おまけ
「おはよ〜」
「おはようございます」
「おはようございます、銀時様…」
お盆休みも終わった八月の最終土曜日。食堂に下りていくと彼女と十四郎が出迎えた。
…ちなみに彼女は昨日、スイスから帰ってきた。
でも、何か違和感があるような…今日は仕事がないから十四郎が起こしに来ないのは普通だし…何だ?
「あの…何かあった?」
「何もないわ。さあ土方さん、食事にしましょう。…アナタは顔を洗ってらして」
「ああ…」
言われるままに洗面所へ向かおうとして漸く違和感の正体に気付いた。十四郎以外の使用人がいないんだ!
十四郎は食事係じゃないから、いつもは俺の身支度を手伝ってくれるはずだ。
それなのに何だって今日は食事の支度なんか…
「あのさ…他の人たちは?」
「いないわよ」
「はあ!?…十四郎、どういうこと?」
「あの…奥様が…」
「本家に全て引き取ってもらったの」
「何でそんなこと…」
「お義父様とお義母様には夫婦の時間を大事にしたいからって言っておいたわ。
来客の時なんかは本家へ応援を呼ぶことにしましたから。土方さんなら何でもできるし普段は問題ないでしょ」
「それじゃあ十四郎が大変になるだろ!」
俺が彼女に詰め寄ると彼女は目を丸くして黙ってしまう。
「あの銀時様、私なら…」
「十四郎は黙ってて!オイ、どういうつもりだ?」
「…私のやることに反対したのって初めてね」
「反対するに決まってるだろ!この家の一切を十四郎一人にさせる気か?」
「アナタの貯金で、私が何を買ってもどこへ行っても何も言わなかったのに…」
「あの金は親からもらったもんだから好きに使えばいい。でも、それと十四郎に全部やらせるのとは別だ!」
「そんなつもりじゃないわよ。掃除は自動で動く掃除機を買ったし、洗濯だって乾燥までスイッチ一つでしょ?
食事は、今朝は土方さんに作ってもらったけど、大変ならその都度シェフを呼べばいいじゃない」
「そもそも、何で十四郎以外の使用人を実家にやったんだよ」
俺の親に言ったという「夫婦の時間」なんてもんを彼女が大事にしてるとは思えない。夫婦なんて書類上だけだし…。
そしたら彼女はとんでもないことを言ったんだ。
「その方が、アナタと土方さんも安心して仲良くできると思って」
「は?」
「お、奥様…?」
「なっナニ言ってんの?」
「気付いてないとでも思った?書類上とはいえ、一応夫婦として一緒に暮らしてるのよ?」
「う、そ…」
「アナタが土方さんを好きだってことはすぐ分かったし、土方さんのことも見ていれば分かるわよ。
それなのに全然くっつく気配がないからイライラしてたのよね…」
「………」
「………」
俺も十四郎も何も言えなかった。俺達なんか二十年も一緒にいて、ついこの前互いの想いを知ったというのに
彼女は最初から判っていた?女って怖ェな…
「旅行から帰ってきたら二人の間の空気が変わってたから『ああ、漸く』って思ったのよ。
でも世間に堂々と言える関係じゃないでしょ?だったら家の中でくらい仲良くできた方がいいじゃない」
「あの、申し訳…」
「そういうのはいいのよ。私が形だけの『奥様』だって知ってるんでしょ?離婚はしてあげられないけど
アナタ達にも幸せになってほしいとは思っているわ」
「は、はあ…」
「それに、アナタが私に強く出たのって初めてだわ。それだけ土方さんのことが好きなのね」
「あの…」
「続きは食べながら話しましょ?私、友人と約束があるのよ」
「あ、はい」
それから彼女の強い希望で三人揃って朝食をとった。
「じゃあ私、これから友人に会いに行ってきます」
「はいよ…」
「奥様、お食事はいかがなさいますか?」
