中編

 

[中は結構狭いんだな]

「仕方ねーよ。たくさんのパーティーを受け入れられるように、一つ一つの部屋は狭くなってんだ。

でもよ、ちゃんと各部屋に風呂も付いてんだぜ?」

[それは素晴らしいな。この世界はどうも埃っぽくていかんな]

「だったら先に風呂入ってこいよ。タオルと、風呂上りに着るモンもそこにあんだろ?」

[おお!そこまでとは!いい宿だな!]

「こっちでは当たり前だけどな」 

 

それは素晴らしい!感激しながら白血球王は浴室に向かった。銀時と土方はソファに並んで腰かけている。 

 

「おい、どういうつもりだ」

「どういうって何が?」

「何がじゃねー!なんでアイツを連れてきたんだよ!」

「えー、だってさァ…こんな機会めったにないじゃん」

「だから何が!?」

「さんぴー」 

 

そう言って銀時は右手を顔の前に持って来て、指を三本立てる。

土方は当たってほしくない予感が的中し、がっくりとうなだれたが、銀時は気にせず続ける。

 

「いやー、興味はあったんだけどさー…だからって他人に土方くん触られんの嫌だし

…でもよー、アイツなら俺の分身みたいなモンだからセーフだろ?俺に攻められる土方を客観的に見られるって興奮するなー」

「…ここがどこかも分かってないヤツに、俺が攻められるとでも思ってんのか?」

「あっ…そうかー。…じゃあ、アイツは土方くんがヤっちゃって。で、俺は土方くんをヤるから!」

「勝手に決めんな!つーか、アイツの意思は無視か?」

「大丈夫だって!アイツは俺の分身なんだから、絶対ェ土方くんとエッチしたいって。

ま、もしヤりたくねーって言ったら、とっとと帰して俺ら二人で楽しもうぜ!」

 

 

 

もう何を言っても無駄だ…土方は諦めた。白血球王が銀時の分身だと言ったが

今まで話している感じだと記憶を共有しているワケではなさそうだ。そんな彼が自分たちと交わることを希望するはずはないので

このまま帰ってもらえばいいかと思った。疲れていると言っていたが、ここからスナックお登勢までは徒歩10分ほどだ。

これくらいなら大丈夫だろう。

例え帰らないと言ったとしても銀時は目の前で始めようとするだろうから、そうなれば帰らざるを得ないだろう。

 

 

*  *  *  *  *

 

 

[ふー、いい湯だった]

「おっ、出たな。…じゃあ、土方、次入ってこいよ」

「ああ」 

 

白血球王と入れ違いで、土方は浴室に向かう。今のうちに銀時が今夜の計画を話すのだろう。

そうなれば、自分が出た時には彼が帰っているかもしれないな…彼に挨拶が出来ないのを少し残念に感じながら、土方はシャワーのコックをひねった。

 

 

*    *  *  *  *

 

 

「おっ、出たな。じゃあ、最後は俺ねー」

[十四郎、水を飲むか?六甲の水ではないが、これもなかなかだぞ]

「あ、ああ…」 

 

土方の予想に反して白血球王はソファに座っていた。

備え付けの冷蔵庫からミネラルウォーターを出し、グラスに注いで土方に手渡す。

彼の前にも同じグラスがあり、そこにも半分ほど水が入っていた。 

 

 

 

[銀時から聞いたのだが…貴様ら二人は恋人同士なんだそうだな]

「あ、ああ…その、驚いた、だろ?」

[いや。貴様も銀時もいいヤツだ。互いに惹かれるのも分かる気がする]

「そ、そうか…」

[ところで、この宿は…恋人同士が交わるための宿らしいな]

「あ、ああ…まあ、そんな感じだ…な」

[銀時からそのことを聞いて、俺は邪魔だろうから帰ろうとしたのだが…]

「だが?」

[恋人のいない俺を憐れんで…今夜だけなら二人の交わりに混ぜてやると言ってくれてな]

「で、お前はなんて?」

[銀時の気遣いは有難いが、十四郎の気持ちを無視してはいかんと…]

「そ、そうだよなっ!」

[だが十四郎は、俺がいいならいいと言ってくれたと…]

「…はっ?」

[俺の意思に任せてくれると…。十四郎、本当にいいヤツだな!]

「えっ…いや、待て…」

[しかも、こういったことをよく知らない俺のために、お前が一肌脱いでくれると言ってくれたそうだな?

