ納得いかない様子の銀時を抱き寄せた。



*  *  *  *  *



「ふっ…んんっ…はっ、あぁ…」


土方の手が肌を滑るたび銀時から甘い声が漏れる。
二人とも下着一枚の姿で、土方が銀時を後ろから抱えるようにして座っている。
肝心なところを避けるようにして動く手に、銀時は我慢が出来なくなり、土方の腕を掴んだ。


「もっ、焦らすなよ…」
「…焦らしてねェよ」
「焦らしてんじゃねェか…」
「…どこか触ってほしいとこでもあんのか?」
「テメー…ドSの俺に言葉責めか?いい度胸してんな…」
「ンなんじゃねェよ。テメーが欲しいもんは全部くれてやるって言ってんだ。…で、どこがいいんだ?」
「そんなん…決まってんじゃねェか…」
「ん?…ココか?」
「あぁっ!」


両方の胸の飾りに土方の指が触れ、銀時の身体はビクンと跳ねた。


「んんっ…あっ、あっ、あっ…」


土方の指の動きに合わせて銀時は断続的に声を漏らし、それと同時にビクビクと腰が震えた。


「すげェな…。いつもより感じてんじゃねェか?」
「あっ!…っるせぇ、酒、の…せい、だっ」
「そうか。じゃあ、もっと触ってやる」
「あっ…そこは、もう…あぁっ!」


頂を引っかくように爪先で刺激したかと思えば、焦らすようにその周りをクルリと指の腹で撫でられる。
そして、緩い刺激に堪えられなくなった瞬間を見計らったように、二本の指でキツめに摘まれる。
銀時の前は完全に勃ち上がり、下着を押し上げていた。


「ふぅ、あっ…もっ、や…」
「…コッチにほしいか?」
「んっ…はぁっ!」


銀時が頷くのとほぼ同時に、土方は下着越しに銀時の股間を掴んだ。
それだけで銀時は一際高い声を上げて背を仰け反らせる。


「あぁっ!…やっ、も…ダメ…」
「一回イッとくか?」
「っの前に、脱がせ…ふぁっ!」


土方は銀時の下着の中に手を入れ、直接扱きながらもう一方の手で下着を脱がしていく。


「あっ…んんっ!もっ…イク!あ、あ、あ、あ…っああ!!」


銀時から出たモノを自身の手で受け止めた土方は、そのまま後ろの窄まりへ手を伸ばした。


「ひっ!ちょっ…待っ…」
「悪ィ、もう待てねェよ…」
「あっダメっ!ひぁっ!そ、そこは…あぁっ!!」


指で快楽点を押されると、銀時の身体から力が抜けてしまう。
背中を土方の胸に預け、土方の腕にしがみついていないと銀時は姿勢を保てなくなっていた。


「指、増やすぞ」
「だから待てって…ひあぁっ!やっ、ダメ!あぅっ!!」


一度達したはずの銀時のモノは回復し、再び真上を向いていた。


「あぁ…あっ…はぁあっ!」
「もう、大丈夫か?」
「んんっ…い、いよ…」


埋め込んでいた二本の指を抜き、銀時の腰を浮かせて自身も下着を脱ぐと、土方はゆっくりと奥へ向かって進んでいく。


「ふぅっ…はぁ…」
「…んか、いつもより、熱い気がする」
「バ…だろ…。テ、メーも…酔って、からじゃ、ねェの…」
「そうか…はぁー、全部入ったぜ」
「んっ、分かってる…」



銀時のナカが馴染むのを待ってから土方は律動を始めた。


「ああっ!…はっ、あっ…っああ!!」


指とは比べようもない質量に、銀時は叫ぶように喘ぐ。


「ひあっ!!…っあ、はぁっ!…あぁっ!」


感じれば感じるほどナカは複雑に蠢き、土方のモノに絡みついていく。


「くっ…すげェな…」
「はあっ…あぁ!…やぁ、ああっ!」


あまりの気持ちヨさに長くはもたないと感じた土方は、銀時の前を擦りながら腰の動きを速くした。


「やあぁっ!だめっ!…ああっ!イッ、ちゃう!」
「いいぜ…イケよ」
「あぁっ!…ああっ!はぁんっ!あっ、あっ、あ…っあああ!!」
「はっ…くぅっ!!」


再び土方の手を汚して銀時は果て、土方もその直後に銀時のナカに放った。



*  *  *  *  *



「なあ…やっぱり万事屋へ行くの、俺も一緒にいいか?」
「あ?何だよ急に…」

後処理を終えた二人は、宿の浴衣を着て布団の中にいた。

「万事屋は俺のことを歓迎しないかもしれないが…やはりお前の家族(かもしれないヤツ)にはきちんと挨拶を…」
「挨拶って何だよ…。つーか、さっきから勝手に兄弟だの家族だのって決めんなよ。そんなんアイツも迷惑だろ」
「そうか?だが、まあ、俺は万事屋をお前の家族だと思ってるぞ。だからアイツには失礼がないようにしねェとな」
「…まさかテメー、アイツに気があんじゃねェだろーな」
「ヤキモチか?可愛いじゃねェか……もう一回、ヤるか?」
「はぁ!?なんでそうなるんだよ!」
「お前が可愛いのがいけねェ」
「アホか!死ね、エロ方!」


恋人たちのじゃれあいは明け方近くまで続いた。



*  *  *  *  *



物心付いた時にはひとりだった
最初からひとりだったから足りないとは思わなかった
仕事を通じて心を通わせられる大切な仲間と出会えた
そんな仲間と一緒に笑って過ごせれば最高だと思ってた
今だって仲間が大事なことに変わりはない
だけど……

もしアイツが「家族」なら

俺は最初からひとりじゃなかったんだ

確かめたいけど確かめない
ひとりじゃない喜びを味わってしまったから
ひとりに戻ったら足りないと感じてしまうから
だから……

アイツは「家族かもしれない」存在でいいと思う

(10.01.06)


10,000HIT記念アンケートより「W副長&万事屋金ちゃん」でした。初めてのパラレル設定なので気合入れて書きました!でも気合いは空回り…最後、無理矢理いい話にしようとしておかしな感じに^^; 

金さんと銀さんの関係はお任せとのことでしたので「謎」ということにしました。いらないとは思いますが、リクエスト下さった典雅様のみお持ち帰り可です。

もし「仕方ないからサイトに載せてやるよ」って時は拍手からでもご一報くださいませ。日記に後書きと典雅様へのメッセージを載せております。

 

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