※ 「純情な二人の初デート」の続きとなります
純情な二人がホテルに一泊
銀時の告白から三ヶ月。二人は順調に清い交際を続けていた。
それはそれは幸せそうな二人であったが、それをよしとはしない者たちもいた。
「もう三ヶ月経ったアル。その間、何回ウチにお泊りしたと思ってるネ。マヨラーが泊まる度に新八んとこ行くの
バカらしくなってきたヨ」
「そんなこと言ったって…神楽ちゃん、あの二人と同じ家で一晩過ごせるの?」
「…それも嫌アル。未だにもじもじもじもじ、マジキモイアル」
「でしょ?あの二人はもう放っておくしかないんだって」
「放っておいたら永遠にあのままだぜィ。何とかしねェと…」
「沖田さん、何とかって言っても…」
「旦那も何度か屯所(うち)に来たんだが、ありゃ見てらんねェよ」
「銀ちゃん、お前の前でもキモかったアルか?」
「ああ…『土方』って名前出すのも恥ずかしいみてェで『アイツいる?ほら、アイツだよアイツ』とか真っ赤な顔で
言って…。副長室に通しても向かい合って正座したまま暫く黙って俯いてて…でも、ほとんどしゃべんねェってのに、
やたら幸せそうな顔してやがんだ」
「ウチに来た時と同じアルな」
「だろィ?だから無理矢理にでもこっちから関係を進めてやんねェと…」
「そうですね。あの二人なら、今のままで満足とか言いかねないですもんね」
沖田、新八、神楽の三人は、間近で恥ずかしがる二人を見ているため、
二人が身も心も結ばれてクールな大人の関係になってくれることを切望していた。
「じゃあ、媚薬を使うってのはどうネ」
「神楽ちゃん…そんなもの、どこで手に入れるのさ?」
「お前ならそういうの詳しそうアル」
「そりゃあ手に入らねェことはねェが…恐らく土方さんが気付いちまうぜ。一応あれでも真選組副長だからな…
薬物に関しちゃ鼻が利くんだ」
「それに、薬に頼ったんじゃ、薬が切れたら元に戻るんじゃないの?」
「それもそうアルな…」
「いっそのこと、二人をラブホか何かに閉じ込められりゃいいんだけどな…」
「そんなことしたって、ウチにお泊りする時と同じアル」
「そうとも限らねェぜ?何てったってラブホはヤるための場所だ。部屋もベッドも一つしかねェ…」
「確かに万事屋よりは雰囲気ありそうですけど…」
「問題は、どうやって二人をホテルに向かわせるかだな」
「そうですよね…」
「私が二人とも部屋に押し込めてやろうカ?」
「神楽ちゃんの力ならできると思うけど…神楽ちゃんの歳じゃ、まずホテルの入口でストップかけられるよ」
「それじゃあどうするネ」
「うーん…」
結局、その日はいい案が浮かばずに終わった。
* * * * *
何とかして二人をラブホテルに…そんなことを考えている矢先、人気投票騒動が起こった。
人気上位陣の緊急避難場所として銀時が選んだのは、知り合いが経営しているというラブホテル。
山崎が黒幕だと判明し、新八とともに屋上から放り投げて事態を沈静化した後、沖田が神楽に耳打ちした。
「おい、チャイナ。今ならあの計画が実行できるんじゃねェか?」←2位
「あの計画って何のことネ?」←6位
「だからあの二人をホテルに閉じ込めるっていう…」←2位
「そうだったアル!…どの部屋にするネ?」←6位
「俺が見た感じじゃ、301号室がいい感じだったぜィ」←2位
「301アルな?分かったヨ!」←6位
神楽は二人の元へ行くと、右手で銀時の、左手で土方の腕を掴み、そのまま走り出した。
「おっ、おい、神楽どこ行くんだよ!?」←1位
「チャイナ、痛ェよ!離せって!」←3位
「いいから黙って付いてくるアル」←6位
「付いてって…オメーが引っ張ってんじゃねェか!」←3位
「神楽ちゃん、いい子だから離しなさい!」←1位
「…もう、着いたアル」←6位
「着いたって…総悟!?」←3位
二人が連れて来られた部屋の前には既に沖田が待機していた。
沖田はにやにやしながら部屋の扉を開ける。
「ささっ…どうぞお入りなせェ」←2位
「…テメーら何企んでやがる」←3位
「企むもなにも…恋人同士がホテルまで来といて皆と一緒に帰るってのも何なんで、
お二人にはこのまま朝まで過ごしていただこうかと…」←2位
「「はぁっ!?」」←1位&3位
二人は目を丸くして硬直した。
「おおお沖田くん…ななな何を言ってるのかな?」←1位
「銀ちゃん、後のことは心配しなくていいヨ。新八を回収して、アネゴ達と一緒に帰るアル」←6位
「いっいや…そういうことじゃなくて…」←1位
「それから、コレは預かっておくアル」←6位
「えっ!ちょっ…それ、家の鍵!」←1位
「今日は銀ちゃん帰らないんだから必要ないネ。明日になったら返してあげるヨ」←6位
神楽は銀時の懐から鍵を奪うと二人を部屋の中に押し込めた。
「「うわぁぁぁ!!」」←1位&3位
大部分をダブルベッドに占領されている狭い部屋にガラス張りの浴室。
いつも二組の布団をやや離して敷いて寝ている二人には刺激の強すぎる部屋だった。
いるだけで心臓が破裂しそうになっている二人は、何とかして部屋を出る方法を考えている。
「…そっ、そうだ!俺は、この後仕事が…」←3位
「土方さん、大丈夫ですぜィ。ちゃんと近藤さんに言っておきやしたから」←2位
「こっ近藤さんに何て!?」←3位
「そのままでさァ。土方さんは旦那とココに泊まるんで、今日は屯所に戻らないと言っておきやした」←2位
「ななな何てことを…」←3位
「近藤さんは快く承諾してくれやした。…まさか、近藤さんの厚意を無駄にしやせんよねィ?」←2位
「ううっ…」←3位
「じゃあ、そういうことで…」←2位
「「あっ!」」←1位&3位
沖田と神楽は部屋の扉を閉めて出ていった。
扉を開けて部屋を出るのは簡単である。しかし銀時は神楽に家の鍵を奪われ、土方は敬愛する近藤に
外泊許可をもらってしまった…二人とも帰る場所がなく、今夜はここに泊まるしかなかった。
(どどどどーしよう…土方とココで一晩過ごすのか!?つーか、鍵取られちゃったから泊まるしかねェけど…でも、
こんな部屋で!?…ベッド小さくねェか?こんなんじゃ、くっついて寝るしかねェじゃねーか!無理だって!
まだ布団くっつけんのだって無理なのに、かかか身体がくっつくとか…無理だって!!
そそそそれに…こんな部屋に泊まったら、土方だってヤりたくなるよな…ああああ、どーしよう!!)←1位
(どどどどーすんだよ…こんな部屋でコイツと一晩!?近藤さんに話がいってるんじゃ屯所にも帰れねェが…
でも、ココで過ごすのか?つーか、何で風呂がガラス張りなんだよ!無理だ!万事屋の風呂に入るのだって
まだ緊張すんのに、こんな風呂入れるかァァ!アイツが風呂入ってる時、どーすればいいんだよっ!
そそそそれに…こんな部屋に泊まったら、アイツだってヤりたくなるよな…ああああ、どーしたらいいんだ!!)←3位
閉じた扉を見つめながら、二人は同じようなことを考えていた。
(09.12.08)
長くなったので一旦切ります。続きはこちら→★