浴衣をはだけて辱めを受けながらいっぱいいっぱいの土方さん


屯所に程近い居酒屋に、土方十四郎は部下を連れて飲みに来ていた。
いや、部下の中に沖田もいるから、連れて来られたのは土方の方であろう。
屈強な男達が十名も入るとやや手狭な個室で、一つの座卓を囲んでいる。注文の取り纏めや
飲み過ぎた隊士の対処は山崎に任せ、支払いまではと土方も自分のペースで酒を楽しんでいた。
とそこへ、店員でもない男が障子を開けて入り込んだ。

「土方くんみーっけ」

男の名は坂田銀時。一人カウンターで飲んでいたところ、知った声がして確かめに来たようだ。
靴を脱いで座敷に上がった銀時は土方の隣に腰を下ろすと、あたかも自分のものかのように
目の前のグラスを呷った。

「ぷはーっ!」

銀時の頬はとうに染まり、瞳はいつにも増して眠たげ。もう一杯とビール瓶に伸びる手を土方が
止めた。

「もうやめとけ」
「えーっ」

土方くんのケチ――唇を尖らせつつも銀時が土方に体を預けると、俄かに周囲がざわめき立つ。
この二人が恋人同士であることはこの場にいる皆が知っていた。だが実際に二人の恋人らしい
様子を見たのは初めてだった。本当に付き合っているのかと疑いたくなるほど、普段の二人は
素っ気ない。仕事中に出くわしても「よう」と一言。稀に土方が銀時と電話で話しているのも
聞くけれど、待ち合わせ時間と場所を事務的に告げて終わり。

それが今はどうだ。

土方しか見えていない様子の銀時に、満更でもない表情の土方。酒を絶たれた銀時は土方に
熱視線を送っていて、キスでも仕掛けそうな雰囲気だ。大好物のパフェよりもずっとずっと
甘ったるい声で土方を呼ぶと、

「エッチしよ?」
「「ぶふーっ!!」」

土方はもちろん、部屋にいた全員が吹き出すような爆弾発言。当の本人は「汚ぇな」とまるで
他人事で、土方の腰に抱き着き体を揺する。

「なあ、エッチ。今月まだ二回しかしてねーぞ」
「ちょ、ちょっと黙っててくんない?」
「黙ってたらヤんのか?俺はもう帰るつもりねーからな?」
「わっ分かったからちょっと……」

土方を気遣い、聞こえぬ振りをしてくれる部下達。その隙に銀時を宥めるも、この状況下で
黙ってはいられない男がもう一人いた。

「土方さんはそんなに具合がいいんで?」

沖田総悟である。何の衒いもなく「まあね」と肯定した銀時に、沖田はドS王子の名に相応しい
笑みを浮かべた。

「それは良かったですねィ」
「イイよ〜。長さも硬さも太さも俺の穴にジャストフィット!」
「おいぃぃぃぃぃっ!」

残念ながら、土方のツッコミくらいで大人しくなるドSコンビではない。

「旦那がネコでしたか」
「銀さんは人間ですぅ……なんちゃって」
「楽しそうですねィ」
「でも沖田くんにはあげないよー」
「あ、こら……」

あかんべーをして土方に抱き着く銀時は、その首筋に強く吸い付いた。掛け衿のすぐ上、小さな
紅い印にマーキング完了と満足げに笑う。

「なぁ早くホテル……」
「お、おい……」

土方の懐に手を差し入れて、直にその胸板を撫でる銀時。エスカレートしていく行為に土方は
言い聞かせて止めることを諦めた。

「いいっ今行くから。先に靴履いてろ」
「りょーかーい」

ふらつきながら自分のブーツを探す銀時は上機嫌で、未来の世界の猫型ロボットの歌を
口吟んでいる。

「あったまてかてーか、さーえてぴっかぴーか……」
「おい山崎」
「あ、はい」

銀時の分も含めてこれで払えと土方は山崎に現金を渡した。ついでに、今見たことは早く忘れろと
軽く脅して。
尤も、一番口止めしたいのは沖田なのだけれど。

こうして土方は酔っ払いを伴いホテルへ向かうのだった。


*  *  *  *  *


ホテルに到着してからも銀時は酔いが醒めることもなく、それどころか望みが叶えられたことに
浮かれていた。エレベーターを待つ間、自作の歌を口ずさむ。

「土方くんのーチンコは〜、銀さんの〜お尻にーい〜……ジャストフィーッ!」
「静かにしろっ!」

ぱしりと後頭部をはたくも、

「今日は土方くんがドS?うんうん、新鮮でいいねー」

そういうプレイだと勘違いして悦ばれる始末。顔馴染みとなった受付にいる年配の女性からも
「ラブラブで羨ましいわ」などとからかわれ、ますます居た堪れなくなる土方であった。