「そうねぇ…とりあえずいらないわ。必要だったら電話します」
「承知いたしました。それでは奥様…」
「それから、その『奥様』ってやめにしません?人前ではそれでもいいけど…家の中では私も名前で呼んで下さいな」
「かしこまりました。…では、いってらっしゃいませ 様」
「いってきます」
彼女は笑顔で手を振って出かけて行った。
* * * * *
「十四郎、俺の部屋においでよ」
「…はい」
彼女が出かけて二人きりになったので、俺は十四郎を部屋に誘った。
部屋に入ると俺は真っすぐベッドに向かい、その上で服を脱いでいく。
「あ、あの、銀時様?」
「そんな所に立ってないで、十四郎も早く来て」
「は、はい…」
下着一枚になったところで、扉の前で立ち尽くしている十四郎を呼んでベッドに上げる。
「ほら…ベッドに上がったんだから靴脱いで」
「あ、はい…」
「…次は服でしょ?」
「えっ…そ、それは…」
「もう、仕方ないなぁ…」
俺は戸惑う十四郎の服を一枚一枚脱がせていく。十四郎の服を脱がせたのは初めてだ。いつもは俺が脱がされて…
といっても、十四郎は着替えるのを手伝ってくれてるだけで、今俺がしてるのとは全然違うんだけどね。
「あ、あのっ銀時様…一体、何を…」
「何って…決まってんじゃん。エッチしよ?」
十四郎はさり気なく俺の手から逃れて後退っていく。でも俺だって止められない。
「十四郎!」
「わっ…」
俺は十四郎に飛び付く。その反動で十四郎は後ろに倒れたから、それを利用してキスをした。
「んんっ…」
十四郎の口を俺の口で塞ぎ、その隙に脱がせかけだった服を脱がせ…ようとしたら視界がぐるりと回って
気付いたら十四郎が上にいた。俺の背中の下には、さっきまでいた十四郎の温もりが残ったシーツ。
…えっ?十四郎がひっくり返したの?十四郎ってそんなこと出来たの?
事態が上手く飲み込めないうちに、十四郎は俺の上から下りて服を整え始める。
「まっ待ってよ!何で服着ちゃうの?」
「何でって…」
「俺とエッチするのは嫌?」
「そういうわけでは…」
「だったら…ねっ?」
「ですが、どうして急に…」
「本当はずっとシたかったんだよ」
酔った勢いでヤってしまってから、十四郎とは一度もそういうことをしていない。
公にできる関係じゃないし、何となくヤっちゃいけない気がしてた。…多分、十四郎もそうだろう。
でも俺は十四郎としたエッチが忘れられなくて、あれから何度も思い出してはヌいていた。
「今日めでたく公認の仲になったんだし、二人きりだし、エッチしてもいいでしょ?」
「こっ公認と言われましても…」
「そりゃあ一人だけだけど…それでも公認は公認でしょ?」
「ですが…」
「もうっ…十四郎は俺が嫌い?酒でも飲まなきゃヤれない?」
「ちっ違います!そういう意味では…」
「じゃあいいよね?」
「………」
「ねっ!」
「…はい」
十四郎の首に腕を回し、可愛く(?)お願いしてみたら漸く了承してくれた。十四郎が服を脱ぐ。
…十四郎って着痩せするタイプ?かなり鍛えてあるんだなァ。この前は全部脱がなかったから気付かなかった。
下着姿になった十四郎は迷いながらも俺の方に手を伸ばす。俺はその手をとって、もう一度抱き付いた。
* * * * *
「あっ、ハッ…あっ!」
十四郎はフェラしながら俺の後ろを二本の指で解してる。すごく気持ちイイ…でも早く十四郎が欲しい。
「と、しろっ…も、いいから…」
「…大丈夫、ですか?」
「うん。早く…入れて」
「わ、分かりました」
十四郎は俺から指を抜くと俺を裏返そうとした。
「えっ、何で?」
