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どちらが上かでもめる2人
ある夏の暑い日、真選組副長土方十四郎は恋人である坂田銀時の家―万事屋に来ていた。
「おー、よく来たなー」
「おう…って、なんて格好してやがる」
出迎えた銀時は、いつもの白い着流しも黒の上下も着ておらず、トランクス一枚という姿であった。
「いやー暑くてよー。ウチ、クーラーもないし、扇風機も壊れたし、もう地獄よ」
「…帰る」
「いやいやいや…せっかく来たんだからさァ。冷たい水でも飲んでって」
「麦茶もねェのかよ…」
悪態を吐きながらも土方は万事屋の中に入っていく。銀時の言うように室内はとても蒸し暑かった。
窓は開いているものの全く風が入らず、熱がこもり、外よりも暑く感じるくらいだった。
「なァ…お前も脱げば?」
二人分の氷水を持って台所から出てきた銀時が言う。
「んなだらしねェ真似ができるか。だいたい、この暑さじゃ脱いだって同じだろ」
「まあ、確かに、この格好でも暑いけどよ」
「…そういやァ、今日ガキどもはどうした?」
「ああー、新八んとこ。あそこはココより風通しもいいし、扇風機もあるからな」
「テメーも行けばよかったじゃねェか」
「そしたらお前と会えないじゃん」
「…っ」
途端甘くなった空気に土方は言葉を発せないでいると、銀時が土方の隣に座った。
「…暑いからくっつくな」
「そんなこと言わずに………いや、やっぱ暑いな」
そういって二人の間に少し距離ができる。
「…なァ、風呂入らね?」
「ああ?なんだいきなり」
「だってよー、汗ベトベトで気持ち悪ィじゃん」
「まあ、な」
「つーことで、お前先に入っていいぞ。あっ、タオル…は、分かるよな?」
「ああ」
* * * * *
「あー、やっぱり暑ィ」
入浴したを済ませた二人は、現在和室に布団を二組敷き、並んで横になっている。
相変わらず銀時はトランクス一枚、土方は着流し姿である。
「せっかく風呂入ったってのに、もう汗だくじゃねェか…」
「居間よりはこっちの方がマシ、だな」
「あんま変わんねェよ。…ん?アレ?お前、寝んの?」
「昨日は小規模だがテロがあって徹夜だったんだ」
「大変だねェ…ってマジで寝んの?おいおいおい、恋人の家に来て風呂入って昼寝って、
そりゃあないだろー。」
「テメーが、風呂入れって言ったんだろーが」
「いや、そうだけどね?アレはその後の甘い展開のためにだな…」
「甘いってなんだ…糖分フェチが…」
「その甘いじゃねェ!…おい、寝るなって!前にヤったの何時だと思ってんだ!?
二週間も前だぞ!」
「あー…もう、そんなになるか…」
「そうそう。今日を逃したら、また何時会えるか分かんねーんだろ?」
「そうだな……ヤるか」
「そうこなくっちゃ」
「……」
「……」
甘い恋人の時間が始まるかと思いきや、二人とも並んで横になったまま微動だにせず黙っている。
様子が変だと感じた土方が口を開く。
「おい…」
「何?」
「…どうした?」
「…お前こそ、どうした?」
「ヤるんじゃねーのか?」
「うん、だから、どうぞ」
「は?」
「いや、だから、ヤっていいって」
「ああ?テメーから誘ったんだからテメーがヤれや」
「いやいや、俺が誘ったんだから今日は俺がヤられる方でいいって」
「…じゃあ、乗れ」
「お前が乗れ」
「テメーが…」
「いや、お前が…」
「……」
「……」
「だから、俺は徹夜で仕事して疲れてるって言ってんだろ!テメーが動けや!」
「何ソレ!?俺だって、昨日から扇風機もねーこの灼熱地獄で過ごして、もうヘトヘトなんだよ!」
「じゃあヤんなきゃいーじゃねェか!」
「ああ!?テメーはそれでいいのか!?次、何時会えるかも分からねーのに!?」
「うっ…」
「だろ?ヤりたいってのは生物として基本的な欲求だよ。っつーワケで、土方、さっさとヤれ」
「その手には乗るかァ!…銀時、お前はできるヤツだ!」
「いやいや、お前の方ができる!」
「俺のできるよりお前のできるの方がデカイ!」
「お前には敵わないって」
「……」
「……」
「だーかーら、さっさとヤれや!テメーのせいで、こちとらすっかりソノ気なんだよ!」
「俺だって早くヤりてーよ!…とりあえずその着物脱げ」
「お、おう…」
ここは素直に銀時の指示に従い、土方も銀時と同じく下着一枚になった。
「……」
「……」
「脱いでやったんだから、さっさと乗っかってこいや!」
「テメーこそ、脱いだんだからそのまま俺に乗っかってこい!」
「だから俺は疲れてるんだって…」
「いや、俺の疲れ方ハンパないからね、コレ」
「いや俺の方が…」
「いや俺だって…」
部屋中の窓を全開にしているため、二人の声は往来にまで響いていた。
階下に住むこの家のオーナーが、二人を黙らせるために機械家政婦を遣わせるまであと数分…。
(09.07.30)
photo by素材屋angelo
リバを書くなら一度は書いてみたかった上下論争。しかも互いに「下」希望…受け×受けって萌えます。ここまでお読み下さり、ありがとうございます。
追記:続き書きました。18禁です→★
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