後編
「…………」
「どうした?」
すぐにベッドへ雪崩れ込んだものの、そのまま行動を起こさない銀時に土方が首を傾げる。
「ごめん……化粧、落としてくれる?」
「ああ。」
銀時は土方から離れ、土方はメイクを落とすため一旦ベッドから下りた。
「鬘も取るか?」
シート状のメイク落としを顔に滑らせながら土方が問う。
「リボンだけ、取ってくれれば……」
「そうか。」
メイクを落とした土方は髪のリボンを外し、ヘアゴムで束ねているだけの状態になった。
「俺、女の格好やめた方がいいか?」
ゲイである銀時にとって、例え外見だけでも女性であることはマイナスなのだろうと土方は感じていた。
「大丈夫だよ。女の子の格好は似合ってると思うし、お前は好きで着てんだろ?」
「でもお前は女に興味がねェじゃねーか。」
「土方は土方の好きな格好をしてよ。ただ、女の子とエッチする気にはなれねェから、その時だけ
ちょっと男っぽくしてほしいだけ。」
「男っぽくも何も、男だけどな。」
自ら服を脱ごうとした土方の手を銀時が掴んで止める。
「こっから先は俺がやるから。」
「ん……」
土方を正面から抱き締めて唇を合わせてから、銀時は土方を再びベッドへ押し倒した。
「んっ……」
重ねていた唇を離し、銀時は土方の腰を跨いでブラウスに両手を掛ける。
ボタンを一つ一つ外していく銀時を見上げながら土方は思う。
「お前、意外と不器用なんだな。」
「はあ!?」
言われた銀時は心外であるとばかりに眉を顰めた。
「そりゃあ、お化粧したり髪の毛可愛く結んだりできる土方くんには負けますけど、俺だって……」
「そういう事じゃねーよ。前のお前ならキスしながら服脱がすくらい簡単にやってのけてた気がして。」
土方の言う「前」とは記憶にある前世の銀時のこと。けれど、前世の記憶があるとはいえ、
今の体は今の人生で身に付けたことしかできない。
そもそも「前世の記憶」とは、二人で過ごしたエピソードを幾つか思い出せる程度で、以前の時代に
得た知識などはほとんど覚えていない。もしもそれら全てを覚えていたとしたら、とてもじゃないが「今」を
生きることなどできないだろう。彼らはその時々で差し障りのない記憶だけを無意識に取捨選択して
幾つもの人生を共に送っていたのだった。
だから今回は不器用な体に生まれたのかと、そんなつもりで土方は言ったのだが、銀時はそれは違うと
反論する。
「女物は脱がしにくいんだよ……。女の子脱がしたことなんてねェし。」
「……そんなに違うか?」
「違うんだよ!俺もな、合わせが逆なだけでこんんんんなにやりにくいとは思わなかったから!」
「そういうもんか……」
土方は今、女性物のブラウスを着ているため男性物のシャツとはボタンの掛け方が逆になっている。
けれど、主に私服は女性物、仕事着は男性物と両方着る機会のある土方にとってそれは些細な違いに思えた。
「それとさ……スカートってどうしてファスナーが横だったり後ろだったりすんの?統一しろよ!」
「……俺が知るかよ。」
ホント面倒臭ェ……文句を言いつつ銀時はブラウスの前を開くと、その下に着ていたキャミソールを
ブラジャーごと上に捲り上げ、土方の胸を露わにさせる。
「横着すんな。ちゃんと脱がせろよ。」
「いや……男のカラダに女モンの下着っつーのは意外と萌えるんで。」
「ワケ分かんねぇ。」
「だってさァ……ブラジャーの下はペッタンコだし、こっちは膨らんでるし……」
「んんっ……」
銀時はスカートの中に手を入れ、土方の股間に触れた。
「あっ、ん……」
右側の乳首に吸い付き、左側は左手で摘まみながら右手で股間を揉むと、そこは下着に収まりきらない程
嵩を増していく。
「可愛いパンティーから頭が出て来た♪」
「……もう全部脱がせろ。」
「やだ。勃起チ○コとパンティーのコラボが変態っぽくて興奮する。」
「テメー……」
「今度はもっとエロいパンティー履いてよ。紐パンとかTバックとか……」
「何言ってんだテメー。」
土方はあくまで「普段着」として女性物を愛用しているため、銀時のような下着に興味はなかった。