部屋に着いて漸く一息。いつになく煙草が旨いと感じる。その間も銀時は赤裸々な実体験に
基づく歌を歌い上げていたが、ギャラリーがいないだけでかなり穏やかに聞けた。
しかし、待望のホテルへ入れた酔っ払いにとって、煙草一本分でも長時間。自分の帯を解きに
かかった。

「チャララララ〜」

オリーブの首飾りをBGMに「客」の前で帯を振り回し、最後に土方へ投げ渡す。
着火しないようにと避けながら土方は曲が違うと思ったが口に出さなかった。おそらく銀時が
やりたかったのは「タブー」。「ちょっとだけよ」の曲として有名なあれだろう。だがうろ覚え
だからか泥酔のためか、手品の曲になっている。

短くなった煙草を灰皿へ押し付け立ち上がった土方。

「踊り子には手を触れないでくださーい」
「……触れなくていいのか?」
「あ、うそうそ。おにーさんカッコイイからお触り自由!」

容易に手の平を返す銀時が愛しく思えて、その奔放に跳ねる髪をくしゃりと撫でた。

「シャワー浴びてくるから待ってろよ」
「え〜何それ……あ、放置プレイ?」
「ああ、そうだ」

全くもってそんなつもりはなかったけれど、銀時のいいように解釈させることにする。
どうせ待つなら楽しく待てた方がいい、そう考えて。
いそいそとベッドへ転がる銀時は、言われなくても着物を脱いでいた。



「銀時……」
「土方……」

待ちに待った瞬間。愛し合う二人はベッドで抱き合い、深く深く口付けを交わす。銀時は既に何も
身に着けておらず、一方の土方は備え付けの浴衣を着ていた。
銀時は土方の上に乗る形で唇を離し、浴衣の衿を左右に開き、褐色に色付く胸の頂に吸い付く。
おい、と制止の声がするも構わず吸い続けた。

「……気持ち良くねぇ?」

好きにさせてくれたのは良かったが、土方はうんともすんとも言わない。不満げに乳首弄りを
やめた銀時には「まあ、いいっちゃいいけど」と言外に大した快感はないと告げる。ここなら
自分が吸い付きたかったし、銀時がしてくれるならもっとダイレクトに性感を得られる所に触れて
ほしかった。今まで幾度も体を重ねてきてここを愛撫されたことは一度としてなかったのだから。
しかし、土方のこの態度は銀時をあらぬ方向に燃えさせてしまう。

「じゃあ土方くんは、何処をどうしてほしいわけ?」

口調こそ穏やかだが、瞳の奥に光るものがあったのを見逃さず、土方は慎重に言葉を発した。

「どうしてっつーか、俺にさせてくれないか?」
「俺に触りたいの?」
「ああ。……頼む」

請われて来たのに何故――と納得いかないところもあるが、所詮相手は酔っ払い。まともな理屈は
通用しないし、翌朝になれば忘れているかもしれないと下手に出ておく。
その目論見は功を奏したようで、銀時の機嫌は回復した。

「そんなに触りたいならいいよー」
「おう」
「で、何処をどうしたい?」
「……は?」

今度の瞳の煌めきはこれからの行為への期待に満ちていて、土方は背筋から冷えるような感覚に
襲われる。

「銀さんの、何処をどうしたい?何でも言うこと聞いてやるよ?」
「や……何処を、つーか、色々と……」
「色々じゃ分かりませーん」
「チッ……とりあえず、ナニをしゃぶらせろ」

