※この話は「土方さんの片想い?」「無自覚のまま銀さんが告白」の続きとなります。

前の二つはネタばれ要素を含みますが、今回は本誌と全く無関係の話です。

無自覚のまま〜の直後という設定です。それではどうぞ↓

 

 

純情な二人のファーストキス

 

「んうっ……ふっ…」

 

万事屋の和室。万年床に座った銀時は、布団の傍に座っている土方を引き寄せると口付けをした。

驚いて反射的に離れようとする土方の後頭部を押さえ、隙間から舌を侵入させて口付けを深くする。

漸く唇を離した時には、土方の頬が薄っすらと赤く染まり、瞳も潤んでいるように見えた。

それを見た銀時も何故だか恥ずかしくなってしまい、顔を赤らめた。

 

「いやー、何かアレだな…」

「アレって何だよ…。つーか、テメーから仕掛けておいて何で赤くなってんだよ」

「お前が赤くなってるからつられて、つい…」

 

はははっ…と銀時は照れ隠しに笑ってみたものの、なかなか気恥かしさは拭えない。

 

「土方くんって…何つーか、アレだよな」

「だからアレって何だよ…」

「意外と…その、純情?」

「はぁ!?テメー、バカにしてんのか?」

「い、いや、違ェって!…でも、キスくらいで赤くなっちゃってよー、可愛いトコあんじゃん」

「それはっ…テメーが急にするから、ビックリしただけだっ!」

「だってよー、俺たち互いに好きだっつったじゃん?そんで一瞬邪魔は入ったけど、今はウチで二人っきりだろ?

大人同士なんだし、この状況ならキスくれェすんだろ?何ならこのまま最後まで雪崩れ込むか?

ちょうど布団も敷いてあるし…」

「さ、最後までって…」

 

土方は頬だけでなく顔全体、更に耳まで真っ赤になった。

 

「ちょっ…おまっ、そんなに照れるなよ!お前が照れると俺まで何か、恥ずかしくなってくんだろ!

お前が意外とウブなのは分かったから!大丈夫。銀さん紳士だから、無理矢理押し倒すようなマネはしねェって!」

「おおお押し倒すって何だ!いつ俺が下になるって決まったんだよ!」

「あれっ?違ェの?銀さんに抱かれたいってずっと恋焦がれてたんじゃねェの?」

「誰がそんなこと言ったんだよ!」

「えっ…じゃあ、もしかして銀さんを抱きたいとか思ってたワケ?キスくらいで真っ赤になる土方くんが?」

「だっ、抱くとか抱かれる、とか…そんなん、考えたことなかったっつーか…」

「へっ?何で?好きなヤツができたらフツーそういうこと考えねェ?」

「だって、まさか…オメーが俺のこと、す、すき…とか、あり得ねェと思ってたし…」

「やれやれ…これだからマイナス思考は困るよなァ」

「じ、じゃあテメーは、考えてたって言うのかよっ!」

「あー、まあ、俺もそこまでは…(つーか、ついさっき好きだって気付いたばっかだしな)」

「ほら見ろ。テメーだって同じじゃねェか」

「それもそうか。…じゃあ改めて今から考えてみよう!お互い、抱きたいのか抱かれたいのか…」

「いや…テメーはさっさと横になれ」

 

グイッと銀時の肩を押し、土方は銀時を布団に沈めた。

 

「えっ…やっぱり銀さんが抱かれる側?

うーん…別に嫌ってワケじゃねェけど、俺だってお前を抱きたいっつー気持ちがないワケでは…」

「いいから黙っとけ!具合悪ィんだろ?ソッチの話はテメーが快復してから考えるから、とにかく今日は寝とけ!」

「具合?あー、そうだったな(コイツを意識して焦ってたのを具合悪いっつってごまかしたんだったな)」

「ったく、テメーは本当に…」

「なぁ、土方…お前が看病してくれたおかげで、よくなったみてェなんだけど…」

「だっダメだ!病み上がりなんだから大人しくしてろ!」

 

どこまでも律儀な土方に、銀時は自然と笑みが零れる。

せっかくなので今日は「病気」を理由にとことん甘えさせてもらおうと思った。

 

「じゃあさ…今日は泊ってくれんだろ?」

「とまっ!?」

「神楽はさっきババァんとこ行くっつってたし、新八も今日は来ねェし…病み上がりの俺を一人残して行く気?」

「だ、だが、まだ仕事が…」

「じゃあ仕事終わったら来てくれる?」

「わ、分かった…。なるべく早く終わらせるから…」

「ありがと。じゃあ、それまで大人しく寝てるな」

「お、おう…」

 

 

土方は赤い顔のまま真選組屯所へ向かっていく。見送る銀時の顔も赤いままだ。

屯所に帰った土方はいつも以上に頑張って仕事をするのだろう…そんなことを考えながら銀時は

思いの外ゆっくり進みそうなこの関係を満更ではないと思っていた。

 

二人の物語はまだ始まったばかり。 

 

(09.11.14)


うわぁ〜、何だこれ(笑)。甘いの?恥ずかしいの?キモイの?…キモイですね。はい。唯一エロのなかった猫銀さんシリーズにエロを入れようと書き始めたのですが…エロまでいかなかった!

この二人→に何となく近いような?思いがけずウブな二人になってしまって自分でもビックリです。でもせっかくなので、初エッチが迎えられるまでは書き続けたいと思います。…道のりは遠そうですが;

ここまでお読みいただきありがとうございました。

追記:続き書きました。仕事終わった土方さんが万事屋に戻ってくる話です

 

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