「ンなもん、持ってねーよ。」
「そうなの?じゃあ今度プレゼントするね。」
「どっちが変態だよ……。もう、普通にヤれ。」
「おっ……」
土方は体を起こして銀時のパジャマのズボンと同時にずり下げ、出て来たモノを咥えた。
「あの…土方くん?」
「ん〜?」
銀時のモノを咥えたまま土方が返事をする。
「この体勢だと、土方くんの男らしいところが見えないなァ……なんて。」
「ったく……だからとっとと脱がせばよかったんだ。」
「まあまあ…。俺、横になるから跨いでよ。」
「チッ……」
舌打ちをしながらも土方は求められるとおりに銀時を跨いで、再度股間に顔を埋める。
銀時は土方のスカートを捲って下着を脱がせ、後孔に指を挿入した。
「ん、んぅ……」
一物の挿入に耐えられるよう指を二本、三本と増やしながら土方の孔を丁寧に解していく。
けれど銀時は一物にも内部の快楽点にも触れようとせず、徐々に土方は焦れていった。
「おい、もう……」
「もうちょっと。」
「いいから。」
「あ……」
土方は自分で腰を引いて銀時の手から抜け出すと、下着を脱いで一物の上に腰を下ろした。
「あ、ああ……」
太い杭で貫かれる感触に土方の身体が震える。
そして土方は銀時の腿に手を突き、本能の赴くまま腰を揺らし始めた。
「あっ、あっ、あっ、あん!」
「ちょ、ちょっと待って土方……こっち向いて!」
「あ?……あ、んっ!」
億劫そうに振り返りながらも土方はゆっくりと腰を動かし続けている。
感じ入っているところを非常に申し訳ないと、銀時は土方を宥めるようにスカートの上から腰をさする。
「ごめん。これだとスカートで肝心なところが隠れて微妙なんだけど……」
フレアスカートが結合部をすっぽり覆っており、銀時からは土方の後ろ姿―長い髪とブラウスと
スカート―しか見えない。上がる喘ぎは男性のそれであるが、普段の話し声よりは幾分高めである。
あまりに「女性らしさ」が溢れていて、銀時にしてみれば楽しめる光景ではなかった。
それを察した土方は、腰の動きを止めずに言う。
「んっ……なら、カラダ、起こして、前、見てろ……」
「こ、こう……?」
土方の意図は全く分からないものの、とりあえず言うとおりに身体を起こして背面座位の体勢になる。
「ちゃんと前、見てろよ……」
「う、うん。……あらま、大胆。」
銀時の視線の先には姿見。
鏡の中で目が合うと、土方は艶のある笑みを浮かべながら膝を立てて脚を広げていく。
それから脚の間に残ったスカートの裾も引けば、鏡に二人の繋がりがくっきりと映し出される。
「テメーの好きな、チ○コと女モンのコラボだぜ?」
「いいね……すっげェ燃える。」
土方の脚が閉じないよう銀時は膝を曲げて胡坐をかき、下から突き上げるように律動を始めた。
「あっ…あん!あんんっ!!」
土方の趣味を認めてくれる銀時と、そんな銀時に応えて大胆になる土方と、そんな土方のいじらしさに
喜ぶ銀時と、銀時の喜びを喜ぶ土方と……何度目か分からない程の生涯を共に過ごしてきた二人であったが
今回も無事出会えたことに安堵していた。
生まれ変わったら、もっとコイツに相応しい存在になれますように。
(11.07.15)
多少「理想」と違っていても、この二人にとっては互いが一番なんです。そんなことが表現できてたらいいな・・・。そしてまたしても設定を盛り込み過ぎて
説明が多くなってしまいました^^; 前世の記憶の件、分かりにくかったらすみません。全部覚えているわけではなくて「前もコイツと一緒にいたな」ってくらいの
記憶があるってことです。今回、ゲイ×女装子が中心でホスト設定を全く活かせてないことに今気付きました^^; 金時×トシーニョじゃないなコレ・・・
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
追記:企画室にこの二人の土誕小説アップしました→★
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