感じれば大人しくなるだろうと、この時の土方はその程度に考えていた。酒のせいではしゃいで
いるだけだからと。しかし、

「ナニって、何?」
「……あ?」

銀時の気迫は、酔っ払いの戯言扱いを許さないと訴えていた。

「ほらほら土方くん、何処をしゃぶりたいか言ってごらん?」
「そこ」

局部に伸びた土方の手を避けて後ろに下がり、「そこ」では分からないと銀時が嘯く。膝の上に
銀時を乗せたまま上体を起こし、実力行使に出ようとした土方であったが、それも阻まれた。
両手で自らの股間を隠しているのだ。

「手をどけろ。つーか分かってんだろ?」
「え?もしかして、これをしゃぶりてェの?」
「そうだよ」
「じゃあ、はい」

右手だけを土方の口元に近付け指をひらひら。完全に遊ばれている――土方は悟った。
好きなだけしゃぶって、などと可愛いのは字面のみ。その表情は甚振ることを真に楽しんでいた。

「それじゃねーよ」
「じゃあ何?アレとかソレとかナニとかじゃ分かんないんで、ちゃんと言ってくださーい」
「チッ……」

土方は舌打ちして黙る。積極的に発したい単語ではないが言えないほど恥ずかしいことでもない。
それなのに場の空気が、銀時の作った空気が、土方の羞恥心を大いに刺激していた。
銀時は膝立ちで土方の足を跨ぎ、両肩に手を置く――離れていた距離がまた縮められた。

「土方くんがしゃぶりたいのは、銀さんの何処?」

口付けに適した弾力のある唇を唾液で濡らし、その動きを見せ付けるようにゆっくりと言葉が
紡がれる。肩に置かれた手は、優しく浴衣を撫でつつもはだけさせていった。

自分は誘われただけ。溜まっていたわけでもない。ヤりたいのはそっちだろ……そんな思いは
遥か彼方へ飛んでしまった。

「ち……」
「ち?」
「ち、んこを、しゃぶらせてくれ」
「へぇ〜……」

勝ち誇り弧を描く唇に、土方は顔がカッと熱くなるのを感じた。

「チンコしゃぶりたいんだ?」
「そう、だっ」
「いいよ」

土方の肩を支えに立ち上がり、銀時は自分のモノを土方の唇に押し当てた。いまだ萎えたままの
それは全て口内に納まる。

「んっ……」

求めていた刺激に銀時の身体が強張った。肩から落ちた浴衣が肘の辺りに纏わり邪魔だけれど、
土方は舌を動かしながら不自由な手を銀時の割れ目へ……

「そこはチンコじゃないだろ」
「は?」

快感に瞳を潤ませていてもサディスティックな性癖はご健在。ちゃっかり土方の手をガードして、
触りたいなら言えと目で語る。
酒のせいか硬くならない銀時のモノから口を外し、視線も外して土方は言った。

「ケツも、触らせてくれ」
「それだと、表面だけになるけどいいの?」

人差し指で土方の顎を上げ、目を合わせてニタリ。
瞳孔開き気味の目が見開かれ、顔が赤くなるのにいっそう笑みを濃くする銀時であった。

「それでよければどーぞ」
「……ケツの穴に、入れさせろ」
「入れたいんだ。……何を?」
「とりあえず、指……」
「で?」
「くっ……最後はチンコを入れさせろ!もうテメー、今夜は寝かさねーからな!」
「わおっ!」

