後編
翌朝
「あああぁぁぁぁ!!」
「んだよ。うるせェぞ、万事屋…。…んっ?万事屋?…あああぁぁぁぁ!!」
「お、おはよう…」
「…おはよう」
「……」
「……」
((ヤっちまったァァァァ!!))
一週間前と同じく濃厚な交わりをした二人は、一週間前と同じく後始末もしないまま裸で眠ってしまった。
一週間前と違うのはベッドではなくソファで寝てしまったということと…
「ぜ、全部覚えてるんですけどォォォ…」
「お前もか、万事屋…」
「マジでか…うわぁ、信じらんねェ…」
「本気で酒、やめようかな…」
(何やってんの俺ェェェェ!?そりゃあ土方のこと好きだけども…だからって二度目はねェよ!
むしろ惚れた相手と酔った勢いでヤっちまうなんて全然意味わかんねェ!!)
銀時が心の中で昨夜の自身にツッコミを入れている一方で土方も…
(何これェェェェ!?バカなの?俺はバカなの?誰か、誰か昨夜の記憶を消してくれェェェェ!!)
と心の中で叫んでいた。
だが、ヤってしまったものは仕方がない。お互い嫌いでないことは分かったのだから…と
銀時は意を決して、しかし、あくまでも冗談じみて聞こえるように言った。
「一度ならず二度までも…こうなったら仕方ねェ。土方!責任とって俺と付き合え!」
「はぁ?責任って何だよ。…テメーだってヤったんだから、テメーの方こそ責任とって俺と付き合え」
「ああ…やっぱそうなるよなーって、ええっ!ひひひ土方…オメー今何つった!?」
軽く受け流されるか、お互い様だから責任も互いにあると言われるかだと思っていた銀時は、
土方の思わぬ一言に慌てふためく。
そんな銀時に対して土方は、不敵な笑みを浮かべながら、でも面倒臭そうに応える。
「るせェよ…二日酔いなんだからもっと静かに話せ」
「ああ、悪ィ…じゃなくて!さっき、オメーお付き合いとか言わなかったか!?」
「あん?それがどうした?だいたい、先に言ったのはテメーじゃねェか…」
「いや、それはそうだけど…オメーが冗談でも俺にそんなこと言うなんて意外っつーか…」
「冗談じゃねェよ」
「は、はい?えっ…お付き合いが冗談じゃない?土方が?いや…そんなことあるワケ…」
いよいよ銀時は土方の言葉が理解できなくなった。
話の通じない銀時に、土方は心底呆れたような溜息を吐く。
「あのなー…いくら酔ってたからって、俺が好きでもねェ野郎とヤるわけねーだろうが…」
「そっ、それはそうだけど……えっ?好き!?はあっ!?」
「ったく…俺はな、とっくの昔にテメーに惚れてんだよ」
「ウソ…」
想像だにしなかった土方の告白に、銀時の思考回路は処理能力を超えてフリーズしていた。
「だから嘘じゃねェって…。つーかテメーも俺のこと好きなんだろ?もっと嬉しそうにしろや」
「好きって…あれっ?俺、まだ言ってな…」
「居酒屋で言いかけてただろーが。『気付いたのは昼間だけど、多分かなり前から俺…』って、もう言ったようなモンだろ?」
フフンと土方は勝ち誇ったように笑った。
「お前…まさか、最初っからそのつもりでココに誘ったのか?」
「ここまでは想定外だったが…まあ、オメーも同じ気持ちだっつーのが分かったんで、
酔わせてその勢いで告白させようとは思ったな。それには二人きりになれる所がいいと思って…」
「そんで、記憶を辿るとか言ってココに連れてきたワケか…。ご丁寧に敢えて俺に先導させて?」
「ああ…。だが告白の前に、また酔った勢いでヤり合うことになるとはな…」
「ははは…でも、まあ、結果オーライ?」
「…そういうこったな」
「じゃあ…」
「「これからもヨロシク」」
二人はチュッと触れるだけの口付けをする。
それは二人にとって初めての、軽い軽い羽のようなキスだった。
(09.11.29)
久々にリバエロが書きたくなっただけです(笑)。これだけガッツリとエロ書いたのも久しぶりな気が…エロは大好きなのですが、書くとどうしても話が長くなるので完成までに時間がかかり、当初の予定と
全く違う話になることがあります。今回も、当初はヤっちゃった後で「今度こそ飲むだけ」と約束をして飲み友達から仕切り直すという予定が…もうくっついちゃいました。しかも銀さんが土方さんを落とすために
ガンガン攻める(性的な意味ではありません)予定だったのに、いつの間にやら土方さんの方が上に…それでもまあ、これはこれで気に入っています。
サイト開設して間もない頃に誕生した二人を、こうして恋人同士にできたのは非常に感慨深いです。 ここまでお読み下さりありがとうございました。
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