後編
「はぁ〜、安心したら眠くなってきた…。ちょっと早ェけど、風呂入って寝るか?」←1位
「そうだな……っ!」←3位
銀時の言葉を聞いて何かを思い出した土方はピシリと硬直した。
「お、おい、土方…どうした?」←1位
「どうって…ふ、風呂…」←3位
「風呂?風呂がどう…あっ!そうか…ここの風呂、ガラス張りだったんだ…」←1位
二人はベッドのすぐ隣にある浴室へと目を移す。
ベッドからガラス一枚隔てた所に透明な浴槽があり、その向こうにシャワーが見えた。
土方が溜息を漏らしながら言う。
「改めて見ると…すげェな」←3位
「だな…。風呂まで透明じゃねェか…」←1位
「こっこの風呂に…入るのか?」←3位
「…入るしか、ねェだろ?」←1位
その時、土方は妙案を思い付いた。
「そうだ!湯気でガラスが曇るんじゃねェか?」←3位
「そっそうか!そうだな…じゃあ、俺お湯入れてくる」←1位
銀時は足早に浴室へ向かった。
* * * * *
「ダメか…」←3位
依然として中が見えるままの浴室を前に土方は項垂れた。そんな土方を銀時が必死でフォローする。
「そっそんなことねェよ!最初より大分マシなったぜ」←1位
「…そうか?」←3位
「そうだって!それに考えてみたら、お互いが入ってる時に後ろ向いてればいいんじゃねェ?」←1位
「…それもそうだな。じゃあ先に入ってこいよ。俺、こっち向いてるから…」←3位
「あっ、そう?じゃあ、テレビでも見ててよ」←1位
銀時がテレビをつけると自動的にアダルトチャンネルに繋がったため、慌てて通常のチャンネルに合わせる。
そうしてから土方にテレビのリモコンを渡し、銀時は浴室へ向かった。
(あー…土方が見てないって分かってても落ち着かねェな。
…つーか、俺ら男同士だから見られても問題なかったんじゃ…いや、やっぱ恥ずかしいな。
前に土方とサウナで会ったことあるけど…あれはこういう関係になる前だから大丈夫だったんだ。
いくら男同士っつったって、こっ恋人の前で裸になるっつーのは、男湯に入るのとはワケが違うよな…。
あれっ?そういやぁ土方っていつから俺のこと好きだったんだ?サウナの時はもう好きだったんかな?
…うわぁ、もしそうだったら恥ずかしいな。友だちになりたいの?とか言っちゃったよ、俺…。
そ、それどころか腰にタオル巻いただけの状態で結構、色々、くっついてなかったか?
…今じゃ絶対ェできないけどな)←1位
湯船に浸かると銀時はチラッと寝室の方を見る。
寝室では土方がベッドに腰掛け、画面に食い入るようにしてテレビを見ていた…いや、絶対に浴室を見ないよう
テレビに集中していると言った方がいいだろう。
(あんなに背筋伸ばしてテレビ見なくてもよー…まあ、こっち見ねェように気を使ってくれてんだろうけどね。
…本当に律儀だよなぁ。ヤるとかヤらねェとかの話も、きっと真面目に色々考えてくれたんだろうな…俺は、ただ…
恥ずかしいだけだけど。今思うと…よく、きっキス、できたよな…いや、俺からしたんだけどさ。
あん時は…よく分かんねェままに、気付いたら好きだっつってて…そんで、その勢いで……わわっ!やべェ…
思い出したら、めちゃめちゃ恥ずかしいじゃねェか!
どどどーしよう…今日は朝まで土方と一緒だってのに、この後まともにアイツの顔、見られねェよ…)←1位
勝手に思い出に浸り勝手に恥ずかしくなってしまった銀時は、浴槽から出ると
火照った顔を冷ますようにシャワーの水を頭からかけて浴室を後にした。
「おっお待たせー」←1位
「おう…。じ、じゃあ…入ってくる」←3位
「あ、ああ…今度は俺がテレビ見てるな」←1位
銀時と入れ違いに土方が浴室へ向かった。
(あー…アイツが見てないって分かってても落ち着かねェな。
…つーか、俺ら男同士だから見られても問題なかったんじゃ…いや、やっぱ恥ずかしいな。
そういやぁ、前にサウナで会ったことあるけど…あれはアイツが俺のことなんか何とも思ってないと思ってたから
大丈夫だったんだ。いくら男同士っつったって、こっ恋人の前で裸になるっつーのは、男湯に入るのとは
ワケが違うよな…。あれっ?そういやぁアイツはいつから俺のこと、すっ好き、だったんだ?サウナの時はもう…?
