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肆
ガラリ。玄関の扉の開く音がしたので新八が出迎えにいくと、ブーツのまま部屋へ上がろうとする銀時がいた。
「ちょっと銀さん!ブーツ脱いで下さいよ。ブーツ!」
「……えっ?」
「え、じゃないですよ!ブーツ!」
「……あっ」
新八に言われて、銀時は漸くブーツを履いたままだったと気付く。
「どうしちゃんたんですか、銀さん」
「………」
「銀さん!」
「あ、ああ…なに?」
ブーツを脱いで居間のイスに腰掛けた後も、銀時はボンヤリとしていた。
お手上げ状態の新八は神楽に助けを求める。
「神楽ちゃんどうしよう…」
「私に任せるネ。…銀ちゃーん、ケーキもらったアルよ。私、全部食べていいアルか?」
「………」
「…神楽ちゃんじゃないんだから、食べ物には反応しないよ」
「じゃあ次の作戦ネ。…銀ちゃん、駅前のパチンコ屋が新台入替アルよ〜」
「………」
「…ダメみたいだね」
「こうなったら最後の手段ネ!…銀ちゃん、マヨラーが来tガタガタッ!
銀時はイスから転げ落ちるようにして立ち上がり、左右を見回した。
「…えっ、あれ?」
「マヨラーが来たなんて嘘ヨ。銀ちゃん、マヨラーと何かあったのカ?」
「あ…う…」
「…あったんですね。忘れもの届けるだけにしては遅いと思ってたんですよ」
「今までマヨラーと一緒だったアルか?」
「あ、うん」
「どこに行ってたんですか?」
「…映画とメシ屋」
それを聞いて、二人の表情がパァッと明るくなった。
「映画と食事なんて、まるでデートみたいですね」
「銀ちゃんが誘ったアルか?」
「い、いや土方から…」
「「おおー!」」
「じゃあマヨラーとのお付き合いも近いアルな!」
「あ、いやそれが…」
「弱気になっちゃダメですよ。映画に誘ってくれるなんて、土方さんも銀さんのことを少なからず思ってくれてる証拠ですよ」
「あ、だからその…」
「何ネ。言いたいことがあったらハッキリ言うアル!」
「えっと…お付き合い、することに、ナリマシタ」
「「…えっ?」」
新八と神楽は目を丸くして固まった。
だがすぐに回復して、満面の笑みを浮かべる。
「本当アルか?銀ちゃんとマヨラー、恋人同士アルか!?」
「お、おう…」
「良かったですね!…銀さんから告白したんですか?」
「い、いや土方から…」
「「おおー!」」
「土方さんも銀さんのこと好きだったんですね」
「新八ィ、今日は赤飯ヨ!」
「そうだね。僕、小豆買いに行って来る。あと、ケーキも」
「私も行くネ!」
二人は銀時を置いて鼻歌交じりに買物へ出かけた。
* * * * *
「銀さーん、もういいですよー」
新八は和室にいる銀時を呼んだ。
今日の万事屋の夕食は銀時に恋人ができた祝いの会。
主役の銀時を驚かせようと、準備が終わるまで和室で待ってもらった。
「「おめでとー!」」
銀時が襖を開けると、二人はクラッカーを鳴らした。
テーブルの上にはイチゴショートのホールケーキ。
ケーキ上部には「ぎんときくんおめでとう」とチョコレートで書かれている。
「おいおい何だよコレ…誕生日じゃねェんだぞ」
「おめでたいって所は一緒ですよ」
「赤飯にケーキってよー…」
「日本人ならお祝い事には赤飯って決まってるネ。そして『おめでとう』と言ったらケーキアル!」
「ああそうかよ…。じゃあ、食うか?」
「はい」
「今日は特別、銀ちゃんが一番いっぱい食べていいアルよ」
「オメーよりたくさん食えるかよ…気持ちだけで充分だ」
「銀ちゃんは恋人ができてお腹いっぱい胸いっぱいアルか?」
「きっとそうだよ。じゃあ僕らだけで食べようか」
「ちょっと待て!誰も食わねェとは言ってないだろ。ケーキに乗ってるイチゴは全部俺のもんだー!」
万事屋の賑やかな食事は深夜近くまで続いた。
* * * * *
銀時と土方が恋人同士になって十日が過ぎた。
といっても、多忙を極める土方と不定期に仕事が入る銀時の休みはなかなか合わず
まともに会えない日々が続いていた。
そんなある日、万事屋の電話が鳴った。
「はい万事屋です。…あっ、はい!います。今代わります。…銀さーん、土方さんから電話ですよー」
「ったく、今から昼寝しようと思ってたのによー」
口ではそんなことを言いながら、銀時は嬉しさを隠しきれていない。
「もしもーし」
『銀時か?ずっと電話できなくて悪かったな』
「べーつにー。全然問題ありませんよー」
『悪かったって。今日、これから会えねェか?』
「えー、これからァ?どうしようかな…銀さんも色々と忙しいんだよねー」
「そんなことありません。昼寝くらいしかすることありません」
