おまけ


ソファに座る俺の上にトシくんが乗ってキスをする。
トシくんはキスが上手くて、気付いたら俺の股間が大変なことになっていた。
…キスしかしてないのに。

これ以上はマズイと思った俺は、トシくんの肩を押して唇を離す。
俺の口内からトシくんの舌が抜けて、口の端を唾液が伝う。

「あの…ダメですか?」
「トシくん…」

ダメですかって…このまま雪崩れ込むつもり?どこまで?…最後まで?
…そりゃあ俺達はいい大人で恋人同士で二人っきりで…でも、今お付き合い始めたばっかだし…
確かに股間は大変なことになってるよ?これは一度出さなきゃ治まらないよ?でもさァ…

俺の葛藤を見抜いたのか、トシくんが俺の上から下りた。

「すいません。急過ぎましたよね…」
「あ、あのっ…別に、嫌ってわけじゃ…」
「分かってます。今日、全部しなくてもいいですよね」
「う、うん。これから徐々にで…」
「そうですね」

良かった…。トシくんは気を悪くしたんじゃないかと思ったけど、大丈夫そうだ。
…ん?トシくん、どこ見てる?

俺から下りてフローリングに直に座ってるトシくんは、真っ直ぐ前を向いている。
さっきまで俺と話すために上を向いてたのに…。もしかして…

「あっあの、これは、その…」

俺は慌てて脚を閉じてトシくんが見ていた場所―俺の股間―を隠す。…手遅れだろうけど。
キスくらいで勃ってガキみたいと思われたかなァ?

「え、えっと、その…」
「私のせい、ですよね?」
「い、いや…あの…」
「責任、取らせてください」
「……はい?」

トシくんは俺の足元に座り、俺のベルトに手を掛けた。

「とっトシくん!?」
「………」

トシくんは無言で俺のベルトを緩め、チャックを下ろし、下着を少しずらして俺のムスコを…

くくくく咥えたァァァ!?

「とととトシくん…」
「………」

責任って、責任ってそういうことォォォ!?いや…ベルト触った時点でそうかなァとは思ったけど
でも、せいぜい 手扱きかと…。トシくんがフェラなんて……マジで!?

急展開に付いていけず焦っている間にも、トシくんは口と手で……うわぁ、気持ちいい…


「んっ、んっ…」


ぐちゅぐちゅと音を立てながら、俺の脚の間でキレイな黒髪が揺れる。
トシくんは喉の奥まで使って俺のムスコを咥えてくれている。


「はぁ…トシくん…」
「んぐっ、んっ…」


トシくんの舌ってどうなってんの?うねうね絡んできたり先っちょぐりぐりしたり…
なんか、すげェ複雑に動いてんだけど…。何コレ!フェラってこんな気持ちよかったっけ?

ていうか、こんな快楽知らない!
俺だってそれなりに経験はあるし、フェラされるのだって初めてじゃないけど…
でも、こんな風に気持ちよかったことなんてない!やっぱ男同士だとツボが分かるのかな…


「んっ…あっ!トシくんっ…」


おかしくなりそうな快楽ってこういうのを言うんだな…。
なんかもう、頭がボーっとして何にも考えられない…。


「あっ、んっ…あっ!」


もう…早くイキたい。イキたいんだけど、この快感が終わるのはもったいないような…


「うっ…あ?…あっ!」


イキそうになった瞬間、トシくんの口が離れて今度は舌だけで根元から上までペロペロって…


「はぁ、はぁ…」


あー…これもヤバイ。イクまでじゃねェけど、この緩さが逆にもどかしい。もっと強い快楽が…


「えっ?…うっ…ああぁっ!!」


舌で先端を刺激しながら強めに吸われて、俺はこれまでの人生で最高の絶頂を味わった。


「ハァ、ハァ、ハァ…」


すぐには息が整わない。
トシくんは俺のムスコから口を離して、唇を指で拭った。
…そういえば俺、トシくんの口の中に出しちゃったよな!?