いや、それはねェな。…アイツは俺みたいに黙って想い続けるしかしないような意気地なしじゃねェよ。
でも、あん時は…腰にタオル巻いただけの状態で結構、色々、くっついてなかったか?
…今じゃ絶対ェできないけどな)←3位
湯船に入ろうとして視線が寝室を向き、慌てて視線を逸らす。
土方の視界に一瞬だけ入った銀時は、ベッドに腰掛けてテレビを見ていた。
(ちゃんと、こっち見ねェように気を使ってくれてんだな。…本当に律儀なヤツだ。
ヤるとかヤらねェとかの話も、きっと真面目に色々考えてくれたんだろうな…俺は、ただ…恥ずかしいだけだが。
今思うと…よく、きっキス、できたよな…いや、アイツからしてくれたんだけど。
あん時は…よく分かんねェまま、気付いたら、ききキスされてて…そっそういやぁアイツ
『このまま最後まで雪崩れ込むか?』とか言わなかったか?……うわぁ!やややっぱりアイツはヤりてェのか?
俺に合わせてくれてんのか?…い、いや、アイツはまだ早いって言ったんだ。
アイツの言葉を信じるんだ、十四郎!……でも…)←3位
「ど、どうした?」←1位
暗い表情で風呂から上がった土方に、銀時は恥ずかしくなっていたのも忘れて声を掛けた。
「別に、何でもねェ…」←3位
「何でもなくねェだろ?お前、風呂入ったのに顔色悪ィぞ……もっもしかして、ちらっと風呂場見たこと怒ってんのか?
あれは違うんだって!ずっと同じ姿勢でいたら体が固まっちまうから、伸びをしようとしてだな…」←1位
「…見た、のか?」←3位
「あれっ?…そのことじゃねェの?つーか、見たって言ってもほんの一瞬だから!
視界の端にちょーっと入ったくらいで、見たってほどじゃ…」←1位
「やっぱり…お、お前は、ヤりてェのか?」←3位
「へっ?ちちち違うって!だからソレはまだ早いってなったじゃん!」←1位
「で、でも…前に…『このまま最後まで雪崩れ込むか?』とか、言ったし…」←3位
「えっ!?おおお俺、そんなこと言った!?いつ?」←1位
「…きっキス、した時…」←3位
「えっ…?」←1位
銀時はあの日の記憶を辿り、そして思い出して真っ赤になった。
「ちちち違うからっ!ああああの時のあれはアレだけど…違うんだって!」←1位
「…全然分かんねェ」←3位
「だっだからね?あん時は確かに、そう言っちまったけど…深く考えずに口走っちまったっつーか…。
で、改めてその…考えてみると、何つーか、はっ恥ずかしくてよ…」←1位
「…本当か?」←3位
「あ、ああ…」←1位
「そうか、良かった…」←3位
安心した土方の頬に朱が差してきた。
「じゃっ、誤解も解けたところで寝ようぜ?」←1位
「…でも風呂は見たんだな?」←3位
「だっだからそれは不可抗力っつーか…」←1位
「別に怒ってねェよ。だいたい、男同士じゃねェか…」←3位
「そ、そうだよな…」←1位
「ああ…」←3位
二人は、はにかみつつベッドに入った。
肩と肩が触れ合うような距離に二人の体温は上昇する。
「せっ狭いね…」←1位
「そ、そうだな…」←3位
「土方…」←1位
「なっ何だ?」←3位
「手、つないでみる?」←1位
「えぇっ!?」←3位
「あっゴメン…想像したら、恥ずかしくなった…。やっぱ、無理…」←1位
「…オメー、もう少し考えてからモノ言えよ…。心臓に悪ィだろ」←3位
「はははっ…ゴメン」←1位
こうして、ラブホテルで一夜を過ごした二人の関係はほんの少しだけ前に進んだ。
(09.12.08)
人気投票編と絡めたばっかりに、常に出る順位表記が雰囲気ぶち壊しに…。でも、この二人はこういう機会でもないとホテルなんか行けないと思います。
今回で互いに「アイツはヤりたがってるのでは?」という心配がなくなったので、この二人はますます清い関係を続けていくことでしょう。子どもたちが望む「大人な関係」からは
どんどん遠ざかっていますが、本人たちはとても幸せそうです。 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
追記:続きを書きました→★
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