俺はただ横になっていればいいと銀時が言っていたぞ]

「あっ…ちょっ…」 

 

白血球王は言いたいことだけ言うと、いそいそとベッドへ向かって行った。 

 

 

あンのくそ天パ!明らかに俺の発言を歪曲して伝えてやがるっ!つーか、コイツもコイツだ!

何で俺らとスんのに抵抗ねーんだよ!話から察するに初めてなんだろ?初めてがヤロー同士の3Pって濃すぎんだろっ!! 

 

[十四郎…やはり、俺じゃダメなのか?]

「うっ…」 

 

どこぞの勇者のような衣装を脱ぎ、バスローブを羽織った彼はどう見ても銀時で…

だが、銀時では考えられない殊勝な態度に土方の心は揺れた。 

 

[十四郎が、嫌だと言うなら…]

「い、いやじゃねー!」

 

今にも泣き出しそうな銀時…いや、白血球王を見て、ついに土方は陥落した。 

 

[ほ、本当か!?]

「ああ…」 

 

グイッとグラスの水を飲み干すと、土方は白血球王が待つベッドへと向かった。

 

 

*  *  *  *  *

 

 

[んっ…ふっ…はぁっ!…んんっ!ふぅっ…]

 

 ベッドの上で仰向けに横になった白血球王に覆いかぶさり、土方は口付けを繰り返す。

上手く息継ぎができないのか、白血球王はキスとキスの合間に大きく息を吸いこんでいる。 

 

 

[ふっ…はぁ、はぁ…なっ、あっ、やめっ…]

「いいから、大人しくしとけって」 

 

土方は唇を離れ、耳たぶや首筋、鎖骨などを舐めたり撫でたりしながら、胸の突起を目指していく。

胸の突起に触れると、白血球王から一段高い声が漏れる。 

 

[あぅっ!…な、や、やめ…]

「ちっと黙ってろ…」

[んんぅ…] 

 

自らの唇で白血球王の口をふさぐと、土方は手を下肢に伸ばす。 

 

[んんっー、んー、んー!!] 

 

白血球王は土方の胸を押して離れてくれるよう訴えるが、土方はますます深く口付け、下着の中に手を潜り込ませ

直接下肢に刺激を与える。軽く握って上下に擦れば手の中のモノはどんどん育っていく。ある程度まで育てたところで唇を解放した。

酸欠と快感で、白血球王は脱力しきっていた。

 

抵抗がないのを確認して、土方は白血球王の下着を脱がし、勃ち上がった一物を咥えこむ。

先端に舌を捩じ込ませながら裏筋を指で刺激してやるとビクビクと震えながら嵩を増していく。

…イイところも銀時と同じなのか、そんなことを思いながら口と手で一物を育て上げる。 

 

[はっ、はっ、…えっ…な、何を!そ、そこは…]

「大丈夫だ。俺に任せとけって」 

 

白血球王の脚を大きくM字に開かせ、潤滑剤で潤した指で後ろの蕾に触れると制止の声がかかる。

再び身体に力が入った白血球王を宥めながら、土方はゆっくりと指を一本だけ挿入する。 

 

[うっ…あっ……やめっ…そんな……汚、い]

「ンなこと言ったって、ココ解さなきゃ入れらんねーだろうが」

[それ、は…そう、だが……ああっ!はぁっ!!な、なにを…]

「あん?ココがオメーのいいとこだよ。…やっぱり、ココの位置もアイツと同じなんだな」

[なっ…や、やめっ……か、らだ…おかしいっ!]

「おかしくねーって。おらっ、指増やすから力抜いとけよ?」

[ひっ…ああっ!うあっ…だ、ら…そこ、は……めだっ!はっ…やっ……っああっ!!]

 

土方が二本の指でグチュグチュと音を立てながら前立腺を刺激すると、ビクビクと全身を震わせて白血球王は達した。 

 

 

「おーおー、お楽しみの真っ最中ですかー」

 

腰にタオルを巻いただけの格好で銀時が浴室から出てきた。 

 

「いや、本番はこれからだ」

 

土方が返事をする。 

 

「あっそ。じゃあ、続きをどうぞー」

「…そうさせてもらう」

 

 

 

 

(09.08.25) 

 photo by 素材屋angelo


無駄に長くてすみません。ようやく銀さん参戦です→後編