「あ、あの…」
「大丈夫ですか?」
「へっ?俺?…俺は大丈夫だよ。すっげェ気持ちよかった!」
「良かった」

トシくんはホッとしたような笑顔を見せてくれた。
でもさ…トシくんが喋れてるってことはさ…その…飲んだんだよね?俺の…

「あああの…ごめんっ!」
「…何のことですか?」
「俺、トシくんの口に出しちゃって…」
「あぁ…気にしないでください」
「でも、あんなの…不味かったでしょ?」
「そんなことありませんよ」

トシくんはそう言ってくれるけど、あんなもん不味いに決まってる。

「口直しに何か………そうだ!トシくん、ケーキ食べなよ!」
「えっ?」

テーブルの上にはトシくんが作ったケーキが五つ。
一つは俺が口を付けちゃったけど、他の四つはまだ手付かずの状態だ。
俺は急いでケーキの皿をトシくんの目の前に差し出す。

「ほら早く。トシくんの美味しいケーキで俺のを消して!」
「あの…本当に大丈夫ですから。それに、そのケーキは銀時さんに作ったものですし…」
「せめて一口だけでも…はい!」
「っ!じゃあ…」

俺は白いケーキをフォークで一口大に切って、トシくんの口の前まで持っていく。
一瞬トシくんが固まった気がしたけど、何とか食べてくれた。

「どう?トシくんのケーキだから美味しいはずだけど、その前に俺のがあったから…」
「あの…銀時さんのおかげで、美味しかったです」
「えっ?…あっ!」

赤くなったトシくんを見て、漸く気付いた。俺…「あーんして♪」みたいなコトしちゃったよね?
うおぉぉっ…恥ずかし過ぎるっ!違うんだって!あれはそういう意味じゃなくて緊急措置で…

「あのね、今のはその…」
「銀時さん」
「はい!」
「とりあえず、その…しまいませんか?」
「しまう?しまうって何を?」
「何って……ナニを…」
「ナニ?…うわっ!」

トシくんに言われて下を見ると、股の間にぶら下がった俺のムスコが目に入る。
色んな衝撃でしまうの忘れてたァァァ!!

俺は慌ててムスコを服の中に押し込んだ。

「あはははは…」
「ははは…」


こんな感じで、ドタバタしながら俺達のお付き合い初日は終わった。



*  *  *  *  *



一ヶ月後。

「こんにちはー」
「あっ、トシくんいらっしゃ「うおぉぉっ…貴様のような輩にづらやの暖簾はくぐらせんぞ!」
「クソ親父、テメー何すんだよ!俺ァ、これからトシくんとデートなの!」
「デート!?そんなもの許可した覚えは…」
「トーシィィィ!その男に近寄っちゃいかーん!!」
「こっ近藤さん!?店はどうしたんですか!」
「トシが心配で見に来た。大事に至らなくて良かった…」
「何言って…ほら、お客さんが待ってますよ」
「そうだ!あのお客さん、トシに会いたがっていたぞ。さあ、早く帰ろう!」
「帰るって…俺の家はそこ(店)じゃありません」
「銀時…お前の家はここだ。さあ、一家団欒の時間だぞ!」
「だからトシくんとデートだって言ってんだろ!じゃあな!」
「待てっ!」
「それじゃあ近藤さん、お先に失礼しまーす」
「トシィィィ!」

俺達は手を繋いで駅までダッシュした。―中年オヤジ二人はさすがについて来られないようだ。
実はこの後、トシくん家に荷物を取りに行って温泉旅館で一泊するんだ。
親父達に気付かれないよう準備するのは大変だったぜ。

でもまあ、障害が大きいほど燃えるって言うのも事実で……俺達、世界で一番ラブラブです。


(10.07.24)


トシくん実は積極的でした。本編の後書きにも書きましたが、前々から銀時さんをいいなァと思っていたので、どうやって落とそうか計画立ててたんだと思います(笑)

そしてお題は「敵同士」なので最後にちょっと敵同士っぽいところを…でも、結局ただのバカップルになってしまいました^^; 銀時さんはもう、トシくんにメロメロです。

トシくんも銀時さん大好きなので、二人は周囲の反対をものともせず(むしろ反対されるがゆえに?)ラブラブ街道まっしぐらなのでしょう^^

ここまでお読み下さりありがとうございました

 

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