「ちょっ…」
横で話を聞いていた新八が銀時から受話器を奪い訂正する。
すかさず神楽も加わった。
「お前と会えなくて寂しがってたから早く会いに来るヨロシ」
「おいっ…」
「あっ、僕らなら大丈夫です。今から出かけるところなんで」
「そのまま帰らないから泊まっていってもいいアルよー」
「いい加減にしろテメーら!…あっ、もしもし土方?今のコトは全部忘れろ」
『くくく…分かった。とりあえずそっちに行くから待ってろ』
「おう…。…新八、神楽…テメーら余計なことをベラベラと…」
銀時は受話器を置くと二人を睨みつけた。だが二人は全く堪えていないようだ。
「じゃあ僕ら出かけてきますね。行こう、神楽ちゃん」
「お、おい、どこ行くんだよ」
「邪魔者は退散するね」
「ここは万事屋なんだからオメーらがいたって…」
「銀ちゃん、今はまだ二人きりでいちゃいちゃする時期アル」
「そりゃあ僕らだって早く紹介してもらいたいですけど…まだ早いと思います」
「そうアル。付き合ってイキナリ家族に紹介じゃ、男はプレッシャーを感じるネ」
「俺も男だし…紹介も何も、オメーらアイツと知り合いだよな?」
「銀さんも向こうの家族に会わせてくれとか言って、土方さんにプレッシャーかけちゃダメですよ」
「…アイツの家族って?」
「近藤さんとか沖田さんとか…」
「いやだから、ソイツらとも元々知り合いだからね?」
「とにかく、今日はいちゃいちゃお家デートで決まりネ」
「それじゃあ、ごゆっくり…」
言いたいことだけ言うと、二人はさっさと出て行ってしまった。
* * * * *
銀時が一人になって間もなく、土方は万事屋を訪れた。
土方を居間のソファに座らせて、銀時が台所でお茶を淹れて持ってくる。
「なんだ…本当にガキ共いねェのかよ」
「ああ。何かワケ分かんねェこと言って出てったよ」
「気を遣わせちまったな…」
「いや、アイツら絶対ェ楽しんでるよ」
「そうか…なあ、銀時」
「あ?………」
隣に座る銀時を抱き寄せ、土方は唇を重ねた。
「…四回連続」
「へっ?何が?」
「お前なァ…キスする時は目ェ瞑れや」
「そっそれは毎回テメーがイキナリするから…」
「今からキスするぞ、とか言えばいいのか?」
「そういうワケじゃねェけど…」
「じゃあ、もう一回するから目ェ閉じろ」
「ちょっと待て。何でいつもオメーからなんだよ。俺にもさせろ」
「分かったよ…」
土方は銀時の方を向いて目を閉じた。
銀時は土方の後頭部に手を添え、ゆっくりと唇を合わせていく。
「ん……」
ひととおり唇の感触を堪能した後で舌を差し入れる。
クチュクチュという淫靡な水音と、時折漏れる二人の息遣いだけが万事屋に響いていた。
(あー気持ちイイ…。土方も積極的に舌絡めてきてくれるし、背中に手ェ回してくれるし…
ずっとこうしていたい。…でも、そろそろ股間がヤバイ)
銀時は名残惜しい気持ちを抑えて唇を離した。
二人を熱い息を吐き出して、情欲をはらんだ目で相手を見つめる。
(…ヤバイ。そんな目ェして見つめんなよ…押し倒したくなるだろ)
沸き起こる欲望を振り切るようにして銀時はイスから立ち上がった。
「おっお茶菓子、持って来る…」
「いらねェよ」
土方も立ち上がり、台所に行こうとする銀時の腕を捕らえる。
「えっ、でも、その…」
「目ェ瞑れ」
「あ、その…」
「俺とキスすんのは嫌か?」
「嫌じゃねェ!むしろ…」
「じゃあいいよな」
「んんっ!」
掴んだ腕を引いて土方は再び唇を重ねた。
(ああああ…立ってると股間の変化が丸分かりじゃねェか。ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ…。
でも気持ち良すぎて我慢できねェよ。…こうなったら俺の状況分からせて離れてもらうしかねェ)
銀時は土方の腰に手を回し、グッと身体を密着させた。
すると銀時の硬くなりかけたモノに、同じく硬くなりかけているモノが布越しに当たるのを感じた。
(あれっ?土方も勃ってる?互いにこの状況で離れないってことは…もしかしてお誘い?
そうかァ…コイツもその気だったんだな。それなら話が早ェ…)
腰から肩に手を移動させ、銀時は土方の身体を離す。
キスを止められて土方はやや不満そうな貌をしている。
銀時は和室の方を指差した。
「あっちで続き、しねェ?」
「…いいのか?」
「もちろん。…お前だってこのままじゃ治まらねェだろ?」
「ああ」
二人は居間から和室に場所を移した。
(10.01.31)
前半と後半で銀さんの性格が違うような…心はオトメ、身体はオトナなんです(笑)。というわけで続きは18禁になります。大丈夫な方だけどうぞ→★