開き直った土方は早口で捲し立てて銀時を押し倒す。もう気は済んだのか大人しく仰向けた銀時で
あったが、そこで自身の状態が常と異なることに気付いた。

「勃ってない……」

口淫を施されたはずなのに大きさの変わらぬ股間を右手で揉んでみる。だが一向に変わらない。
その不満は土方へ向かう。

「勃たないんですけど」
「飲み過ぎだアホ。まあ、テメーが勃たなくても問題ねーけどな」
「あ?」

土方としては仕方ないし大丈夫だと慰めたつもりであった。だがこの台詞は、銀時のS心に再び
火を点してしまう結果となる。

「お前、受けにチンコはいらないと思ってるな?」
「そこまで言ってねーよ」
「勃たないチンコなんて飛べない豚と同じじゃねーか!」
「いや……」

意味が分からないと息を吐く土方に銀時は起き上がって抗議する。

「謝れ」
「あ?」
「俺と、世界中の受けの人達に謝れ!」
「あー……すいませんでした」

面倒臭いが酔っ払いの言うことには従っておくのが一番。それに土方の下半身はとうに準備が
できていて、早く繋がりたいというのが本音。

「本気で悪いと思ってる?」
「ああ」
「なら態度で示してもらおうか。俺が勃つようもっと頑張れ」
「分かった」

しかし銀時の股間に触れようとした手は、到達前に振り払われてしまった。そんな普通のことで
成長するムスコではないと。

「もっと気分を高めてくれねーと」
「どうすればいいんだ?」
「そうだなぁ……俺が攻めるつもりで土方くんに触るとか」
「おい……」

浴衣の裾を割り侵入してきた銀時の手。張り詰めたモノを下着越しに掴んだ。

「土方くんのは元気だねぇ。早く出したい?」
「あ、ああ」
「じゃあ、自分でシて」
「は?」

何を言われたのか分からなかった。いや、分かりたくなかったのに、

「ここでオナニーして」
「…………」

明快な指示を出されて絶句。

「土方くんのオナニー見たら興奮して勃ちそう」
「や、そんなことしなくても俺が……」
「つーか見たい。見せて」

土方に拒否権はなかった。胡座をかき、腕を組んで銀時は既に観賞モード。
マジでやるのか?ンなもん見て楽しいか?まあ銀時が一人でするなら見てみたいが……
いや、それとこれとは……
有無を言わせぬ銀時の態度に意を決して下着に手をかけるも、その手は震えている。
にもかかわらず嵩の減らないムスコが憎らしかった。

「はい、ご開帳〜」
「チッ……」

下着のみを脱いで座れば、銀時が裾を開いて勃ち上がったモノを露わにさせた。もうヤケだ――
土方はそれを握り上下に扱く。

「ふっ、くっ……!」
「へぇー、そうやってヤるんだ……」

行為に没頭してしまおうと目を閉じたものの、銀時が口を挟みなかなか集中できず、羞恥心だけが
煽られた。だが間もなく、先走り液が漏れてくる。

「っ……」
「おつゆ出てきた。見られて興奮してんの?」

単純に扱いたせいだと思いたかった。けれどもちろん銀時はそうさせてくれない。

「すっげぇヌルヌル……美味しそう」
「う……」

鈴口に指先が触れ目を開ければ、至近距離で銀時と視線が搗ち合う。

「あ、ごめん。触っちゃった」

続きをどうぞと言いながら土方で濡れた指先を銀時は咥えた。その艶に土方は目が離せなくなる。

「土方くんのって、甘くないのに何で美味いんだろ……銀さんのも美味しい?」
「ああ」

濡れた一物を見下ろして自分の指を三本咥える銀時。くちゅくちゅと音をたてつつ唾液を塗し、
土方の前で足を大きく開いて座った。

「土方くんのチンコ見てたら、我慢できなくなっちゃった」
「っ……!」

三本の指が銀時の中に埋まっていく。その瞳は恍惚としながらも土方のモノを捉えていた。

「あっ、ハァ、ハァ……」
「ぎ、ん……」

眼前の光景に堪らず土方も自身を扱く。その様子に銀時は満ち足りた表情を浮かべた。

「あっ、土方くんっ……」
「銀時っ……」
「いつも、土方くんが……シてる、て、思って……」
「俺も、お前のことをっ……」

互いに互いを思い、自らを高ぶらせていく。銀時のモノも頭を擡げてきた。

「ぎん、ときっ……」
「イキそう?」
「あ、ああ」
「じゃあこっち……」

いっぱい出して、と銀時は自分の入口を広げて見せた。
今度こそ土方は銀時を押し倒し、それからもちろん、明け方まで銀時の嬌声が響くこととなる。

(13.11.12)


ツイッターのガチホモおだいったーに「土方」と入れてみたところ「浴衣をはだけて酷い辱めを受けながらいっぱいいっぱいの土方を描(書)きましょう!」と
いうのが出たので書きました。……そんなに酷くなりませんでしたが^^; 土受けっぽいお題を土攻めで書くのはいつものことですね。
色んな意味でここからが本番なのですが、何せお題が「浴衣をはだけて〜」なのでここで終了します。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
拍手


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