「こちらの方が、銀時様に負担が少ないかと…」
「そっか…。でも十四郎の顔見えた方がいいから、このままでいいよ」
「そうですか?あの…辛かったら言って下さいね」
「はいはい」
「では…」
十四郎が俺の脚を抱えてナニを入口に宛がう。
「あの、本当に辛かったら遠慮なさらずに…」
「分かったから。早く入れて?」
「はい…」
「…んっ」
「だっ大丈夫ですか?」
先っちょだけ入ったところで十四郎は止まった。別にキツくて声出たわけじゃねェのに…。
「だいじょーぶ。…あっ!」
「っ!?」
ちょっとだけ進んで、また十四郎は止まる。もう俺、限界なんだけど…
「十四郎、もっと…」
「えっ、あのっ…ぎ、銀時様!?」
我慢が出来なくなった俺は、十四郎の腰に足を絡め、十四郎のモノを一気に奥まで引き入れた。
「あっ、ハァー…気持ちイイ…」
腹ン中まで十四郎に満たされてる感じがしてすげェ気持ちイイ…
「ぎっ銀時様、あの…」
「早く…お願い」
「は、はい…」
俺が下から腰を揺らすと、漸く十四郎も動く決心をしてくれたみたいだ。
十四郎はゆっくり腰を引き、またゆっくりと押し戻した。…俺のナカが十四郎で擦れて最高…
「はぁ…あぁ…」
「大丈夫、ですか?」
「うん。大丈夫だから…もっと…」
「はい」
「…ああっ!」
さっきみたいにゆっくり抜き、さっきよりも早く奥まで突かれた。
「ああっ!とうしろっ…いいっ!」
「銀時様っ…」
ずんずんと十四郎に奥を突かれると、気持ち良すぎて頭がボーっとなってくる。
「ああっ!そこっ…もっとぉ!」
「はい」
あー…すげェ気持ちイイ…。最初の時より気持ちいいかも…。
「あぁっ!あぁっ!とっとうしろっ!」
「銀時さまっ!」
腕を伸ばして十四郎の頭部を引き寄せキスを強請る。
「んっ…ふっ…」
ただのキスじゃ満足できなくて舌を出したら、十四郎も舌を使ってくれた。
「んっ!ふっ…んうっ!」
十四郎の舌が俺の口の中で蠢く。上からも下からも俺の中に十四郎が入ってきて「一つになる」って実感。
しかも腹の間で俺のナニが擦れてヤバいくらいに気持ちイイ…
「んんっ!んん!んん!」
もうダメ…イキそう!
「はっ…十四郎!イク!イッちゃう!」
「どうぞ…」
十四郎は激しくピストンして俺を追い立てる。
俺は十四郎の首にギュッとしがみついた。
「十四郎、十四郎っ!」
「銀時様!」
「イクっ…ああ、イクっ!とー…しろぉ!!」
「…銀時様っ!!」
イッた直後、体内に何かがドクドクと注ぎこまれた感じがして、十四郎もイッたんだと判った。
良かった…十四郎も気持ちよくなってくれたんだ。
相変わらず秘密の関係には違いないけど、それでもこの家にいる時だけは俺達の関係が認められた。
十四郎はここに住み込みで、ここは俺の家で…つまり、俺達はいつでも愛し合えるってことだよなっ。
(10.07.31)
「愛人関係」の二人もラブラブになれました^^ ちなみに十四郎は、何かあった時に銀時様を護れるよう体を鍛えています。ボンボンの銀時様よりずっと強いです。
パーフェクト執事十四郎(笑)。それから、奥様の名前はご想像にお任せします。銀魂キャラの誰かでも、ご自分のお名前でもお好きな名前で空欄を補って下さい^^
奥様の位置って何気においしいと思います。お金に困らない上にいちゃいちゃする土銀が見られるという…^^ それから、別の所でも書いたと思いますが「敬語攻め」って萌えます!
ベッドの中だけ立場逆転っていいですね^^
ここまでお読み下さりありがとうございました。
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